きょうの じーちゃん

じーちゃんは、見た目は機嫌良くしていたが、
左目の周りが痛いのだと言っていた。
昨日私が来たときはそんな話は出ていなかったから、
あのあと痛くなったのだろうか。

「ほんじゃが、きょうは、眼科が休みなんよ」

総合病院で、平日の朝から休む科があるのか？？
『休み』の意味は定かでなかったが、
とにかくきょうは眼科の診察は受けられない日で、
明日以降、検査をする、ということになったようだった。

「ケツと同じもんが、目の近くへも来たんかの」

これだけ省略されると、なんの話かと仰天されそうだが(^_^;、
舅は、頭蓋骨への骨転移を心配しているのだった。

このところ点滴をして貰っている様子はなく、
一応、終わったようだったが、舅は相変わらず食欲がなかった。
何を見てもイヤで食いたくない、というのではなく、
舅の場合『なんか美味いもんが食いたい』という気持ちはあるが、
出されたものが美味しくないのだという。

「主食は、ご飯と麺とパンとお粥と、選べるんよ。
ほいじゃが、主食がどれでも、結局おかずは一緒なんよ。
さめかけた和食もどきみたいな献立ばっかりじゃ。
看護婦に、『あんた、これ食いたい思う？』いうて訊いたら、
『いいえ』て言やがった(--#)」

と、じーちゃんは苦笑しながら言っていた。
健康な者でも食欲がわかないような食事を、
体のつらい病人に食べろというのは、そもそも無理ではないか？
四国がんセンターのときは、魚・和食中心のA献立と、
肉・洋食中心のB献立の二種類から選べたものだったのに、
この大学病院の食事は、これ以外に無いのだろうか。

そういえば、先日、廊下側のベッドのおじさんも、
『ここのは食事とは言えんような食事じゃ。
こがいにマズイもんは食えん』
とご家族に仰っているのが偶然、こちらまで聞こえたので、
毎日の食事が美味しくないというのは、
舅だけの我が儘とも思えないのだけど。

が。それはそれとして。舅はきょうも、喫煙室に行った。
私も、お供した（私は全然、喫煙しない。ただの同伴者）。
喫煙室は、大勢の患者さんがいて大盛況だった。
点滴スタンドを持ってここまで来ている人もいたし、
車椅子で集っている人たちもいた。
そして勿論、昨日の黒シャツのお兄さんもいた。
皆さん、ツワモノなのだった(^^ゞ。

皆様のお陰です

昨日はあれから、佐伯区から直接、大学病院に行った。
じーちゃんは、割に、しゃんとしていた。
咳が出るのは抗菌剤のクラビットを貰って少し改善し、
ケツのほうも放射線とモルヒネで多少、マシになった、
と言っていた。

だが、便秘なのだという(^_^;。
これでもう、一週間、音沙汰ナシなのだそうだ。
・・・とコレを書いていて今、私は思い出した、
MSコンチン（モルヒネ）の副作用のひとつは、「便秘」だ！
そうか、だからなんだ、今日行ったら言ってあげよう。

「それがさ。ばーちゃんが便秘で飲みよるのと同じ下剤
（＝液体のチャルドール）を、ワシも出されて飲んだんよ。
そしたら夜中に大ションベンでさ。
効くところが違うんじゃないんか思うんじゃが」

と、舅の話は相変わらず大笑いだった。
下剤服用したら利尿効果があったとは、大発見ではないか！？
多分、チャルドールを飲むのに水分を多くとってから寝た、
というのが直接の原因ではないか、とは思うが・・・・(^_^;。

昨日は、この話のあと、舅が、
こうやって起きたついでにタバコ喫いに行く、と言うので、
私も二階の喫煙所までついて行った。
廊下で出会った看護師さんの女性が、
「行ってらっしゃ～い♪」
と舅に笑いかけた。彼のタバコは既に有名らしかった(^^ゞ。

喫煙所は、二階のバルコニーみたいになった場所で、
外同然だから、空気は良いが、この季節なので暑かった。
そこに出た途端、舅は私の背中を押して、

舅「おい。あの人に、礼、言うとって」
私「えっっ？どの人に、ですか？」
舅「あの、黒いシャツの人」
私「なんと言って、何の御礼を言ったらいいんですか？」

この、結論だけで突然始まるところが非常に舅らしい話だった。
聞けば、数日前、じーちゃんは、何も食べていないのに喫煙に来て、
ここのベンチで頭がクラっとなって、ヘタり込んだのだという。

舅「自分でもわかっとるんじゃが、起きられんで。
　そのとき、あの黒いシャツの人が、看護婦さん呼んでくれたんよ」

私は勿論、その男性に近寄っていって御礼を言った。
そのかたご本人も、一緒に喫煙中だったお仲間も、
とてもきさくで、にこやかな方々だった。
見ず知らずのじーちゃんに、親切にして下さって、
ありがとうございます(T.T)。

もの食ってないので、低血糖の発作だったんじゃあるまいか。
そーゆー体調でもタバコだけは喫うじーちゃんの根性は凄い、
とは思うけども(--#)。