shiotch7 の 明日なき暴走

ビートルズを中心に、昭和歌謡からジャズヴォーカルまで、大好きな音楽についてあれこれ書き綴った音楽日記です

L'integrale des singles de 1962 a 1969 / Sheila

2010-02-28 | European Pops
 60年代のフレンチ・ポップスの中で、アメリカン・ポップスのカヴァーを中心としたフランス版ロックンロールのサウンドを総称してイエイエと言う。そんな明るく楽しいイエイエの代表的なシンガーといえばシェイラである。もちろんイエイエ3人娘の残りの2人、シルヴィ・バルタンもフランス・ギャルもイエイエなのだが、とにかく底抜けに楽しいナンバーで難しいことを考えずにとにかく踊ってしまうにはシェイラの、特に初期の楽曲がピッタリだ。
 イエイエ・ガールズの中でギャルやシルヴィが徐々にアーティストとしての自我に目覚めていったのに対し、シェイラはあくまでもオーソドックスなイエイエ・フォーマットに拘った。いや、本人よりも彼女の制作サイドの意向によるものかもしれない。彼女の芸名にもなったトミー・ロウの「シェイラ」(Sheila)を始め、エヴァリー・ブラザーズの「夢を見るだけ」(Pendant les vacances)やマンフレッド・マンの「ドゥー・ワ・ディディ」(Vous les copains)、レノン=マッカートニーの「ハロー・リトル・ガール」(Hello petit fille...日本盤シングルには「こんにちわマドモアゼル」という副題が付いていた)や「愛なき世界」(Je n’ai pas change)、クリフ・リチャードの「いつも青空」(Toujours des beaux jours)、シーカーズの「アイル・ネヴァー・ファインド・アナザー・ユー」(Je n’en veux pas d’autre que toi)といった英米のポップスを持ち前の明るいキャラで次から次へとイエイエ化(←それにしても抜群の選曲センスですね!)していく一方で、そういったポップスのリズムを巧く取り入れたオリジナル・イエイエ曲もドンドン歌っていった。特にイエイエの魅力全開のウキウキワクワク・ソング「口笛で恋しよう」(Le sifflet des copains)は60年代フレンチ・ポップスを代表する名曲名演だと思う。やがてイエイエ・ブームが去って彼女もイメチェンを余儀なくされ、70'sディスコ・クイーンへと華麗なる変身を遂げることになるのだが、私はひたすら明るく楽しいイエイエを歌い続けた60年代のシェイラが大好きだ。
 私の場合、フレンチ/イタリアン・ポップスにハマッてすぐに彼女のベスト盤CDをゲットしたのだが、そこから先が大変だった。ギャルやバルタンとは違い、日本盤CDがほとんど出ていないのだ。唯一出ていた盤も“現在お取り扱いできません”... 要するに廃盤である。ネット上にも情報はほとんどない。私は仕方なくフランスのファン・サイトにアクセスしてディスコグラフィーをコピー、eBay でフランスからオリジナル盤LPを直接買うという荒技に出た。幸いなことに60年代のシェイラを狙ってる人間はそんなにいなかったらしく(←当たり前やん!)ほぼ無競争で落札を繰り返し、LPフォーマットで出ている曲はすべて聴くことが出来た。当時はシルヴィやギャルのオリジ盤もガンガンいってたので、仏和辞典片手に意味不明なフランス語のメールと格闘する毎日だった(笑)
 それから何年か経ち、ちょうど去年の今頃だったが、ネットで偶然この24枚組ボックス・セットを見つけた。60年代にリリースされた彼女の4曲入りEP 盤23枚すべてを紙ジャケで再現したものにシングル全曲のインストを1枚にまとめたカラオケCDをセットにした全24枚のこのCD ボックス、オリジ盤LPに漏れている曲もあるし、何よりも可愛らしいEPジャケットが一気にすべて揃うと思うと居ても経ってもいられない。アマゾン・ジャパンでは18,000円強、HMVのマルチバイでも13,000円を超えてしまう。私は世界中の通販サイトで値段を調べ上げ、ついにこれは!というのを見つけた。アマゾン・フランスで新品が何と54ユーロだったのだ。早速翻訳サイトを頼りに恐る恐るクリックしていき、ついに購入に成功した。定価より1万円以上も安く買えて大満足だヽ(^o^)丿
 ただ、コレはあくまでも私のような熱狂的なシェイラ・ファン向けのコレクターズ・アイテム。以前取り上げたベスト盤も選曲が中途半端なモノだったので、レコード会社にはぜひとも堅気の音楽ファンのために真っ当なベスト盤を出してほしいものだと思う。

Sheila Le sifflet des copains


SHEILA " JE N ' EN VEUX PAS D'AUTRE QUE TOI "

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アイドルを探せ / シルヴィ・バルタン

2010-02-27 | European Pops
 シルヴィ・バルタンといえば何はさておき「アイドルを探せ」である。これほど歌手と曲想、そしてタイトルのイメージがピッタリ重なり合う例も珍しい。フランス語の原題は「La Plus Belle Pour Aller Danser」といい、翻訳サイトで英訳してみると “Most Beautiful To Go To Dance” となる。日本語なら “踊りに行くのに一番の美人” という意味だ。まさにブロンドのショート・ヘアーが美しいシルヴィにピッタリの曲ではないか。これは1964年のフランス映画「Cherchez L’Idole(邦題:アイドルを探せ)」の主題歌(←シルヴィも出演して歌ってます)で、彼女が世界的にブレイクするきっかけになった1曲だ。日本でもこの曲やレナウン娘のCMが大ウケして人気爆発、来日時の清楚でキュートな振る舞いも相まって “可愛い妖精” として文字通りアイドル的存在だったらしい。
 シルヴィのヴァージョンがまさに決定版!という感じなので、この曲のカヴァーはそれほど多くはない。60年代はカヴァー・ポップスの全盛期ということもあって、ザ・ピーナッツや弘田三枝子、中尾ミエ、珍しいところではザ・スパイダースなんかもインスト物として取り上げていたし、70年代以降でも辺見マリや安西マリア、浅田美代子なんかも歌っていたが、やはりシルヴィのヴァージョンが突出しているように思う。今日はそんな中で、ちょっと変わったユニークな「アイドルを探せ」も含めて愛聴ヴァージョンをご紹介;

①シルヴィ・バルタン(オリジナル)
 60年代シルヴィ鑑賞なら YouTube が一番。見たこともないレアな映像が知らないうちにアップされていることがあるので気が抜けない(←すぐに消されちゃうけど...)。下に貼り付けたのは映画の中で彼女が歌うシーンで、日本語字幕付きなのが嬉しい(^o^)丿
Sylvie Vartan: cherchez l' idole in the movie " Cherchez l'idle" with Japanese subtitle.


【おまけ】めっちゃ可愛い!!! 萌えます...↓
シルヴィ・バルタン わんさか娘


②亀井信夫とザ・スペイスメン
 エレキ・インスト物ではこの亀井信夫とザ・スペイスメンのヴァージョンが面白い。これの入った「勝ち抜きエレキ合戦」というオムニバス盤には他にもレアな音源が入っていてお得なのだが、この痛いジャケットだけは何とかならんかったんか...(>_<)
亀井信夫とザ・スペイスメン


③岡崎友紀
 私的には J-Pops で五指に入ると確信する大名盤「ドゥー・ユー・リメンバー・ミー」(岡崎友紀)に入っていたカヴァー・ヴァージョン。プロデューサー加藤和彦の見事なサウンド・プロダクションにより、フィル・スペクター顔負けのエコー処理がなされ、夢見心地のサウンドに仕上がっている。ウォール・オブ・サウンドは永遠に不滅なのだ。
アイドルを探せ / YUKI OKAZAKI


④レ・モーヴェ・ギャルソンヌ
 少年ナイフのイエイエ版みたいなガールズ・ガレージ・ロック・バンドがこのレ・モーヴェ・ギャルソンヌ。チャーミングなイエイエ・ソングがけれん味のないストレートなロックンロールに生まれ変わっている。特に1分10秒からハイスピードに転調して疾走するところなんかめちゃくちゃカッコイイ(^o^)丿 
アイドルを探せ


⑤シルヴィ・バルタン(セルフ・カヴァー)
 90年代に入り、自らの過去のヒット曲をアコースティック・サウンドをバックにセルフ・カヴァーしたヴァージョンがコレ。①とこの⑤の間には30年の歳月が横たわり、若さから円熟へと向かう一人の女性シンガーの変貌をハッキリと聴きとることが出来る。年代物のワインのような円やかな味わいがたまらない女性ヴォーカルの逸品だ。
Sylvie Vartan - La Plus Belle Pour Aller Danser (1995)
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マリア登場 - 涙の太陽 / 安西マリア

