shiotch7 の 明日なき暴走

ビートルズを中心に、昭和歌謡からジャズヴォーカルまで、大好きな音楽についてあれこれ書き綴った音楽日記です

「Revolver」UKモノラルの 1G/1R盤

2019-12-29 | The Beatles
 今年も残すところあと3日ということで今日が2019年最後の更新になる。振り返ってみると丸々1年ほとんどがB-SELS関連の話だったが、中でも今年一番大きな収穫はスタンパー・コードが1桁の盤の音の良さに気付かせてもらえたことだ。入手できた盤はだいたいこのブログで取り上げてきたつもりだが、1枚だけ紹介し忘れていたので、今日はそのレコードで1年を締めくくりたいと思う。
 そのレコードとはUK盤「Revolver」なのだが、何と回収マト1モノラル盤の、それもマザー/スタンパーが “1G/1R” の盤。例によってネットでルーティーン・チェックをしていた時に見つけたもので、 EXコンディションでeBayに売りに出ていたのだ。このリボ回収マト1盤は一応スタンパー・コードが  “5AH/4AM” のを持ってはいるが、“1G/1R” となると話は別。ハッキリ言ってこれはエライコッチャである。  
 慌てて値段を見ると£230... その当時の為替レートは今とは違って £1≒128円だったから(←今の£1≒144円ではイギリスからレコード買う気せぇへん... EU離脱でもっとグチャグチャに揉めて£1=100円ぐらいまで暴落してほしい...)大体3万円ということころ。やっぱりそれくらいはするよなぁ... と一瞬腰が引けそうになったが、例の「Please Please Me」で1G盤の音の魔力にすっかり魅せられていた私は大胆にも  “3万円上等やんけ!” と即決で購入。今年既にSGTニンバス盤や金パロ1G盤という超高額盤を立て続けに買っている私にとって、3万円の衝動買いというのは  “無理すれば何とか出せる額”  になってしまっているし(←こういう金銭感覚の麻痺がコワイ...)、迷っているうちに他の誰かにかっさらわれたら後で必ず後悔するに決まっている。鶴瓶じゃないが、ビートルズの垂涎盤に関する限り “買わないという選択肢は無い” のだ。 
 それから1週間ほど経ってレコードが届いた。私はワクワクドキドキを抑えきれず、すぐに盤をターンテーブルに乗せて針を落とした。おぉ、何と力強い、生々しい音だろう! 上手く表現できないのがもどかしいが、とにかく音が “深い” のだ。もちろん元々持っていた盤も良い音だったが、こっちの方はまるでかぶりつきの特等席でビートルズの演奏を聴いているような錯覚に陥るくらいの凄まじいリアリティーで迫ってくる。1G/1R盤の音溝に刻まれているエネルギーをオルトフォンのモノ・カートリッジがあますところなく拾い上げ、マッキンのアンプとアルテックのスピーカーという組み合わせのヴィンテージ・システムが60年代ならではの濃厚なサウンドを再現してくれるのだ(≧▽≦) 
 私の音楽人生において「Revolver」というアルバムはこれまで何千回聴いてきたかわからないくらいの超愛聴盤なのだが、これほど凄い音で聴いたのは初めてだ。いやぁ~、これは大枚を叩いた甲斐がありましたわ(^o^)丿  A面の真ん中あたりに微妙な傷があってチリパチいうのが玉にキズだが(←これがなければ5~6万出してもエエくらい...)、そんなマイナス・ポイントすら些細なことに思えてしまうくらいの生々しい音が聴けるのが何よりも嬉しい。やっぱり極上の音で聴くビートルズは最高だ(≧▽≦)
 私は音の良い盤を手に入れるといつもB-SELSに持ち込んでSさんと一緒に聴くことにしているのだが、これを持って行った時は “「Revolver」モノの1G/1Rって... 30年前なら軽く10万円超えですよ!” と大コーフンされ、その音密度の濃さに“いやぁ... 素晴らしいです。もうそれしか言いようがないですね(^.^)” と喜んでいただいた。いやいや、そもそも私がスタンパー・コードに興味を持ったのはあなたのおかげです、とお礼を言うとめっちゃ照れておられたが、逆にもしもB-SELSと出会っていなかったらこのレコードとも他の高音質盤とも巡り合えていなかっただろうと思うと心底ゾッとする。充実したレコード・ライフを送るには情報交換できる同好の士の存在が不可欠だ。
 同志と言えば「Please Please Me」の超稀少なJRスタンパー盤を聴く機会を設けて下さった『MUUSEO』のTHE BEATLESコレクション・オーナー、カズキ・トリイさんにこの場を借りて感謝したい。つい先日 B-SELSで聴かせていただいたのだが、間違いなく自分が今までに聴いた中で最高の「Ask Me Why」だった。爆音とか美音とかそういう次元の音ではない。何て言うか、まるで音盤に封じ込められたジョンの魂に触れているかのような、そんな感じのレコードだった。トリイさん、本当にありがとうございましたm(__)m いつか一緒にレコードを聴きながら色々お話ししたいですね(^.^)
 ということで音盤生活充実しまくりの2019年もこれでおしまい。どうか来年も良いレコードが一杯聴けますように...

