shiotch7 の 明日なき暴走

ビートルズを中心に、昭和歌謡からジャズヴォーカルまで、大好きな音楽についてあれこれ書き綴った音楽日記です

山口百恵の歌謡ロック・シングル特集

2014-07-26 | 昭和歌謡・シングル盤
 レコード祭りで買った「ひと夏の経験」がきっかけで、先日久しぶりに手持ちの山口百恵のシングル盤を一気聴きしてみた。クソ暑かったので冷房をガンガン入れ大音量で聴いたのだが、これがもうめちゃくちゃカッコイイ(^o^)丿 特に中期以降の阿木&宇崎作品を歌った “歌謡ロック路線” の諸作は最高だ。ということで今日はそんな彼女のお気に入りシングル盤を大特集します。

①横須賀ストーリー
 川瀬泰雄や酒井政利を中心とする制作サイドのアイデアに基づいて阿木燿子が詞を書き、その詞に宇崎竜童がメロディーをつけ、萩田光雄が絶妙なアレンジを施し、阿木マジックによって “大人のオンナ” へと変身した山口百恵が歌うという、まるでシューマッハ時代のフェラーリを想わせるような(?)鉄壁のチーム体制によって生み出された最初の作品がこの「横須賀ストーリー」だ。百恵にとってそれまでの “単なるアイドル歌手” を超えた存在へと駆け上るターニング・ポイントになった重要な曲であり、私が初めてエエなぁと思った彼女のシングルがこの曲だった。緊張感溢れるストリングスの短いイントロに続いて “これっきり これっきり~♪” のリフがインパクト抜群な前サビへとなだれこむパートの切迫感がたまらない(≧▽≦) 疾走感を煽りまくるストリングスのオブリガードや雰囲気抜群のひしゃげたサックスも効果満点だ。“今日も私は 波のように抱かれるのでしょう ここは横須賀~♪” で終わるシュールなエンディングで聴き手にえもいわれぬやるせなさを感じさせる演出もニクイですなぁ...
横須賀ストーリー / 山口百恵


②イミテイション・ゴールド
 「横須賀ストーリー」で新境地を切り開いた “ニュー百恵プロジェクト・チーム(?)” がハードボイルドな歌謡ロック路線を更に推し進めたのがこの「イミテイション・ゴールド」だ。まるでエルヴィスの「ハートブレイク・ホテル」を想わせるかのようなブルージーな導入部からテンポアップして疾走開始、一度聴いたら忘れられない“アッ アッ アッ イミテインション・ゴールド~♪” のリフレインを経て “くせが違う 汗が違う 愛が違う 利き腕違う~♪” と一気にたたみかけるスピード感溢れる展開が圧倒的に素晴らしい。この曲がリリースされた1977年という時代を考えれば、当時のこの曲がいかに突出した存在だったか分かろうというものだ。尚、この曲のアルバムヴァージョン(←ロンドン録音の「ゴールデン・フライト」)には何と元キング・クリムゾンのゴードン・ハスケルがベースで参加、アグレッシヴなアレンジによって換骨奪胎され、一瞬“コレがあの「イミテイション・ゴールド」なのか?” と我が耳を疑いたくなるようなゴツゴツした無骨なヴァージョンへと生まれ変わっている。
イミテイション・ゴールド / 山口百恵


③プレイバック part 2
 山口百恵のツッパリ歌謡ロック路線の代名詞と言えるのがこの「プレイバック part 2」だ。宇崎竜童は阿木燿子から渡された “緑の中を走り抜けてく真っ赤なポルシェ~♪” という歌詞を見て、疾走するポルシェのイメージを膨らませてこのスピード感溢れるロック曲を書いたのだろう。周りの景色がどんどん後方へと遠ざかっていくような加速感を見事に表現した萩田アレンジにも唸ってしまう。そしてこのまま快調に飛ばし続けるのかと思いきや、0分58秒あたりで演奏が一瞬止まり、百恵が “馬鹿にしないでよぉ~♪” と啖呵を切って再スタートするという斬新な手法が圧倒的なインパクトを聴き手に与える。中期以降の百恵のシングルにはこういった仕掛けが至る所に散りばめられているから面白い(^o^)丿 更に後半部では “カーラジオから流れてきた素敵な歌” としてジュリーの「勝手にしやがれ」が登場、前年の大ヒット曲の歌詞にある “出て行った女” に自らを重ね合わせるという巧妙な手法に阿木燿子の天才を見る思いがする。
山口百恵_プレイバックPart2(音源編集)