2010-02-26 | 昭和歌謡
 私は安西マリアの歌手としての全盛期(1973~74年頃)を知らない。初めて彼女の存在を知ったのは松田優作主演の映画「暴力教室」に女教師役で出ていたのを見た時で、彼女が歌手だと知らなかったのとその映画の印象が強かったこともあって、私は彼女のことをずぅ~っと女優さんだと思っていた。
 それから30年近く経った2006年、私はスプートニクスという北欧のエレキ・インスト・バンドの演奏する「Crying In A Storm」という曲にハマり、色々調べていくうちにその元歌が日本の歌謡曲「涙の太陽」だと知ってビックリ。イギリス系の日本人歌手エミー・ジャクソンが歌うオリジナルがこれまためちゃくちゃカッコ良いヴァージョンで、私はこの曲のカヴァーをすべて集めようと決心した。
 こういう探し物をする時、インターネットというのは本当に助かる。一昔前なら不可能な作業も検索クリック一発でラクラク出来てしまうのだ。私はアマゾン→ミュージック→曲名とクリックし、検索ボックスに「涙の太陽」と入れ、出てきた盤を試聴して片っ端から買っていった。この1曲をきっかけにして私はサンディー & ザ・サンセッツや寺内タケシ、青山ミチに Mi-Ke に渚ようこと、それまで聴いたことのなかったような盤とも多く巡り合えたのだが、そんな1枚がこの安西マリアの「マリア登場... 涙の太陽」だった。
 ジャケットに写る彼女は今で言うところの “お姉系”。真っ黒に日焼けしイケイケな雰囲気が横溢で、 “やさぐれ歌謡” 路線全開だ。歌の方も実にパワフルでダイナミック、ただのセクシーなオネーチャンとはワケがちがう。どちらかというとじっくりと歌い込むスロー・ナンバーよりもノリと勢いで押し切ってしまうようなアップテンポの曲が彼女には合っているようだ。そういう意味でもエミー・ジャクソンのカヴァー①「涙の太陽」をデビュー曲に選んだのはまさに慧眼と言うべきだろう。しかも単なるコピーではなく、その後のこの曲のカヴァーの多くに採用されることになる独自の “やさぐれアレンジ” が施されており、彼女の持ち味を十二分に引き出している。この曲の名演の一つに挙げていいだろう。
 ③「マイ・ボニー」もごっつうエエ感じ。元々はスコットランド民謡なのだが、私はビートルズとトニー・シェリダンのヴァージョンが真っ先に頭に浮かんでしまう。ここでもやはりスローでスタートし、0分37秒から転調してアップテンポで一気に駆け抜けるアレンジが功を奏し、彼女も水を得た魚のように生き生きと歌っている。この圧倒的なノリが大好きで、私的には①をも凌駕するベスト・トラックだ。⑦「涙は春に」はオリジナルが鍵山珠理で、ミノルフォン時代の山本リンダもタイトルを「涙は紅く」に変えてカヴァーしていた橋本淳&筒美京平コンビ作の隠れ名曲。 “花 花 恋の花~♪” のラインが耳に残る印象的なナンバーを見事に歌いこなしている。⑩「ゴーカート・ツイスト」はジャンニ・モランディ1962年のヒット曲で、イタリア映画「太陽の下の18才」主題歌として有名だ。日本人好みのメロディーを持った曲で、日本では伊東アイコが「サンライト・ツイスト」、青山ミチが「恋のゴーカート」というタイトルでそれぞれカヴァーしているが、私は若さハジける木の実ナナのヴァージョンが一番好き。このマリア・ヴァージョンはアレンジがナナ・ヴァージョンに近く、結構気に入っている。
 それ以外もすべてカヴァー曲で構成されており、ミーナの②「砂に消えた涙」、シルヴィ・バルタンの④「アイドルを探せ」、ロネッツの⑤「ビー・マイ・ベイビー」、ニール・セダカの⑥「恋の日記」、シーカーズの⑧「ジョージー・ガール」、コニー・フランシスの⑨「ボーイ・ハント」、欧陽菲菲の⑪「雨の御堂筋」、そしてヘレン・シャピロの⑫「悲しき片想い」と、曲目を眺めているだけでヨダレが出てきそううな選曲だ。このアルバムはヘタなベスト盤に手を出すよりも遥かに彼女の魅力を引き出した内容で、 “安西マリアを聴くならまずはこの1枚!” と言いたくなるような好盤だと思う。

涙の太陽・・・安西マリア


ゴーカート・ツイスト・・・安西マリア
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山本リンダ・ゴールデン・アルバム

2010-02-25 | 昭和歌謡
 1970年代前半というのは今の私から見れば昭和歌謡の黄金時代である。一度聴いたら忘れられないようなキャッチーな楽曲や個性溢れる魅力的な歌手の宝庫で、この何年かは後追いでそういった過去の名曲名唱を発掘して楽しんでいる。ミコちゃんやミキティー、ちあきさんのようにその大半はまったく記憶になく、40歳を過ぎてから初めて耳にして新鮮な感動を味わっているのだが、その一方で、日本国中の老若男女に広く親しまれた国民的ヒット曲の数々は何となく覚えている。当時小学生だった私は外で遊び回ってばかりで音楽のことなんて何も考えていなかったが、お茶の間のテレビから流れてくる当時のヒット曲にはそんな私ですら惹きつけてやまない不思議な魅力があった。そんな中でも私が大好きだったのが山本リンダである。どうやら私は昔から “リンダ” が好きらしい(笑) 家には蓄音器みたいなレコードプレイヤーしかなかったのでシングル盤を買うというようなことはなかったが、そんなもの無くてもテレビさえつければ彼女の歌声を聴くことができるという、ある意味エエ時代だった。
 それから30年以上が経ち、たまたまネットで見つけて懐かしさのあまり買ってしまったのがこの「山本リンダ / ゴールデン・アルバム」である。これは元々、1973年の年末商戦に向けて出されたベスト盤で、A面にシングル・ヒット7曲、B面に当時の邦楽ヒット曲のカヴァー7曲を収録した「ゴールデン・アルバム」をベースに、更にそのCD化にあたって翌74年末に出た同趣向のベスト・アルバム「ゴールデン・ベスト24」から最新の邦楽カヴァー6曲をボーナス・トラックとして追加した計20曲入りの超お徳用盤なのだ。
 まずシングル・パートでは阿久悠&都倉俊一コンビによる怒涛の名曲ラッシュが凄まじい。よくもまぁこれだけインパクトの強いヒット曲を次から次へと立て続けに作れるモンやなぁと感心してしまう。へそ出しルックで大衆の度肝を抜き “うわさを信じちゃいけないよ~♪” でアクション歌謡の先鞭をつけた2nd シングル⑦「どうにもとまらない」、 “ぼやぼやしてたら私は誰かのいいこになっちゃうよ~♪” でセクシー路線まっしぐらの3rdシングル④「狂わせたいの」、“ひぃとり ふぅたり 恋の相手は星の数~♪” とカッコイイ女を演じ切った4thシングル③「じんじんさせて」、猫も杓子も “ウダダ~ ウダダ~ ウダウダでぇ~♪” と口ずさむほどの爆発的な浸透力を誇った5thシングル②「狙いうち」の大ヒット・シングル4連発の吸引力は凄まじい(^o^)丿 山本リンダというとついつい色物のように見られがちが、とんでもないハナシだ。今、これほど華のある歌手がいるだろうか?大衆の心をギュッとワシづかみにできるエンターテイナーがいるのだろうか?美人でセクシーでカッコイイ... 私はそんな彼女の大ファンだ(^.^)
 これら4曲の圧倒的なインパクトに比べると、6thシングル⑤「燃えつきそう」、7thシングル⑥「ぎらぎら燃えて」、8thシングル①「きりきり舞い」の3曲はパワー・ダウンは否めない。もちろん3曲とも決して悪い出来ではないのだが、それまでの4枚のシングルの印象が強すぎたのだと思う。結局、彼女の人気も70年代中盤あたりから尻すぼみになっていった感があるが、彼女と入れ替わるようにして同じ “歌と振り付け路線” で国民的人気を得たピンク・レディーもやはり阿久悠&都倉俊一コンビというのが面白い。
 カヴァー・パートは最初このベスト・アルバム用の埋め草かなぁと軽い気持ちで聴き始めたが、これが聴き応え十分なのだ。彼女は凡百のカワイコちゃんシンガーとは次元が違う。格が違う。特に安西マリア・ヴァージョンのアレンジで歌う⑫「涙の太陽」は誰が真の先駆者であるのかを如実に物語っているし、ジュリーの⑮「追憶」カヴァーも中々サマになっている。山口百恵の⑯「ひと夏の経験」はサビの一人二重唱がめっちゃカッコエエし、山本リンダ・ヴァージョンで聴くアン・ルイスの⑰「グッバイ・マイ・ラヴ」なんてめちゃくちゃレアだ。西城秀樹の⑱「激しい恋」なんてまさに彼女にピッタリの選曲で水を得た魚のように生き生きと歌っており、まさに “ヒデキ感激!” である(笑) そしてこの極上カヴァー・サイドの中でも私が一番気に入っているのがりりぃの⑲「私は泣いています」だ。実に意外な取り合わせだが、これがもうめちゃくちゃ良くて、彼女の抑制の効いた歌声に萌えてしまう(≧▽≦) 郷ひろみの⑳「花とみつばち」ではミノルフォン時代の「こまっちゃうナ」を彷彿とさせるブリブリ歌唱で迫るところが面白い。このカヴァー・サイド、選曲もアレンジも何も考えてないようでいて、実はしっかり練られているように思う。
 ということで単なる懐メロ気分で買ってみたこのCDだが、当時の歌謡曲のレベルの高さをまざまざと見せつける聴きどころ満載の内容だった。これだけの音源が1枚のCDに入ってヤフオクで1,000円なのだからホンマにありがたい。これでモコモコした低音を改善してもう少し高音のヌケが良くなるようにリマスターしてあったら完璧なのにね...(>_<)