「Help!」UKモノラルの 1A/1R盤

2019-12-26 | The Beatles
  今日は「Help!」である。それもスタンパー・コードが 1A/1R という最初期プレス盤だ。UKモノラルの「Help!」と言えばオリジナル盤なのに音が良くないことでその筋では有名な1枚で、各国盤ガイド本「アナログ・ミステリー・ツアー」にも“眠い音”“変てこなミックス” とボロクソに書かれてしまっていたが、あの本で試聴に使われた盤も私の手持ちの盤もすべてスタンパー・コードが2~3桁のものばかりだったので、この盤を聴けば、果たして1桁盤なら良い音がするのか、それとも3桁盤と変わらないモコモコ音の失敗録音盤なのかが判明するわけだ。 
 スタンパー1桁盤といえば本来ならばコレクターが大注目なレア・レコードのはずだが、BUY IT NOW で買えるというのに一向に売れる気配がないし、そもそもwatch人数も3人と寂しい限り。多分その理由は Few signs of play... nothing serious. Solid VG / VG if not better. (使用感は少しあり... でもそんなに酷くない。良い感じのVG、いやひょっとするとVG以上かも。)という腰の引けた盤質表示にあったのではないか。ふつうスタンパーに拘るようなディープなコレクターは盤質を重視するので、VG(ダメージあり)という2文字を見て二の足を踏んだ可能性が高いように思う。かく言う私もかなり購入を迷ったのだが、これまで「Help!」の一桁盤なんて見たことも聞いたこともなかったので、このチャンスを逃がしたら次はいつ見つけれるかわからないと考えて購入を決意。盤質に関しては博打だが、それくらいのリスクは覚悟の上だ。ただ、セラーの言い値で買う気はサラサラ無かったので£89のところに9掛けの£80でオファーしたところ、すんなりOKが出た(^.^) 
 届いた盤は細かいスリキズが結構あって見た目は満身創痍一歩手前という感じ。一瞬 “ハズレか...(>_<)” と焦ったが、実際に針を落としてみるとほとんど音には出ないキズばかりで音だけ聴けば VGどころか NMレベル... 結果的にギャンブルは大成功だった(^o^)丿 A面を聴いた感じは「A Hard Day's Night」や「Beatles For Sale」のUKオリジナル盤に比べると負けてはいるものの、手持ちの同タイトル3桁盤よりは遥かにシャキッとした音だ。B面はとっても良い音で、スタンパー “1R”の実力が如何なく発揮されている。こいつはB面だけでも買った甲斐があったわい... とほくそ笑んで、いつものように B-SELSへ持ち込んだ。Sさんがこの音を何と評するか楽しみにして... 以下はその時の会話;
 Sさん:今度は「Help!」のスタンパー1桁盤ですか... (と呟きながらデッドワックス部分をルーペで確認)
 私:はい、ぜひ感想を聞きたいと思いまして。
 Sさん:A①「Help!」の立ち上がりが良いですね。他の盤では中々こうはいきません。
 私:盤質も見た目ほど悪くないでしょ。
 Sさん:十分ですよ。さすがアーリー・プレスだけあってギターの高音がよく出てますね。ベースはカッティングのせいなのかモコモコしてますけど。
 私:イタリア盤はベースがよく出てましたよね。
 Sさん:高音は良いんですけどね、これ。
 私:やっぱりロックンロールはベースが良くないとダメですよ。
 Sさん:おっ、B面になると音が変わりましたね。「Help!」のモノラルがダメという世評はA面のせいで、このB面はさすが1桁盤と言える音ですよ。素晴らしい!!!
 私:B①「Act Naturally」、ギターだけじゃなくベースもしっかりとスピーカーから張り出してきますね。ダメなのはA面だけで、B面は目の覚めるようなシャープな音です。
 Sさん:このB②「It's Only Love」なんか、ドラムとベースがしっかりと入ってるし、ギターは煌びやかやし、ヴォーカルも伸びやかで言うことナシですよ。A面はバランス悪すぎでしょう。
 私:B面はベースがボンボン腹にきますね。これならイタリア盤とタイマン張れますよ。おぉ、B⑤「I've Just Seen A Face」のストロークのアメアラレ攻撃、たまらんですな(^.^)
 Sさん:いやぁ~凄いですねぇ...(と思わず拍手) B面は大したモンですよ。おっ、このB⑥「Yesterday」、もう1回聴いていいですか?
 私:アズ・ユー・ウィッシュ(←ダース・ベイダーかよ...)
 Sさん:(満面の笑みを浮かべて)やっぱり違う... このポールの声、たまりませんね(^.^)
 私:何かやさしく包み込むような声ですね。ここにポールがいて自分に歌いかけてくれているような、そんな感じです。
 Sさん:今まで聴いてきた中で最高の「Yesterday」です。この「Yesterday」が聴けるだけでこのレコードは十分価値がありますね。
 私:こんなに喜んでもらえるなんて... コレを持ってきた甲斐がありましたわ。
 Sさん:今日も素晴らしい音が聴けました。
 私:“「Help!」のモノラルはダメ” なんじゃなくて、“「Help!」UKモノラル盤はA面の音がダメなだけでB面の音は素晴らしい!!!” というのが今日の結論ですね。

1・28 Queen 京セラドーム公演に参戦決定\(^o^)/

2019-12-24 | Queen
 私は骨の髄までガチガチのビートルマニアだが、ビートルズを別格中の別格とすればその次に好きなアーティストはレッド・ゼッペリンとクイーンだ。ボンゾやフレディが鬼籍に入ってしまった今となっては残念ながらどちらのバンドもオリジナル・メンバーでの再結成は望めないが、クイーンの方はブライアンとロジャーがヴォーカリストにアダム・ランバートをフィーチャーして今でも積極的にライヴ活動を行っている。
 現在彼らは映画「ボヘミアン・ラプソディ」の大ヒットの勢いにあやかって「ラプソディ・ツアー」と銘打った大規模な世界ツアーを敢行中。彼らと結びつきの強い日本にも来年1月にやってきて、さいたまスーパーアリーナ2回、京セラドーム1回、ナゴヤドーム1回と計4回コンサートを行うという告知がGWの頃にあったのだが、その時はニンバス盤やら何やらで自己破産状態(笑)だったこともあって、“ブライアンとロジャーもエエ歳やし、今のうちに見に行っときたいけど、まぁ今回はしゃあないか...” と一旦は諦めていた。
 それから半年たってようやく破産状態から抜け出し、ちょうど冬のボーナスが出た日にネットでレコード検索をしていてふとクイーンの来日公演のことを思い出し、“ちょっとお金はできたけど、いくら何でももうチケットは残ってへんやろなぁ...” と思いながら去年ポールの両国チケットでお世話になった「チケット流通センター」のHPでクイーンの京セラドーム公演を検索してみたところ、10万円、7万円、5万円という(←冗談抜きでホンマにがっちり買いまショウ状態www)信じられないような価格高騰の中、1枚だけS席40,000円というのを発見。“おぉ、まだ間に合うやんけ!” と一縷の望みを抱いて説明を読むと、聞き慣れない“同行募集”という言葉が躍っている。
 何のことやらサッパリわけが分からなかったのでググってみると、どうやら開演の1時間ほど前に会場の近くでセラーと合流してから一緒に入場するというシステムらしい。おそらく最近法改正が行われたダフ屋対策の転売禁止法のせいだろう。アホな政治家どもがオリンピックなんか誘致するからホンマにエエ迷惑やわ... ポールの時は楽チンやったのに何か面倒くさいのぉ... と思いながらも、クイーンを生で見れるラスト・チャンスかもと思うとそんなことは気にしていられない。同行でも同伴でも行ったるわいということでチケット購入を即決。セラーの方とは連絡ボードでやり取りをしながら1月28日を心待ちにしているところだ。これでまたひとつ楽しみが増えた(^.^)
 いよいよ来週に迫った2020年だが、新しい年をクイーンのライヴで迎え、願わくば真打ちポールが2年ぶりの来日を果たして新国立競技場(武道館→両国とくれば次はもうココしかないっしょ...)で野外ライヴをやってくれたりしたら最高やろうなぁ... 「Live And let Die」の打ち上げ花火を屋根のない会場で見てみたいなぁ... などと妄想を膨らませている今日この頃だ。来年も行く道行くで!!!

