魯生のパクパク

占いという もう一つの眼

皆いい人

2013年04月29日 | 兄弟関係

夕刻、電車に乗るとまだ比較的空いている、中央シートの端から2人目に座った。ベンチシートには5人ほど座っているが、内側隣の20代の女の子は20センチほど間を開けて座り、携帯に夢中になっている。中途半端に間があるから、すき間にバッグを置いた。

この長いベンチシートは、一体、何人座るのがふさわしいのか、いつも悩むところだ。大体7人座れるようにできているが、ほとんどの場合、6人が座っている。団体など、仲間で相互に譲り合えば7人座れるが、他人同士の場合、テリトリー意識が働くから、何となく6人に収まる。

電車が止まるとドッと人が乗ってきた。慌ててバッグを膝に置いて、可能な限り端の人の方に寄った。自分なりに詰める努力をしたので、また目をつぶっていると、突然、隣の携帯の子の向こうで、
「あんたも、もうチョット詰めたらどうやみんなの迷惑やろ一人で乗っとるんとちゃうんやで」と男の大声が聞こえた。

目を開けると、携帯の女の子が猛然と前を横切って行くところだった。横で60代白髪のブレザー姿のオッサンがあっけにとられているのと目が合った。が、事情が分からないから、即、目をそらせた。

一人分開いたので、オッサンは向こうの50代の女の人を見上げたら、
「あ、もう、いいです、いいです」と、女の人が困惑したように言う。

その前に、一瞬、モサモサとざわついた感じだったが、隣りに寄せてきた感じは無かったので、おそらく多少は動いたが、女の子は大きく譲らなかったのだろう。
6人掛けと考えた場合、いくらスキ間ができても、これ以上動く必要が無いと思ったのだろう。

一方、こちら側のすき間を見たオッサンは、7人座れると判断して、後ろに来た女の人の席も確保しようとしたら、女の子が動かない、
『もうチョット詰めたら、座れるやん』と、女の子の腰に体当たりしたら、ニラまれた。『なんでやねん』で、思わず大声になった・・・
きっと、そんなことが起こったのだろう。

イヤホンと携帯の世界にいた女の子にしてみれば、女の人を座らせようとするオッサンの状況や気持ちなど別世界だから、6人掛けの義務は果たしているのに、『なにするんじゃ、このジジイ』そう思っのかも知れない。
不当に怒鳴られ、頭にきて、『こんなん相手にしていられるか』と、立ち去った。
オッサンは、チョットしたことだから、黙って譲るだろうと思ったのに、行ってしまったのに驚いた。女の人は、頼んだ覚えも無いのに、もめ事には関わりたくない。

2人半の席に誰も座ろうとしないから、オッサンはやむなくど真ん中に座り、新聞を出して読み始めたが落ち着かない。
女の人はとっくに行ってしまったが、携帯の女の子は、隣の車両に行くでもなく、少し離れたニラみの利く位置で、こちらを向いて携帯をいじっている。(相当、頭にきている)
シラけた雰囲気が漂っていたが、両者とも次の駅では降りず、その次の乗換駅まで乗っていた。

この場面の主役は、バツの悪いオッサンだが、決して悪気が有ったわけではない。女の人への親切心(ええ格好)と読みの甘さ、それと、何かの虫の居所でも悪かったのかも知れない。

女の人の席を作りたいのなら、自分が立てばいい。わずか2駅だ。
女の子に譲ってもらいたいなら、もう少し穏やかにお願いしてみても良かった。女の子が立たないと思ったのも読みが甘い。
会社などで、年下にエラそうに言うのに慣れていると、思わずこういう態度が出てしまう。

恥ずかしいことになったが、「近頃の若い奴は」と思う前に、携帯をいじっていたのが、ポケットにナイフを持った男の子で無くて運が良かったと、幸運に感謝すべきだろう。

ところで、60代のこの「紳士」。間違いなく末っ子だ。
判定理由
●みんなもそう思っている、と、他力を利用する
●何かあったら、とりあえず抗議する。強く出る。
●相手の立場や考えを思いやらない。
●現象で判断する。
●反撃されずに、逃げられると途方に暮れる。
●周囲に置いて行かれると、しゅんとする。
●目先の目標(女性)に気に入られようと全力集中する。
●弱い者にいきなり上から目線。