狂わせたいの  山本リンダ


山本リンダ  じんじんさせて


狙いうち  山本リンダ Yamamoto Rinda

Hummin' To Myself / Linda Ronstadt

2010-02-24 | Jazz Vocal
 リンロン・ウイークの最終回は、この祭りを始めるきっかけになったジャズ・アルバム「ハミン・トゥ・マイセルフ」だ。90年代以降の彼女は自分のルーツ・ミュージックであるメキシコ音楽集をはじめ、フル・ラテン・アルバムや70's回帰カントリー・ロック盤、挙句の果てに子守唄アルバム(何とクイーンの「ウィー・ウィル・ロック・ユー」までもが換骨堕胎されてエンヤみたいなサウンドになってます...)まで作ってしまうという無軌道ぶり(笑)。もうやりたい放題という感じの姐さんだったが、2000年に出したクリスマス・アルバムを最後に30年近く在籍してきたエレクトラ/アサイラム・レーベルを離れ、移籍した先が何とヴァーヴ、ジャズの専門レーベルである。早速 “リンダ・ロンシュタット・ジャズ・プロジェクト” がスタートし、腕利きのジャズメンがバックを固めて制作されたのが、2004年にリリースされたこの「ハミン・トゥ・マイセルフ」なのだ。
 リンロンとジャスと言うとすぐに思い浮かぶのが例のネルソン・リドル3部作だが、あの3枚が甘美なアレンジを施されたウィズ・ストリングス物だったのに対し、このアルバムは小編成のジャズ・コンボを従えた本格的なジャズ・アルバムだ。私もあの3枚は大好きだが、ウィズ・ストリングス物というのはたま~に聴くからエエのであって、四六時中あんなのばっかり聴いてたら頭がボケてしまう(笑) やっぱりジャズはスイングしなけりゃ意味がない。そして今回、そのスイングの根底を支えているのがクリスチャン・マクブライド(b)、ルイス・ナッシュ(ds)、そしてアレンジも担当しているアラン・ブロードベント(p)という、当代きってのリズム・セクションである。フリューゲルホーンは何とあのロイ・ハーグローヴだ。これはもうバリバリのジャズではないか!私ははやる心を抑えてトレイにディスクをセットした。
 私はCDを聴く時、大抵は1曲目からではなく知っている曲、それも好きな曲から聴く。この盤もまず⑦「ブルー・プレリュード」の選曲ボタンを押した。哀愁のスタンダード・ナンバーとしては五指に入る名曲だ。イントロからいきなりクリスチャン・マクブライドのベースがブンブン唸る。太い指がまるで阿修羅のようにベースに絡みついていく様が目に見えるようだ。やがて “Let me cry, let me sigh...” とリンロンのヴォーカルが入り、ワン・コーラス歌った後、スルスルとブラッシュが滑り込んできてピアノが寄り添う...この一瞬のゾクゾク感がたまらない(≧▽≦)  リンロンのリズムへの乗り方も完全にジャズ・ヴォーカルのそれだ。とても58歳とは思えない張りのある艶やかな歌声も相変わらず健在で、大好きな曲にまた一つ大好きなヴァージョンが加わったのが何よりも嬉しい(^o^)丿
 ジュリー・ロンドンの決定的名唱で有名な③「クライ・ミー・ア・リヴァー」では抑制されたヴォーカルの中に細やかな感情を込めてじっくりと歌い切っており、聴き応え十分だ。えも言われぬ哀感を醸し出すセロがエエ仕事しとります。ルイス・ナッシュのブラッシュも相変わらず巧いなぁ...(^.^) コール・ポーターの⑤「ミス・オーティス・リグレッツ」ではセロに加えてヴィオラまでフィーチャーされているが、こっちはドラムレスでやや甘口の演奏に終始しているのが残念(>_<) 甘いスロー・バラッドだからこそナッシュの瀟洒なブラッシュで演奏をキリッと引き締めてほしかった。
 ⑥「アイ・フォール・イン・ラヴ・トゥー・イージリー」はリンロンにピッタリのバラッドで、情感豊かに迫るリンロン節が全開だ。ロイ・ハーグローヴのよく歌うフリューゲルホーン・ソロも絶品で、叙情味溢れるトラックになっている。古式ゆかしいスイング・リズムとリンロンの歌声が絶妙にマッチした④「ハミン・トゥ・マイセルフ」なんかまるでスイング時代のジャズ・シンガーの歌を聴いているようだ。クラリネット・ソロも彼女の名唱に彩りを添えており、さすがはアルバム・タイトルにもってくるだけのことはある素晴らしいトラックだと思う。スローから入って転調し、スインギーに歌い切る⑩「ゲット・アウト・オブ・タウン」も貫録十分だ。
 ピンクを基調としたジャケット(レーベルもピンク色!)に写るリンロンは年齢を感じさせない美しさ。その容姿といい、声量といい、まったく衰える気配がないのが凄い。これは還暦を間近に控えますます元気な歌姫リンロンが作り上げた本格的なジャズ・ヴォーカル・アルバムだ。そういう意味で、ジャズ好きのリンロン・マニアとしてはこたえられない1枚なのだ。

ハミン・トゥ・マイセルフ


アイ・フォール・イン・ラヴ・トゥー・イージリー

What's New / Linda Ronstadt

2010-02-23 | Jazz Vocal
 リンロン・スペシャル・ウイークもいよいよ終盤に突入、今日は “ムード満点でジャジーなリンロン” だ。とまぁ今でこそこうしていけしゃあしゃあとこの「ホワッツ・ニュー」を “愛聴盤です!” と紹介しているが、この盤が出た1984年当時 “マイケル、マドンナ、ヴァン・ヘイレン” 状態だった私にとって、全曲スタンダード・ナンバーで固めたこのアルバムはまさに青天の霹靂と言ってよく、一体何がどーなってるのかサッパリ分からなかった。
 そもそも「シンプル・ドリームス」→「リヴィング・イン・ザ・USA」→「マッド・ラヴ」→「ゲット・クローサー」と徐々にロック色を強めつつあったリンロンが何でまた急にオーケストラをバックに艶めかしい声で “ホワッツ・ニュ~♪” って歌わなアカンねん?それにこのネルソン・リドルってオッサン、一体何者?ネルソン・ピケの親戚か?といった塩梅で、スタンダード・ナンバーの何たるかも全く知らなかった私にはこの珠玉の名曲集が軟弱なムード・ミュージックにしか聞こえず、大いに失望したものだった。繰り返すが何と言っても “マイケル、マドンナ、ヴァン・ヘイレン” である。そんなポップ・ロック一筋人間にスタンダードもへったくれもない(笑) 例えるなら毎日カレーやハンバーグ、ピザばかり食ってる人間にいきなり精進料理を食わせるようなものだ。それに同じスロー・バラッドでも「ブルー・バイユー」と「ホワッツ・ニュー」では明らかに曲の佇まいというか、醸し出す雰囲気が違うということだけは、鈍感な私ですら肌で感じることが出来た。結局私はこの「ホワッツ・ニュー」('84年)とその続編「ラッシュ・ライフ」('85年)、さらに続々編「フォー・センチメンタル・リーズンズ」('86年)のいわゆる “ネルソン・リドル三部作” を完全に無視、その後何事もなかったかのようにこの3枚のことはサッパリ忘れ、「サムホェア・アウト・ゼア」でポップス・シーンに復帰したリンロンに大喜びしていた。
 そうこうするうち90年代に入り、急につまらなくなった洋楽ポップスと絶縁した私は自分が熱中できる対象の音楽としてジャズを聴き始めた。ジャズにはインスト物とヴォーカル物があり、私はモードやフリーといった変な要素が入りにくいヴォーカル物に魅かれていき、初めてスタンダード・ナンバーの素晴らしさを知った。そこで改めてこの「ホワッツ・ニュー」がドーン!と私の前に屹立したのである。どーだ参ったかと降臨ましましたのである。これはもう “ハハァ~” と平伏すしかないm(__)m 思えばこのアルバムのリリースから既に10年以上が経ち、私も音楽を聴く幅が広がったのか、人間が丸くなったのか、とにかくあれほど嫌だったストリングスのサウンドが耳に心地良い。この時私はジャジーなリンロンの魅力に開眼したのだ。
 このアルバムには全9曲が収められており、そのどれもが心に沁みいるバラッドだ。第1声 “ホワッツ・ニュ~♪” の凄まじい吸引力によってこの曲のニュー・スタンダードになった感のある①「ホワッツ・ニュー」、ヴァースからテーマに入る瞬間がゾクゾクするほど素晴らしい②「アイヴ・ガット・ア・クラッシュ・オン・ユー」、渋いトーチ・ソングを切々と歌う③「ティアーズ・アウト・トゥ・ドライ」、ムード満点のテナー、ピアノ、ヴァイブの伴奏に乗った伸びやかなリンロンのヴォーカルがたまらない④「クレイジー・ヒー・コールズ・ミー」、ネルソン・リドルのユニークなアレンジが光る⑤「サムワン・トゥ・ウォッチ・オーヴァー・ミー」、リンロンの歌声が曲想とピッタリ合ったコワイぐらいの名唱⑥「ゴースト・オブ・ア・チャンス」、アーヴィング・バーリンの美曲を更に美しく歌い上げた⑦「ホワット・ウィル・アイ・ドゥ」、リンロンのエモーショナルなヴォーカルと歌心溢れるトロンボーンの絡みに耳が吸いつく⑧「ラヴァー・マン」、まるでベテランのジャズ・シンガーのように難曲を歌いこなす⑨「グッドバイ」と、スタンダード集初挑戦でよくもまぁこれだけ聴きごたえのあるアルバム作ったよなぁ... と感心してしまうような見事な内容だ。
 “ミス・アメリカ” と呼ばれるくらいポップ・フィールドで人気絶頂だったウエスト・コーストの歌姫がシナトラとの共演でも知られるネルソン・リドル・オーケストラの豊潤なサウンドをバックに渋~いスタンダードを歌ったこのアルバム、10年後にその真価が分かったニクイ1枚だ。

