shiotch7 の 明日なき暴走

ビートルズを中心に、昭和歌謡からジャズヴォーカルまで、大好きな音楽についてあれこれ書き綴った音楽日記です

各国盤頂上決戦⑩「Houses Of The Holy」

2022-05-15 | Led Zeppelin
 ゼップのアルバムはすべて “超カッコイイ” 曲で始まる。「Good Times Bad Times」「Whole Lotta Love」「Immigrant Song」「Black Dog」「Custard Pie」「Achilles Last Stand」「In The Evening」... どの曲もイントロを聴いただけで強烈なインパクトを与えるキラー・チューンだが、「館」のA面1曲目に入っている「The Song Remains The Same」も例外ではなく、その異様なまでのテンションの高さと凄まじい疾走感に圧倒されること間違いなし。極論すれば私にとってこの「聖なる館」というアルバムはA①を聴くために存在すると言ってもいいくらいだ。ということで今回はこの曲に絞って聴き比べをやってみた。

①ウルグアイ盤(MH 14058 1 / MH 14058 2)
 ウルグアイの「館」は高音域がシャープでソリッドな音作りになっており、聴いてて実に気持ちが良い。ボンゾのドラムもめっちゃパワフルで、大好きなA①の疾走感もピカイチ(^o^)丿 ペイジのギターも凄まじいキレ味だ。この盤はウルグアイ独自のマトだが、カッティング・エンジニアのセンスには脱帽するしかない。私の盤は状態がVG++ぐらいでちょっとチリパチいうのが玉にキズだが、今回の3枚の「館」の中では最も派手な音作りになっている。

②イスラエル盤(ST-A-732783-B AT STERLING RL PR Q / ST-A-732784-B Q AT STERLING RL PR)
 ①のウルグアイ盤も良かったが、それに負けず劣らず気に入ったのがイスラエルの「館」だ。USマザーを使用しているが、この盤もイスラエル盤の長所である野太いベース音を中心としたサウンドになっており、ブンブン唸るジョンジーの闊達なベースラインがA①の疾走感に拍車をかけている。盤質がめちゃくちゃ良いのもあるかもしれないが、手持ちのUS盤よりも遥かに音が良い。やっぱりイスラエル盤のベースはエエなぁ...(^o^)丿

③ペルー盤(ATCO 7255-1L 637 / ATCO 7255-2L 532-)
 ペルーの「館」は何よりもまずジャケットがユニーク。ヒプノシスが担当したオリジナルのジャケット・アートワークにはタイトルもバンド名も記されていないのだが、このペルー盤「館」ではジャケット右上のロケットみたいな飛行船の中にバンド名が、そしてその上に小さな文字でアルバムタイトルが記されている。独自ジャケは各国盤の大きな魅力の一つなので、その点では今回の3枚の中で間違いなく№1だ。しかし肝心の音の方はイマイチで、ベースの音はダンゴ状態でほぐれないし、ボンゾのドラムが引っ込み気味なのもいただけない。全体的にレンジが狭くてモノラルに近い音作りはこのアルバムの音楽性とは合わない。
The Song Remains The Same - Led Zeppelin HD (with lyrics)

各国盤頂上決戦⑨「Led Zeppelin Ⅳ」パート2

2022-04-21 | Led Zeppelin

 「Zep Ⅳ」は半年ほど前に “各国盤頂上決戦②” でインド盤、ウルグアイ盤2種、トルコ盤の4枚を聴き比べたのだが、その後ペルー盤とイスラエル盤2種を手に入れたので、続編として「Zep Ⅳ」各国盤聴き比べの“パート2”をやってみた。

①ペルー盤(2401012-1L 9 / ATLANTC 2401012-2L 10)
 このアルバムはジャケットにタイトル名もグループ名も無いので世間では「Untitled」とか「Four Symbols」とか呼ばれているが(←私はシンプルに「Ⅳ」が一番わかりやすくていいと思う...)、ペルー盤にはジャケット下部にデカデカと「THE NEW LED ZEPPELIN ALBUM」という文字が躍っており、数ある「Ⅳ」の各国盤の中でもひときわ異彩を放っている。
 ペルーのゼップと言えば「Ⅱ」、「Ⅲ」と凄まじい爆裂サウンドが売りだったのでこの「Ⅳ」も大いに期待して針を落としたのだが、出てきた音はめっちゃショボいサウンドで、期待が大きかった分、思いっ切り肩透かしを食ったような物足りなさを感じてしまう。一番不満な点は高音の伸びがイマイチなところで、低音域もモコモコしており、この独自カッティングは大失敗だったと言わざるを得ない。音の鮮度が低いというか、何だか “盤起こし” したみたいな眠たい音になってしまっているのだ。ウルグアイ盤といい、このペルー盤といい、南米の「Zep Ⅳ」はことごとくハズレなのは何故なんだろう?

②イスラエル盤 1stプレス(ST-A-712285-F PORKY AT/GP PR / ST-A-712286-F PECKO DUCK AT/GP PR)
 イスラエル盤のゼップは「Ⅰ」から「Ⅲ」までの初期3枚は “GAL-RON LTD., LICENSEE” 表記の盤が1stプレスで、この「Ⅳ」から“MFG. BY ATLANTIC RECORDING CORP., MADE IN ISRAEL” 表記に切り替わると前回書いたが、その根拠となるレコードがこれ。レーベル下部のリムが黒く塗りつぶされているのが一際目を引くが、そこに光を当ててよくよく見ると“GAL-RON LTD., LICENSEE”と読めるのだ。つまり「Ⅳ」の発売直前に権利関係が GAL-RON LTD. から CBS に移り、既に出荷待ちの状態にあった最初期盤のセンター・レーベルを慌てて塗りつぶしたと考えるのが妥当だろう。
 このイスラエル盤はPORKY / PECKO DUCK のUS初版マザーが使われており、これぞハードロック!!!と言いたくなるような鮮烈な音が楽しめる。UK初版の深みのある音とは違うが、何よりもまずゼップに切れ味の鋭さを求める人にはこのUSマザーの音が合うだろう。当然US盤よりも圧倒的にプレス枚数は少ないはずなので、中途半端なUS初版に大枚を叩くぐらいなら盤質の良いイスラエル盤を買う方が絶対にお得。それにしてもホンマにキレッキレな音しとるなぁ...

③イスラエル盤 2ndプレス(ST-A-712285-F PORKY AT/GP PR I2 / ST-A-712286-F PECKO DUCK AT/GP I2 PR)
 この2ndプレス盤も上記の1stプレス盤と同じUSマザーで、違いと言えばレーベル・デザイン(赤色もちょっとオレンジっぽい...)とデッドワックス部分の“I2”刻印(←最初はISRAELのISだと勘違いしていたがよくよく見ると Sが左右逆向きだった...)ぐらいしかない。肝心の音の方は1stプレス盤の尖がった部分が少し緩和されて聴きやすくなっている印象だがその違いはごく僅か。敢えて例えるなら「Wings Wild Life」UKマト9とマト11ぐらいの差しかなく、2ndプレスでもバリバリのハードロック・サウンドが楽しめることに変わりはない。②の塗りつぶし盤(?)はごく少数しか出回ってないようなので、イスラエル盤の「Ⅳ」はこのレーベル・デザインでコーティング・ジャケットのもの(←非コーティング・ジャケの盤はレイター・プレスなので要注意)を買えば間違いないだろう。

各国盤頂上決戦⑧「Led Zeppelin Ⅲ」

2022-04-16 | Led Zeppelin

①ウルグアイ盤(2401002 A / MH 2401002 B)
 私が持っているゼップのウルグアイ盤の中で一番よく聴くのがこの「Ⅲ」だ。前回取り上げた「Ⅱ」も良かったが、この「Ⅲ」はそれ以上に吹っ切れた “ハードロック全振り” の音作りが気持ち良く、特にA面との相性は抜群だと思う。ユニークなアートワークのジャケットも面白い。
 聴感上の特徴としては中高域のエネルギー感がとにかく強烈で、A①「Immigrant Song」ではプラントの金属的なヴォーカルがよりパワーアップしており、ペイジのギターもキレッキレ。日本では入場曲としても有名になったブルーザー・ブロディが降臨したかのようなそのアグレッシヴなサウンドは一聴の価値アリだ。A②「Friends」の不協和音的なアコギの響きも妖しさ満点で、聴き込んでいくうちにいつしか病みつきになってしまう不思議な魅力に溢れている。

②イスラエル盤(ST-A-702005-D I2 / ST-A-702006-E A-13470-A (2) two Mastercraft PR ‐So Mote Be it‐ AT I2)
 イスラエル盤のゼップは「Ⅰ」から「Ⅲ」までの初期3枚は“MANUFACTURED IN ISRAEL BY GAL-RON LTD., LICENSEE”表記の盤が1stプレスで、盤もそこそこ分厚い。デッドワックスを確認すると、例のクロウリーの言葉が刻まれているのはB面だけで、A面には例の “Do What Thou Wilt”が刻まれていない。
 一聴してわかるのはイスラエルの「Ⅲ」は元気印の「Ⅰ」ではなくスッキリまとまった「Ⅱ」と同傾向の音作りだということで、音が飛び出してくるというよりはスピーカーの向こうにカッチリと音像を結ぶような感じ。A①「Immigrant Song」なんかその典型で、ボンゾのドラミングが寸止め状態でイマイチ爆発しないのが物足りない。チェーンを忘れてきてばつが悪そうにウロウロしているブロディ(笑)という感じだ。A②「Friends」からA③「Celebration Day」といったネチコい(?)ナンバーも整然とした感じだし、A④「Since I've Been Loving You」も私的にはもっとドロドロしてもらいたいのだが、このあたりは好みが分かれるところかもしれない。

