元町の夕暮れ ~万年筆店店主のブログ~

Pen and message.店主吉宗史博の日常のこと。思ったことなど。

夏季休業 8/30(日)~9/3(木)

2015-08-29 | お店からのお知らせ

8月30日(日)から9月3日(木)の間当店は夏季休業とさせていただきます。ご注意下さい。

夏と年末年始、長期の休みをとっています。

普段遠出ができませんので、その時に泊まりの旅行に出掛けています。

たった年2回の家族旅行だけど、旅の間に受けた刺激、思い出はその後の仕事へのエネルギーやヒントになることが多いと思っています。

その考えは人それぞれだけど、私は休暇は良い仕事をするためのものだと思っていて、それは会社に勤めていた時から思っていた。

良い仕事をするために休日の時間があるのだと考えていたので、堂々と休んで、定時に帰っていた。

休日を息抜きだと思うのと、仕事に生かそうと心得るのとでは齢をとるほど、大きな違いが出てくるのだと思っている。

海外には行ったことがないけれど、国内の、これはと思っていた街を順に訪ねている。
ほとんどがお店巡りだけど。

今年は金沢に行く予定にしています。

東京から新幹線が通って、ホテルの確保など難しいと思っていたけれど、普通にとれて拍子抜けだったけれど、観光で金沢を訪れる人は少なくないと思います。

大阪からもサンダーバード1本で行くことができ、距離的には長野とそれほど違わないように思うけれど、金沢は利便性に優れている。

金沢を訪れるのは3回目で、2泊3日の旅でどこを訪ねようかいろいろ考えている。

金沢に関連する本は結構あって、それら全て読んでから訪ねたい気はありますが、時間がいくらあっても足りませんので、何冊かの本を読んで金沢を知り、イメージを膨らませようとしています。

旅はどこを訪れようかという旅程を練るのも楽しいけれど、移動中の乗り物や夜宿で読む本やノート、ペン、レンズなど、何を持って行くか考えるのも楽しい。

電車で行くので、荷物はなるべく少なくした方がいいけれど、持って行かないと使うことができないので、悩ましいところで万年筆もサファリ1本あれば充分だけど、宿でゆっくりしている時にサファリで書きものをするのも味気ないと思っていますので、細字で何でも使えるオマスパラゴンでも持って行こうか。

 


黒のシュランケンカーフ

2015-08-25 | モノについて

何か月も前から、秋冬に使う鞄が欲しいと色々考えていました。

通勤に使うもので、使用頻度としては一番高いことになると思われるもので、電車の中で何か書いたり、読んだりしやすいように肩から掛けられるか、背負えるものがよかった。

仕事で毎日使っていて、持ち歩いているシステム手帳、水筒、筆入れ、財布、本、時にカメラなどは、一時期に比べるとかなり少なくなったけれど、最近休日用の鞄として気に入って使っているル・ボナーのお散歩バッグオブレにはとても収まらない。
それなりの大きさがなければならない。

当店のお客様方の間ではものすごく普通の選択だと言われるかもしれないけれど、ル・ボナーのパパスショルダーにしました。

色はシュランケンカーフのブラック。

ル・ボナーの鞄で、しかもカラーバリエーション豊富なシュランケンカーフでブラックを選択する人はもしかしたら少ないかもしれないけれど、デニムやそれに合わせて履く革靴とも相性が良いような気がしました。

それにもともと黒のシュランケンカーフを私はとても気に入っていました。

当店のオリジナルペンレスト兼用万年筆ケースやカンダミサコさんに当店オリジナル仕様で製作してもらっているA7メモカバー、A5ノートカバー、ル・ボナーさんが製作している正方形ダイアリーカバーなど、何かあれば必ず黒で作ってもらっています。

使いこんで柔らかくなって、少し艶のような光が出てきた時に、あえてブラックにして良かったとよく思います。

私の鞄はまだまだマットな感じで、真新しい革の匂いがして、気恥ずかしいけれど、使いこんでクッタリして、少し艶が出ると完璧だと今から楽しみにしています。


真似ない

2015-08-23 | 実生活


書道を始めたと聞いて、H田さんが20年ほど前の中国の墨を持って来て下さった。まだそんな大した文字は書いていないけれど。


お洒落な方ではないけれど、自分の服装についていろいろ考えるのはとても好きです。

雑誌をよく見るし、インターネットでいろいろ調べたりしていますが、私たちの年齢にピッタリと合った情報は少ないようです。30代やもっと上の世代をターゲットにした情報はたくさんあるのに。

やはりお小遣いが少ない、子育てと住宅ローンまっただ中のお父さんたちは自分の服にあまりお金をかけることができず、業界から見放されているのかもしれないと思ったりします。

