万年筆の歴史について考えることがあって、それぞれの国においての万年筆のゴールデンエイジについて改めて認識しました。
ゴールデンエイジを過ぎると、その国の万年筆は途端に魅力を失っている。
当時売れていたものの真似のようなものが多く出始め、チープになっていきます。
そんな取り組みの中で、人は自分と同い年の万年筆を持ってみたいだろうかと思い始めました。
まず自分と同い年、1968年に作られていた万年筆について調べてみました。
もっと上の世代、1950年代までの人ならすごい万年筆がいくらでもあります。
しかし、1960年代後半は、世の中はボールペンが一般化していた頃で、60年代初頭までのドイツ万年筆のゴールデンエイジも完全に終わっていた。
1966年のラミー2000の発売というのは、かなり特殊な例だけど、ゴールデンエイジが終っていたから、あのような万年筆ができたのかもしれません。
1968年の万年筆なんて、ロクなものがないと思い始めていましたが、日本の万年筆について考えることを忘れていました。
その頃、なぜか日本は万年筆全盛の時代を迎えていて、パイロットのエリートの大型と爆発的に売れたと言われるポケットタイプのエリートSが1968年発売でした。
1967年になるけれど、継ぎ目のないスターリングシルバーのボディにプラチナペン先のプラチナプラチナが発売されていますが、これも同い年である可能性が高い。
世界は、実用のものとしてはとっくに使われなくなっていて、趣味のものとしてさえ万年筆から離れている時代。日本はなぜ万年筆全盛の時代を迎えていたのだろう。
当時、欧米のものへの憧れは変わらずにあったけれど、日本製でも良いものが出始めたことを日本人が認めて、誇りを持ち始めた時代だったのか。
そして、日本人がもともと持っている書くことを大切にする性質が万年筆をギリギリまで見放さなかったのではないか。
日本の万年筆もその後、世界の万年筆から遅れて冬の時代に突入して、それは80年代始めまで続いたはずです。
今回、今までペン先が硬くて、インクの出が一本調子で丈夫さだけが取り柄のプラチナプラチナ。
自分と同い年ということを改めて認識し、愛おしく思えるようになりました。