③ペルー盤(ATCO 7201-1L DP.V62- 124 / ATCO 7201-2L 123)
 初期ゼップのペルー盤は聴いてて気持ちがいい。細かいことを気にせずに、とにかくデカい音で聴く者を圧倒してしまおうという音作りのポリシーが実に潔い。さすがに前回の「Ⅱ」ほどエグくはないが、この「Ⅲ」もかなりガンガンくる音作りで、私としては大好きなサウンドだ。
 A①「Immigrant Song」なんかまさに雄叫びを挙げながらチェーンを振り回して暴れ回るブロディのイメージそのもののサウンドで、ハチャメチャに荒れ狂っている感じがとても良い。A④「Since I've Been Loving You」のめっちゃ太いベースにもビックリで、ペイジのラウドなギターやボンゾの爆裂ドラムとの相乗効果で強烈なインパクトを残す。A⑤「Out On The Tiles」のプラントのヴォーカルなんかもう凶器そのものだ。

各国盤頂上決戦⑦「Led Zeppelin Ⅱ」

2022-04-09 | Led Zeppelin

①ウルグアイ盤(MH 14108 1 18 / MH 14108 2 18)
 以前に「Zep Ⅳ」の各国盤聴き比べをやった時に書いたが、ウルグアイのゼップには2度裏切られているので、この「Zep Ⅱ」も最初は購入を迷った。色々考えた結果、“今度こそ大丈夫だろう...” という淡い期待と、ジャケットに “Gold award record” プリントのない2ndプレスで$40というギリギリギャンブルできる絶妙な価格設定に釣られて購入を決意。その結果は大正解で、ウルグアイ盤「Ⅳ」の埃っぽい音とはまったく違うクリアーで野太いサウンドが楽しめて大喜び。ボンゾとジョンジーのリズム隊も元気一杯だし、ペイジのギターもソリッドでシャープ。もちろんプラントも縦横無尽に暴れ回っている。ウルグアイ盤ゼップ名誉挽回の1枚だ。

②イスラエル盤(STH-691671-N LW AT I2 W / ST-A-691672-Q AT LW W I2)
 このイスラエル盤の音を一言で言い表せば“ゴツゴツした岩のような音”。ベースの下の方まで音がしっかり出ており、地響きを立ててスピーカーが鳴っているような感じなので、ジョンジーが大活躍するA③「Lemon Song」やB⑤「Bring It On Home」のような曲との相性は抜群だ。音自体も実にクリアーでシンバルの音なんかいかにも“金属”という感じでシャーンと伸びるのだが、好事魔多しというべきか、残念なことにスピーカーから音が飛び出してくるというよりはむしろスピーカーの少し奥の方に音像が立ち上ってそこで4人が演奏しているような、ちょっと距離感を感じる音作りなのだ。爆音大好き人間の私にとって何よりも残念なのはボンゾのドラムが少々引っ込み気味なことで、これではゼップを聴いたという実感が湧かない。私にとってゼップを聴くということは極論すればボンゾの爆裂ドラムを聴くということなのだ。

③ペルー盤(SD-8236-1L STEREO / SD-8236-2L STEREO)
 ウルグアイ、イスラエルと聴いてきて続きにこのペルー盤をかけるとその凄まじいまでの音圧差に驚かされる。次元が違うというべきか、ヴォーカルも含めてすべての楽器が津波のようにドドーッと押し寄せてくる快感を何と表現しよう?「Zep Ⅱ」のラウドカットをまさかペルー盤で聴けるとは夢にも思わなんだ(^o^)丿 これがプロモ盤最初期プレスの実力なのか、それともすべてのペルー盤「Zep Ⅱ」に共通する特性なのかはわからないが、この音は強烈そのもの。実はA①「Whole Lotta Love」に1ヶ所プレスミスとおぼしき箇所があって一瞬音が飛ぶのでB-SELSのSさんに診てもらいに持って行ったのだが、その時この音を聴いたSさんは “もの凄い音してますね。これはビックリしました。” と目を真ん丸にして驚いておられた。とにかくこれはヤバい。ヤバすぎる音だ。

各国盤頂上決戦⑥「Led Zeppelin Ⅰ」

2022-04-03 | Led Zeppelin
 私がビートルズ以外で各国盤まで手を出そうと思えるアーティストはほんのわずかだが、そんな中で “ベスト・オブ・ザ・レスト” 的存在がレッド・ゼッペリンだ。もちろんビートルズの「アナログ・ミステリー・ツアー」のようなガイド本もなければゼップの各国盤を取り上げたサイトも見当たらないので結構大変なのだが、そんな “道なき道” を彷徨いながら試行錯誤を重ねてレコードを買っていった記録として読んでもらえたらありがたい。まずは彼らのデビュー・アルバムから。

①ウルグアイ盤(MH 14015 1 1S / MH 14015 2 1S)
 ウルグアイの「Zep I」はめちゃくちゃレアらしく、滅多に市場に出てこない。私は以前このブログに書いたウルグアイのお友達セラーにお願いして探してもらい、盤質VGのブツをやっとのことで手に入れたのだが、届いた盤はセラーの言うように見た目はイマイチ。丁寧にクリーニングすると結構キレイになって、針を落とすと時々チリパチいうものの、何とかVG++ぐらいの音で鳴ってくれた。
 音の方は可もなく不可もなくと言う感じの中庸サウンドで、UK盤やUS盤を凌ぐような突出した要素はどこにも見られない。まぁ比較対象が “ターコイズ・UK” や “ジョージ・ピロス・US” では相手が悪すぎるが、それにしても、これ!という飛び抜けたところが無いというのが正直なところ。要するにこのレコードはレアだからと言って血眼になって探しまくるような盤では決してないということだ。ウルグアイのゼップは当たり外れが激しいので熱心なマニア以外はパスしていいと思う。

②イスラエル盤(ST-A-681461-B LW I2 / ST-A-681462-B LW I2)
 イスラエル盤のレッド・ゼッペリンはどのタイトルも数種類出ていて非常にややこしい。最初はどれが1stプレスなのか、そしてどのプレスが一番音が良いのか、何のデータも無いのでサッパリわからなかったが、ちょうど仕事がヒマだったこともあって、Discogsのデータ(←時々間違ってる場合があるので完全には信用してないけど...)をベースにeBayやその他のレコード販売サイトを徹底的に調べ上げて補正し、自分なりの“レッド・ゼッペリン・イスラエル盤プレス一覧表” を作って、それに基づいてレコードを買っていった。
 私が調べたところでは「Led ZeppelinⅠ」のイスラエル盤は3種類出ており、リアルタイムでリリースされた1stプレスが上記の写真のもの。赤緑レーベル下部のリムに“MANUFACTURED IN ISRAEL BY GAL-RON LTD., LICENSEE” と書いてあり、ジャケットの表はコーティング処理が施してあるのが大きな特徴だ。因みに70年代に入ってから出た2ndプレスはレーベル下部のリムの表記が“MFG. BY ATLANTIC RECORDING CORP., MADE IN ISRAEL” となっており、更に後に出た3rdプレス(多分1980年前後?)はレーベル面右側に BAN40031とあり、リムにはWマークが付いている。
 出回っているのは2ndプレス盤が一番多いが、私は GAL-RON LTD., LICENSEE 表記の1stプレス盤が欲しかったので入手にひと苦労。結局ジョン・レノンのイスラエル盤を大量に買ったセラーがたまたまこの稀少な「Zep I」も出していたので一緒に購入。盤質表記はVGだったので少し心配だったが、届いた盤をしっかりとクリーニングしたらEXレベルの盤に変身した。こういうパターンは結構多いので、レコード・クリーニングってホンマに大事ですな。
 音を聴いた第一印象としては、とにかく音場が雄大で音が立体的にフワーッと広がるので聴いてて実に気持ちがいい。デカい壁のように目の前に(←結構近い!)屹立する音像はクリアーでシャープ。ジミーのアグレッシヴなギターが乱舞し、ボンゾ入魂の一打一打がビシバシ決まるのが超気持ちイイのだ。ビートルズで言うと、出来の良いインド・プレスみたいな感じ... と言えばわかりやすいかも。UKともUSとも違う、独自の音で楽しむ「Zep I」もオツなモノだ。

各国盤頂上決戦②「Led Zeppelin Ⅳ」

2021-07-18 | Led Zeppelin
 各国盤蒐集をしている中でビートルズ関連のレコードをほぼ買い尽くしてしまった時に “他のアーティストのレコードもこんな風にオリジナル盤とは一味違うエエ音で鳴るんやろか?” とか “このレコードをチューブ・カッティングの音で聴いたらどんな感じなんやろ?” といった好奇心を抑えきれず、以前ここで取り上げたヴァン・ヘイレンやTOTOのインド盤のようにビートルズ以外の各国盤にも手を出してきたのだが、ビートルズのトルコ盤ネタも尽きてしまったので、他のアーティストでも各国盤の聴き比べやってみることにした。
 イの一番に頭に浮かんだのは「Led Zeppelin Ⅳ」である。各国盤に関して言うと、ゼップはビートルズに次いで多くのヴァージョンがリリースされているアーティストで私も色々と買ってきたが、この「Ⅳ」ほどプレス国による音作りの違いが明確に出ているタイトルは他になかったからだ。ということで、今日は「Led Zeppelin Ⅳ」のインド盤 vs ウルグアイ盤 vs トルコ盤です。