でも情報が少ないことは、もしかしたら良いことで、自分らしいセンスを磨くことができるのではないかとも思います。

雑誌などのカッコをそのまましたら、相当恥ずかしいことで、それぞれの人の好みや生き方に合った似合うカッコがあるはずだから、あまり情報はなくてもいいのかもしれません。

センスを磨いて、それに合った自分らしい服装を見つけることも楽しいことだと思えます。

それは仕事でも同じなのかもしれません。

ビジネス書などを読んでも、それが必ずしも自分に当てはまるわけではなく、自分の状況、世相を読んで、自分の経験とセンスでどうするか判断することも同じことなのかもしれないと思います。

真似するくらいなら、調べたり読んだりしない方がよくて、自分が見てきたものと経験してきたこと、そして自分のセンスだけで、アイデアを練った方がいいことに最近気付きました。

まだ私の場合は、ウジウジ考えてばかりだけど。

少し軽薄な言い方だけど、ペンはオシャレに奥行きのようなものを持たせてくれる小物だと思います。

鞄や靴ほど、服装に大きな影響は及ぼさないし、時計ほど毒を加えたりしない。
でもその人の生き方のようなものを表してくれるものだと思っていて、それを扱う仕事をしているのは、偏屈な自分らしいと思います。

ペンはもちろん書くためのものだけど、その人のセンスを表すものでもあって欲しいと思っています。

 

 

 

 


ほがらかな心

2015-08-18 | 仕事について

先日の、テレビ番組「ヨルタモリ」でゲストの福山雅治さんがそのキャリアを振り返って、「売れたいとは思わなかったけれど、売れないと続けていけないことに途中で気付いた」と言っていて、確かにそうだ、それは私たちのように商売をしている者にも当てはまると思いました。

私たちの仕事の多くは、理想を追い求めながらも結果を出さないといけない。若い頃は結果と理想は両立しないように思ってしまうジレンマに陥りますが、キャリアを重ねるうちにそれらは自然とそれぞれの居場所に収まっていく。

福山さんは、私たちが仕事をしながら矛盾と感じながら葛藤してきて、気付いたらバランスを取れるようになっていたことを言っている、同年代の人の発言として「そうそう」と大変共感しました。

福山さんが言っていることは当たり前のことだけど、理想と結果の間で葛藤したことのある人ならよく分かることだと思います。

売れないと続けられないけれど、そうしていくために最も大切なことは元気だと、今は思っています。

才能や頭脳だけでは続けることができない、元気は朗らかさと言い換えることができるかもしれない。

心が元気でないとやはり仕事は続けることができません。

心が元気だから、地味な繰り返しの中でもモチベーションを保つことができるし、やりたいことが生まれてくる。

気掛かりがあったり、憂鬱があると仕事のパフォーマンスにも影響が出て、何も生み出すことができなくなります。

私たち商店主も、福山雅治さんと同じように何かを生み出す仕事をするものだったのだと思うと、自分は自分の役割を朗らかに果たしていきたいと思うのです。


季節の雰囲気

2015-08-16 | 実生活

お盆を境にはっきりと季節の雰囲気は夏から秋へと変わると思っています。

暑さ寒さは彼岸までは、あまりアテにならないと思い始めているけれど、お盆はいつも季節の雰囲気を変える。

風の肌触り、空気の匂い、日の光がはっきりと代わるような気がします。

気温はそれほど変わらないかもしれないけれど、朝晩はやはり涼しい。

子供の頃、夏最大の行事であるお盆を過ぎると、夏休みも終わり近くなったと寂しく思ったけれど、夏が去って行く寂しさは、夏がそれほど楽しいと思わなくなったこの齢になっても少なからずあります。

それはきっと夏を心待ちにしていた、子供の頃の記憶のせいだと思います。

小学校低学年の頃、宿題を溜めてしまって、母親に従妹たちはちゃんとやっているのにとかなりガミガミ言われながら、長野の母の実家で机に向かった苦い記憶がある。

それ以来宿題だけは先に終わらせるようになったけれど、それ以外の勉強は一切しなかった。

お盆と言うと日本らしいしっとりとした心持ちになると、大人になってからよく思うようになったけれど、思い出すのは子供の頃の嫌で仕方なかった宿題のことだったりするから、可笑しい。

