shiotch7 の 明日なき暴走

ビートルズを中心に、昭和歌謡からジャズヴォーカルまで、大好きな音楽についてあれこれ書き綴った音楽日記です

Tokyo 2024 First Night / Queen + Adam Lambert

2024-02-25 | Queen
 クイーンは私にとって現役ミュージシャンの中ではポール・マッカートニーに次いで想い入れの強いアーティストであり、来日コンサートに行って大盛り上がりした後は、恒例のブートレッグ祭りになる。彼らの東京最終公演から1週間が経って各メーカーから様々な DVD やブルーレイがリリースされつつあるが、私は基本的にライトハウス系がメインで、それ以外はヤフオクで良さそうなのを見つけて買うことが多い。
 今回取り上げる「Tokyo 2024 First Night」はヤフオクで別の盤をチェックしていた時にたまたま見つけたもので、MOONSHINER という聞いたこともない怪しげなレーベル(→メニュー画面のデザインが NANKER RECORDS 盤と瓜二つだったので同一メーカーと考えて間違いない...)のブルーレイだ。
 商品説明文を読むと “ステージ花道付近からのド迫力な極上オーディエンス映像をブルーレイ-Rに完全収録 ” と書いてあり、私は “ステージ花道付近から” というパワー・ワードと送料込みで2,200円という安さに釣られて即決... したはずが、僅差でライバルに先を越されて “オークションに入札できませんでした” という表示が出てガッカリ。しかしこの手のブート業者は同一タイトルを複数回出品することが多いので気を取り直してお気に入りに入れておいたところ、早速その1時間後に出品されて待ってましたとばかりに即ゲット。結局クーポン使用で2,000円でこのブルーレイを手に入れることが出来た。
 ラッキーなことに3連休の初日に届いたので早速視聴してみたところ、撮影位置はステージに向かって右側のアリーナ席で、メーカー・インフォの通り花道真横からのショットが私的には実に新鮮(←こんなかぶりつきの座席でライヴ観たことないわ...)だ。画質の方はごくごく普通で、ライトの加減でブライアンの顔が茶色い埴輪みたいに映っていたりと、ブルーレイの長所を活かしたHD映像とは言い難いし、音質も凡庸そのもので、“良い音” と呼ぶには抵抗がある。
 しかしそういった些細な点を補って余りあるのが実にスムーズで巧みなカメラワークによる映像で、ほぼストレスフリーでクイーンの豪華絢爛なライヴを楽しめるのだ。私はこれまで様々なオーディエンス映像のブートDVDを観てきたが、結局一番大事なのはこの “ストレスを感じずに気持ち良く観れる映像であるか否か” の一点に尽きると思う。そういう意味でこのブートはトップクラスの映像作品と言えるだろう。
 ただ一つ欠点を挙げるとすれば、「Don't Stop Me Now」の途中(曲が始まって1:38秒あたり... 全体では 1:31:35~)で数秒間のカットがあることで、 'Cause I'm having a good time... からいきなり at all へ飛ぶので違和感がハンパない。もうちょっと目立たないように上手く編集してくれたらよかったのにとこの点だけが返す返すも残念だが、そこに目をつぶればこのブルーレイ盤は文句なしに “買い” だと思う。
   
   
   

【私的評価】
 ・画質:6
 ・音質:6
 ・カメラワーク:10
 ・総合満足度:8

【2023年のがっかり盤】「Hackney Diamonds」Zoetrope LP

2024-02-18 | Rolling Stones / The Who
 レコード・コレクターというのは因果な商売で、届いたレコードが期待通り、あるいはそれ以上ならまるで天下を取ったような気分になれるが、もしも期待ハズレだった場合はめちゃくちゃ落ち込んで、それをずーっと引きずってしまう。私がブログに書くのは基本的に前者のケースだが、たまには失敗例も話のネタに面白いかもと思ったので、今回は私が去年買ったレコードの中で最低のがっかり盤について書こうと思う。
 そのレコードというのはストーンズの「Hackney Daimonds」で、通常盤LPとはまた別の、ゾートロープ(回転のぞき絵)仕様の盤。ゾートロープというのは平たく言うと、盤の回転に合わせて絵が動いているように見える特殊な視覚効果を持ったピクチャー・レコードの一種なのだ。百聞は一見にしかずなので、とにかくこれ↓をご覧下さい。
Rolling Stones Hackney Diamonds Picture Disc Blood Records.