What's New Linda Ronstadt


Linda Ronstadt & the Nelson Riddle Orchestra I've Got A Crush On You
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Cry Like A Rainstorm / Linda Ronstadt

2010-02-22 | Rock & Pops (80's)
 80年代のリンロンは82年の「ゲット・クローサー」以降、突然の路線変更でネルソン・リドル・オーケストラをフィーチャーした例の “スタンダード・アルバム3部作” を作って我々をビックリさせたが、その後もドリー・パートンやエミルー・ハリスらと組んでコテコテのカントリー・アルバム「ザ・トリオ」を作ったり、自らのルーツとも言えるメキシコ音楽(←父親がメキシコ系で母親がドイツ系という珍しい血筋の持ち主です)に取り組んだ「ソングス・オブ・マイ・ファーザー」を作ったりと、まさに “我が道を行く” 的な活動をしていた。しかし70年代後半の怒涛のような活躍が忘れられない私は、昨日取り上げたシングル「サムホェア・アウト・ゼア」の大ヒットで一時的に渇きを癒せたものの、やはりポップ/ロックなリンロンのフル・アルバムが聴きたくてウズウズしていた。
 そんなこちらの気持ちを見透かしたかのようにリンロンが久々にポップ・フィールドに戻ってきたのが1989年のこと、それがこの「クライ・ライク・ア・レインストーム、ハウル・ライク・ザ・ウインド」で、何と7年ぶりのポップ・アルバムである。これでコーフンするなという方がおかしい。しかし私には一つだけ気になることがあった。アルバムからのリード・シングルとしてカットされ、ヒットチャートを急上昇中だった⑤「ドント・ノウ・マッチ」で彼女のデュエット相手を務めたアーロン・ネヴィルである。ハッキリ言ってこのオッサンのナヨナヨした声は私には絶対に無理(>_<) ヨーデル・ヴォイスだか何だか知らないが、あんなキモイ声、よぉ出るわ(笑) 昨日のジェームズ・イングラム君はリンロンの引き立て役として実にエエ仕事をしていたが、このアーロン・ネヴィルの声はちょっとねぇ... まぁ、これはあくまでも私の好き嫌いレベルの問題やけど。ひょっとすると、ちょうどマイルスが自分の繊細なトランペット・プレイを際立たせるために敢えてゴツゴツしたサウンドのコルトレーンを起用したように、リンロンも自分の艶やかなヴォーカルとのコントラストを考えてこのヨーデル・オヤジを起用したのかもしれない。とにかく突き詰めればヴォーカルとは声を楽しむ音楽なので、その声が嫌いではどうしようもない。
 そんなネガティヴな要素がありながらも私がこのアルバムを取り上げたのはひとえにその選曲の素晴らしさにある。まずは何と言っても④「アイ・ニード・ユー」だ。イギリス人シンガーソングライター、ポール・キャラックの知る人ぞ知る名曲で、1982年に全米37位まで上がった小ヒットなのだが、必殺の歌詞、必殺のメロディー、必殺のテンポと、どこをどう聴いても名曲だけが持つ風格のようなものが備わっている。ラッキーなことにたまたまFMエアチェックしたテープに入っていたものをダビングして擦り切れるほど聴いて “自分だけの名曲” として秘匿していたのだが、そんな隠れ名曲を探し出してきて必殺のヴォーカルで聴かせてしまうリンロンにはもう参りましたと言う他ない。これでアーロン・ネヴィルとのデュエットやなかったら完璧やったのにねぇ...(>_<)
 カーラ・ボノフの⑦「トラブル・アゲイン」もめちゃくちゃ嬉しい。高校時代に聴きまくった懐かしのこの曲をリンロンの豊潤な歌声で聴ける幸せを何と表現しよう!カーラのヴァージョンが淡い色調のパステル・カラーとすれば、リンロンのヴァージョンは艶やかな極彩色といった感じか。この伸びやかな歌声は、まさしく直球勝負と言っていいゴージャスなヴォーカルだ。原作者カーラもエエ味出していて大好きなのだが、リンロンが一声発すると曲が生き生きと躍動し始めるところが凄い。それにしてもこの「トラブル・アゲイン」、ホンマにエエ曲やなぁ... (≧▽≦)
 私的には上の2曲が飛びぬけて好きなのだが、それ以外にも聴き所が一杯ある。まず、⑥「アディオス」1曲のみに特別参加しているブライアン・ウィルソンのバック・コーラスに涙ちょちょぎれる。例の “ウゥ~♪” 一発で曲に深みが加わるのだからこの人はやっぱり凄い。リンロンのヴォーカルも艶々していて言うことナシだ。ポール・キャラックのもう1曲、アップテンポの⑨「ソー・ライト・ソー・ロング」ではゴスペル・コーラス隊を相手に素晴らしいコール&レスポンスを聴かせるリンロンがカッコイイ(^o^)丿 ゴスペル・コーラスと言えばもう1曲、アルバム・タイトル曲の②「クライ・ライク・ア・レインストーム」におけるスケールの大きな歌唱も聞き逃せない。貫録と言うか、余裕と言うか、まるで大排気量のアメ車でストレスなくグイグイ加速していくような圧倒的なヴォーカルだ。シングル・カットされてヒットした⑤「ドント・ノウ・マッチ」(2位)や③「オール・マイ・ライフ」(11位)だって、曲自体は非常に良く出来たバラッドなので、アーロン・ネヴィルの声が大丈夫な人なら十分楽しめると思う。
 このアルバムで聴けるのは、ポップス以外の音楽ジャンルへの挑戦を通して身に付けた豊かな感情表現力や圧倒的な説得力を携え、ヴォーカリストとして一回りも二回りも大きくなって戻ってきたリンロンの歌声である。そういう意味で、70年代後半のアルバムのような派手さはないが、リンロンの成熟したヴォーカルをじっくり聴きこむのに最適な渋い1枚だと思う。

アイ・ニード・ユー


トラブル・アゲイン
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Somewhere Out There / Linda Ronstadt

2010-02-21 | Rock & Pops (80's)
 ポップスの世界において80年代はまさに MTV の時代であり、ポップ・ミュージックと映画のスクリーンが有機的に結びつき、 Top40 アーティストが映画の主題歌を歌って大ヒットを飛ばすことが多かったが、そんな中でも特に目立ったのが大物同士のデュエットである。そのきっかけになったのは多分、1981年秋に9週連続全米№1を記録したライオネル・リッチー&ダイアナ・ロスの「エンドレス・ラヴ」だろう。そしてこのトレンドを決定的にしたのが翌82年の冬に3週連続全米№1に輝いたジョー・コッカー&ジェニファー・ウォーンズの「アップ・ホェア・ウィー・ビロング」ではないか。特にリチャード・ギアの名演技(←鬼軍曹との別れのシーン、そして軍服姿でデブラ・ウィンガーを工場へ迎えに行くシーンは何度見ても泣けます...)が光る「愛と青春の旅立ち」は映画の感動を更に盛り上げてくれるような見事なバラッドで、私なんか音楽と映像の相乗効果で映画にもサントラにもハマりまくっていた。
 その後も「フットルース」からアン・ウィルソン&マイク・レノの「オールモスト・パラダイス」('84)、「ホワイト・ナイツ」からフィル・コリンズ&マリリン・マーティンの「セパレイト・ライヴズ」('85)、「ダーティー・ダンシング」からビル・メドレー&ジェニファー・ウォーンズの「ザ・タイム・オブ・マイ・ライフ」('87)と、映画絡みのデュエットは挙げていけばキリがないが、そんな “サントラ・デュエット・ラッシュ” の中でも断トツの完成度を誇っているのが我らがリンロンと “クインシー・ジョーンズの秘蔵っ子” ジェームズ・イングラムのデュエット「サムホェア・アウト・ゼア」である。
 この曲は映画「アメリカ物語」の主題歌として1987年3月に全米2位まで上がる大ヒットになり、「ホワッツ・ニュー」以降のリンロンに味気なさを感じていたポップス・ファンに “リンロン健在なり!” を強くアピールしたが、本来ならば3週連続№1ぐらいになって当然の名曲名唱だと思う。勢いの差とはいえ、ヒューイ・ルイスの「ジェイコブズ・ラダー」ごときに首位を阻まれたなんて到底納得できない(>_<)
 相方のジェームズ・イングラムは確かクインシー・ジョーンズの「ザ・デュード(邦題:愛のコリーダ)」の中で「ジャスト・ワンス」というバラッドを熱唱しているのを聴いたのが最初だったと思う。確かに上手いのはわかるが、私は昔からブラコンの歌い上げるパターンがどうも苦手で、彼の歌も “ボク、歌上手いでしょ、声量あるでしょ、超大型新人即戦力でしょ!” と言っているような感じがして自分的にはNGだった。この人はデュエットが滅多やたらと多く、続くパティ・オースティンとのデュエット「ベイビー・カム・トゥ・ミー」はまだマシだったが、私の苦手中の苦手マイケル・マクドナルドとのデュエット「ヤー・モ・ビー・ゼア」なんかもう鬱陶しすぎて最悪だった。
 そんな苦手系ジェームズ・イングラムと愛しのリンロンのデュエットとなったこの曲は、映画音楽界随一の名作曲家ジェームズ・ホーナー(←「タイタニック」のスコアを書いた人)とバリー・マン&シンシア・ウェイルという60'sポップスの黄金コンビが組んで書き上げた、80年代屈指の名バラッドだ。絵に描いたような名曲とはこういう曲のことを言うのだろう。もちろん主役はネルソン・リドルとの3部作で表現力に磨きをかけたリンロン姐さんで、いつもは暑苦しいジェームズ・イングラムの歌声があんまり気にならないのは曲の良さと、姐さんの圧倒的な存在感を誇るヴォーカルのおかげだろう。特にジェームズ・イングラムのソロ・パートに続いて姐さんの艶やかな歌声が滑り込んでくる瞬間なんかもう鳥肌モノだし、中盤から後半にかけての盛り上がりも圧巻の一言だ。
 このシングル盤はちょうど世の中がアナログ・レコードからCDへと移り変わる過渡期に発売されたもので、CDシングルとアナログ45回転盤が混在していたややこしい時期だったのだが、私はコレを京都のタワレコで安く買って大喜びしたのを覚えている。因みにこの盤はアナログのみでリリースされたシングルとしては最後のミリオンセラーだという。大袈裟かもしれないが何だか歴史の一部を手にしているようで、色んな意味で私にとって思い出深い1枚なのだ。