①インド盤
 私が初めて買ったゼップの各国盤がこのインド盤。「アナログ・ミステリー・ツアー」の影響でインド盤に興味があったのと$30という手の出しやすい値段だったこともあって軽~い気持ちで買ったのだが、届いた盤を手にしてみてその分厚さと重さにビックリ。まるで鉄板でも持っているかのようなズッシリ感で、量ってみると194gもあったのだ。しかしもっと驚いたのはその音で、一言で言うと“エグい”音。特にボンゾのドラミングはUK盤やUS盤をも凌ぐ凄まじさで、私がこれまで聴いてきた「Zep Ⅳ」の中でも間違いなく最高峰だ。中でもB④「When The Levee Breaks」で聴ける爆裂ドラミングは圧巻で、リスニングルーム全体が地鳴り鳴動する快感は筆舌に尽くし難い。私がゼップの各国盤を集めるきっかけとなった思い出深い1枚だ。
 尚、「Ⅳ」のインド盤は最初、バンド名とフォー・シンボルズだけが描かれた茶色の独自ジャケにred/plumレーベルでリリースされたものの、すぐにノーマルなレギュラー・ジャケにgreen/orangeレーベルという組み合わせに変更されたらしい。私が持っているのは2ndプレスの方だが、音質コスパを考えれば(←1stプレスはその稀少性から$5,000前後という恐ろしいプレミア価格で取り引きされている...)これで十分だと思う。

②ウルグアイ盤1stプレス
 去年の秋にビートルズのウルグアイ盤を根こそぎ買い漁っていた時に調子に乗って$50で買ったのがこの「Zep Ⅳ」だ。同時期にプレスされたジョンやポールのソロ・アルバムのウルグアイ盤がめちゃくちゃ良い音していたこともあって大いなる期待と共に盤に針を落としたのだが、スピーカーから出てきたのは予想とは全く違う埃っぽい音でガッカリ(*_*)  $50も出してこれでは浮かばれないので何度も丹念にクリーニングしてみたがやっぱりダメ。ゼップの他のタイトルのウルグアイ盤はみんな良い音で鳴っているので、何故この「Ⅳ」だけがこんなショボい音なのか全く解せない。尚、ウルグアイの「Ⅳ」には同じ1stプレスでもレーベル・デザインが微妙に違うものが存在しており、ひょっとしてそっちは良い音してるんじゃないかと思って親しいウルグアイのセラーにお願いして試聴してもらったのだが、彼が言うにはその盤も“somewhat dirty(イマイチすっきりしない)” な音とのこと。それでようやく「Zep Ⅳ」のウルグアイ盤1stプレスはハズレなのだと諦めがついた。

③ウルグアイ盤2ndプレス
 1stプレスの試聴をしてくれたそのセラーが言うには “ウルグアイ盤の「Zep Ⅳ」には1987年にリリースされた2ndプレスが存在しており、そちらの方はクリアーでシャープな音がする。” とのこと。好奇心旺盛な私は “毒を食らわば皿まで”的なノリで購入を決意(←どんだけ「Ⅳ」好きやねん!)... €25のところを €22にまけてもらってラッキーした(^.^)  届いたレコードはセラーが言うように1stプレスに比べるとかなり “クリアーでシャープ” な音だったが、残念ながら私がウルグアイ盤に求めるチュープカットの濃厚で分厚い音とは違っていた。う~ん、やっぱりアカンかったか。これで完全に「Zep Ⅳ」のウルグアイ盤に諦めがついた。

④トルコ盤
 最後は1ヶ月ほど前に手に入れたトルコ盤。ゼップのトルコ盤は$100オーバーが通り相場だが(←キモい独自ジャケで有名な「Ⅱ」なんか$500前後でちょっと手が出ない...)ネットで丹念に探せば良い出物を見つけることが可能だ。私はこの「Ⅳ」をデンマークのセラーから €32という信じられない安値で買ったので現物を手にするまでは正直不安だったが、届いた盤はれっきとした本物で、しかもVG+と表記されていた盤質はピッカピカのNM盤。手に持った感触もインド盤ほどではないもののズシリと重くて(162g)艶があり、“ええビニール使うとるのぉ...” とニンマリしてしまう。
 出てきた音は期待を裏切らない素晴らしいもので、まるでモノラル盤を聴いているかのような密度の高い音はトルコ盤ならでは。とにかく音のエネルギー感がハンパなく、アンプのヴォリュームを少し上げただけでまるで北斗剛掌波の直撃を食らったかのような凄まじい圧力を体感できたヽ(^o^)丿。
 ということで今回の聴き比べの結果はインドとトルコの圧勝だった。この2枚はどちらもめちゃくちゃ良い音だったものの音作りの方向性は少々異なっており、敢えて言うなら“一音一音のキレ味・爆裂性(?)のインド盤” vs “濃厚一発官能二発で音密度最強のトルコ盤”、という感じ。私はどちらの音も大好きなので優劣付けがたく、インドとトルコは引き分けとしておこう。この2枚にUK初版とUS白プロモ盤を加えた4枚が文字通り私にとっての “フォー・シンボルズ” なのだ。

Led ZeppelinⅠ US盤聴き比べ

2018-08-11 | Led Zeppelin
 少し前に「Led ZeppelinⅠ」UK盤の1stプレスと2ndプレスとの聴き比べというのをやったが、ほんなら US盤はどーやねん?という好奇心が沸々と湧き上がってくるのがコレクターの哀しい性というもの... しかしゼップの US盤に関してはカッティング・エンジニアやプレス工場の違いで音はコロコロ変わるので一筋縄ではいかない。結局 US盤の「Led ZeppelinⅠ」を何枚も買うことになってしまったのだが、そのどれもが実にユニークというか、一聴して UK盤とはかなり違う音作りなので、今回はそれらの US盤を取り上げてみようと思う。
 私が初めて手に入れた「Ⅰ」のUS盤は purple/tan レーベルで、ド素人の私はてっきりコレが red/greenレーベルの前のデザインだと勘違いして1stプレスのつもりで買ったのだが(←10年以上前のことで $76で買えたけど、今は倍以上の額で取り引きされているようだ...)、実際に針を落としてみると A面B面ともにまるで薄皮を剥いだかのように生々しくてスタジオライヴっぽい音だし、曲間の無音部の長さも他の盤と違っていてビックリ。特にB③の前後の間がやけに大きく開いていて、B②が終わると同時にB③の突き刺さるようなイントロが聞こえてくるという構成に慣れている耳には違和感が強かった。
 後になってこれは1stプレスではなくどうやら RCA Record Club イシューらしいということが分かったのだが、最終ミックス前段階のラフ・ミックスが何らかの手違いで流出してしまったかのような感じだ。何故こんな音の盤が、しかも Atocoもどきの紛らわしいレーベル・デザインでリリースされたのかは謎だが、珍盤奇盤怪盤の類が好きな私としてはコレはコレでエエかなぁという感じで(というか、結構音が気に入って...笑)愛聴している。
 しかし今回の第2次ゼップ祭りでまともな US 1stプレス盤の音を聴いてみたくなり、レーベル面の住所が Broadway表記の MO(モナーク)プレスでマトリクス末尾が “AA” という最初期盤をゲット。US盤はあまり人気がないのか Discogsで $20で買うことができた。
 早速届いた盤を A面から聴いていく。音の方は一言で言うと “平面的” でレンジが狭く、スピーカーの左右にブワーッと広がるような感じ。エネルギーの塊のような音がスピーカーからドバーッと押し寄せてくる UK青ロゴ盤とはエライ違いで、ゼップの熱さがイマイチ伝わってこない。乱暴な言い方をすれば “ただ音がそこで鳴っているだけ” に聞こえるのだ。ハッキリ言ってコレは期待ハズレである。
 ところが B面に入ると急に音のエネルギー感がアップし、音楽が躍動し始めた。A面の生気に乏しい演奏がウソのように活き活きとしてアグレッシヴな音がスピーカーから飛び出してくるのだ。ビックリして一旦針を上げてマトリクスを確認すると、A面のマト末尾は “AA” なのに対し、こちらの面は “CC - REPL - AT/GP” となっている。ネットで調べてみたところ、この “AT/GP”というのは mastered by George Piros at Atlantic” という意味らしいのだが “REPL" は不明(← replacement “差し替え” かな???)。ただ一つハッキリと言えるのはこのジョージ・ピロスというエンジニアがめっちゃ有能だということで、結果としてA面の “RG" 、つまりロブ・グルネルというエンジニアはまるで公開処刑されているようなものだ。
 このように A面と B面でマスタリング・エンジニアが違うというのも珍しいが、AAよりも CCの方が音が良いっていうのも驚きだ。もちろんプレス時期が早いからと言って必ずしも音が良いとは限らないというのはこれまで何度も経験しているが、1枚のレコードの A面と B面でこれほど音質差のある盤は初めてだ。


 そういうワケで私はジョージ・ピロスのマスタリングしたA面が無性に聴きたくなり Discogsで調べてみたところ、Broadwayアドレスの初期盤には2種類のピロス盤が存在することを発見。それがマト末尾が “C AT/GP PR” のPR(プレズウェル)プレス盤と、“CC - REPL - AT/GP” の MO(モナーク)プレス盤で、スティーヴ・ホフマンのフォーラム“Best Led ZeppelinⅠon Vinyl” でもピロス盤がUS盤の中でベストという意見が多く(← holy grail という最高の褒め言葉でその高音質を絶賛してあった...)入手はかなり難しそうだ。しかしここまできた以上、私としては両方とも手に入れてその音の違いとやらを実際にこの耳で確かめたい。ということで、いつものように片っ端から eBayと Discogsのセラーにメールしまくって運良く2枚とも手に入れることができた。
 そしていよいよ聴き比べだ。私は好奇心満々でこの AT/GP盤の PRプレス盤($55)と MOプレス盤($25)を1曲ずつ交互に聴き比べてみたのだが、ハッキリ言ってほとんど同じ音(←まぁ普通に考えたらそうなりますな... 笑)。音の特徴を一言で言うと “イケイケのハードロック” そのもので、とにかく音圧が高く、パワーでグイグイ押しまくる痛快無比なサウンドだ。A①「グッド・タイムズ・バッド・タイムズ」イントロのバン!バン!だけでリスニングルームが地鳴り鳴動するし、B③「コミュニケイション・ブレイクダウン」でスピーカーから迸り出る破天荒なエネルギーの奔流も凄まじい(≧▽≦)  初期ゼップのハード&ヘヴィーなロックを全身で浴びたいというファンには超オススメの逸品と言えるだろう。