 どうです? 面白そうでしょ? 実を言うと今を遡ること約50年前、中学生の時に喜び勇んで買った「Sgt.Pepper's」「Abbey Road」「Band On The Run」の3枚がどれもこれも当時のシステム・コンポで聴いてもわかるくらいプアーな音質だったのに失望し、それ以降はピクチャー・レコードに対してネガティヴなイメージしか持っておらず、購入対象から完全に外してきたのだ。例外としてジュリー・ロンドンとケイト・ブッシュの7インチ・ピクチャー盤を買ったが、それらはあくまでも部屋に飾って目で見て楽しむ用に購入したのであって、決して聴くためのものではない。
 去年の10月に出たストーンズの「ハックニー」を私は大いに気に入り、確かここでも大絶賛した覚えがあるが、どうやら世間の評判も良かったらしく、その後もカラー・ビニール・レコードやらノーマルなピクチャー・レコードなど、様々な形態でリリースされた。私が目を付けたのは特殊な盤面加工を施したレコードを扱う Blood Records というところが配給元となって全世界1万枚限定で本体価格£30(約5,500円)で発売されたゾートロープ盤だ。
 ピクチャー・レコード否定派の私は最初 “ゾートロープって何やねん?” くらいの軽い気持ちで Blood Records のHPを覗いたのだが、そこにあった動画を見て“うわぁ、これめっちゃオモロイやんヽ(^o^)丿” と気に入り(←特に外周の、ダイアモンドをカットするナイフの動きが最高!)、送料込みの£50(約9,000円)で即購入。買ってしばらく経ってから販売元サイトを見たら既に完売しており(←そりゃそーなるわな...)eBayやDiscogsでは本体だけで15,000円を超えるプレミア価格で取り引きされている。売りに出ている盤のほとんどすべてがミント、つまりシールド状態ということはつまり “転売ヤ-・パラダイス” っちゅーことだ。
 このレコードを首尾よく手に入れた私はしめしめと思いながらターンテーブルに乗せて回転させ盤面を覗きこんだのだが、絵の回転が速すぎて思っていたような視覚効果が全く得られない。あら?こんなはずやないのに... と思いながら回転数を上げたり下げたりしてみてもあまり変化が見られない。これって詐欺なんか? それとも自分の動体視力がアカンのか、どっちなんや...? まぁいずれにせよ、HPにあったような面白い動きが全く見られずにめちゃくちゃガッカリさせられたことだけは確かだ。どうでもいいことだが音の方もゴーッというサーフェス・ノイズが邪魔で、ハッキリ言って音質は全然良くない。う~ん、9,000円がドブに消えたか... やっぱりレコードは面白半分で買うモンやないですな。

圧巻!クイーン京セラドーム公演

2024-02-10 | Queen
 おとといの水曜日、仕事を昼から休んでクイーンの京セラドーム公演に行ってきた。前回のコンサートはちょうどコロナのパンデミックで大騒ぎになるギリギリ直前の2020年1月末だったので約4年ぶりの “おかえりなさい公演”(←クイーンと日本のファンで定期的に行ってる同窓会みたいなモンやね...)ということになる。今回もチケ流でスタンドS席のチケットを購入したが(→アリーナは後ろになった時にめっちゃ見にくいので嫌...)、送られてきたチケットの座席番号をネットで調べてみてもステージの位置が不明なのでイマイチよくわからない。当日入場してから(←入場時はバッグの口を開けてチラッと見せて終わり... 一眼レフとか大仰な機材だけを厳しくチェックしてた感じやった...)1塁側11ゲートってどこやねん... とマゴマゴしながらやっとのことで席に辿り着き、前を見るとめちゃくちゃステージに近くてビックリ。スタンド下段の絶妙な傾斜角と高さで実に見やすく、まだ開演1時間前だというのにもうそれだけでコーフンしてきた(笑)。


 今回のセットリストに関しては、結果から言うと2020年の大阪公演の30曲から4曲減って26曲。時間で言うと7時過ぎに始まって9時過ぎに終わるという約2時間のショーで、前回は確か公演終了が9時半を回っていたような記憶があるので時間的には短くなっている。セトリ落ちしたのは「Now I'm Here」「Seven Seas Of Rhye」「Keep Yourself Alive」「In The Lap Of The Gods... Revisited」「'39」「Doing All Right」「Dragon Attack」「I Want To Break Free」「Killer Queen」の9曲で、特に私が死ぬほど好きな「Now I'm Here」「Keep Yourself Alive」「'39」の3曲が姿を消したのがちょっと残念。逆にセット・インしたのが「Fat-Bottomed Girls」「Is Ths The World We Created」「A Kind Of Magic」の3曲で、中でも「A Kind Of Magic」がバックの映像処理や照明の素晴らしさも含めて出色の出来だった。
QUEEN+ADAM LAMBERT 2024 OSAKA “A Kind Of Magic”