④絶体絶命
 いきなり “別れてほしいの 彼と” “そんな事は出来ないわ” “愛しているのよ 彼を” “それはアタシも同じこと” とバチバチ火花を散らす二人のオンナのやり取りで始まるこの曲でも阿木燿子の才気煥発、“夕暮れ迫るカフェテラス” “白いハンカチ” “銀色に輝く指輪” という絶妙な情景描写で聴き手を引きつける匠の技も凄いが(←まるでドラマのワン・シーンを見ているようで、修羅場が目に浮かぶようなリアリティーがありますな...)、何と言ってもたたみかけるような “はっきりカタをつけてよ~♪” 3連発が圧巻! そしてトドメは吐き捨てるように歌われる “やってられないわ~♪”... こんな “やってられない感” を出せる歌い手は彼女以外には考えられない。「プレイバックpart 2」の “バカにしないでよぉ~♪” に比肩する百恵のベスト・フレーズだと断言したい。主人公になりきり、まるで “喋るように歌う” シンガー、百恵の本領発揮といえる1曲だ。
山口百恵 絶体絶命


⑤愛の嵐
 この「愛の嵐」という曲はどちらかというと彼女のシングルの中では過小評価されている1枚ではないかと思うのだが、私はこの曲が大好き。大仰なイントロに続くスローな出だしから一転して疾走を始めるところ(←0分50秒あたり)なんか快感そのものだし、百恵のヴォーカルに影のように寄り添うジェフリー・ダウンズみたいなシンセも絶妙な隠し味になっていて緊張感を盛り上げる。“炎と書いてジェラシー♪” のラインなんか何度聴いても鳥肌モノだし、 “storm, storm, storm...♪” の “ストーム10連発” で引きつけておいて “心の貧しい女だわ あぁ~たし~♪” でストンと落とすラインをきっちりと歌いこなせる歌手が他に何人いるだろうか? 最後の最後に自らを “心の貧しい女” と自虐的フレーズで切って捨てる阿木燿子のセンスにも脱帽だ。
愛の嵐 ③【HD】山口百恵


⑥ロックンロール・ウィドウ
 この曲も歌詞がブッ飛んでいる。ロックンローラーの彼氏が夜遊びにうつつを抜かして帰ってこないのを “夫はとうに亡くなりました いい人でした~♪” と痛烈に皮肉って「ロックンロール・ウィドウ(未亡人)」へと繋げる発想が実にユニーク。阿木燿子ってホンマに天才やね(≧▽≦)  ゼップの「ロックンロール」へのオマージュを表現した “かっこ かっこ かっこ かっこ...♪” のフレーズを一人二重唱でビシッとキメた百恵も凄い。初期のアイドル時代からは想像もつかないバリバリのロック・ヴォーカルだ。咆哮をあげるギター、これでもかとばかりに連打されるピアノ、エンディングで乱入してくるブルースハープと、ハードロックのエッセンスを大量投下して究極の歌謡ロックに仕上げた萩田アレンジも見事という他ない。
山口百恵 ロックンロール・ウィドウ ②
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全日本レコードCDサマーカーニバルの戦利品

2014-07-20 | 昭和歌謡・シングル盤
 ミュージックインでポールの稀少ライヴをゲットした私は意気揚々と全日本レコードCDサマーカーニバルに乗り込んだ。このようなレコード祭りに参戦する時はいつも狙いを絞って漁ることにしているのだが、今回のターゲットはビートルズ関連のブートレッグCDと昭和歌謡のシングル盤。残念なことにブートCDの収穫はなかったが、シングル盤に関しては大漁で、ここのところ数千円のブートレッグばかり買っていたせいか1枚300円以下で買える歌謡曲のシングル盤を見るとめちゃくちゃ安く感じられ、気が大きくなって何枚も買ってしまった。以下がこの日ゲットした6枚だ。まずはバナナレコードのエサ箱での収穫から...