 そんなこんなでこの短期間に3枚も「Ⅰ」の US盤を買ってしまったのだが、色々と勉強になったので自分的には良い買い物をしたと思っている。更に UK盤2枚と上記の purple/tan レーベル盤を含めると全部で6枚もの「Ⅰ」がレコード棚に並ぶことになってしまったが、その時々の気分次第でどの「Ⅰ」を聴くかを選ぶ贅沢を満喫している今日この頃だ。

【おまけ】久々の素人さんコーナーです。これは完全にボンゾが憑依しとるな...(゜o゜)
『Hit Like A Girl Contest 2018』Good Times Bad Times - LED ZEPPELIN / Cover by Yoyoka


それを見たプラントの反応www↓
Robert Plant reacts to 8-year-old girl playing Led Zeppelin on drums

In Through The Out Door / Led Zeppelin

2018-08-05 | Led Zeppelin
 音楽ファンにとって、お気に入りのアーティストのニュー・アルバムをリアルタイムでドキドキワクワクしながら体験することに勝る喜びはない。私の場合、音楽を聴き始めたのが1975年なのでビートルズ関連ならポールの「ヴィーナス・アンド・マース」やジョージの「33&1/3」あたりからが純粋な新譜になるのだが、ゼップは前作「プレゼンス」から3年半ぶりにリリースされたこの「イン・スルー・ジ・アウト・ドア」が最初にして最後の “新譜” 体験だった。
 当時の私の情報源はFMラジオがメインだったが、そんな中でも一番好きだったのが日曜深夜にFM大阪でやっていた「ナガオカ・ワールドミュージック」。小林克也氏がキャッシュ・ボックス誌の編集部に国際電話をかけ、誌面に載る前のシングルとアルバムの最新チャート・トップ20を紹介していくという、洋楽ファンにとってこれ以上のものは考えられないのではないかと思える音楽番組で、今でも英語で相槌を打つ時は “Uh-Huh?” とか “Yeah?” とかいう感じで克也氏が憑依してしまうのだが(笑)、その中の新譜アルバム紹介コーナーで強~いインパクトを受けたのがゼップの「イン・スルー・ジ・アウト・ドア」だった。
 このアルバムは当時首位を突っ走っていたザ・ナックの「ゲット・ザ・ナック」を蹴落として初登場№1になり(←赤丸急上昇を “With a bullet” って言ってた...)その後イーグルスの「ザ・ロング・ラン」に取って代わられるまで10週近く首位を独走したように記憶しているが、とにかく毎週毎週 “The No.1 Album of this week is IN THROUGH THE OUT DOOR by LED ZEPPELIN” という同じフレーズが繰り返されるのを聞いて “やっぱりゼップの強さは別格やなぁ...(≧▽≦)” と感心したものだ。
 しかしこのアルバムを初めて聴いた時の印象はかなり微妙で、A面1曲目の「イン・ジ・イヴニング」こそ、そのカッコ良さに痺れまくって “このヘヴィーなグルーヴ最高や!!!” と大コーフンしたものの、A②以降はゼップらしくない曲がずらりと並び、正直 “はぁ? どーなってんの、これ??” と戸惑ってしまったというのが正直なところ。ホンキートンク調ピアノとプレスリーみたいなヴォーカルに面食らうA②「サウスバウンド・サウレズ」、フォークダンス調から一転してサンバのリズムが出てきて “何じゃいコレは???” 状態だったA③「フール・イン・ザ・レイン」、ジョーンジーのノリノリのピアノをバックにペイジがロックギターでカントリー&ウエスタンを弾き倒すという空前にして絶後のゼップ版ロカビリーA④「ホット・ドッグ」、10分を超す冗長なゼップ流シンセ・ポップB①「ケラウスランブラ」、名曲は名曲なんだけどゼップにしては甘ったるすぎるB②「オール・マイ・ラヴ」、そしてスロー・バラッド2連チャンでアルバムが終わってしまうという閉塞感にガッカリしたB③「アイム・ゴナ・クロール」と、楽曲そのものは決して悪くはないのだが、少なくとも私が彼らに求めているのはあくまでもA①のようにリフを主体としたグルーヴで聴く者を圧倒するハード&ヘヴィーなロックであって、サンバやC&Wやバラッドではない。
 良く言えば “ヴァラエティーに富んだ”、悪く言えば “まとまりのない” このアルバムの内容を “まるでフィジカル・グラフィティのよう” と評したレヴューをいくつか読んだことがあるが、一体どこを聴いとんのじゃ??? 過去のいくつかのセッションの寄せ集めでありながら一本ハガネのような筋の通ったへヴィー・ロックが展開される「フィジカル・グラフィティ」とこのアルバムに類似点など微塵も感じられない。私にはバンドとしての煮詰まりから(←というか実際にはペイジとボンゾがそれぞれドラッグとアルコールに溺れていて物事がうまく進まなかったというのが真相らしいが...)新たな方向性を模索する“悩める王者”の姿を浮き彫りにしているように思えてならないのだ。そういう意味ではこのレコードは「聖なる館」に通じるものがあるように思った。
 そういうワケで彼らのアルバムとしてはイマイチではあるもののA①1曲の魅力で十分オリジナル盤を買う価値があると考えた私は十数年前に£6.50でUK盤をゲット。マト末尾は A5/B5 で、両面に機械打ちで STRAWBERRY の刻印が入っている。更に今回のゼップ祭りで RI(リッチモンド)プレスのUS盤も入手。こちらの方は ULTRASONIC CLEANING (←ヤフオク業者風に言うと“神洗浄” か... 笑)で有名なクリーヴランドのセラーから $25で買ったもので、マト末尾はAB両面とも KKK。やはり STRAWBERRY 刻印入りだが、UK盤とは違って手書きで刻まれている。
 いつものように UK盤とUS盤の音を比較してみたところ、US盤の方が音場が広く感じられてダイナミックなサウンドに思えたのだが、その違いが US盤自体の優位性なのか、手書きSTRAWBERRY に起因するものなのか、それとも ULTRASONIC 洗浄効果から来ているのか、私にはよく分からない。ただ、これまでの他のアルバムのような大きな違いではないので、このアルバムに関してはUK・US云々よりも盤質重視で買うのがいいと思う。
Led Zeppelin - In the Evening , Vinyl Sound .

Presence / Led Zeppelin

2018-07-29 | Led Zeppelin
 後期ゼップのアルバムの中で最も愛聴しているのは前回取り上げた「フィジカル・グラフィティ」だが、その次に出た「プレゼンス」も大好きだ。このアルバムは “ギター、ベース、ドラムス+ヴォーカル” という実にシンプルかつオーソドックスなスタイルで作られており、以前のアルバムにあったようなアコースティック曲もなければシンセサイザーをフィーチャーした曲もない。まさに余分な音を全て削ぎ落としたかのような潔さで、その “シンプル・イズ・ベスト” を絵に描いたような演奏が信じがたいほどのエネルギーを生み出し、“ハードロックはかくあるべし!” といいたくなるような圧倒的な存在感、つまりプレゼンスでもって迫ってくるのである。
 最初に手に入れたオリジナルのUK盤はマトリクスが A2/B2。£2.70という信じられないような安さでNM状態の盤を買えて嬉しかったし、実際に音の方も日本盤LPやCDとは比較にならないほどダイナミックで芯のあるサウンドで、“やっぱりゼップは UK 1stプレスに限るのぉ...” と悦に入って聴いていた。
 しかしその後、「プレゼンス」のUK初回盤のマトは A1/B1だということが判明。ちょうどビートルズのUK初回盤「ラバー・ソウル」のケースと同じで、音圧が高すぎてB面で針飛びを起こすという事象が頻発したためすぐにA1/B2 盤が再ブレスされたとのこと。ということは私の買った A2/B2盤は2ndどころか 3rdプレスということになる... どうりで安いはずである。私は自分の勉強不足を棚に上げて “セラーに騙された...” と悔しがってみたものの後の祭り。こーなったら意地でもA1/B1盤を手に入れなければ収まりがつかない。
 eBayで検索してみると多くのセラーが A1/B2盤を 1stプレスと謳って出品しており、“オマエらデタラメ書くなや...” と思いながら A1/B1盤を探す。すると驚いたことに A2/B1盤という摩訶不思議な盤も何枚か出品されていて何だかワケが分からなくなってくるが、目指すは A1/B1盤のみ。中途半端な2ndプレス盤に用はない。結局2週間ほど粘ってついにA1/B1盤をゲット。BUY IT NOWで£20だった。
 届いたA1/B1盤を実際に聴いてみたところ、確かに音圧は高めだし、リズム隊が生み出す重低音のズシリズシリとくる響き具合いも一味違う。A面1曲目に置かれた10分を超える超大作「アキレス・ラスト・スタンド」で鋭く切れ込んでくるペイジのギターなんかもうキレッキレだし、演奏の要としてこの曲をグイグイ引っ張るボンゾの爆裂ドラミングもこれまで聴いてきたどの「プレゼンス」をも上回る凄まじさで、“ゼップ版ラウドカット” を心ゆくまで堪能できる。
 そしてB①「ノーバディーズ・フォルト・バット・マイン」の後半部にきたところで何の傷も無いのにいきなり針飛び発生!!! 驚いた私は慌てて針圧を調節し、針飛びする箇所でヘッドシェルをいじって針が溝をきちんとトレースするように道を作り、何とか修理完了(^o^)丿 これで心置きなく1stプレス盤の轟音を楽しむことができるようになり(←大音量で聴いてる時にいきなりボン!というデカい音を立てて針飛びされたらもう聴く気ぃ失せますぜ...)メデタシメデタシだ。
 そして先々月に買ったのが US盤で、それも普通の盤では面白くないので PRプレスのプロモ盤を狙い、首尾よく $27でゲットした。届いた盤のマト末尾アルファベットは G/Fで、もっと若いアルファベットのEあたりを予想していた私はちょっと拍子抜けしたが、実際に聴いてみると悪くない... というか UK 3rdプレスとほとんど同じレベルのソリッドな音で鳴ってくれる。このレコードがリリースされたのは1976年だが、この頃になると同じワーナー・グループのストーンズが “全世界堂音質を保証する輸入メタルマザーによろプレス” をウリにしていたことでも明らかなように、プレス国による音質差は60年代~70年代前半に比べるとそれほど大きくはなくなっていたのかもしれない。そういう意味でもUK 1stプレスのごっつい音は並み居る「プレゼンス」の中でも別格と言えるのではないだろうか。
Led Zeppelin - For Your Life