 ショーのコンセプトとしては、前回が初期のアッパーなロックンロール・チューンのつるべ打ちから中盤のアコースティック・セット、そして後半は怒涛のヒット曲連発で締めくくるというシンプルな流れだったのに対し、今回は「Machines」の導入から「Radio Ga Ga」でコンサートが始まり、ちょうど「Sgt. Pepper's」のリプリーズのようにアンコールのラス前で再び「Radio Ga Ga」を短く再演するというちょっと凝ったコンセプトで、その結果「We Will Rock You」と「We Are The Champions」の間に「Radio Ga Ga」が割って入る形になり(←腕めっちゃ疲れた...)、バックの映像が新旧ロボット祭りになっていた(笑)。
 あと、特に印象に残っているのが「Teo Toriatte」の “和”の雰囲気を見事に表現したセットで(←あの瓦屋根良かったなぁ...)、クイーンが心底日本を愛してくれているのが伝わってきてめちゃくちゃ感動した。今回はアダム・ランバートも歌ってくれたのだが、やっぱりめちゃくちゃ上手い! というか、曲をしっかりと自家薬籠中のものとして情感込めて歌ってくれたのが何よりも嬉しい。まるでフレディーが憑依したかのようだ。曲の途中で音響トラブルが起きて音声がオフになるという珍しいアクシデントも消し飛ぶくらい会場が一体となって合唱する快感は筆舌に尽くし難い。名古屋のだけど、凄い映像がYouTubeにアップされてるので↓貼っときます。
【4K】QUEEN + Adam Lambert - Teo Torriatte (Let Us Cling Together) - Nagoya,Japan


 「Tie Your Mother Down」の凝ったアレンジにも驚かされた。曲の入りがイケイケなハードロック・チューンである原曲とあまりにも違っていて最初はピンとこなかったが、セカンド・コーラスからギアを一気に上げてアッパーでストレートアヘッドな演奏で一気に畳み掛けるところがめちゃくちゃ痺れた。クイーンはまだまだ進化する... という嬉しい現実を実感させてくれた名アレンジだ。
QUEEN+ADAM LAMBERT 2024 OSAKA “Tie Your Mother Down “


 大御所と呼ばれるクラシック・ロックのスーパースターたちのライヴというのは、その膨大な数のヒット曲の中からセトリを精選し、最先端の映像/音響技術を駆使して最高のエンターテインメント・ショーを観に来てくれたファンに提供することが第一だと思うのだが、そういう意味では今回のクイーンのコンサートはまさに非の打ちどころがない “完璧にパッケージ化された究極のロックンロール・ショー” として記憶に残る素晴らしいライヴだった。前回行ったから今回はどうしようかなぁと迷ってる人は是非観に行くことをオススメします。
 私の場合、昨年から勤め始めた新しい職場が糞以下でストレスが溜まりまくっていたこともあって、クイーンのライヴで久々にスカッとした気分を味わえて最高に幸せな気分だ。常日頃の鬱憤を晴らすにはやっぱりライヴが最高ですな。2時間ずーっと立ちっぱなしだったのでまだ右膝が痛いが、こんな高揚した気分が味わえるならそんな痛みすら心地良い。年齢を考えてもクイーンの来日は今回が最後という声もチラホラ聞かれるが、日本が大好きな彼らのことだから、ツアー引退前にもう1回ぐらいは来てくれるんじゃないかなぁと秘かに期待している。
QUEEN+ADAM LAMBERT THE RHAPSODY TOUR 2024.2.7 Wed 大阪京セラドーム


【おまけ】今回のラプソディー・ツアー2024は名古屋⇒大阪ときてこの後札幌(←何と42年ぶり!!!)⇒東京と続くのだが、これからライヴに行かれる方でグッズ購入を考えている方は出来る限り早目に行きましょう。大阪では②ワインレッド色Tシャツ、⑫ニット帽、⑭トートバッグが大人気でかなり早く売り切れになっていたが、中でもこのトートバッグが超スグレモノで、46cm×32cmしかもマチありと容量も大きくて生地もしっかりしており、ファスナーや内ポケットまで付いて2,500円というコスパ抜群のグッズなのだ。それと、ブライアンがステージで着用していた “和” の漢字Tシャツ(27)が超カッコ良くてライヴ終了後に再度物販テントに向かったのだが、周りのみなさんも同じ気持ちだったようでこればかり飛ぶように売れており、私はラスト2枚の内の1枚をゲットできてギリギリセーフ。因みにTシャツの着丈・身幅(→私はゆったり目が欲しかったのでXL: 75cm×56cm)が微妙な人はメジャー持参でその場で測らせてもらうと安心です。
          