①「ひと夏の経験」山口百恵 210円
 私は「横須賀ストーリー」以降の阿木燿子&宇崎竜童コンビの作品を歌う山口百恵の大ファンなのだが、千家和也&都倉俊一コンビによる初期のアイドル時代の曲はほとんど聴かない。しかしこの「ひと夏の経験」は例外的に好きなので、210円なら即買いだ。それにしても初めてこの曲がラジオから流れてきた時はホンマに衝撃的だった。緊張感溢れるイントロに続き「コンドルは飛んでいく」を高速回転させたようなメロディーに乗せて “あなたに女の子の一番大切なものをあげるわ~♪” という歌詞が飛び出してくるのだからインパクト抜群! “だっれっでーも いっちっどだーけ...♪” でビシッとキメるラインもお見事という他ない。彼女の “蒼い性” 路線の最高傑作だ。
山口百恵 ひと夏の経験


②「ひとり上手」中島みゆき 210円
 私が中島みゆきを聴き始めた70年代半ば頃、彼女はザ・ワン・アンド・オンリーな存在のストーリーテラーとして “ニュー・ミュージック”(←懐かしいなぁこの言葉...)というジャンルにカテゴライズされていたが、その哀愁舞い散るメロディー・ラインは昭和歌謡の王道そのもの。日本人の心の琴線に触れるメロディーを書かせたら彼女の右に出る者はいないだろう。そんな彼女のシングルの中でも五指に入る名曲がこの「ひとり上手」で、あの「わかれうた」を裏返しにしたような美旋律も哀愁感たっぷりだ。アルバム「臨月」に収録されているヴァージョンとは微妙にミックスが違うというのもマニア心をくすぐってくれますわ(^.^)
ひとり上手 MIYUKI NAKAJIMA


③「どうぞこのまま」丸山圭子 210円
 先月のG3オフ会の「昭和歌謡特集」の時に901さんが持参されたのがこのレコード。もちろんリアルタイムで聴いて知ってはいたが、当時はAMラジオのプアーな音で聴いていたせいか、この盤の素晴らしさがよく分からず軽く聞き流していた。今の耳で聴くとめちゃくちゃクールでカッコイイ和ボッサだ。さすがは “ボッサ・マイスター” の異名を取る901さんである。私は生理的にエレピの音色というのはどうも苦手なのだが、この曲ではそのエレピが実に良い味を出しており、彼女の脱力ヴォーカルを引き立てているのだからこれはもう参りましたという他ない。何度も繰り返し聴くうちにハマってしまう中毒性を秘めたサビのメロディーも秀逸。リリースから38年経って初めてその真価が分かったニクい1枚だ。
どうぞこのまま


④「ドゥー・ユー・リメンバー・ミー」YUKI 280円
 これはファーイーストレコードのエサ箱で見つけたのだが、不思議なことに同じ盤が2枚あり、片方は280円でもう片方は1960円... 盤質はどちらもEX表示なのでこの価格差は一体何なん? まぁそれはさておき、日本の音壁史上屈指の名曲名演といえるこの曲を私はCDとLPで持っているのだが、どうせならシングル盤の音も聴いてみたいと思い、即買いを決めた。帰って聴き比べてみると、LPの方が上品というか少しおとなしい印象なのに対し、シングル盤の方は音が前に飛び出してきて元気溌剌という感じ。多分ミックスは同じだと思うので音溝の間隔差からくるカッティング・レベルの違いなのかもしれないが、何にせよちょっと得した気分だ(^o^)丿
Do You Remember Me - Yuki Okazaki


⑤「酸っぱい経験」多岐川裕美 150円
 「ドゥー・ユー・リメンバー・ミー」を片手に今度はフラミンゴレコードのエサ箱へ。そこで見つけたのが多岐川裕美の「酸っぱい経験」だ。実はコレ、さっきバナナレコードのエサ箱で315円で見つけてスルーしたばかりだったが半額以下ならお買い得だ(←セコい...)  岡崎友紀盤もそうだが、音壁作品はやっぱりアナログで聴いてみたくなるのが音壁マニアの性というもの(←ホンマかいな...) ジャケットはヘタっているがラッキーなことに盤質は極上で、CDの平板な音に比べてアナログらしい厚みのあるサウンドが楽しめた。歌謡曲のシングル盤もバカにできませんな(^o^)丿
多岐川裕美 酸っぱい経験