Physical Graffiti / Led Zeppelin

2018-07-22 | Led Zeppelin
 レッド・ゼッペリンは「Ⅳ」で“ブルース・ベースのハードロック” を極め、「館」以降はシンプルなリフの繰り返しによって巨大なグルーヴを生み出していくというザ・ワン・アンド・オンリーなスタイルの “レッド・ゼッペリン・ミュージック” を創出していったと私は考えているのだが、そんな「館」以降のいわゆる “後期ゼップ” アルバムの中で断トツに好きなのがこの「フィジカル・グラフィティ」だ。特にディスク1の方は捨て曲埋め草の類が皆無で、楽曲のクオリティーの高さに限って言えば彼らの全アルバム中でベストな1枚ではないかと思っている。
 そんな“超”のつく愛聴盤なので第1次ゼップ・オリジナル盤祭りの時は率先して UK盤を購入したのだが、送られてきた盤に針を落とした瞬間に“何じゃいコレは...” と呆れるくらい音が薄っぺらくて “思うてたんと違う...(>_<)” とめちゃくちゃガッカリした。
 慌てて調べてみると私が買ったのはセンター・レーベルのリム右上部に Wマーク有りのレイター・プレスで、マトリクスを調べると初回盤どころか 2ndプレス(←Wマーク無しでマト枝番は A1/B5/C1/D1)ですらないことが判明...(>_<) まぁゼップの 1stプレス盤の識別法なんか全く知らずにセラーの言葉を鵜呑みにして入札していた私がアホだったのだが、そんなクソしょーもないブツに£16も出してしまったことを猛省し、それ以降はビートルズ以外のアーティストも十分な下調べをしてから買うようになった。尚、このレコードは自分への戒めとして今でも大事に持っている(←もう二度と聴くことはないけど...)。
 結局「フィジカル・グラフィティ」の UK盤を獲り直すことになり、今度はちゃーんと調べて Wマーク無しでマト枝番 A1/B4/C1/D1の真正 1stプレス盤を£24でゲット。届いた盤に針を落とすといきなりA①「カスタード・パイ」のイントロでバリバリと空間を切り裂くペイジの乾いたギターが炸裂!!! ボンゾのドラミングも大袈裟ではなく驚天動地と言っても過言ではない凄まじさで、これぞへヴィー・ロックの王者ゼップ!と快哉を叫びたくなるようなド迫力サウンドだ(≧▽≦)  竹を割ったようなソリッドなリフが心地良いB①「ハウズィズ・オブ・ザ・ホリー」(←「館」セッションからの拾遺作品やけど、この単純明快なロック感覚はどう考えても「館」には合わんわな...)、そしてファンキーなリフがカッコイイB②「トランプルド・アンダーフット」と続く畳み掛けるようなリフ攻撃は一度ハマると抜け出せない中毒性を持っているし、A③「イン・マイ・タイム・オブ・ダイング」やB③「カシミール」のうねるような巨大なグルーヴに身を任せる快感は筆舌に尽くし難い。
 いつもディスク1だけでお腹一杯になってしまうのとディスク1に比べて地味めな曲が多いせいでディスク2はあまり聴かないのだが、緊張感漲る演奏にゾクゾクさせられるD②「ザ・ワントン・ソング」と古き良きロックンロールをジャムる楽しさが伝わってくるD③「ブギー・ウィズ・ステュ」(←リッチー・ヴァレンスの隠れ名曲「ウー・マイ・ヘッド」のパクリ)は超愛聴曲で、いつもこの2曲だけを続けてつまみ聴きしてしまう。特にD③におけるドラム・サウンドのキレ味は CDとは雲泥の差で、50'sロックンロール大好き人間のボンゾ(←彼らの名曲「ロックンロール」も元はと言えばジャムってる時にボンゾが叩いた「グッド・ゴリー・ミス・モリー」と「キープ・ア・ノッキン」のイントロがきっかけで出来た曲やし...)の張り切りようがビンビン伝わってくる、躍動感あふれるサウンドだ。
 そんなこんなで「フィジカル・グラフィティ」に関しては RLカッティングの US盤「Ⅱ」を彷彿とさせる UK 1stプレスの爆音で十分満足していたのだが、今回の“第2次ゼップ祭り”で US盤の音も聴いてみたくなり、色々調べてみたところ、マト末尾のアルファベット(←「フィジカル...」の初回盤を謳っている盤は大体 B~Fまでが多い...)とカッティング・エンジニア、更にプレス工場の組み合わせのヴァリエーションが何種類も存在し、とてもじゃないがどれを買ったらいいのかよく分からない(>_<)
 そこでアナログ盤の音質比較でいつも参考にさせてもらっている「スティーヴ・ホフマン・フォーラム」を調べてみると、“Best sounding Led Zeppelin Physical Graffiti on vinyl?” というテーマでコレクターたちが喧々諤々の議論を展開しており、その中で一番良さそうだったのが “Side-1: BB △19707 (5) AT PR Side-2: DD-EX A.T. F.T. △19707-X (14) PR Side-3: DD-EX AT △19708 (15) PR F.T. Side-4: CC-EX ST-7 △19708-X (15) PR” というマトリクスの MOプレス盤。早速 eBayや Discogsで目ぼしいセラーに片っ端からメールしてみたのだがこのマトはかなりレアらしく中々見つからない。
 そんな時にたまたま「Ⅱ」の RLカッティング盤を落札したセラーがこのレコードも同時に出しているのを見つけ、センター・レーベル面にプレス工場を示すアルファベット表記がないという摩訶不思議盤ながら(←コレって何故なん???)試聴した限りは音も良さそうだったし、$26という安値でしかも送料も浮くしということで(←2枚組の送料ってめっちゃ高くて困りますな...)とりあえずそいつを購入。届いた盤はマト末尾のアルファベットが D/D/D/D で、さすがに音の押し出し感では UK 1stプレス盤に敵わないものの、普段聴きする分には必要十分な高音質。MOプレス盤を入手するまでの繋ぎとしてはこれで十分だ。
 その後もお目当ての MOプレス盤は中々オークションに出てこなかったのだが、ある時ふと思いついてディスクユニオンの通販サイトで検索をかけてみたところ、USオリジナル盤4件がヒット。すぐに各店舗にメールして確認したところ、何と横浜西口店の盤が私の探している MOプレス盤だったので即購入決定。VG+ で4,500円というリーズナブルなお値段で買うことができてラッキーだった。アメリカのセラーから買うと$30近くかかる送料が国内通販だとたったの500円ですむというのも嬉しい。
 音の方は口コミ通りの凄い音で、音圧に限って言えば UK 1stプレスとタメを張れるのではないか。全体的な音のバランスを含めた総合点では UK盤に一日の長があるが、聴いててオモロイのは MOプレスの方で、特にドラム好きにはたまらない音作りだ。中でもA①で炸裂するボンゾのバスドラのド迫力にはビックリ(゜o゜) ドラムの皮が破れるんちゃうかと思うぐらい “ドスン!” という強烈なキックがアルテックの巨大ウーファーを震わせるこの1曲だけで十分元が取れたと思わせてくれるダイナミックなサウンドだ。とにかくラウドでパンチのある豪快な音が聴ければもうそれだけで大満足、という人にはコスパ抜群の MOプレス盤がオススメです(^.^)
 ということで US盤に関してはしばらくはこの MOプレス盤と無印盤の2枚体制でいこうと思うが、いずれそのうち PRプレスの初期盤を手に入れて MOプレス盤との聴き比べとかもやってみたいし、機会があれば USプロモ盤の音も聴いてみたいと思う。プレス国や工場によって音の違いを色々楽しめるので、「フィジカル・グラフィティ」みたいな超愛聴盤のレコードは何枚あってもエエですな(^.^)
Led Zeppelin "Custard Pie" from Physical Graffiti LP UK edition

