shiotch7 の 明日なき暴走

ビートルズを中心に、昭和歌謡からジャズヴォーカルまで、大好きな音楽についてあれこれ書き綴った音楽日記です

Rhythm Nation / Janet Jackson

2009-07-06 | Rock & Pops (80's)
 ジャネット・ジャクソンは前作「コントロール」から5曲連続してシングルを全米トップ5に送り込み、それまでの “ジャクソン・ファミリーの末っ子アイドル” というイメージを払拭し、 “ダンス・ミュージック界を代表するスーパースターの一人” としてそのキャリアを歩き始めた。ただ、あのアルバムはあくまでも彼女にとっての出発点にすぎず、彼女が思いっ切りやりたい事をやった、という感じを強く抱かせてくれたのは89年暮れリリースされたこの「リズム・ネイション1814」である。
 このアルバムは前作に引き続いてジャム&ルイスをプロデューサーに起用しサウンド面での充実が図られた。アルバム・タイトル「リズム・ネイション」が示すように徹底して当時最先端のリズムであるミネアポリス・サウンドを極めた感があったし、又、ヴィジュアル面でも大きく進化し、前作の “へぇ~、マイケルの妹も踊れるんや...(゜o゜) 中々上手いやん(^.^)” 的な評価から “うわっ、ジャネットのダンス、めっちゃカッコエエわ(≧▽≦)” へと世間の評価を高める要因となった同名のビデオクリップ集では圧倒的なダンス・パフォーマンスを披露して視聴者の度肝を抜いた。その甲斐あってか、このアルバムからは前作を軽く上回る7曲のトップ5ヒットを輩出、その内4曲が全米№1に輝くというウルトラ・メガ・ヒットぶりで、その2年前に出た兄の「バッド」に勝るとも劣らない素晴らしいチャート成績だ。
 このアルバムを特徴付けているのは各曲の間をインタールードと称する短い間奏曲でつなぎ、アルバム1枚を一つの大きな流れの中で捉えてもらおうという、いかにもCD時代らしい手法で全12曲65分を一気呵成に聴かせることに成功している。又、歌詞の面でもそれまでの単なるラヴ・ソング一辺倒から脱却し、様々な社会問題に言及するなど、著しい成長の跡が窺えるのだ。
 このアルバムからのリード・シングル⑧「ミス・ユー・マッチ」(1位)は前作「コントロール」を上回る凄まじいまでの衝撃性を内包していた。ヘヴィーなリズム・セクションが生み出す弾むようなビートに乗ってジャネットが歌い始めると聴いてるこちらの身体も自然と動いてしまう。それはもう “めちゃくちゃカッコイイ!” という言葉しか思いつかないぐらいのキラー・チューンだった。
 セカンド・シングルになったアルバム・タイトル曲②「リズム・ネイション」(2位)はアップテンポなダンス・ナンバーで、刺激的なサンプリング音が乱舞する中、幾重にも重ねられた重厚なサウンドをバックに、実にテンションの高いヴォーカルを聴かせるジャネットが最高だ。
 実にキャッチーなサード・シングル⑭「エスカペイド」(1位)は愛らしいメロディーを持ったポップ・ファンクで、 “曲は甘く、演奏は辛く” を地で行くジャネットの新境地。間奏で聞けるジャネットの “ミネアポリス!” という弾むような掛け声がすべてを物語っている。全米1位獲得も当然だろう。
 ⑫「オールライト」(4位)は前作で言うと「あなたを想う時」的な疾走感溢れるダンス・ナンバーで、彼女の余裕すら感じさせるノリノリな歌いっぷりが圧巻だ。彼女が大好き!と公言するハウス・ミュージックのエッセンスを取り入れながら彼女にしか作れないポップなサウンドに仕上げている。
 ⑱「カム・バック・トゥ・ミー」(2位)は前作の「急がせないで」を彷彿とさせるスローバラッドでジャネットのヴォーカルの表現力が増した分、完成度はこっちの方が上だろう。サウンド・プロダクションも凝っている。 “どこかで聞いたことがあるような気がするのに中々思い出せない” 類のメロディーも秀逸だ。
 ⑯「ブラック・キャット」(1位)はヘヴィーなギターが炸裂するハードロックなダンス・ナンバーで、リズミカルでありながらメロディアス、ヘヴィーでありながらダンサブルというアンビバレンスが見事に表現されている。これは兄マイケルが「ビート・イット」や「ダーティ・ダイアナ」で採った手法を踏襲したもので、アルバムに幅を持たせることに成功している。
 上記のシングル曲以外では④「ステイト・オブ・ザ・ワールド」がめちゃくちゃカッコイイ(^o^)丿 ミネアポリス・ファンクのオイシイ所を濃縮還元したようなイカした曲で、うねるようなリズムが生み出すグルーヴは快感の一語に尽きる。シングル・カットしていたら確実にトップ5入りしそうなナンバーだが、後にボビー・ブラウンやジョニー・ギルといったニュー・エディション一派がこのグルーヴをアダプトして大ヒットを飛ばしている。
 マイケル亡き今、彼のスピリットを受け継げるのは彼女しかいないだろう。辛いとは思うが一日も早くショックから立ち直って天国の兄が嫉妬するぐらいカッコイイ曲を聴かせてほしいものだ。

Janet Jackson ? Miss You Much ? ~HQ~


天才兄妹最後の共演↓
michael jackson scream,HD

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