⑥「ケメ子の歌」ザ・ダーツ 150円
 上記の女性ヴォーカル盤5枚に続いて最後に見つけたのがこの「ケメ子の歌」だ。テープの早回しによる甲高い声が面白かったのか、私がまだ小さかった頃にこのレコードを買った記憶があるが(←そういえばフォークルの「帰ってきたヨッパライ」も持ってたな...)いつの間にかどこかに行ってしまったので、懐かしさのあまり衝動買いしてしまった。曲をニール・セダカの「ネクスト・ドア・トゥ・アン・エンジェル」のスキャットで始めるというアイデアといい、コミカルで楽しさいっぱいの歌詞といい、この時代の歌は時を経ても色褪せない魅力があるなぁと改めて実感させられた。
ケメ子の歌
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Back Home Liverpool / Paul McCartney

2014-07-13 | Paul McCartney
 この前の金曜日に久々に「全日本レコードCDサマーカーニバル」に行ってきた。この何年かはレコード祭りで目ぼしい収穫が無かったこともあって案内ハガキが来てもパスすることが多かったのだが、5月の東京レコ屋巡りが楽しかったのと仕事のストレス解消の狙いもあって、昼から有休を取って梅田のアクトスリーホールまで出かけて行った。
 3日間の初日と言うことで当日は3時スタートだったが予定より早めに大阪に着いてしまったので、私は近くのレコ屋に入って少し時間をつぶすことにした。しかしディスクユニオンや西新宿エリアのブートショップが活況を呈する東京とは違い、関西のレコ屋はほぼ壊滅状態と言っても過言ではない。かつては何店舗も構えて隆盛を誇っていたカーニバルレコードやディスクJJも時代の流れには勝てず閉店ラッシュで規模縮小を余儀なくされ見る影もないし、日本橋エリアでしぶとく生き残っているサウンドパックの各店も品揃えがイマイチでわざわざ足を運ぶ気がしない。私にとって今の関西エリアで “行ってみようかな...” という気にさせるお店は京都の太陽レコードとホットライン、元町のハックルベリー、そして梅田のミュージックインぐらいしかない。ということで、祭り参戦前の時間つぶしのために会場近くにあるミュージックインに立ち寄った。
 このお店の良いところはディープなマニアをも満足させるこだわりの品揃えと良心的な価格設定だ。私はまずビートルズ・コーナーに直行したのだが、特にポール関連のブートレッグが棚一列分ぐらいドバーッと並んでいて大コーフン(^o^)丿  既に持っているアウト・ゼア・ジャパン・ツアー関連のブツが多いが、ついに “おぉコレは!” という1枚を引いた。このジャケット写真はピカデリーサーカス・レーベルがポールの2003年バック・イン・ザ・ワールド・ツアーのライヴ盤に採用しているデザインのものだ。タイトルは「バック・ホーム・リヴァプール」で2,500円の値段が付いている。
 BFのグリーンアップル・レーベルが1,000円のプレス盤をリリースしている今となっては “永久保存がっちりプレス盤” の謳い文句で6,000~7,000円というボッタクリ価格のピカデリー盤を新品で買うのには思い切り抵抗があるが、中古で2,000円台なら許容範囲内だ。裏をひっくり返して演奏曲目を確認すると、ドライヴィング・ジャパン・ツアー2002でお馴染みの曲に混じって「ハニー・ハッシュ」や「アイ・ロスト・マイ・リトル・ガール」といったレアなナンバー、「ヒア・トゥデイ」「サムシング」に続いてリンゴに捧げたと思しき「イエロー・サブマリン」、そしてポールがライヴで演ったなんて初耳の「マギー・メイ」など、“コレを買わずに何を買う?” と言いたくなるような内容だ。もうコレだけでも有休を取った甲斐があったわい!と喜び勇んでレジに向かうと、嬉しいことにこの日は20%オフのセール中ということで、結局ポールのレアな3枚組ライヴが2,000円で手に入ったのだ。これはもうこの後のレコード祭りが消化試合と化してしまうぐらいの大収穫だった。
 家に帰って調べてみると、同じデザイン&黒バックのジャケットでミスタークローデル・レーベルから高音質の別マスターで再発されたばかりらしい。確かにディスク1の低音はブーミーでキレがないがアンプのトーンコントロールで補正してやればそこそこ聴けるレベルだし、ディスク2と3ではすっかり音質も安定し、もはや音をいじる必要もない優良オーディエンス録音になっている。何よりも演奏の出来が素晴らしく、また会場の盛り上がりも凄まじいので、音質云々に関してはあまり気にならないというのが正直なところだ。
 このライヴ盤は2003年バック・イン・ザ・ワールド・ツアーの最終日である6月1日リヴァプール公演の時のもので、キングス・ドックという港に隣接している大きなスペースに仮設の会場を設営し、3万人もの大観衆を集めて行われたという。そのせいかポールの気合いの入り様もハンパなく、ノリノリの歌と演奏でオーディエンスを煽りまくっている。
 上記のレア曲の中で一番の聴き物はやはり「マギー・メイ」だろう。アルバム「レット・イット・ビー」の中でわずか40秒弱でフェイドアウトという不憫な扱いを受けていた曲だが、リヴァプールに古くから伝わるトラディショナル・ソングということでこの日のみセトリ入りしたのだろう。とにかくポールの歌声でフル・コーラス聴けるだけでも貴重だ。これでこの曲もようやく成仏できた(?)のではないだろうか?
マギーメイ