Houses Of The Holy / Led Zeppelin

2018-07-15 | Led Zeppelin
 この「聖なる館」はゼップの全作品の中でも際立って異質な内容のアルバムで、初めて聴いた時の第1印象は “何じゃいコレは???” 以外の何物でもなかった。喉の手術によるプラントの声質劣化にも驚いたが、何よりも受け入れ難かったのはメロトロンやシンセサイザーを大きくフィーチャーし、ファンク、レゲエなどの要素を大胆に取り入れた音楽性の変化で、「コミュニケイション・ブレイクダウン」や「ロックンロール」のようなイケイケの王道ハードロックを彼らに期待していた私の耳には期待ハズレもいいところ(>_<)  昔からエレピの軽薄な音が大っ嫌いな私にとっては可愛さ余って何とやらで、 “何が悲しゅーてゼップがこんなヘタレな音楽やっとるんや?”と、アコギに失望した「Ⅲ」以上にがっかりしたものだ。そういうワケで中学の時に初めて買った日本盤は数回聴いてすぐに売り飛ばし、その後ずーっとこのアルバムだけは頑なにスルーしていた。
 そんな私が再びこのアルバムを聴くようになったきっかけは何と「ゴルゴ13」(笑)で、「統計解析射撃」という話の中でゴルゴがターゲットに近づくためにわざと敵につかまって拷問を受けるシーンがあるのだが、そこに登場したのが他でもないこの「聖なる館」。ヘッドフォンの大音量でこのレコードを聴かされてゴルゴが苦悶の表情を浮かべるのを見て “あのアルバムにそんなハードな曲入ってたっけ???” と思い、CDをレンタルしてきて改めて聴き直してみるとこれが結構面白い。
 単純なハードロック小僧だった学生時代からかなりの年月が経って音楽的に心が広~くなっていたせいもあるが、昔からこのアルバムで唯一好きだった無機質な疾走系チューンA①「ザ・ソング・リメインズ・ザ・セイム」のスリリングなカッコ良さ(→拷問に使われたのは多分この曲やろな...)に加え、全くのノーマークだったB①「ダンシング・デイズ」の面白さにも開眼。そのねっちっこい変則ビートが脳内リフレインに突入して往生したし(→ボビー・ブラウンの「Humpin' Around」ってこの曲のパクリやったんやとこの時初めて気付いた...)、ゼップによるジェームズ・ブラウンのパロディーみたいな変態ファンクのA④「クランジ」にも大笑い(^_^)  これはもう完全にギャグである。
 そーなってくると今度は怪しさ満点のレゲエ・ナンバーB②「デジャ・メイク・ハー」もまぁハニードリッパーズの先駆けみたいなスピンオフ的作品(?)と考えればまぁ愉しめないことはないし、A③「オーヴァー・ザ・ヒルズ・アンド・ファー・アウェイ」における静と動のコントラストの妙など、バリバリのハードロックを期待して聴かなければ実に聴き所の多いアルバムだとわかる。エレピの音は生理的に無理なのでB③「ノー・クオーター」だけは今でも苦手やけど...(>_<)
 そんなこんなで初めて聴いてから20年以上たってようやくその真価が分かり始めたニクイ1枚なのだが(←かと言ってⅠ、Ⅱ、Ⅳのように溺愛するとこまでは絶対にいかないと思うけど...)、改めるに遅すぎることなかれ、ということで第1次ゼップ祭りの時に eBayで検索。しかし UK盤はマトリクスやカッティング・エンジニアの組み合わせetc が色々あってどれが良い音なのかよく分からないので後回しにし、とりあえず安くて盤質が良かったフランス盤 1stプレスを €11(←安っ!!!)でゲットし、更に UK盤や US盤よりもカッティングレベルが高くて“世界一音が良い”といわれている日本盤(←ホンマかいな???)もヤフオクで800円(←安っ!!!)で落札した。
 まずフランス盤の方だが、UK盤が「館」からUS盤と同じ green/orange レーベル・デザインに変わったのに対し、こちらはまだ red/plum のままだ。デッドワックスには機械打ちで STERLING、そして泣く子も黙る RL の2文字が手彫りで刻まれており(←ジャズで言うと RVG みたいなモンか...)、実際に聴いてみると中低域がタイトに引き締まっていてA①のスピード感に拍車がかかっている感じ。同じ RL カッティングの「Ⅱ」のような野放図な低音とはかなり音作りが異なっているように思うが、それぞれのアルバムの音楽性に合わせて音を仕上げていくボブ・ラドウィックならではの仕事といえるかもしれない。一言で言えば “突出した部分は無いが非常に平均点の高い音” だ。
 一方、“ラウドカット” を喧伝されていた国内初回盤の P-8288A の方は看板に偽りナシのデカい音で、音圧は先のフランス盤の1割増しぐらい高く感じられる。特にA①なんかもう血湧き肉躍るという感じの凄まじさで超ヤバい(^o^)丿  私は基本的に国内盤の音を“薄っぺらい”とバカにしてきたが、この盤に関する限りは素直に参りましたと平伏すしかない。ただ、私には高音がちょっとキツすぎるのが玉にキズで、この盤はプリアンプのトレブルを1目盛りほど絞って聴くようにしている。まぁこのあたりは聴く人の音の好み次第だと思うが、ドンシャリ系のシャープな音が好きな人にはピンズドな音作りだ。
 そして今回のゼップ祭りパート2のどさくさで US盤もゲット。eBayで$12ポッキリ(←安っ!!!)で落札できた。この「館」は「Ⅰ」から「Ⅳ」までの初期の作品群に比べるとめちゃくちゃ安く買えるのでありがたい。私が買った盤は SO(サザン・プラスティックス)プレスでマト末尾のアルファベットは C/B。フランス盤と同じ RL カッティングで STERLING 刻印入りなのだが音の傾向は少し異なっていて、音圧は仏盤よりもやや低くて平板な音作りに聞こえた。これが PR や MOプレスならまた違った結果になったかもしれないが...(>_<)  因みに先のゴルゴの話はテキサスのダラスが舞台になっているので拷問に使われたのは多分この US盤だろうが、ラウドカットの日本盤だったらゴルゴの耳ヤバかったかも...(笑)
 更に、プレス枚数が少なかったのかこれまで滅多にオークションに出てこずに入手できずにいたマト A1/B1(機械打ち) PORKY/PECKO(手書き)刻印の UK盤を先日ようやくゲット。UK初回盤は何故かマトが A2/B2 で 刻印が US盤と同じ RL / STERLING なのにもかかわらず音は断然後発の PORKY 盤が良いという評判だったのでそちらを狙ったのだが、結論から言うと待っただけの甲斐は十分にあるスーパーウルトラ高音質だ(^.^)  実際に聴いてみると手持ちの日・仏・米盤とは一線を画す深みのある音で、音場が広くて音の躍動感も文句ナシ。ハッキリ言って私には「館」はこれ1枚あれば十分だ。それにしても英・米・仏・日と、同じレコードでもこれだけ色んな音が愉しめるのだから、アナログ盤の世界ってホンマに奥が深いですな。
The Song Remains The Same - Led Zeppelin HD (with lyrics)

Led ZeppelinⅣ

2018-07-08 | Led Zeppelin
 レッド・ゼッペリンの全アルバムの中で最もターンテーブルに乗る回数が多いのは「Physical Graffiti」のディスク1とこの「Led ZeppelinⅣ」(←正式名称が無いので Untitled とか 4 Symbols とか呼ぶ向きもあるが、やっぱり Ⅳ が一番自然でしょ?)だ。このレコードは最初に買った日本盤もその後に買ったCDもショボイ音だったので、長い間 “曲はエエねんけど何か音が籠っとるなぁ... 録音が悪いんかなぁ...” と思っていた。
 今から十数年前に1人で盛り上がった “第1次ゼップ・オリジナル盤祭り” の時に買った「Ⅳ」はB①が「Misty Mountain Top」とミス表記されているマトA4/B3盤で、商品説明に “Rare UK 1st Press Wow!”(←欧米人ってホンマに “ワウ!” 好っきゃなぁ...) とあったので迷わず入札し、$57で落札。音の方は手持ちのCDがゴミに思えるような素晴らしさで、やっぱりUKオリジナル盤はエエなぁ... と悦に入っていた。
 しかしそれから何年か経って、たまたま eBayで A3/B3盤の存在を知ってしまったのが不幸の始まり...(笑) “A4であんなエエ音するんやから A3ならもっと凄い音がするに違いない...” という想いが自分の中で日に日に大きくなっていき、ついに“真のUK 1st プレス盤” 購入を決意。色々調べてみるとマト番以外にも Peter Grant クレジットとか、4シンボルズのパーシーを表す羽根のマークが上下逆(←Inverted Featherって言うらしい...)になってたりとか、いろんな特徴があるのだが、何よりも大事なのはもちろん盤質。結局Peter Grantクレジット以外の条件をすべて満たしているNM盤を£131でゲットした。
 このマト A3の 1stプレス盤をマト A4の 2ndプレス盤と聴き比べてみたところ、A3盤の方が音の鮮度が高いせいか楽器の音の粒立ちが良くて音場がやや広く感じるが、価格差ほどの音質差はない。このレコードに関しては少しでも良い音で聴きたかったので思い切って買って全く後悔はしていないが、コスパを考えれば A4盤が断然お買い得と言えるかもしれない。まぁ、そんなこんなで大好きな「Ⅳ」の真のUK 1stプレスを手に入れることができて私としてはメデタシメダタシ... となるはずだった。
 そもそも私がこのようにオリジナル盤 1stプレスに拘る理由は好きなアーティストの音楽を少しでもマスターテープに近い生々しい音で楽しみたいからで、音の鮮度を考えればイギリスのアーティストは UK盤で、アメリカのアーティストは US盤で集めるのがベストのはず。しかし心の片隅に常に一つの疑念があったのも事実で、それはつまりイギリスのアーティストでも活動の拠点がアメリカならば US盤の方が音が良いのではないか、という疑いである。何年か前にそれを検証すべくジョン・レノンのソロ作品を US盤で買って聴いてみたところ、恐れていたように UK盤よりも生々しい音で鳴ってしまい(笑)、それから慌てて US盤を買い集めたのは以前このブログにも書いた通り。
 ジョンのソロが一段落した後、私の中で “ほんならゼップはどーなんや???” という疑問が浮かび上がってきた。彼らは米アトランティック傘下のアーティストであり、イギリスよりもアメリカ市場を第一に考えた活動をしていたからだ。ちょうどそんな時に絶妙なタイミングで「LED ZEPPELIN - UNTITLED:Ⅳ PECKO/PECKO DUCK Edition」という LHギフト盤に遭遇。インフォに “ゼップの『Ⅳ』英米初版にはマトリックス部分にA面 Porky、B面 Pecko Duck という刻印が彫ってあるが、US初版に稀にA面に Porkyではなく Pecko刻印があるイレギュラー盤が存在し、肝心の音質でも Pecko刻印 US盤に軍配があがる。” とあったので即ゲットして聴いてみたところ、確かに CDとは思えないような鮮烈な音で鳴る。こいつはちゃーんとした本物のアナログ盤で手に入れたいと思い eBayをチェックしたところ、ほとんどの盤は A面 Porky / B面 Pecko Duck の組み合わせだったが(←因みに私の UK盤は2枚とも刻印が逆パターンで、A面が Pecko DuckでB面が Porky だ...)1枚だけ「A面 Pecko / B面 Pecko Duck」の盤があったのでそいつをゲット。BUY IT NOWで$25だった。
 届いたレコード(→マト末尾はD/E)は盤質がめちゃくちゃ良かったせいか、ブートCDを更にパワーアップさせたような鮮烈な音が聴けて大満足(^o^)丿  中低域の厚みは UK盤に一日の長があるが、高域の伸びに関しては Pecko刻印 US盤の方が勝っている。一言でいうとキレッキレの音なのだ。中でもジミー・ペイジが腰を抜かしそうになったというボンゾの超ド迫力一撃必殺ドラムが愉しめるB④「ホェン・ザ・レヴィー・ブレイクス」なんかもう凄すぎて言葉を失う。というワケで轟音爆音好きには断然 US盤がオススメだ(^.^)
 この時点で「Ⅳ」は3枚目だが、どの盤もそれぞれ音に個性があってしかも超の付く高音質なのだから嬉しくってしようがない。私はその時々の気分で UK盤と US盤をとっかえひっかえしながら愉しむという贅沢を満喫しながら、「Ⅳ」に関しては今度こそ “これにて一件落着!” と思っていた。
 しかしこれで終わらないのがレコード・ジャンキーの哀しさ... 今回の “第2次ゼップ・オリジナル盤祭り” で盛り上がっている真っ最中に今度はヤフオクで “見てはいけないブツ”(笑)を見つけてしまったのだ。それこそが禁断の白プロモ盤、しかも PRプレスときたもんだ。ゼップの白プロモ盤なんて少し前までは畏れ多くて買おうなんていう気すら起こらなかったが、青ロゴ盤を手に入れた勢いで完全に “怖いモノ無し状態” になっていた私は本能の趣くままに参戦して無事落札! これで財布はすっかりカラになってしまったのでしばらくはレコ買えへんな...
 届いた白プロモ盤に針を落とすと、まるで目の前でゼップが演奏しているかのような生々しいサウンドがスピーカーから迸り出てきてビックリ(゜o゜)  音の特徴を一言で言うと、ちょうど US Pecko Duck盤と UK A3盤の長所を合わせた様な感じで、分厚い中低音と伸びやかな高音のバランスが絶妙なのだ。もちろん音のエネルギー感もハンパない。これが白プロモ盤の威力なのか、マト末尾が Cという若いアルファベットだからなのか、プレズウェル・プレス盤の底力なのか、はたまたそういったいくつかの要素が組み合わさった相乗効果なのか私には知る由もないが、ただ一つ言えるのは思い切って買ってホンマに良かったということ。こんなに良い音が愉しめるのなら何ヶ月か “猟盤断食” してもエエかな... と思える今日この頃だ。
When The Levee Breaks - Dark Remaster

