なかなかまとまった感想を書く時間がなくて残念なのだが。
29日13時公演をB席で観て、私が最も打たれたのは
『マンリーコの恋歌』という曲だった。
私は今まで、男役が最も魅力的に見えるのは黒燕尾姿だと
固く固く信じていたのだが、今回、和央ようかを観ていて、
囚人服(ご本人曰く『コーヒー豆の袋の服』)に銀髪、
という何もない姿でただ立ちつくして歌うあの場面が、
かつて観たこともないほど強烈なものだったことに、
私は目の覚めるような想いを味わった。
何も持たない、飾りなどひとつもない、それどころか、
むしろみじめなまでに、すべてを剥奪されたあの姿が、
最も美しく魅力的だったなどとは、
私の考えていた男役の概念の中にはあり得なかったもので、
私はあの一曲を聴けただけで、この舞台を見に来た価値はあった、
と心から思った。
内容的には、作者の木村信司の言いたいことに対して、
私なりには理解でき共感できる部分がかなりあった。
私はもうこれで二十年以上、飽きもせず求道中というか、
たとえて言えば、教会のいちばん外の門を出たり入ったりして、
キリスト者となりたい思いとそこから逃れたい思いとの間を
行ったり来たりして暮らしてきたような人間なので、
作者が何に対して問題提起をしているのかに関しては、
私の中にあるこれまでの迷いが共鳴し、
理解できる面があったと思う。
もっと書きたいが時間切れ。
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