レコ針フレッシュン・アップ! ~カートリッジ2個を一気買い~

2019-12-21 | その他
 ビートルズUKオリジナルのスタンパー・コードが若い盤を集めだしてから “最高のレコードは最良の音で聴きたい” という思いがより一層強くなり、スピーカーやプレーヤーの下にインシュレーターを噛ましたり、超音波洗浄機を導入してレコード盤をクリーンアップしたりと、この12月はレコードの音質向上のことばかり考えて過ごしてきたが、 “音のフレッシュン・アップ” プロジェクト(?)もいよいよ最終ステージに突入だ。
 私がレコード針の交換を思いついたのは、先日B-SELSでSさんと喋っていた時に “このお店の音ってホンマにエエですねぇ...” という私の言葉に対し、Sさんが “アンプもスピーカーもウチは全然お金かかってないですよ。まぁレコード針は2か月ごとに変えてますけどね。” と仰ったのを聞いて、“そういうたらウチは全然針変えてへんがな... ヤバいわ... どないしよ...(>_<)” と思ったのがきっかけだった。この何年か、いや、もう10年以上もの間、音源であるレコードを手に入れることだけに集中して、それらを再生するオーディオ・システムは全くと言っていいほどケアしていなかったからだ。
 帰って早速針先を見ると、ステレオ針もモノ針も一目でわかるくらいくたびれている。そりゃあ10年以上も交換せずに使い続けていれば針先なんて摩耗でもうボロボロだろう。そんな針で大切な大切なレコードを聴いてきたと思うと何だかゾーッとしてきて一刻も早く針を変えねば!と思った。
 私が現在使っているオルトフォン・カートリッジは針先交換サービスを行っているのでHPで交換代金を確認すると、何と1本6万円近くかかると書いてある。それやったらいっその事、カートリッジごと新品に買い替えた方がいい。私は筋金入りのオルトフォン信者なので、ステレオもモノもこれまで愛用してきた型の後継機種にしようと決めた。
 まずモノラル・カートリッジだが、これはもう今使っているCG25Diのシェル部分が上位機種と同じウッド素材へと改良されたCG25DiMkII の一択だ。しかし値段を見ると 91,980円で、針先ユニット交換57,000円との35,000円の差は結構デカい。私はどちらにするか悩みに悩んだ末に、やはり思い切ってシェル部分がアップグレードされた MkIIにしようと決断。値段が値段なのでヨドバシの夏ボ一括でいくしかないかと思いながら念のためアマゾンも確認してみると、何とマーケットプレイスに新品が 66,000円で出ているのを発見。何という幸運! 針交換料金に9,000円上乗せした値段でアップグレードされた新品が買えるのだ。これを逃す手はない。私はその場で買いを決めた(←分割払いやけど...)。
 驚いたことに注文した翌日にカートリッジが届いた。AudioOneさん、仕事が早い(^.^) 手に持った質感はズシリと重く、前モデルよりも高級感に溢れている。私はウキウキワクワクしながらカートリッジを届いたばかりの新品に付け替え、早速音をチェック。盤は数日前にイギリスから届いたばかりのピカピカ盤「Beatles For Sale(モノラルの 1G/1RM)」で、超音波洗浄によってほとんどノイズレスになっている。盤に針を落とすと数秒間の無音状態を経てスピーカーからいきなりジョンの “This happened once before♪” という歌声が勢いよく飛び出してきて私はぶったまげた。何という生々しさ... まるでジョンがスピーカーから顔を出して私に向かって歌っているかのような錯覚を覚えるほどリアリティーに溢れ、唾が飛んできそうなくらい音が近いのだ。こいつは凄い、いや凄すぎる!!! これは間違いなくウチのアルテック・ヴァレンシアが発したベストのサウンドだ。
私は大コーフンしながら「Please Please Me」「With The Beatles」... と、ビートルズのモノラル盤を順にかけていくが、どれもこれもみな今まで聴いてきたのは何やったんや???と言いたくなるくらいリアルな音で鳴る。一切の装飾音という贅肉を削ぎ落としたような、どっしりと腰の据わった質実剛健なサウンドとでも言えばいいのか。とにかくこのカートリッジは買って大正解だった\(^o^)/\(^o^)/\(^o^)/
 結局その日から超音波洗浄はビートルズだけでは飽き足らず、ロネッツ、エルヴィス、ベンチャーズから50年代ブルーノートのジャズLPに至るまで、モノラル・レコード一色になったのだが、特に50年代のLPは余程汚れがひどかったのか水の汚れ方がハンパなく、底の方に黒い沈殿物が溜ってちょっとビビった(笑) 超音波洗浄と新しい針のダブル効果なのか、ほぼノイズレス状態でエルヴィスのシャウトやRVGの骨太サウンドがスピーカーから迸り出てくる快感はとても言葉では言い表せない。
 これですっかり調子に乗った私はステレオ・カートリッジも買い替えてやろうと考え、 “古いロックやジャズを聴くなら丸針、クラシックなら楕円針” という我がオーディオ師匠Oさんの教えに従い、オルトフォンSPU(Stereo Pick Up)の丸針の中で最もコスパの高いSPU #1Sを買うことに決めた。
 このカートリッジは定価63,800円だが、最安値.comで調べるとオーディオ・ユニオンの通販で54,550円となっている。何と針交換するよりも安い値段でアップグレードされた新品カートリッジが買えるのだ。しかもユニオンなら夏ボ一括が使えるではないか! まだ12月の半ばやっちゅーのに支払いは来年の8月やなんてもう最高である。私は小躍りしながら即決購入した。
 驚いたことにこちらも注文した翌日にカートリッジが届いた。オーディオ・ユニオンさんも仕事が早い(^.^) 見た目は前機種とほとんど変わらないが、サイドには誇らしげに“#1” の2文字が刻まれている。メーカー・インフォによると“かつてのオールドサウンドに最大限に拘り、当時を思わせる図太いサウンド、豊かな低域など、完璧なまでの「THE SPUサウンド」となっています” とのこと。う~ん、素晴らしい!!!
 最初の試聴盤には「Abbey Road」1H盤をチョイス... A①「Come Together」のリンゴのドラムがこれまで聴いたことがないような音で鳴ったのにまずビックリ。まるで初めてニンバス盤を聴いた時のように、リンゴの手の動きやドラムの皮が振動する空気感、更にポールのベースのズシリと腹に響いてくる揺れなど、音の解像度が大きく向上したのだからビックリするやら嬉しいやら。この日もモノ・カートリッジが届いた日と同じように時の経つのも忘れて手持ちの盤を片っ端から聴きまくり、布団に入った時には時計の針は既に午前4時を回っていた。
 結局約12万円の出費で(分割払いと夏ボ一括払いやけど...)1週間のうちにモノラルとステレオ両方のカートリッジを買い替え、我がリスニングルームの音は大きく向上... かくして今回の“サウンド・フレッシュン・アップ” 作戦は大成功と相成った。めでたしめでたし...(^.^)