Led ZeppelinⅢ

2018-07-01 | Led Zeppelin
 レコードに関する記述でよく“愛聴盤” という言葉を耳にする。私もよくこの表現を使うが、それは捨て曲・埋め草の類がなく AB面通して LP丸ごと1枚聴き通せるような溺愛盤のことで、好きな曲だけをつまみ食いする場合は愛聴 “盤” ではなく愛聴 “曲” と言うべきだろう。そういう意味では私にとってこの「Led ZeppelinⅢ」は愛聴盤とは言えない。B面の CSN&Yみたいなアコースティック・ナンバーがあまり好きになれず、いつも A面しか聴かないからだ。ゼップを聴き始めた中学生の時なんかもっと極端でA①「イミグラント・ソング」だけで針を上げていたが(笑)、彼らにアグレッシヴなハードロックを求めていた私のようなロック・ファンは案外多かったのではないだろうか?
 そんなこんなでこの「Ⅲ」は「Ⅰ」「Ⅱ」「Ⅳ」のようなスーパーウルトラ愛聴“盤”ほど聴き込んでいるワケではないが、絵に描いたような疾走系ハードロック A①やエスニックな曲想がクセになる変態スルメ・チューン A②「フレンズ」、リズム隊が大活躍するエレクトリック・ブルースの隠れ名曲 A③「セレブレイション・デイ」という名曲名演3連発が聴ける A面だけでも十分に価値があると思い、“第1次ゼップ・オリジナル盤祭り” の時に UKオリジナル盤を£19でゲットした。
 私が買ったのは red/plumレーベルでマトリクスは A-5 / B-5、デッドワックス部分には “Do what thou wilt”(A面)、“So mote it be”(B面)というクロウリーの呪文が刻まれており、ジャケットはもちろん内部の円盤が回る特殊ギミック見開き仕様だ。センター・レーベルに Peter Grantクレジットはなく、Warner Bros. Music の後にも Ltdが付いていないので最初期盤ではないが(←Peter Grantクレジットありなのにマトが A6や A7という摩訶不思議な盤も結構存在するのだが、これって一体どーゆーことなのだろう???)、マト番が同じなので音はそんなに変わらんはずだ(←値段は4~5倍になるけど...笑)。音の方は UK盤ならではの野太いサウンドで高域の伸びも素晴らしく、A①のシンバル乱打なんかもう驚異のド迫力... これを聴いたら CDの薄っぺらい音なんか絶対に聴けません。
 そういうワケで長いことこの UK盤1枚を聴いてきたのだが、今回の第2次ゼップ祭りで US盤も聴いてみたくなり、いつものようにネット検索。ヤフオクで MO(モナーク)プレス盤が3,000円ぐらいで出ていたのを見つけたのでそれでエエかなとも思ったが、どうせなら PR(プレズウェル)プレス盤を手に入れたいと考え直し、結局 Discogsで EXコンディションの PR盤を$25でゲット。US盤はマトリクス末尾のアルファベットでプレス時期の早い遅いが分かるのだが、ラッキーにもマト末尾が “-B / -B” で “Mastercraft” 刻印入りの初期プレス盤を手に入れることができた。
 更に都合の良いことに eBayに Peter Grantクレジットの UK盤が比較的安値で出品されていたので “毒を食らわば皿まで” のノリでその盤もゲット。マトリクスはもちろん A-5 / B-5 なのでこれこそが真正最初期プレスだ。上記の UK盤を既に持っているのにアホちゃうか!と心の中でもう一人の私が責めたのだが、音の違いを自分の耳で確かめてみたいという好奇心が勝ったのだ。
 先に届いたのはピーター・グラント盤で、早速もう1枚の UK盤と比較試聴してみたが、最初期プレスだけあって音の鮮度の点でグラント盤の方に一日の長があり、特にアコースティック・ギターの音色がめちゃくちゃ生々しい。B④「ブロン・イ・アー・ストンプ」なんてもう凄いのなんの... いやー、これは買って正解でしたわ(^.^)  マトリクスは同じでもマザーやスタンパーが違うということなのかもしれないが、とにかく「Ⅲ」のUK盤を狙うなら間違いなくグラント盤ですな。
 次に US盤だが、こちらはとにかく音がシャープでバスドラのスピード感も凄いというのが第一印象。さすがはプレズウェルのアーリー・プレスだけのことはある。ただし UK盤と聴き比べると音がやや軽めでアタック音の芯の強さで負けているように感じた。土臭いブリテッシュ・トラッドの薫りがたちこめるこのレコードにはやはり中域が分厚い UK盤の音作りの方が合っているということなのか。私の好みで言うと UK 1st > UK 2nd > US 1st ということになるが、US盤の音だって決して悪くはないと思う。ビートルズの場合はキャピトルの音作りがクソすぎて US盤はスルーでよかったが、ゼップは USアトランティック盤の音も侮れないので “UK盤とUS盤の聴き比べ” という愉しみ方ができてホンマにオモロイですわ(^.^)
Celebration Day

