自分の仕事が今自分が手元でできる範囲のことだけをしていて、根本的な改革にはならないということには気付いていました。
万年筆を扱っているから、万年筆とインクと紙のことだけを考えて、その範囲の中でアイデアをコネくり回しても同じようなものしかできない。
それは世の中にたくさんあるものと、同じようなものを生み出すだけなのだと。
それでもその範囲から出ることが出来なかったのは、当店は万年筆店であるという自分で設けた制約と取り組んだことのないものに対する恐怖心でした。
何か分かれ道に来た時、どちらの道を選択するかの判断基準は勇気が必要な方を選ぶべきで、その選択をすると余程の無謀をしない限り上手く行くことが多いことが分かっていても、なかなか未知の領域には踏み込めないものです。
WRITING LAB.はアパレル業界で雑貨を卸す会社や山科のインディアンジュエリーのお店リバーメール(http://www.river-mail.com/)をされている駒村和司氏との共同作業のブランドですが、今回完成したデスクが実はWRITING LAB. の仕事が始まったきっかけでした。
前述の通り、手元のことしか意識していなかった私が空間作りについて考えるきっかけになったものです。
当店のようなお店はモノを扱うのではなく、モノや行為をキーワードに集まってくださっているお客様方に楽しい時間(店におられる間だけでなく)を提供する、大袈裟かもしれませんが私たちから見た楽しい人生を提供するのが仕事だと思っていましたが、それがなかなか具体的に考えられませんでした。
駒村氏が持ち込んだ、デスクの製作はそんなモヤモヤを壊してくれる役割も果たしているのです。
企画者としての私たちの想いも言い出したらキリがないほどですが、製作者である工房楔の永田さんのこのデスクに対するこだわりも相当なものだとこの3ヶ月の間に思いました。
回転する天板は、永田氏のアイデアだったし、収納スペースもいろいろ考えて取り付けてくれた。
アメリカ産ウォールナットから成る全てのパーツを同じ木からとって、まるで隣同士のパーツの木目が連続しているかのように見せている。
失礼な言い方になるけれど、ペンや文具だけでなく、家具でもすごいものが作れることを再確認しました。
面白さ、完成度、存在感ともに充分な天板が回転するライティングデスク、平机のラボデスク、完成しましたのでぜひ見に来てください。
価格は、ライティングデスク(幅660mm奥515mm高720mm)35万円、ラボデスク(幅1200mm奥600mm高720mm)22万円です。
平机はご希望のサイズで製作することが可能です。全て受注生産になります。