レコード・フレッシュン・アップ!② ~自己流超音波洗浄~

2019-12-16 | その他
 レコードのノイズがほとんど無くなったのが嬉しくて、手持ちのレコードを取っ換え引っ換えクリーニングする毎日だ。しかし私は全くの予備知識ゼロの状態から衝動買いに近い形でこのレコード洗浄機を買って結果的にたまたま上手くいったが、コレを読んで今回初めて興味を持たれた方の中には何種類もある機種の中から一体何を基準に自分にピッタリなものを選べばいいのか迷ってしまうという人もおられると思うので、購入時に重視すべきと私が考えるポイントをいくつか挙げてみたい。購入を考えている方の参考になれば幸いである。  
 まずは超音波洗浄機本体についてだ。普通はヒーターとタイマーの2種類のボタン(or つまみ)があるのだが、ヒーターは1℃上げるのに1~2分はかかるので200wであろうが300wであろうがハッキリ言って使い物にならない。私はまず洗浄槽に半分までシーガルフォーで濾過した浄水を張り、残りはやかんで沸かした熱湯を安全水位線まで入れ、水温を35~37℃くらいのぬるま湯にしてから洗浄している。そういう意味では実際の水温をデジタル表示してくれる機種が断然使いやすいだろう。タイマーはボタン式でもつまみ式でも使いやすそうな方を選べばいいと思う。 
 それと、私の機種にはもう一つ「脱気」(Degas)というボタンがあって何のことやらさっぱり分からず ネットで調べてみたところ、“超音波の音圧強度を向上させ、洗浄効果を格段にアップさせる新機能” とのこと。洗浄時間に特に決まりは無いようなので、私は “超音波5分+脱気3分+超音波2分”  の計10分洗浄しているが、今のところそれでほぼ完璧にノイズが取れている。
  超音波の強度については150wか180wかのどちらかがほとんどで私のは150wだが、必要とあれば脱気機能でパワーアップできるので150wで十分だ。尚、30w~180wまで出力を自在に変えれる機種もあるが、レコード洗浄に出力可変など不要だろう。余計な機能が付いていれば故障因子が増えるだけだ。 
 それと、ほとんどの機種には本体横に排水バルブが付いており(←これが無いとキツイ...)それに繋げる短いホースを買わねばと思ったが、わざわざホームセンターまで行くのも面倒くさかったので一計を案じ、台所の流し台の横に置いてバルブを開くとホースなんかなくても小便小僧のように(笑)シンクに向けて排水してくれるので全く問題ない。横にガスコンロとシーガルフォーがあるのでめちゃくちゃ便利だ。 
 次はレコードの回転装置についてだ。たいていの機種は一度に4枚か5枚洗浄できるようになっており洗浄可能枚数については大きな差はないが(←私は “神棚盤” を洗う時はレコード間にある程度のスペースがあった方が超音波がよく当たるのではと考え1回につき3枚ずつ、それ以外の盤は5枚ずつ洗っている)、一番目立った違いと言えばレーベルカバーの作りだ。ほとんどの機種が白い樹脂製のカバーを採用しているのに対し、私のWEWU製のは日本のナガオカ製と同じようにシリコンゴムでレーベルに水滴が付かないように工夫されているのでこちらの方が安心度は高い。ただ、実際にやってみるとゴムが無くてもレーベルはほとんど濡れないし、ちょっと濡れてもタオルでサッと拭いたらしまいなので実際はどちらを選んでも関係なさそうなのだが... 
 私は12インチLPだけでなくシングル盤も洗浄しようと思って試してみたが、レーベルカバーが7インチ盤には大きすぎて使えず一旦断念。他社のレーベルカバーを調べてみても7インチ盤にピッタリの直径10cmのが商品化されていないようなので(←需要ないんやろな...)、何かエエもんはないかと考えてパッと閃いたのがコルクのコースターだ。アマゾンで調べるとちょうどピッタリの大きさのが300円で出ていたのでそいつを購入。中心部分に電動ドリルで穴をあけてシングル盤の間に挟むと立派な自家製レーベルカバーの出来上がりだ。 
 しかし、実際に何枚もレコードの付け外しをしてみるとレーベルカバーなんかよりも遥かに大事だと思えるのがレコードをはめる際にレコードホルダーの高さを自在に上下させる工夫がされているかどうかだ。私が買った機種にはこの上昇下降機能があるのでレコードの設置がめちゃくちゃ楽ちん(^.^)  盤が水に半分浸かった状態でレコードの付け外しをするなんて考えたくもない。 
 最後になるが、レコードの超音波洗浄で是非とも必要になってくるのがレコードの乾燥用スタンドだ。初めて超音波洗浄をやった日はこれが無くてめっちゃ不自由し、結局壁に立てかけて乾かしたので、その翌日すぐにアマゾンで検索すると2~3種類ほどあるにはあったが、どれもこれも数千円というボッタクリ価格が付いている。私は仕方なく3,000円ほどする5枚立て用(arte: RC-DS)を1つ買ったが底が浅くてレコードのホールド能力が低かったので100均のディッシュ・スタンドで代用しようと考え、ダイソー、セリア、キャンドゥ3社の皿立てを比較、その中ではセリアの皿立てが一番レコードの乾燥用に向いているように思えたので3つほど購入して使っている。もちろん3,000円の専用スタンドに比べると少し使いにくいが、コスパを考えれば文句は言えない。何にせよ、色々手を尽くして少しでもレコードの音が良くなればレコード・コレクターという人種はハッピーなんである。今年の冬休みは愛聴盤の超音波洗浄に明け暮れる日々になりそうだ(^.^) 