Led ZeppelinⅡ

2018-06-23 | Led Zeppelin
 “レッド・ゼッペリン・オリジナル盤祭り” の第2弾は彼らの人気を決定づけたセカンド・アルバム「Led Zeppelin Ⅱ」だ。私が彼らのオリジナル盤を買い始めたのはもう15年ほど前のことで、ちょうどビートルズ関連の盤を一通り UK盤で手に入れ、次のターゲットとなったのが他でもないレッド・ゼッペリンだった。当時は “ゼップはイギリスのバンドやからUK盤が一番音がエエやろ...” という考え方に何の疑問も抱かずに、eBay で状態の良い UK 1stプレス盤をコツコツと落としていった。
 今持っている「Led Zeppelin Ⅱ」の UK盤もその時買った1枚で、£15という今では考えられないような安い値段で手に入れることができた。もちろん red/plumレーベルでマトリクスは A▽2 / B▽2、レーベル面でB②の曲名が「Living Loving Wreck」とミス表記されており(←パープルの曲とごっちゃになっとるやん...)、A③「The Lemon Song」のクレジットがちゃーんと“Page/Bonham/Plant/Jones” になっているという、真正1stプレスである。当時はまだゼップの初回盤識別法を知らずにセラーの説明を鵜呑みにして買っていたので、本物の 1stプレス盤を獲れたのは今にして思えばラッキー以外の何物でもなかった。
 で、“どんな凄い音がするんやろ?” とワクワクしながら届いた盤を聴いてみたところ、これぞブリティッシュ・ロック!!!という感じの重厚で深みのある骨太な音が聴けて大感激(^o^)丿 中でも目からウロコだったのがジョーンジーのベース・サウンドで、ザ・フーのジョン・エントウィッスルを想わせるヘヴィーなベースがうねりまくるのを聴いて “ジョーンジーって地味な存在やと思っとったけどこんなに巧かったんや... (≧▽≦)” と彼の凄さを再認識したものだったし、ボンゾの爆裂ドラミングの凄まじさにも大袈裟ではなく腰が抜けそうになり、ビートルズに次いでゼップでも私のオリジナル盤志向に拍車がかかっていった。
 そんなこんなでゼップの「Ⅱ」に関してはコレで決まり!と思っていたのだが、今から5年ほど前に Kentの HPでブートを物色していた時に「Led Zeppelin Ⅱ RL Cutting Edition」というタイトルのCDを目にし、“RL” って何やろ???と思いながらインフォを読んでみると次のようなことが書いてあった。抜粋すると “近年注目され人気が高騰しているのがマトリックス部分に『RL』刻印がある米初版...『RL』盤とは Robert Ludwig によるカッティングされた「Ⅱ」のことで、ゼップの最大の魅力であるデカイ音にこだわってカッティングされたレコード... しかもデカイだけではなく、心地よくズ太い低音、奥行きのある音... 例えば1曲目の「Whole Lotta Love 」でギターにベースが絡んできた途端に今までの「Ⅱ」は何だったのか!と思わせる爆音が右へ左へ後ろへ前へと暴れまくる... そのこだわりのカッテイングの為に針飛びが頻発し、はかなくも回収の憂き目にあったという... 現在入手するにはオークションで覚悟を決めるか、中古盤屋さんを探しても100枚に1枚あるかどうか?といった確率の稀少盤で、ジミー・ペイジ氏からも“素晴らしい音質” ということで帰国後にリクエストされた程の高音質盤。” とのこと。え?それって「ラバー・ソウル」のラウドカット盤と同じやん... これはエライコッチャである。
 私はすぐにこのブートCDを購入して実際に聴いてみたところ、確かに豪快な音でゼップの破天荒なエネルギーが手持ちのリマスターCDよりもダイレクトに伝わってくる感じがして超気持ちイイ。とにかく熱いのだ! “針起こし”CDでこれやったらオリジナルのアナログ盤はもっと凄いんちゃうか... と考えた私は早速 eBayで検索、驚いたことに “Led Zeppelin Ⅱ RL”やら“Led Zeppelin Ⅱ Ludwig”、はたまた“Led Zeppelin Ⅱ Hot Mix” といったタイトルで何枚かアップされており、そのどれもが他のノーマル・ミックス盤よりも高値でビッドが集中している。
 私は以前スティーヴ・ホフマンのフォーラムでゼップのUS盤の音質はプレス工場によってかなり差があると書いてあったのを思い出し、改めて確認すると「RL」盤に関しては PR(プレズウェル)プレスが一番音が良いとのことだったので、インフォにあったように “覚悟を決めて” 入札し、何とか $82で落札!!! 手に入れた盤はマト末尾が A の最初期プレスで、いやが上にも期待が高まる。
 実際に聴いてみるとフォーラムのレポート通りの凄まじいサウンドで、スピーカーから怒涛の勢いで飛び出してくる音のダイナミズムに圧倒される(≧▽≦)  こんなごっつい音が $82で聴けるのだから、私にとってこの「RL」盤は安い買い物だったと言えるだろう。巨匠ボブ・ラドウィッグの最高傑作と言っても過言ではないこの盤は UK初回盤と十分にタメを張れる、いや、凌駕しているとさえ言っても過言ではない轟音盤だった。
 ということで何枚かある手持ちの「Led Zeppelin Ⅱ」では、音の深さとベースの重さ が際立つ UK初回盤と、絵に描いたようなラウドカットでパンチのある音が快感を呼ぶ RLカッティングのPRプレス US盤の2枚が最強、という結論に達した。因みに現在 Discogsには “RLカッティングの白プロモ” とかいう空恐ろしい盤が1枚出ているのだが、さすがに €1,000(132,000円)では手も足も出ませんわ(>_<)
Mastering Shootout: The Mighty Blimp II - A Six Version Throwdown

Led ZeppelinⅠ ~UK 1stプレスと2ndプレスの聴き比べ~

2018-06-09 | Led Zeppelin
 私は昔から何事においても“広く浅く”というのが無理で好き嫌いがハッキリしており、興味の対象はひたすら “狭く深く...” というワケで、一度ハマったら自分が納得するまで徹底的に極めないと気がすまない。約2年間にわたるビートルズ各国盤祭りが一段落し、今はレッド・ゼッペリン・オリジナル盤祭りで一人盛り上がっている。先日もスーパーで買い物をしていてたまたま「ZEPPINカレー」のパッケージが目に入り、思わずドキリとしてしまった(笑) そーいえば昔JBLのスピーカーが欲しくて欲しくてたまらなかった時に街を歩いていてJCBカードの看板を見て同じようにコーフンしていた記憶があるが、あの頃から全然進歩してへんな...(>_<)
 そんなこんなでゼップの青ロゴ盤を買った話の続きである。出品者が日本のセラーだったこともあってわずか2日で到着。ドキドキしながら梱包を解き、そーっとレコードを取り出すとまごうことなき青ロゴ盤だ(←当たり前やろ!)。高嶺の花と諦めていた青ロゴ盤の本物を実際に目にしただけで一気にテンションはMAXまで急上昇! これってどんな音がするんやろか... と思うともういてもたってもいられなくなる。確かにジャケ左下のウォーター・ダメージは痛々しいが、金パロや青ロゴ・クラスのオリジナル盤ともなるとこれはもう一種の美術品であり、腕の無いミロのヴィーナスがそれでもなお素晴らしいのと同様に、多少のダメージがあろうが十分に価値がある。しかもこのレコードの場合はジャケットはダメージ有りでも盤質は素晴らしく、それはつまり無修正マトの真正オリジナル盤を良い音で聴けるということを意味しているのだ。
 レーベルは Red/Plum で、レーベル面のソング・クレジット表記はAB両面共に“Superhype Music” と “Jewel Music”。マトリクス№は “588171 A//1” と “588171 B//1”だ。これが2ndプレス盤になるとソング・クレジット表記が“Superhype Music”から“Warner Bros./7. Arts.” へと変わり、機械打ちのマト番 “588171” の8が斜線で消されてその上に手書きで 8 と修正される。こういった重箱の隅をつつくような分析はビートルズやモダンジャズのオリジナル盤で何百回とやってきたので慣れてはいるが、大雑把な性格の私の私としては “青ロゴ・ジャケでエエ音が聴ければそれでエエやん!” というのが正直なところだ(笑)
 で、その音質だがこれがもう予想を遥かに上回る素晴らしさ!!!!! あまりの凄さに思わず ! を5つも並べてしまったが、とにかく音が生々しくて4人のプレイがキレッキレなのだ。A①「グッド・タイムズ・バッド・タイムズ」のイントロでボンゾのドラムスが超近距離で爆裂する快感を何と表現しよう? ジョーンジーの地を這うようなベースも腹にズンズンきてめっちゃ気持ちいい(^o^)丿 A②「ベイブ・アイム・ゴナ・リーヴ・ユー」ではこれまで聴いたことがない類の深みのある音に驚かされたし(←おそらくこのトラックが最も違いが分かりやすいと思う...)、A③「ユー・シュック・ミー」のグルーヴも大きなうねりとなって纏わりついてくる感じだ。A④「デイズド・アンド・コンフューズド」のイントロのベースなんてもう生々しすぎてゾクゾクしてしまうし、バンドが一体となって疾走する後半部のパートなんかもう鳥肌モノだ。
 濃厚一発官能二発という感じのA面を聴き終わり早くも放心状態の私(笑)  そのせいかB面前半はA面の衝撃を引きずっていて印象が薄いが、B③「コミュニケイション・ブレイクダウン」の破天荒なプレイでまたまたガツン!とやられて目が覚める。切っ先鋭いナイフのようなペイジのギターが超カッコイイ、まさに “火の玉ストレート” と呼ぶしかないゴリゴリのハードロックだ。続くB④「アイ・キャント・クイット・ユー・ベイビー」のブルージーなプレイもグイグイ迫ってくる感じで涙ちょちょぎれるし、私的ベスト・トラックB⑤「ハウ・メニー・モア・タイムズ」でゴムまりのように弾むジョーンジーのベースと縦横無尽に駆け巡るペイジのギター、楽器と化して(?)シャウトするプラントの金属的なハイトーン・ヴォイス、そしてそんなフロントの3人を煽りまくるボンゾの超強力爆裂ドラムが一体となって生み出す圧倒的なグルーヴの前には言葉を失う。この爆発的なエネルギーの奔流を大音量で全身に浴びる快感... priceless (≧▽≦)
 試しに修正マトリクスのUK 2ndプレス(←昔 $53で買ったヤツ)と聴き比べてみたのだが、青ロゴ無修正マトの 1stプレス盤の方が中域が分厚く低域も下の下の方まで出ており、眼前に屹立する音像が大きくて近い。このように音の重心が低くてリアルに迫ってくる 1stプレス盤に対し、2ndプレス盤になるとこのアルバムのキモである泥臭さは一歩も二歩も後退し、その分万人向けに聴きやすくなっているような印象を受けた。2ndプレス単体で聴けばこれはこれで十分に良い音なのだが、青ロゴ盤は他では味わえないリアリティーを誇るダイナミックなサウンドで、正直こんなに違いがあるとは思わなかった。
 とにかくこの音は一日中繰り返し聴いていても飽きない自信がある(←届いた日だけで5回も聴いてしまった...笑)。そんなスーパーウルトラ高音質盤が8万円を切る値段で手に入ったのだからもう嬉しくて嬉しくてたまらない。一生モノのお宝としてこれから大切に聴いていきたいと思う。
Led Zeppelin - I - 1969 LP Review And Comparison What Version Is The Best