Linda Ronstadt & James Ingram - "Somewhere Out There"
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Linda Ronstadt Greatest Hits

2010-02-20 | Rock & Pops (70's)
 私はリンロンと言えば何をおいても「シンプル・ドリームス」、「リヴィング・イン・ザ・USA」、「マッド・ラヴ」という “ロックなリンロン3部作” が一番好きで、ターンテーブルに乗った回数も圧倒的に多いのだが、初期の “土の薫りのするカントリー・ロックを歌うリンロン” も結構好きだ(^.^) もちろんマンドリンやフィドル、ペダル・スティール・ギターといったカントリー・ミュージック独特の楽器の音はさすがにずぅ~っと聴いていたいとは思わないが、単純明快な分、聴いていて不快に感じることは滅多になく、変なジャズやロックなんかよりも遥かに罪がない(笑)
 私のような日本人にはカントリー・ミュージックというのはイマイチ馴染めないところがあるが、アメリカ人にとってはまさに心の音楽であり、ちょうど私の世代以上の日本人が昭和歌謡に対して抱く郷愁感のようなものを、彼らはカントリー・ミュージックに対して抱いているらしい。そう考えればイーグルスの初期ベスト盤がアメリカ国内で「スリラー」に次ぐ売り上げ第2位(2,900万枚!)を誇っていたり、ただのオクラホマの田舎のオッサンにしか見えないガース・ブルックスがアメリカだけでバカ売れするのも頷ける。
 70年代の彼女のキャリアは、カントリー色の強いロックを歌うアリゾナ出身の田舎娘が徐々に成長し、洗練されていく過程であり、その変化がハッキリとレコードの音溝に刻み込まれている。1976年にリリースされたこの「グレイテスト・ヒッツ」はリンロン初のベスト盤で、彼女のキャリア初期のヒット曲が網羅されているのだ。その中で最も古い音源は1968年(!)のストーン・ポニーズ時代の大ヒット⑦「ディファレント・ドラム」で、モンキーズのマイク・ネスミスの作ったこの佳曲を歌う若き日の彼女の初々しい歌声がたまらない(^.^)  次はソロになって初のヒット曲⑥「ロング・ロング・タイム」で、1970年に全米25位まで上がったのだが、ブタ小屋の中で(笑)屈託のない笑顔を見せるリンロンのジャケに萌えてしまう2nd アルバム「シルク・パース」中屈指の美しいバラッドだ。花でいえばちょうどつぼみが開き始めた頃といえるだろう。
 73年の4th アルバム「ドント・クライ・ナウ」からは3曲、彼女が大ブレイクする直前の姿を捉えた好盤だ。アップテンポの②「シルヴァー・スレッズ・アンド・ゴールデン・ニードルズ」はかなりカントリー色の強い演奏だが、曲そのものが良いので私は結構気に入っている。このアルバムからのリード・シングル⑨「ラヴ・ハズ・ノー・プライド」、そしてイーグルスで有名な③「デスペラード」はどちらもしっとり系のバラッドで、つぼみが開いて満開になったようなスケールの大きな歌唱が楽しめる。特に③における細やかな感情表現は絶品で、リンロン・バラッドの中でも屈指の名唱と言えるだろう。
 彼女にとって初の全米№1に輝いた5th アルバム「ハート・ライク・ア・ホイール」からは①「ユア・ノー・グッド」(1位)と⑧「ホェン・ウィル・アイ・ビー・ラヴド」(2位)という大ヒットシングル2枚を収録。①は63年にベティ・エヴェレットが小ヒットさせた曲のカヴァーで、よくぞまぁこんな曲を見つけ出してきたものだと感心するが、彼女はまるで自分のために書かれた曲であるかのように完璧な歌唱を聴かせてくれる。連続大ヒットとなった⑧も60年のエヴァリー・ブラザーズのカヴァーということで、そういう意味でも①はその後の “オールディーズ・カヴァー路線” を確立した重要な1曲だと思う。ポール・アンカ作の⑪「イット・ダズント・マター・エニーモア」はしっとり系のラヴ・バラッドで、憂いを含んだ彼女のヴォーカルとカントリー・フレイヴァー溢れるバックの演奏が実に良い味を出している。
 6th アルバム「プリズナー・イン・ディスガイズ」からはマーサ&ヴァンデラスのカヴァー⑩「ヒート・ウエイヴ」が大ヒット、アップテンポで弾けるような歌声を聴かせるリンロンは貫録十分だ。ニール・ヤングの④「ラヴ・イズ・ア・ローズ」はカントリー色の強い演奏で、絶好調のリンロンはこれまた水を得た魚のように生き生きした歌声を聴かせてくれる。スモーキー・ロビンソン作の⑫「トラックス・オブ・マイ・ティアーズ」では情感豊かな歌声のリンロン節が堪能できる。7th アルバム「ヘイスン・ダウン・ザ・ウインド」からの大ヒット・シングル⑤「ザットル・ビー・ザ・デイ」は言わずと知れたバディー・ホリーのカヴァーで、「イッツ・ソー・イージー」や「ブルー・バイユー」、「ジャスト・ワン・ルック」なんかと同様、オリジナルよりもこっちを先に聴いて刷り込みが完了してしまったので、今でもこれらの曲はリンロン・ヴァージョンの方が断然しっくりくる。困ったものだ(笑)
 ということでこの “リンロン初期ベスト” は白人保守層を中心に売れまくり、全米だけで700万枚を売りつくす超特大ヒット・アルバムになった。彼女のオリジナル・アルバムが大体100~300万枚ということなので、いかにこの盤がアメリカ人に愛されているかがよくわかる。ある時は情熱的に迫り、又ある時は切なく歌い上げるリンロンの見事なヴォーカル、アメリカ人好みのカントリー・フィーリング溢れるロックンロール、そして彼女にピッタリ合ったオールディーズ・カヴァーという3枚看板を武器に、我らがリンロンは70年代ポップス界を席巻し、ついにはアメリカを代表する女性シンガーにまで昇りつめていくのである。

Linda Ronstadt - Desperado (1976) Offenbach, Germany


Linda Ronstadt - You're No Good - San Diego 1976
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Mad Love / Linda Ronstadt