 99年キャヴァーン・ライヴの冒頭を飾っていた「ハニー・ハッシュ」はヤードバーズやエアロスミスでお馴染みの「トレイン・ケプト・ア・ローリン」の元歌で、ビートルズもゲット・バック・セッションで取り上げていた(←私にはアナログ・ブート「スウィート・アップル・トラックス」D面の「ハイホー・シルヴァー」として刷り込まれている...)ノリノリのロックンロール。こういうロックンロール・クラシックスを歌う時のポールってホンマに楽しそうやねぇ(^.^)
ハニーハッシュ


 ポールが14歳の時に初めて書いたという「アイ・ロスト・マイ・リトル・ガール」も「マギー・メイ」や「ハニー・ハッシュ」と同様にバック・イン・ザ・ワールド・ツアーではこのリヴァプール公演でしか演奏されていないが、やはり故郷であるリヴァプールでの凱旋公演ということでポールなりに特別な思い入れがあったのだろう。オーディエンスの温かい手拍子が醸し出すアットホームな雰囲気がたまらんたまらん(≧▽≦)
アイ・ロスト・マイ・リトル・ガール


 一つ面白かったのが「バンド・オン・ザ・ラン」のイントロ部のアレンジで、まるでリヴォルヴァー期のようなサウンド・エフェクトをバックにいきなりサビから入るイントロにビックリ(゜o゜)  こんなのは初めて聴いたがいかにもポールらしい実験精神に満ちたアレンジだと思う。その後のツアーでは元のアレンジに戻されているようなので、この時期のライヴでしか聴けない貴重な音源といえるだろう。
バンドオンザラン


 それと、ジョン、ジョージとトリビュート・ソングが続いた後でオーディエンスがリンゴの「イエロー・サブマリン」を大合唱し、ポールが即興で同曲を歌うというのはファンとしては聴いてて実に微笑ましいものがある。2012年のロッテルダム公演の時なんか即興イエサブでめっちゃ盛り上がっとったなぁ...(^o^)丿 まぁ去年のブラジル・フォルタレザ公演では「サムシング」の後で湧き起った “リンゴ・コール” をシレッとスルーしてたけど...(-。-)y-゜゜゜
 とにかく聴きどころ満載のこんな傑作ライヴ盤を2,000円でゲット出来るなんてホンマにラッキーだった。それもレコード祭りの時間待ちで...  やっぱりエエ盤を手に入れようと思ったら家でネットにかじりついてるだけではあきませんな(^o^)丿
イエローサブマリン
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24 Karat Hits / Elvis Presley