レコード・フレッシュン・アップ!① ~超音波洗浄機買った~

2019-12-13 | その他
 先月の末にスタビライザーやらインシュレーターやらを導入して音質アップを図ったことはこのブログにも書いたが、いくら再生システムが良くなっても肝心のレコードの状態が良くなくては音質向上は望めない。ついこの間もB-SELSのSさんに水道水でレコードを洗うことの重要性を教わり、木工用ボンド一辺倒から少し進化して精製水を使ったり中性洗剤を少し混ぜたりと、レコード洗浄初心者として悪戦苦闘している毎日だ。 
 そんな折にテレビでたまたま目にしたのがレコード・マニアのオーディオルーム訪問みたいな番組だった。その人は米KLAUDIO社の「CLN-200」という超音波式レコード・クリーナーを使用しており、洗浄から乾燥まですべて1台でこなしてしまうという説明を聞いて “おぉ、コレめっちゃ良さそうやん!” と思わず身を乗り出したのだが、値段を聞いてビックリ...  何と70万円である(゜o゜) 因みにヤフオクで “神洗浄” とかいうパワーワード(笑)を駆使した自画自賛キャッチコピーで笑わせてくれる某セラー(←自分に negative評価を入れた買い手に対するコメントがめっちゃオモロイので是非見てあげてくださいwww)が使用しているのがこの機械だ。  
 そんなお金があれば欲しいレコードが何枚買えることか... ゴールド・パーロフォンのステレオ盤すら買えるかもしれないというのに、レコード洗浄機1台に70万円もかけるなんて本末転倒もいいところ。しかしダメ元で「超音波レコード洗浄機」でググってみると、結構色んな機種が数万円という手の届く値段から出ているではないか。オリジナル盤1~2枚の値段なら検討する価値は十分ありそうだ。 
 ネット上の「超音波レコード洗浄機」に関する記事を総合すると、まず超音波洗浄界(?)の頂点に君臨するのが先の「CLN-200」で、それに続くのが日本の BELLDREAMというメーカー製の「US-60V」という機種で約20万円。それ以下となるとほとんどが中国製で、洗浄機とレコード回転装置のセットで4~5万円というところが大体の相場らしい。私は中国製で良いのがあれば買おうと考えてアマゾンの商品ページを詳細に調べた結果、WEWUの回転装置とGT SONIC-R6 という洗浄機のセット(45,000円)が良さそうだったのでそれを購入した。 
 オーダーした2日後に洗浄機が、さらにその2日後に回転装置がそれぞれ別便で届いた。回転装置は組み立て式で、説明書の日本語がかなり怪しかったが(笑)適当に触っているうちに簡単に組み上がった。早速その日からレコード洗浄を開始、1G盤やニンバス盤といった高音質盤を中心に1週間で約100枚ほどを超音波洗浄したが、結果は私の予想を遥かに超える大当たりで、どの盤もみんなピッカピカに光り輝いている。実際に針を落としてみてもまるで薄皮を1枚も2枚も剥いだかのように音がクリアーになり、不快なサーフェス・ノイズが大幅に軽減。無音部分なんかもうめちゃくちゃ静かでビックリしたほどだ。 
 まぁよくよく考えてみれば私の手持ちのレコードなんてほとんどすべてが50~70年前に出た中古盤であり、その間に何人もの所有者の手を経て私のところにやってきたレコードばかりなのだがら、ミクロン・レベルの汚れがこびり付いていて当然。これまでの私はそういった汚れによって劣化した音を聴いていたことになるが、これからはスッピン状態の音溝をトレースしたレコード本来の音を聴いていけるのだと思うと嬉しくてたまらない。まるで手持ちのブランド品が新品同様の輝きを取り戻して大喜びする女性のような(?)心境である。もちろん70万円の機械なら全自動で乾燥までやってくれるが、1枚1枚自分の手で磨き上げ、乾燥台に立てていくという手間をかけるだけで65万円も節約できるのだから中国製で十分だと思う。 (つづく)