ヴィッキー特集

2024-02-04 | European Pops

①恋はみずいろ
 ヴィッキーの日本におけるデビュー・シングルがこの「恋はみずいろ」だ。彼女を知らない人でもこの曲のメロディーはどこかで聞いたことがあるのではないか。彼女がユーロヴィジョン・コンテストで歌った翌年にポール・モーリアがカヴァーして5週連続全米№1を記録する大ヒットになったのだが、毒にも薬にもならないイージーリスニングには何の興味もない私にとってはヴィッキーのオリジナル・ヴァージョンこそがザ・ワン・アンド・オンリーだ。リー・ワイリーの「Manhattan」やヘレン・メリルの「You'd Be So Nice To Come Home To」のように、歌い手は “まるで自分が歌うために書かれたような曲” に出会えるかどうかで決まると私は常々考えているのだが、ヴィッキーにとってはまさにこの曲がそれだと思う。因みにB'zの松本さんはライヴで「もう一度キスしたかった」のエンディングにこの曲のメロディーを混ぜ込んで弾くのが定番になっているが、中々良いセンスしてるなぁと思う。
ヴィッキー Vicky/恋はみずいろ L' Amour Est Bleu ( Love is Blue )  (1967年)


②星空のマサチューセッツ
 この曲はもちろんビージーズがオリジナル。私は1970年代後半に一世を風靡したディスコ期のビージーズは超苦手なのだが(→軽薄なディスコのリズムはもちろん嫌いだが、それ以上にあのファルセット・ヴォイスが生理的に無理...)、この「星空のマサチューセッツ」は彼らがまだ真っ当なソフトロックをやっていた1967年のヒット曲で、彼らの楽曲の中では「Melody Fair」と並ぶ名曲だ。ヴィッキーのカヴァー・ヴァージョンは日本での2枚目のシングル「待ちくたびれた日曜日」のB面に収められているが、カタコト日本語歌謡のA面とは比べものにならないくらい伸び伸びと歌っており、私はいつもB面のこの曲ばかり聴いてしまう。キャッチーな美旋律にヴィッキーの醸し出すホンワカ・ムードが怖いくらいにピッタリ合った名曲名唱だ。
ヴィッキー Vicky/星空のマサチューセッツ Massachusetts (1967年)


③私の好きなチョコレート
 外国人歌手の日本語盤には、ミーナの「砂に消えた涙」やマージョリー・ノエルの「そよ風にのって」のように元歌に日本語詞を付けて歌う “漣健児パターン” と、ブレンダ・リーの「ワン・レイニー・ナイト・イントーキョー」やカテリーナ・ヴァレンテの「恋のバカンス」のように歌謡曲にチャレンジして日本語で歌うパターンの2つに大別されるのが普通だが、ヴィッキーの「私の好きなチョコレート」は森永チョコレートのCMソングとして彼女のために日本語で書き下ろされたオリジナル曲という非常に稀なケースだ。私にとってこのレコードの一番の魅力は “届けてくれた忘れもの だけどお礼は言わないの あなたが半分食べちゃった 私の好きなチョコレート... ♪” という変てこりんな歌詞にあり、忘れもののチョコレートを半分食べて届ける奴が一体どこにおるんや...??? とツッコミたくなる珍曲なのだ。ジャケットに書かれた “チョコ人気投票アンケートに答えて抽選でハワイ7日間の旅ご招待” という宣伝がいかにも昭和らしくて懐かしい。
ヴィッキーVicky/私の好きなチョコレート(日本語) (1968年)


④マイ・スウィート・ロード
 前回ボビー・ジェントリーの日本語盤を聴きながら“昔はこの手の怪しい日本語ヴァージョンってわりとあったよなぁ...” と思いを巡らせていて、「フール・オン・ザ・ヒル」と同じビートルズ関連モノで頭に浮かんだのがヴィッキーの「マイ・スウィート・ロード」日本語盤だった。“せっかくやから久しぶりにヴィッキーでも聴こか...” と思ってシングル棚のイエイエ・コーナーから彼女のレコードを引っ張り出して聴き始めたところ、これがもうめちゃくちゃ良くて自分でもビックリしたのが今回の特集のきっかけだ。このレコードは彼女にとって日本で12枚目のシングルにあたり、大ヒットしたジョージのオリジナル・ヴァージョンと同じ1971年にリリースされたのだが、サビの “かぁ~みぃ~よぉ~♪” が妙に耳に残るスルメ・チューンだ。尚、B面には同曲のドイツ語ヴァージョン(←これは珍しい!)が収められている。
ヴィッキー Vicky/マイ・スウィート・ロード My Sweet Lord(日本語版)(1971年)