草抜きが面倒だからと父がコンクリートで塗り固めた自宅の庭に、お盆のなるとなぜか百合の花だけが咲く。

同じ敷地内の隣の実家には父しか住んでいないので、母が帰って来る時にあまりにも寂しいので、咲いてくれるのかもしれない。

最初、花が咲く前の百合を雑草だと思って抜いたことがあり、父が「あれ百合やで」と少し寂し気に言ったので、慌てて植え直したことがあったけれど。

百合も雑草のようなものかもしれないけれど、大きな花が先、殺風景な庭が少し華やいで良いものだと思っている。


日本的な心に浸る

2015-08-11 | モノについて

お盆には、亡くなったご先祖様が帰ってくると子供の頃から言われていて、今もそうかもしれないと思っています。何てロマンのある話だと思います。

もしかしたら終戦の日がお盆なのも、戦局とか政治的な駆け引きのスケジュール以外にもそんな力が働いて、戦争を終わらせたのかもしれないと思ったりします。

お盆と戦争はどうしても一緒に考えてしまうし、戦争で亡くなったたくさんの人たちについても考えます。

今は平和に見えるこの街にも過去に空襲があって、たくさんの人たちが黒焦げになって亡くなったと、暑い季節に街が見渡せる丘に上がると、どこの街でも思ってしまう。

日本の過去にはそういう目を背けることができない悲惨なものがつきまとうけれど、ご先祖様について考えると日本的なものを大切にしたい気持ちになります。

万年筆の文字というとブルーやブルーブラックがインクらしく、一般的ですが、ペン習字の講師をして下さっている堀谷先生がいつも仰っているけれど、日本の文字はやはり黒が一番美しく見える。

万年筆は欧米で生まれたものだけど、黒インクで書くととても日本的な筆記具に感じられると思っています。

書道を習いだしてより強くそれを思うようになりました。

昔に思いを馳せて、日本的なものに惹かれる今の時期は特に黒インクを使いたくなります。

黒インクにも様々なものがあって、真っ黒に書けるセーラーの黒、濃淡が出るパーカーなどの薄めの黒、最近扱い出したローラアンドクライナーのライプツィヒブラックは藍を煮詰めて黒くしたような色でまた惹かれます。

とてもささやかだけど、過去に思いを馳せて日本的な心に浸ることができる黒インクを見直してみたいと思っています。

 

 

 

 


書道

2015-08-09 | 仕事について

定休日に書道を習いに行くことになりました。

元々妻がずっと書道を習いたがっていて、息子が小さな時から、この子が手を離れたら習いに行くと言っていた。

妻は普段書く文字も上手いし、小学4年から6年まで習いに行っていたと聞いていたので、子供の手が離れたらと言わずにすぐにでも行くべきだと思っていたけれど、経済的な理由を挙げられるとそれ以上言えなかった。

結局息子が大学3年生になって、やっと行くことができるようになった。

インターネットで色々調べて、行ってみたいと思える教室が須磨に見つかり、興味がなかったわけではなかった私も一緒に行くことになりました。

教室を探し始めて分かったけれど、ネット上に書道教室に関する情報が非常に少ないことが分かりました。

それぞれの先生がホームページを持っていることはものすごく稀だし、先生どころか書道会もホームページを持っていないところがほとんどでした。

車で走りまわって探すということもやってみたけれど、近所にはなくて、垂水区内で見つけることができませんでした。

 

先月、教室見学に行って、習いに行くことになりました。

とても小さな教室だけど、いかにも習い事をする場に相応しく、先生も気さくな男の先生で習いやすい。

教室で1時間半ほど毛筆を書き、宿題プリントでペン習字をする2本立てで、書くことがとても楽しいと思っている。

妻も書いた文字を先生に褒められて、褒められることがすごく久しぶりなのでとても嬉しいと、私への批判も籠っているのか、喜んでいました。

万年筆店をしているからには、まともな文字を書きたいという思いというか、後ろめたさはずっと持ち続けていましたが、なぜか書道を習いに行くという考えに至らなかった。妻だけでなく私ももっと早く行き始めていればと思っています。


明日は来ないかもしれない

2015-08-02 | 実生活

水曜日、高熱を出した。

それまで風邪っぽかったけれど、今まで一晩寝たら直ったりしていたので、今回も甘く見ていて、水曜日の午後も西宮ガーデンズに出掛けていた。

そういう無理もいけなかったのかもしれないけれど、39度代の熱が出るようになって、さすがに寝ておくことにしました。

もしかしたら、木曜日営業できないのではないかと思いましたが、家族の看病により熱が下がりましたので営業することができました。

今まで自分は元気で当然だった。少し調子が悪くても一晩寝たら直っていたけれど、今回のことでそれらは当たり前のものではなく、日ごろの心掛けが必要なのだと思いました。

翌日の営業日は当たり前に来ると思っていたけれど、それらはもしかしたら来ないかもしれず、今日できることはなるべくやっておかなければ、明日しようと思っていても、明日何が起こるか分からないし、自分がどうなっているか分からないということを、現実味を持って思いました。