2010-02-19 | Rock & Pops (70's)
 女性ロック・シンガーとしてのリンダ・ロンシュタットの全盛期は1970年代後半である。特に「シンプル・ドリームス」と「リヴィング・イン・ザ・USA」の2枚は共にオールディーズのカヴァーを前面に打ち出した内容で、ロックンロールとバラッドのバランスも実に見事な傑作アルバムだった。私はこの2枚に続いて1980年にリリースされた「マッド・ラヴ」を合わせて “ロックなリンロン3部作” として愛聴してきたが、この「マッド・ラヴ」は同じロックでも先の2枚とはかなり毛色の違ったサウンドが楽しめる。
 何よりもまず驚いたのは、アルバム全体が装飾と言う名の贅肉を徹底的に削ぎ落とした非常にシンプルなロック・サウンドで構成されていたこと。このアルバムがリリースされた当時、ディスコ一色に塗りつぶされたような感のあったアメリカに対し、イギリスからは新しいバンドが次々と刺激的な音を届けてくれて、実に面白い状況を呈していた。そういった時代の空気を我々は “ニュー・ウエイヴ” として捉えていたのだが、リンダのこのサウンドは “それまでの大ヒットしたアルバムの続編ではない、何か新しいサウンド” を求めた結果の産物だったように思う。そのためか、前作までとバック・バンドのメンバーを変え、ギターにクリトーンズのマーク・ゴールデンバーグを起用、全10曲中マークの作品を3曲、そして「アリスン」に続きエルヴィス・コステロの作品も3曲取り上げるなどしてアルバム・カラーの一新を図っている。例えるなら、プロデューサーという名の料理人ピーター・アッシャーがお客の嗜好の変化を敏感に察知し、それまで大好評だったワディ・ワクテル・バンドというコクのあるソースから、マーク・ゴールデンバーグというシンプルなソースに変えて、リンロンという素材の味を最大限引き出そうとしたようなモノだろう。
 全米10位まで上がったリード・シングル③「ハウ・ドゥー・アイ・メイク・ユー」は怒涛のドラミングで始まる超カッコイイ曲で、それまでの彼女にはなかったシャープでエッジの効いたサウンドに乗ってシャウトするリンロンはとてもあの “ブルー・バイユー” や “ラヴ・ミー・テンダー” で名唱を聴かせた歌姫と同一人物とは思えないバリバリの “ロック姐さん” だ。2nd シングルになったリトル・アンソニー&ジ・インペリアルズのカヴァー⑤「ハート・ソー・バッド」は前2作の薫りを湛えたミディアム・スロー・ナンバーだが、辛口のギター・サウンドが曲をピリッと引き締めており、全米8位まで上がるスマッシュ・ヒットになった。リンロンの “ノォォ~♪” 連発(←2分40秒あたり)に代表される感情表現の見事さも特筆モノだ。超ゴキゲンなノリがたまらない3rd シングル④「アイ・キャント・レット・ゴー」は前作の「ジャスト・ワン・ルック」に続くホリーズのカヴァーで、コレもやはりリンロンを先に聴いたために未だに彼女の方がオリジナルに聞こえてしまう。とにかく歌、演奏共にドライヴ感抜群で、まるで彼女のために書かれたような名曲名演に仕上がっており、特にリンロンの “一人おっかけ二重唱” のパートが最高に気に入っている。
 マーク・ゴールデンバーグの①「マッド・ラヴ」、⑦「コスト・オブ・ラヴ」、⑧「ジャスティン」はどれも新しい時代の息吹きを感じさせるような作風の曲で、アルバム冒頭のシンプル・ロック宣言といえそうな①、思わず口ずさみたくなるようなキャッチーなメロディーに耳が吸いつく⑦、得意とするミディアム・スロー・テンポでリンロン節が冴えわたる⑧と、全く違和感なく “新しいサウンド” を自家薬籠中のものにしてしまっているところが凄い。エルヴィス・コステロの②「パーティー・ガール」、⑨「ガールズ・トーク」、⑩「トーキング・イン・ザ・ダーク」に関しても同様で、しっとり系の②、ノリノリの⑨、颯爽と闊歩するような⑩と、どんなタイプの曲でも完全にリンロン・ワールドに引き込んで表現している。特に女性同士のヒソヒソお喋りからフェイド・インする⑨が絶品で、爽快感をアップさせるバック・コーラスといい、スペクター印のカスタネット攻撃といい、文句ナシの超愛聴曲だ。ニール・ヤングの⑥「ルック・アウト・フォー・マイ・ラヴ」のしっとり&スベスベ(?)感覚のヴォーカルは聴く者を優しく包み込む心地良さで、何度も聴きたくなってしまう(^.^)
 この「マッド・ラヴ」はアメリカにおいては70年代から80年代へと移り変わる過渡期に生まれたアルバムで、当時としては十分 “新しいサウンド” だったが、今の耳で聞けばごくごく普通のポップ・ロック・ヴォーカルに過ぎない。しかしその何の変哲もないストレートでシンプルなサウンドこそが、30年たった今でもこのアルバムが古めかしくならない秘訣なのではないかと思う。「リヴィング・イン・ザ・USA」がオモテ名盤なら、この「マッド・ラヴ」は間違いなくリンロンのウラ名盤の最右翼と言えるのではないだろうか。

Linda Ronstadt I Can't Let Go.


Linda Ronstadt - Girls Talk


Living In The USA / Linda Ronstadt

2010-02-18 | Rock & Pops (70's)
 今日は大好きなリンロンの最高傑作アルバム「リヴィング・イン・ザ・USA」(1978年)である。彼女に関しては、去年たしか “初リンロン” ということでこの盤の前作に当たる「シンプル・ドリームス」を取り上げたし、「星に願いを」や「ブルー・プレリュード」といった曲単位でも何度か彼女の名唱を紹介してきた。それにしても、カントリー、ウエストコースト・ロック、オールディーズのカヴァー、ラテン物、ウィズ・ストリングス、そしてジャズ・スタンダードと、これだけ広いジャンルの楽曲を様々なフォーマットで歌ってよくもまぁあんなに多くの名唱を残せるモンやなぁと感心してしまう。最初は “ウエストコーストのじゃじゃ馬娘” と思っていたが、彼女は見た目以上に懐の深いシンガーなのだ。しかも彼女には唯一無比の “声” という武器がある。元気ハツラツ・ロックンロールにおいても切々と歌うバラッドにおいても、その強烈な吸引力たるやハンパではない。あの歌声が響きわたればそこには凛とした “リンロン・ワールド” が屹立し、一瞬にして彼女のカラーに染め上げてしまう。確かに80年代以降に出てきたマドンナやシンディー・ローパーも凄いが、リンロンは年季が違うのである。
 このアルバムが出た当時、前作「シンプル・ドリームス」にめちゃくちゃハマッていた私は大いなる期待を持ってこのアルバムを買いに走ったのだが、実際に聴いてみると大好きな前作をも凌ぐ素晴らしい作品だった。まずは何と言っても①「バック・イン・ザ・USA」、A面1曲目に置かれたこのアルバムからのリード・シングルでいきなりガツン!とやられる。音楽の “ノリ” 、 “ドライヴ感” 、 “グルーヴ” とは何かと問われたら、私は “この曲を聴いてみて!” と言うだろう。チャック・ベリーのロックンロール・クラシックスをウエストコーストの腕利きミュージシャンたちが70年代に最高の形で蘇らせた(←特にピアノのノリが圧巻!!!)演奏をバックに元気ハツラツ、ファイト一発ノリ一発!な歌声を聴かせるリンロンの何とカッコイイことよ(≧▽≦) こんな素晴らしいシングルが16位止まりで金太郎飴みたいなワケのわからんディスコ・ナンバーばかりヒットするのが納得できず、アメリカン・チャートは完全に終わっとる、と当時思ったものだった。
 シングルの切り方としては、ノリの良いオールディーズのカヴァー(「イッツ・ソー・イージー」と①「バック・イン・ザ・USA」)、スローなオールディーズのカヴァー(「ブルー・バイユー」と⑦「ウー・ベイビー・ベイビー」)、そしてミディアム・テンポのロック・チューン(「プアー・プアー・ピティフル・ミー」と③「ジャスト・ワン・ルック」)と大ヒットした前作の流れを踏襲しており、プロデューサー、ピーター・アッシャーの戦略が見えてくる。7位まで上がったミラクルズ・カヴァー⑦もいいが、私的には①と並ぶぐらい好きなのが44位止まりだった(←信じられへん!)ホリーズ・カヴァー③である。私がホリーズ・ヴァージョンを聴いたのはずっと後になってからだったので、それまではずぅ~っとリンダのオリジナル曲だと思っていた。①と同じ編成のバンドをバックにミディアムでロックするリンロンはまさに “ロックンロール姐さん” だ。特に “カモン ベイベェ~♪” のラインなんかもうタマランですよ!ワディ・ワクテルの顎が落ちそうなリズム・カッティングも絶品で、言うことナシのナンバーだ。
 シングル曲以外も良い曲が揃っている。②「ホェン・アイ・グロウ・トゥー・オールド・トゥ・ドリーム」はリンロンの名バラッドと信じて生きてきたが、10年くらい前にコレが古いスタンダード・ナンバーだと知ってビックリ。スタンダードを歌ってもオリジナルのように聴かせるあたり、さすがという他ない。コステロの④「アリスン」では⑦でもエエ味を出していたサックスのデヴィッド・サンボーンが大活躍。この④に続いてリンロンの “ひとり二重唱” にシビレる J.D.サウザーの名バラッド⑤「ホワイト・リズム・アンド・ブルース」でA面が終わる頃には完全にピーター・アッシャーの術中にハマッてしまうこと請け合いだ。
 B面では⑧「モハメッズ・レディオ」に注目!初期のイーグルスを彷彿とさせる曲想を更に魅力的にしているのが “ニュー・キッド・イン・タウンな” バック・コーラスだ。ドン・ヘンリーのリード・ヴォーカルにランディ・マイズナーとティモシー・シュミットのバック・コーラスで聴いてみたくなるような、めっちゃイーグリィ(?)なナンバーだ。アコギとオルガンだけをバックに切々と歌う⑩「ラヴ・ミー・テンダー」、もう何度聴いても鳥肌モノの素晴らしさ!!! わずか2分40秒の歌の中に何と豊かな情感がこもっているのだろう。リンロン最高!と声を大にして叫びたくなるキラー・チューーンだ。このアルバムが出た当時、アメリカのDJがエルヴィスの未発表ラジオ・テープとリンロン・ヴァージョンを合成してデュエットさせ、リスナーの大反響を呼んだという。昔一度だけラジオで聴いてめちゃくちゃ感動したのを覚えているが、何と YouTube にアップされていた。ホンマに何でもあるなぁ...(^.^) 音はあまり良くないけれど、サーフェス・ノイズの向こうから伝わってくる歌心が素晴らしい。特に “For my darling...♪” のハモリなんてもうゾクゾクしてしまう。これはもちろん非売品で、プロモーショナル・コピーとして出回っていたものを海外オークションで時々目にしてはいたが、さすがに£40~£50ではハナシにならず安く出るのをずーっと待っていたのだが、ついに昨夜$10でゲットした (^o^)丿 長い間欲しかった盤なので、届くのが今から楽しみだ。

Linda Ronstadt Living In The USA


Elvis Presley with Linda Ronstadt - Love Me Tender (Mix 1)
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The Last Concert / Modern Jazz Quartet