ベースが轟く「Silly Love Songs」のUSプロモ・シングル盤

2019-12-11 | Paul McCartney
 私はレコード屋という空間が大好きな “レコード馬鹿” である。しかし毎週末レコ屋巡りをしていたのは遠い昔の話で、京阪神のレコ屋はほぼ壊滅状態となり、レコードを買うのはネット・オンリーという状態がかれこれ10年以上も続いていた。だからちょっと足を延ばせばディスクユニオンを数軒はしごできる東京近郊のコレクターがうらやましくて、“東京か横浜かリバプール(笑)に生まれたかったなぁ... 奈良なんかお寺ばっかりでホンマに何もないわ(>_<)” と自らの不遇を呪った(←そんな大袈裟な...)ものだった。
 しかしそんな状況が一変したのが昨年のことで、何が言いたいのかもうお分かりだと思うが、何とこの奈良の、しかも近鉄奈良駅の真向いという一等地にビートルズのアナログ・レコード専門店が出来たのだから長生きはするモンである。今では “奈良に生まれてホンマに良かったぁ...(^.^)” と喜んでいるが、それもこれも音楽にあまり縁のない奈良という土地にビートルズ・オンリーのレコ屋を開くという暴挙、じゃなかった快挙(笑)を成し遂げられたSさんのおかげと心から感謝している。
 最近は世間ではあまり話題に上らないスタンパー・コードの重要性や他社委託プレス盤の面白さといったディープなネタを色々教えていただいていることもあって、私の音楽日記であるこのブログも自然とB-SELSネタばかりになってしまっているが、懲りずに今日もまたまたB-SELS関連の話をしたい。
 そうそう、本題に入る前に是非とも書いておきたいことが1つあった。先週「My Sweet Lord」のシングル盤を買いにB-SELSに行くと、Sさんが黄色い紙袋を差し出された。“何ですの、これ?” と伺うと、長崎から来られたKさんというお客さんがたまたま私のブログを楽しんでおられる方で、長崎名物のカステラみやげを託ったとのこと。まだお会いしたこともない私なんぞのために何ともありがたいことである。Kさん、ホンマにありがとうございます! 早速美味しくいただきましたです(^.^)  そう言えばKさんがSさんに “これはカステラ界のゴールド・パーロフォンです。” とおっしゃったそうで...(笑) ビートルマニアにだけ通じる名言ですね。金パロごちそう様でしたm(__)m いつかお会いする機会があればニンバス級の美味しさを誇る “つよしのコロッケ” をごちそうさせていただきます(^.^)
 さて、長~い前置きはこれくらいにして、ここからが今日の本題である。少し前のお店HPの「日記」のコラムにSさんが「Jet」「Maybe I'm Amazed」「Sally G」のUSプロモ・シングルのネタを連続投稿されており、それらのプロモ盤でしか聴けないモノラルの野太いサウンドが大好きな私は我が意を得たりとばかりに嬉々として読ませていただいたが、Sさんが第4弾として選ばれたシングルが「Silly Love Songs」で私は “???” となった。というのもこの曲のプロモ・シングルは通常の “モノラル/ステレオ” カップリングではなく、Sさんもコラムの冒頭に書いておられたように両面ステレオで、“エディット・ヴァージョン/フル・ヴァージョン” というカップリングだったからだ。
 私は半年ほど前に B-SELS でポールのUSプロモ・シングルにモノラル・ヴァージョンが入っていることを教えていただいて、鬼のようなプレミア価格が付いた「Country Dreamer」(→eBayで$500、ユニオンで9万円!)以外はすべて手に入れていたが、「Silly Love Songs」はモノラルでないことと、ズタズタに切り刻まれたエディット・ヴァージョンに興味をそそられなかったこともあってあっさりとスルーしてしまっていた。
 しかし、私と音の好みが非常に似ているSさんが “音が素晴らしい”、“ベースとドラムスの音がとてもタイト”、“生に近い鮮度の高さ” とべた褒めし、“聴く価値は十二分にある” と言い切っておられるのだ。これは何としても聴かねばなるまい。
 私はSさんの日記を読み終わるとすぐに Discogs と eBay でこのレコードを検索。Discogsには1枚だけ VGの盤が出ていたがシングル盤1枚に€20近い送料を取るボッタクリ・セラーだったのでパス。一方 eBayの方には $4でNM盤が1枚出品されており、当然こちらを購入。送料込みで2,000円なら御の字だ。
 届いたレコードはSさんが日記に書いておられた通りの轟音盤で、これこそまさに45回転パワーとでも言うべきか、とにかく音がデカいのだ。特にポールのベースが強烈で、まるで鋼鉄の指サックをして(←あるかそんなもん!)弾いてるんじゃないかと錯覚するくらい重々しいベースがブンブン唸る様はまさに圧巻の一言! 「オーディオ・フレッシュンアップ」作戦が功を奏してキレッキレの音で鳴るようになったアルテック・ヴァレンシアから迸り出る重低音の凄まじさに腰を抜かしそうになった。
 このシングル盤を聴いて改めて思い知らされたポールの凄さは「Silly Love Songs」という甘口ナンバーにタイトでヘヴィーな辛口リズムを配したところ。こうして旨口ヒット・ソングが生まれたのだ。ポールの天才ここに極まれりと言いたくなるようなスーパーウルトラ名曲名演... ポールのベースを凄まじい音で聴いてみたいというマニアに超オススメの1枚だ。
Wings - Silly Love Songs - Short Version 45RPM