2014-07-06 | Oldies (50's & 60's)
 スティーヴ・ホフマンがリマスターを手掛けたDCC盤、特に90年代にリリースされたGZSシリーズのCDは分厚い中低域とエネルギー感に満ちた押し出しの強いサウンドが私の嗜好にピッタリで、ここ数ヶ月の間にガンガン買い漁って大音響で楽しんでいることは前にも書いた通り。DCC盤はポールのソロ作品を始めとして70年代の名盤がカタログの中心になっているのだが、50~60年代の音源の中にもホフマン・リマスタリングによって見事によみがえったアルバムが何枚かある。そんな中でも断トツに凄かったのがエルヴィス・プレスリーの「24カラット・ヒッツ」だった。
 このアルバムは1956年から1969年までのエルヴィスのヒット曲を集めたベスト盤で、DCC盤の売りの一つである24K蒸着ゴールドCDに引っ掛けて24曲が収録されている。選曲の方は相変わらず十年一日の如しで、初期の「ハートブレイク・ホテル」「ハウンド・ドッグ」「監獄ロック」「ラヴ・ミー・テンダー」から中期の「今夜はひとりかい」「リトル・シスター」「好きにならずにいられない」、そして後期の「イン・ザ・ゲットー」「サスピシャス・マインド」に至るまでお馴染みのナンバーばかりが選ばれているので、手持ちの2枚組ベスト盤CD「トップ10ヒッツ」とどこがどう違うのか聴き比べてみることにした。エルヴィスのCDはモコモコした音の盤が多いので、名匠スティーヴ・ホフマンのお手並み拝見といったところだ。
 CDの1曲目は「ハートブレイク・ホテル」だが、 “Well, since my baby left me ~♪” とイントロ無しでいきなりスピーカーから飛び出してくるエルヴィスのヴォーカルの生々しさにビックリ(゜o゜)  まるで目の前で歌っているかのようだ。彼の十八番である“ベイベー♪”の響きも実に艶めかしい。そしてそんなエルヴィスの歌声に絡んでいくビル・ブラックのウッド・ベースの何とカッコ良いことよ! 通常盤CDでは “ボン、ボン” と平面的に聞こえるベースの音がこのDCC盤では “ドスン、ドスン” と立体的に聞こえるのだ。更にエンディングのソロ・パートではウッド・ベースならではの “ブルン、ブルン” という響きがリアルに楽しめるのだからたまらない(≧▽≦)  物憂げなピアノが醸し出す神秘的な雰囲気も鳥肌モノだ。とにかくこのオープニング・トラックを聴いただけでDCC盤を買って良かったと思った。
ハートブレイクホテル


 因みにビル・ブラックが愛用していたウッド・ベースの現在の所有者は何とポール・マッカートニーだ。何でもリンダがビルの遺族からこのベースを手に入れてポールにプレゼントしたのだという。ポール・ファンには「ケイオス・アンド・クリエイション・アット・アビーロード」の30分過ぎあたりでポールが自慢げに紹介していたあのウッド・ベースと言えばピンとくるかもしれない。アップライト・ベースをつま弾きながら「ハートブレイク・ホテル」を歌うポールにシビレますわ...(^.^)
Paul McCartney on the Upright Bass


 3曲目の「冷たくしないで」もやはりイントロのベースが凄い。まるでヘビー級ボクサーのボディーブローのようにズンズン腹にくるこの感じは通常盤CDでは決して味わえないものだ。こういうウッド・ベースが聴けるのもロカビリーの醍醐味だろう。因みに私はロックだけではなくジャズも聴くのだが、ジャズの大きな魅力はロックのエレキ・ベースでは決して味わえないアコースティック・ベースのリアルな響きにあると思っている。
冷たくしないで


 凄い音がいっぱい詰まったこのDCC盤の中でも最も強烈なインパクトがあったのが4曲目の「ハウンド・ドッグ」だ。とにかく音の密度がハンパなしに高く、パワフルな音の塊がスピーカーから迸り出てくるのがたまらない(≧▽≦)  特にハンド・クラッピングの生々しさは凄まじく、スピーカーに対峙して大音量で聴いているとまるで往復ビンタで顔面をシバかれているようで思わず顔をそむけたくなってくるし、DJフォンタナの爆裂ドラミングも圧巻の一言だ。CDというメディアでオリジナルLPの持つ荒々しさをここまで表現できるとは、スティーヴ・ホフマン恐るべしである。
ハウンドドッグ


 このDCC盤はパワフルなロックンロールだけでなくロマンティックなスロー・バラッドも絶品で、13曲目の「今夜はひとりかい?」なんかもう通常盤CDとはヴォーカルのリアリティーが桁違い。こんな風に口説かれたら女性はイチコロやろなぁ... って思えるカッコ良さで、正直言って男の私でもグラッときそうなぐらい(笑)説得力があるのだ。23曲目の「イン・ザ・ゲットー」でもストリングスの響きが通常盤とは全く別物と言ってもいいくらいナチュラルで、エルヴィスの歌声の深みも月とスッポンほど違う。思わず頭を垂れて聴き入ってしまう歌と演奏だ。とにかくロックンロールであれスロー・バラッドであれ、スティーヴ・ホフマンがエルヴィスの魅力を極限まで引き出してディスクに封じ込めたこのDCC盤、エルヴィスをどれか1枚というなら迷わずコレだ!
今夜はひとりかい

インザゲットー
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