2010-02-17 | Jazz
 ジャズにしてもロックにしても、アーティストの音楽性というのはまずそのルーツに根差した確固たるサウンドがあり、それを橋頭保にして様々なエッセンスを取り込んでいくというパターンが多いのだが、ごく稀なケースとして、相反する二面性を同時に保持しているユニークなアーティストがいる。私にとってそんなアンビバレントなグループの筆頭に挙げられるのがモダン・ジャズ・カルテット(MJQ)である。
 MJQ はどんなジャズ入門用ガイド本にも載っていると言ってもいいぐらいの人気コンボで、ジャズ初心者の頃の私もご多分にもれず、推薦盤として紹介されていた「ジャンゴ」や「コンコルド」を買いこんだ。その抑制の効いたクールなサウンドは唯一無比なもので、特に哀愁舞い散る「ジャンゴ」やメロディアスにスイングする「ソフトリー・アズ・イン・ア・モーニング・サンライズ」なんかはめちゃくちゃ気に入って聴いていた。しかしその一方でピアニスト、ジョン・ルイスの導入したクラシック的な要素には本能的に違和感を覚え、全く聴く気にならないトラックもいくつかあった。
 ポジティヴ思考の私は “まぁ全曲楽しめへんでも何曲か当たりがあればそれでエエわ(^.^)” と自分に言い聞かせ、第2第3の「ジャンゴ」や「ソフトリー」を求めてやはりジャズ本で推薦されていた「フォンテッサ」と「たそがれのベニス」を買ってきた。しかし聴いてみてビックリ、どちらもスイングのスの字もない、とてもジャズとは思えないような眠たいサウンドで、私は “コレのどこがジャズやねん!” と怒りのあまり盤をブチ割りたくなった。今から考えれば音楽評論家の提灯記事を信じた私がアホだったのだが、結局割らずに(笑)中古屋へ即、売り飛ばしたが、あの非ジャズ的な響きを持ったクラシックもどきのサウンドがトラウマになって、その後しばらく MJQ を聴かなくなった。
 そんな私の眼を開かせてくれたのが彼らの解散コンサートの模様を録音したライヴ盤「ザ・ラスト・コンサート」だった。ライヴだからか、あるいは “MJQ としてはこれが最後” という特別な想いからか、スタジオ録音盤では端正な演奏が売り物だった彼らが実に熱いプレイを展開しているのだ。これには本当に驚いた。ヴァイブのミルト・ジャクソンはグループを離れたソロ作品の数々でファンキー&ブルージーなプレイを聴かせてくれていたので元々大好きだったが、鼻持ちならないクラシックかぶれ野郎と思っていたジョン・ルイスまでもが火の出るようなアドリブを連発している。ベースのパーシー・ヒース(←私的には最も過小評価されているジャズ・ベーシストだと思う...)とドラムスのコニー・ケイのリズム・セクションは文句ナシにスイングする第1級のリズム・セクションだ。そんな4人が一丸となって繰り広げるハイ・テンションな演奏が圧巻で、私はこの盤を聴いて “MJQ はライヴに限る!” と確信した。
 Disc-1 では兎にも角にも①「ソフトリー...」に尽きる。この曲はこれまでも何度も繰り返し演奏され、レコード化されてきてそのどれもが名演なのたが、ここで聴ける「ソフトリー...」はそれらの存在が霞んでしまうぐらいの素晴らしさ。いや、世に存在する全ての「ソフトリー...」の中で断トツの私的№1がこのヴァージョンだ。⑥「ブルース・イン・A・マイナー」は起承転結のハッキリしたドラマティックな構成を誇る8分近い大作ながら、そのスインギーなプレイの波状攻撃で一気呵成に聴かせてしまう。ただ、ライナーにジョン・ルイス作って書いてあるけど、どう聴いてもテーマになってるメロディーは「朝日のあたる家」そっくりだ。まぁ別にどっちでもエエねんけど...笑
 チャーリー・パーカーの⑦「コンファメーション」ではグループが一丸となって疾走するようなホットでファンキーなプレイが楽しめるし、⑫「イングランズ・キャロル」もめちゃくちゃスイングしていて、コレがあの眠たい「フォンテッサ」を作ったコンボかと耳を疑いたくなるぐらい素晴らしい。アドリブ・フレーズとかも含めた全体の雰囲気は①「ソフトリー」の弟分みたいな感じの曲だ。
 Disc-2 では⑨「ジャンゴ」でスタジオ録音ヴァージョンとは全く違うアドリヴを聴かせるミルトの凄さに改めて驚愕。無尽蔵と思えるかのように汲めども尽きぬアドリヴ・フレーズの連続は圧巻の一言だ。⑩「バグズ・グルーヴ」で渾身のベース・ソロを披露するパーシー・ヒースのプレイにも耳が吸いつくが、私が何よりも好きなのはテーマのメロディーに合わせてオーディエンスが手拍子するところ。 S&G の「バイ・バイ・ラヴ」でも感じたことだが、これこそライヴの醍醐味ではないか!何度も繰り返すが MJQ はライヴで最高に輝くジャズ・コンボなのだ。

↓再結成後の1982年ライヴ。ラスト・コンサート・ヴァージョンよりテンションが低いのはしゃあないか...(>_<)
"Softly as in a Morning Sunrise"Modern Jazz Quartet in London.

ブルー・プレリュード / モニカ・ゼタールンド

2010-02-16 | Standard Songs
 私は哀愁を感じさせるマイナー調のメロディーを持った曲に目がない。「ディア・オールド・ストックホルム」や「ゴールデン・イヤリングス」など、ジャズのスタンダード・ナンバーの中にはそのような哀調曲ゾーンがあり、アルバム中にその曲が入っているだけで買ってしまう。そんな哀調愛聴曲(?)の一つがこの「ブルー・プレリュード」である。
 この曲は有名なスタンダード・ソング「グッドバイ」の作者ゴードン・ジェンキンスが1932年に作曲した古い歌モノで、知名度が低いせいかあまり取り上げられることのない “知る人ぞ知る” 隠れ名曲。歌詞の内容は “愛は哀しみへの前奏曲” というブルーなムードに満ちた歌で、ブルージーなメロディー・ラインに涙ちょちょぎれる。この曲とのファースト・コンタクトはちょうどジャズを聴き始めた頃で、スウェーデンの№1ジャズ・シンガー、モニカ・ゼタールンドの歌うヴァージョンがラジオから流れてきたのを聴いて一目惚れならぬ一聴惚れしてしまった。しかし色々調べてみるとこの曲の入っているモニカのCDは既に廃盤になっておりどこを探しても見つからず凹んでいたが、数年後に高田馬場のディスク・ファンで1,000円で見つけ、大コーフンしたのを今でもよく覚えている。
 先日ちあきさんの「リサイタル」で偶然この曲の日本語ヴァージョンと邂逅した時は本当に驚いたが、よくよく考えてみれば下に挙げたシンガーはみな大好きな人ばかり。歌声が好きな歌手とは何故かその選曲の趣味までバッチリ合うというのが面白い。ということで今日は哀愁の名曲「ブルー・プレリュード」5連発です;

①Peggy Lee
 この曲が入ったアルバム「ビューティ・アンド・ザ・ビースト」は1959年のリリース当時はライヴ音源ということになっていたが、後になって実はスタジオ録音に拍手を被せたものだということが判明したいわくつきの盤。しかし名唱であることに変わりはない。ジョージ・シアリング・クインテットの瀟洒な演奏をバックにミディアム・テンポで淡々と歌いきるペギー・リーの何と粋なことか!
Peggy Lee - Blue Prelude


②Monica Zetterlund
 「ワルツ・フォー・デビィ」をモニカのオモテ名盤とすれば、この曲が入った「メイク・マイン・スウェディッシュ・スタイル」はまさに彼女の裏名盤。ビッグバンド系よりもスモール・コンボ系のジャズ・ヴォーカルが好きな私にとって座右の1枚と言えるほど気に入っている。クリスプなピアノトリオをバックにブルージーに迫るモニカがたまらなくカッコイイのだ(≧▽≦)
モニカ・ゼタールンド


③ちあきなおみ
 ちあきさんはジャズを歌おうがシャンソンを歌おうが、単に旋律をなぞって歌うのではなく、曲の髄を引き出して他の誰にも真似できないような “ちあき・わーるど” の中で表現し、まるで彼女のオリジナル曲であるかのような錯覚を抱かせるところが凄い。この「裏窓」もすぐには「ブルー・プレリュード」だとは気付かなかったほど “ちあきなおみの歌” に昇華されている。バックのヴィブラフォンが雰囲気抜群だ。
裏窓


④Zoot Sims
 スローテンポの女性ヴォーカルが主流のこの曲だが、意表をついたアップテンポで成功したのがコレ。70年代ズート・シムズの中では一二を争う名演だ。いつもは辛気臭いピアノを弾くジミー・ロウルズがここでは水を得た魚のようにスイングし、それに触発されたのかズートも負けずに歌心溢れるソロを連発する。インストの「ブルー・プレリュード」の白眉だろう。
ズートシムズ


⑤Linda Ronstadt
 まずはジャケットのリンロンに注目!とても58歳には見えない、まさにウィッチー・ウーマンの面目躍如たる美しさである。2004年にリリースされた「ハミン・トゥ・マイセルフ」はジャズのスタンダード集だが、一連のネルソン・リドル・オーケストラとの共演モノとは違い、本格的なジャズ・コンボをバックに歌っているのが嬉しい。そしてその凛とした歌声がまたコワイぐらいにキマッているのだから恐れ入る。大好きなリンロンが大好きな「ブルー・プレリュード」を歌う... これ以上何を望めというのだろう?
ブルー・プレリュード
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Agent Provocateur / Foreigner