「My Sweet Lord」の Pyeプレス盤 ~4種聴き比べ~

2019-12-08 | George・Ringo
 B-SELSで「My Sweet Lord」のスタンパー1桁盤を買ったことは前回書いたが、あの話には続きがある。3桁盤との比較試聴を終え、“やっぱり違うもんですねぇ... スタンパーがヘタってくると倍音成分が減ってしまうのか、音壁も平凡で1桁盤のような高揚感が出ませんね...” と悦に入っていると、“もしよかったらこんなのもあるんで聴いてみます?” とSさんがエサ箱から2枚のシングル盤を持ってこられた。
 どちらも「My Sweet Lord」のソリッド・センター盤なのだがよくよく見ると中央部の DG円の大きさが違う。“PyeプレスとCBSプレスですよ。” とSさん。“「My Sweet Lord」にも他社委託プレスがあったんですか... めちゃくちゃ売れたもんなぁ...” と感心していると“「Hey Jude」の時に Pyeプレスのお話しをしましたけど、PyeとCBSの委託プレスって本やサイトによって書いてあることが違うんで参りました。” と苦笑いされ、“こっちの中心円の小さい方が Pyeでマザーは12/12、大きい方がCBSでマザーは6/8、どちらもスタンパーコードはありません。” とおっしゃりながらレコードを順番にかけて下さった。
 まずCBSプレス盤の方だが、イントロのギターの鳴りからしてさっき聴いたEMIプレス1桁盤と全然違う。ハッキリ言ってこの音は私の好みではない。とにかくウォール・オブ・サウンドの構築が中途半端で、逆巻くようなあの “音壁ワンダーランド” が眼前に現れず、思わず個々の楽器の音に耳が行ってしまったほど...(笑) ホーンやストリングスが爆発せずに何のウォール・オブ・サウンドかと言いたい。
 しかし次にかけていただいたPyeプレス盤は違った。一言で言うと “面白い音” で、Sさんも “何でこんなに音が違うんですかね?” と不思議そうにおっしゃる。まず気が付くのはヴォーカルで、ジョージにしてはやけに声が力強いしうっすらとエコーがかかってるのかと思うくらい声質自体も微妙に違って聞こえる。バックの演奏もヴォーカル同様にパワーアップ(?)されており、“まるでジャイルズ・マーティンがリマスターしたような音ですね。これホンマにおもろいですわ(^o^)丿” と大笑いの私。自分の中で音質格付けをするとしたら、EMI1桁盤 > Pye盤 > EMI3桁盤 > CBS盤、という感じか。
 “それにしても同じマスターから作ってるのに4枚とも音に個性があって面白いですね。” と言うと、“それなんですが、もう一つ面白い話があるんですよ。「My Sweet Lord」初回盤のマト末尾は「1U」って言われてますが、スタンパーが1桁の盤は「1U」じゃなくて「1」なんです。 で、3桁盤のマト末尾の「U」を見ると字体や角度が他の文字と微妙に違ってるのでどうやら後から付け足したようなんですよ。だから多分最初にプレスした後に「U」を付け忘れたことに気付いて慌てて後から「U」を付け足したんじゃないかなぁと思うんですよね。” とSさん。
 “へぇ~、ホンマかいな???” と思って1桁盤のマトを見ると確かに「1U」ではなく「1」になっている。いやはや、これにはビックリだ。しかし更に驚いたことには2枚の委託プレス盤では共にマト末尾の「U」が EMIプレス(←要するに3桁盤ね)とは違って大きく右に傾いて刻印されていたのだ。まぁこのあたりの謎に関してはあまり深入りせずに研究家のみなさんに任せるのが賢明だろう。私にとって大事なのは「音」であって「マト刻印」ではない。
 ということで本日の結論;「My Sweet Lord」を最良の音で楽しむには...
①まずセンター・レーベル左の表記が“Harrisongs” のみのUK盤シングルを探す。“Essex Int. MCPS Bririco NCB” という長~い文言が書かれているのはレイター・プレス。
②更にその中からマトリクス末尾の枝番が 1U ではなく 1 の盤を見つける。
③最後に盤質をチェック... 最低でもVG++か、出来れば EX以上のものが望ましい。
 これで最初期プレス盤の鮮烈なウォール・オブ・サウンドが手に入ることはほぼ間違いなし... 「My Sweet Lord」コレクター同志諸兄の健闘を祈ります。尚、Pyeプレス盤の音が忘れられなかった私は例の1桁盤をいただいた2日後にB-SELSを再訪して首尾よくゲットしました...

「My Sweet Lord」UKシングルの 1A/1G 盤

2019-12-04 | George・Ringo
 この前B-SELSへ行った時のこと、エサ箱から1枚のシングル盤を引き抜いたSさんが “いっぺんこれ聴いてみてください。” とおっしゃった。見るとジョージの「My Sweet Lord」UK盤シングルだ。最近Sさんとはスタンパーの話ばかりしているので “ひょっとして1桁盤ですか?” と尋ねると“はい、1A/1Gです。惜しいことに最初の方にちょっとキズがあってパチパチいうんですけど... ”とのこと。“ひょえ~、ウチのなんて3桁ですよ。凄いですやん!”といきなりテンションが上がる私。
 実を言うと、先週のジョージの命日に彼のアルバムやらシングルやらを聴いていた時に手持ちの「My Sweet Lord」のスタンパー・コードをチェックしたら悲しいことに1GGM/4LHという3桁盤で(←最近マトリクスよりも3時方向にばかり目が行ってしまう...)、“1桁の盤でフィル・スペクターのウォール・オブ・サウンドをフル・ヴォリュームで聴いてみたいなぁ... ” と考えていたこともあって、まさに渡りに船という感じで大喜びしたというワケだ。それにしてもまさかその3日後に現物を聴けるとは何たる幸運!!!
 まずはA面の「My Sweet Lord」だ。Sさんのおっしゃる通りイントロで微かにチリチリいうが、音圧がすごく高いのでこの程度のキズなど45回転パワーで笑い飛ばしてしまう。“これでVG+ですか... 私やったら文句なしにEXですわ。” と言うと “そんな無茶な... EXなんてよっぽどキレイな盤でないとつけられませんよ。”とあくまでも自分に厳しいSさん。15秒くらいのチリチリ・パートが終わるとそれ以降はほとんどノイズレスで、最初期プレス盤の実力を遺憾なく発揮し、私がそれまで聴いたことがないような超ド級の音壁が眼前に屹立した。
 “イントロからもう音の厚みが違いますやん! 私の知る限り、スペクター・プロデュース作品の中でもトップ3に入るんちゃいますか。” と言うと “ええ、中盤からすごく盛り上がって後半に向けてどんどん良くなっていくんですよ。フェイドアウト直前までパワーが落ちませんし...” とSさんも嬉しそう。“ジョージのヴォーカルってちょっと線が細いところがあるんで、スペクターのウォール・オブ・サウンドとの相性が抜群なんでしょうね。音壁の無い「All Things Must Pass」なんてクリープを入れないコーヒーみたいなモンですよ。” とか言いながらお店のスピーカーから飛び出してくるゴージャスなサウンドを満喫した。
 B面の「What Is Life」(←こんな大名曲がB面とは... 何ちゅー豪華なカップリングじゃ!!)は無音部からイントロにかけては少しパチパチいうVGコンディションだが、ドラムが入ってくればほとんど気にならないVG++ かEX−レベル。しかもA面同様に中盤からは文句なしの“1Gサウンド” が炸裂し、思わず快哉を叫ぶ。“最高ですやん! これって最近入ったんですか?” と尋ねると “いえいえ、ずっと前からありましたよ。” と言われて赤っ恥をかいてしまった... 最近ホンマにボケてきたわ(>_<)
 それにしてもこのマッシヴな音壁の気持ち良さを何と表現しよう? シングル盤ならではの高音圧で襲いかかってくるホーン・セクションと上昇下降を繰り返すストリングスの合わせ技でパワーアップしたウォール・オブ・サウンドの気持ち良さは筆舌に尽くし難い。“いやぁ~、これはエエもん聴かせていただきました(^.^)” とお礼を言ってその日はお店を出たのだが、家に帰ってからもさっき聴かせてもらった音が頭を離れず、結局その翌々日(←翌日は定休日だったので誰かに買われる心配なしwww)に昼から有休を取ってお店へ直行し、この音壁爆裂盤を購入させていただいた。
 家に持ち帰って早速自分のシステムでかけてみたところ、お店で聴いた通りの強大なウォール・オブ・サウンドが目の前に再現され大喜び(^o^)丿 さっき風呂から上がってから大音量でA面とB面を何度も何度も繰り返し聴いているのだが、もうすぐ真夜中だというのにアンプのヴォリュームをどんどん上げていくと、いつしかリスニング・ルームが音壁桃源郷と化し、気分はすっかり “ハァ~レ ルゥ~ヤ♪”である。この得も言われぬ高揚感... priceless(≧▽≦)

「The Back Seat Of My Car」のソリッド・センター盤

2019-12-01 | Paul McCartney
 B-SELSのHPには「日記」というコラムがある。店主Sさんのビートルズに対する愛情が行間からヒシヒシと伝わってくる内容で、更新されるのをいつも楽しみにしながらお店のHPを覗いているのだが、先月そこにポールの「The Back Seat Of My Car」UKシングルのEMIプレス盤について書かれていた。
 実を言うと、そのレコードは何ヶ月か前にお店で聴かせていただいたことがあるのだが、当時はUKシングルの他社プレスについての知識がほとんどゼロだったこともあって、目の前に2枚のシングル盤を出されて “ソリッド・センターとプッシュアウト・センターで音が違うんですか?” などと寝ぼけたことを訊く始末。 “いえいえ、EMIプレスとデッカ・プレスですよ。私には音が少し違うように聞こえるのでshiotchさんにも聴いてもらおうと思って...” とおっしゃるSさんに “へぇ~、デッカでっか...” とコテコテのノリで返す私。
 しかしよくよく考えてみれば、「The Back Seat Of My Car」ってこんなに良い曲なのにイギリスではほとんどヒットしなかったはず... 爆発的に売れた「She Loves You」や「Hey Jude」が自社プレスだけでは生産が追い付かないという理由で他社にもプレスを委託したというのは大いに納得がいくのだが、何故ほとんど売れなかったこのシングル盤のプレスをデッカに委託したのだろう??? この素朴な疑問をSさんにぶつけると、“同時期に出たジョージの「Bangla Desh」もデッカ・プレスしか見たことがないんですよ。ですからひょっとすると71年の夏のある時期にEMIのプレス工場が一時的に使えなかったのかもしれませんね。” とのこと。なるほどねぇ... さすがは ビートルズ関係のレコード事情にめちゃくちゃ詳しいSさんやわ... (≧▽≦)
 委託プレスの件は納得がいったが、肝心なのはその音である。それも大好きな「RAM」の中でも最愛聴曲である「The Back Seat Of My Car」の音質に関わることなのだから、もし本当に音が違うならこれはエライこっちゃである。興味津々で2枚のシングル盤を実際に聴かせていただくと、確かにSさんのおっしゃる通りでレコード会社が違えば音も微妙に違ってくるということを自分の耳で実感。その典型的な例がこの前ここで取り上げた「Hey Jude」のフィリップス盤なのだが、あれほど大きな差ではないにせよ、「The Back Seat Of My Car」のEMIプレスとデッカ・プレスにも微妙な違いがあった。
 私はソリッド・センター盤(EMIプレス)の方の音が気に入り、何とか自分で探して手に入れようと思ったのだが、その時はコンディションの良いブツが市場に出ていなかったのと、既に同タイトルのプッシュアウト・センター盤(デッカ・プレス)を持っていたこともあって、“まぁそのうち出てきたら買えばエエわ...” ぐらいの気持ちで気楽に構えていた。
 しかしその後、ニンバス盤やらアーリー・スタンパー盤の入手で頭が一杯になったこともあって、このレコードのことはすっかり忘れてしまっていた。そんなタイミングでSさんが日記にあのレコードのことを書かれたのだ。“あぁそういえば「The Back Seat...」のソリッド・センター、どーなっとるかな?” と思って久しぶりにネット検索してみると、Discogsに VG+以上の盤が3枚出ていたので早速それぞれのセラーにメールしてマザー/スタンパー・コードを訊いてみると、1枚だけ “5L/2GA” とA面スタンパー1桁の盤があったので当然即決。このレコードのレア度も考えると £10なら超お買い得と言えるだろう。
 今回手に入れたEMIプレス盤はVG+どころかピカピカのNMでめちゃくちゃ音が良くて大喜び(^o^)丿 実際にデッカ・プレス盤と聴き比べてみてもB-SELSで聴いた時と同じように EMIプレス盤の方が深みがあって聴いてて気持ちの良い音だった。この音の良さがEMIのプレスによるものなのか、1桁というスタンパーの若さによるものなのか(←デッカ・プレスにはスタンパー・コードの刻印がないので不明)、盤質の良さによるものなのか、はたまたそれらの相乗効果なのかは私には分からないが、兎にも角にもこのソリッド・センター盤は“買ってホンマに良かった” と大満足の1枚だ。特にSさんや私のような「ラム」ちゃんマニアには絶対のオススメだっちゃ(^.^)
Paul McCartney - The Back Seat Of My Car - Lyrics