2010-02-15 | Rock & Pops (80's)
 先日レインボーのグラハム・ボネットの暑苦しいシャウトを聴いていて、この歌い方、誰かに似てるなぁ... と思った。額に青筋立ててがなりたてるようなこの感じ、誰やったっけ?と気になって仕方がない。この “どっかで聴いたことあるけど、それが何だか思い出せない状態” ほどイラつくものはない。キッスのポール・スタンレーっぽい気もするけど、なんかチョット違うよなぁ... と小一時間悩みまくった後(←アホ?)、ついにフォリナーのルー・グラムに辿り着いた。あースッキリした(^.^) ジョー・リン・ターナーの声質でグラハム・ボネットみたいにシャウトすれば(←するかそんなもん!)ルー・グラムの出来上がりなのだ。ということで急にフォリナーが聴きたくなり、CD 棚のFのコーナーを探す。一番好きなアルバムは以前取り上げた「4」なのだが、曲聴きする時はコレ... ということで今日は「4」に続く5枚目の、そして “私の好きなフォリナー” としては最後のアルバム「エージェント・プロヴォカトゥール」だ。
 このアルバムが出たのは1984年の冬だったが、私的にはこの頃からLPの買い直しとしてではなく新譜をCDで買い始めた記憶がある。同時期にリリースされたマドンナの「ライク・ア・ヴァージン」のジャケット下部に記された FULL DIGITAL RECORDING の文字がやけに神々しく思えたものだ。ということで世はまさに80's ポップス全盛期、前作「4」が大好きだった私はこの新作を大いなる期待を持って購入した。
 まずは1曲目の①「トゥース・アンド・ネイル」、めちゃくちゃカッコエエやん!前作で大好きだった「ジュークボックス・ヒーロー」と「ナイト・ライフ」の良い所だけを抽出して濃縮還元したようなストレートアヘッドなナンバーで、まさに “ガツン!とくる1曲目” の典型と言えるだろう。フォリナーと言うとすぐにバラッドがスベッたとか産業ロックがコロンだとか言い出す連中にぜひ聴かせてやりたい痛快なロックンロールだ。フォリナーの曲にはいくつかのパターンがあるのだが、ハード系の中ではトップ3に入るぐらい気に入っている。
 コレに続くのが名曲中の名曲②「ザット・ワズ・イエスタデイ」だ。前作に入っていた「ブレイク・イット・アップ」を徹底的に磨き上げて細部にわたるまで完璧なアレンジを施したようなこの曲、何よりも胸を締め付けるような哀愁舞い散るメロディーがたまらない(≧▽≦) シンセ嫌いの私もこの曲にはもう参りました、私が悪ぅございましたと平伏すしかないぐらい見事なサウンド・プロダクションで、ルーのヴォーカルにそっと寄り添うようなバック・コーラスも実に効果的だ。
 3曲目は彼らにとって初の、そして念願の全米№1ソング③「アイ・ウォナ・ノウ・ホワット・ラヴ・イズ」だ。何としても前作「4」からのシングル「ウェイティング・フォー・ア・ガール・ライク・ユー」の10週連続全米№2というある意味不名誉な大記録の恨みを晴らさんと、ミック・ジョーンズが敢えて№1を狙いにいったフシのある入魂のパワー・バラッドなのだが、狙いに行ってちゃんと取ってしまうあたりはさすがと言う他ない。ミックは職業作家として見事に本懐を遂げたと言っていいだろう。特に後半部でゴスペル隊と一体となってルーが歌い上げるあたりの凄まじい盛り上がり様は圧巻の一言だ。
 とここまでのA面冒頭3曲の流れは完璧なのだが、残念なことに、ハード系であれバラッド系であれ、残りの曲に心に残るメロディーがない。決して悪い曲ではないが特に良くもない... そんな感じの曲ばかりで、アルバムは聴き進むにつれて尻すぼみ状態に...(>_<) ここら辺が粒揃いの名曲集だった前作との決定的な違いだろう。その中では②の流れをくむ哀愁の⑦「ア・ラヴ・イン・ヴェイン」とケレン味のないロックンロール⑩「シーズ・トゥー・タフ」が幾分マシ(←あくまでも過去の名曲群と比較しての話だが...)といった程度か。
 初期のアルバムでは旋律の薄い曲であってもギターやキーボードを中心としたバンド・サウンドでカヴァーしていたが、このアルバムでは無機質なシンセが幅を利かせてツマラン曲を余計にツマラなくしているように思う。ギター、ベース、ドラムスというロックの基本フォーマットではどうしても表現できなかった音作りがシンセによって容易に出来てしまったからこそ、メロディーの人、ミックは前作「4」以降積極的にシンセを導入したのだろうが、そのシンセが彼の、そしてフォリナーという偉大なるバンドの命取りになってしまうのである。シンセ依存症に陥る以前のフォリナーは最高だった。彼らがシンセと出会わなければよかったと思うのは私だけだろうか?

Foreigner - That Was Yesterday


Foreigner-I Want to Know What Love Is

1984 / Van Halen

2010-02-14 | Hard Rock
 YouTube を見ていると右横に “関連動画一覧” が表示される。アマゾンの関連商品表示には的外れなモノが多いが、YouTube の方はめっちゃ重宝している。私の場合、ほとんどが音楽関係の映像なのだが、そのアーティストの映像はもちろんのこと、他では見れないようなトリビュート・バンドや、以前このブログでも取り上げた “トトロック” や “メタル姫” のように素人さんによる面白カヴァーなんかも見れるのが楽しい。実は昨日もハードロック関係の映像を色々見まくっていて、一つめっちゃ面白そうなバンドを見つけた。あのヴァン・ヘイレンのトリビュート・バンドで、その名もファン・ヘイレンである。
 ハードロック系のトリビュート・バンドといえば、ジミー・ペイジ公認(?)の Led Zepagain や名古屋が誇る完コピ・バンド Cinnamon を始め、去年取り上げたガールズ・バンド Lez Zeppelin などゼッペリン系が断トツに多いが、LA 周辺にはモトリー・クルーやポイズンのような地元出身のヒーローのトリビュート・バンドが数多く存在しているらしく、中でもこのファン・ヘイレンは大人気のようだ。YouTube の映像を見たらヴォーカルのデイヴがホンモノそっくりの動きで大いに笑える。やっぱりトリビュート・バンドはこうでなくてはいけない。
 ということで今日は本家のヴァン・ヘイレンである。 VH といえば避けて通れないのがデイヴ時代とサミー時代、どっちの VH を支持するかの二者択一論争なのだが、私的にはどっちでも大した違いはない。要は “ヴォーカルが誰か” ではなく、 “エディーのギターが思う存分楽しめるか否か” を基準に VH を聴いているのであって、そういう意味では前にも書いたように 1st アルバムが一番好きだ。売り上げとか、チャート成績とかに関係なく、あのアルバムほどエディーが野放図に暴れまわっている盤はない。ただ、そーいった個人的な趣味を横に置いて考えれば、Big V の名を満天下に知らしめた大ヒット曲②「ジャンプ」を含むこの「1984」こそが彼らの代表作と言えるだろう。
 このアルバムからのリード・シングル②を初めて聴いた時、いきなり飛び出してくるシンセの音に “ホンマにこれがあの VH なん?” と信じられない気分で、思いっ切り抵抗があった。シンセの音が本質的に嫌いというのもあったが、それ以上にアメリカン・ハードロックの代名詞とも言うべき VH までが何でシンセなんかに手を染めたのか理解できなかったのだ。しかしこの曲は変な拘りや思い入れのない一般大衆に受け入れられ5週連続全米№1の大ヒットになった。確かに楽曲そのものは非常によくできたポップスで、あの爽やかなイントロだけでもう名曲の殿堂入り決定だし、中間部のギターソロの何とカッコイイことよ!わずか15秒の間にこれだけ起承転結のハッキリしたソロを弾ききるエディーはホンマに凄い。私はシンセに関しては時代の流れと諦め、カラフルなポップ・ロックとして楽しむことにした。
 全米13位まで上がった 2nd シングル⑦「アイル・ウェイト」もやはりシンセ主体なのが玉にキズだが、メロディー展開はよく練られていて、聴きこめば聴きこむほど味が出るスルメ・タイプの1曲だ。同じく全米13位の 3rd シングル③「パナマ」はまさにノリ一発、バンドが一体となって突っ走るような楽しさいっぱいの曲で、おバカキャラのノーテンキ野郎、デイヴのヴォーカルが気持ち良いぐらいこの曲に合っている。とにかく元気が欲しい時とか、ドライヴで思い切り飛ばしたい時なんかに聴くとピッタリのナンバーだ。
 私がこのアルバムで一番好きなのは⑥「ホット・フォー・ティーチャー」で、アレックス渾身のバスドラ・ソロがドコドコ鳴ってるところへエディー必殺のタッピングが入ってくるイントロ、あれだけでもう昇天モノだし、疾走感溢れる曲想、ワイルドなギター・リフ、VH に不可欠なマイケルのコーラス、底抜けにおバカなビデオクリップと、まさに VH の魅力を凝縮したような痛快なナンバーだ。やっぱり VH はギターが唸る疾走系ハードロックが最高によく似合う。もう二度とこんな凄いバンドは出てけぇへんやろなぁ... (≧▽≦)

Van Halen - Jump(Music Video)


↓そのユーモアのセンスが笑えるファン・ヘイレン
Fan Halen plays Eddie Van Halen's 'Ain't Talking 'Bout Love'


↓メタル姫ことへたれくん、相変わらず上手いなー
メタル布教活動としてHot For Teacherのギターを弾いてみた
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