一期一会 ~万年筆店店主のブログ~

哲学、想いを発信している、Pen and message.店主吉宗史博のブログです。

中屋万年筆

2008-10-30 | 仕事の考え
開店前から中屋万年筆が並んでも違和感のない店にしたいとイメージしていました。
中屋万年筆は、そのデザイン、コンセプト、物作りの考え方などが好きで、お気に入りのブランドでした。
中屋万年筆を先頭に立って引っ張ってきた吉田さんとはよく話す機会があって、中屋万年筆について社外の人間の中ではかなり理解している方だと自分では思っています。
小さな会社だからできること、小さな会社だから生き残るためにしなければいけないことを中屋万年筆は実践していて、共感を持てて、勉強になることもたくさんありました。
そんな中屋万年筆は基本的に使われる人の書き癖に合わしてペン先調整をして、お好みのボディデザインを選んでいただくオーダー制になっていますが、店に来られたお客様にすぐに選んでいただけるものを10本ほど用意しました。
1本1本のペンのボディとペン先サイズの組み合わせ、ペン先デザイン、ボディカラー、クリップ色の取り合わせを考え、1本ずつのペンにストーリーを持たせたいと思って考え抜いた組み合わせで、当店からの中屋万年筆の提案を形にしたものだと思っていただけたら、選ぶのも楽しいと思います。
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カルティエ

2008-10-30 | 仕事の考え
カルティエには、仕事において様々な出会いなどもあり、個人的に思い入れがあり、ぜひ扱いたいブランドでした。
その歴史や今まで作ってきた製品などを見ていて、このブランドの筆記具への伝統やただならぬこだわりは知っていましたし、カルティエらしさをさりげなく筆記具というスペースの限られたもの溶け込ましてデザインしているところも大好きでした。
カルティエの栄光に彩られた歴史を知ると、そのイメージを上げようと筆記具メーカーがブランドイメージを無理して上げて近づこうとしても届くものではないということが分かりますし、その洗練されたデザインとそれ以前のものの考え方に違いがあると思っていました。
今の万年筆のマーケットを支えているのは、それを物として好きな人ですので、メーカーは、万年筆を物として好きな人が喜ぶようなマニアックな方向への工夫をしています。
こういう一般の世界から離れたマニアックなペンの世界が大好きですが、カルティエが示す、洗練された、スマートなペンの存在もあるべきだと思います。
ペンだけに良質を求めないバランスのとれた志向、価値観を持っている人もいて、そういう人にとってこういった老舗ブランドの提案する美しいペンがなによりも優れたペンなのだと思っています。
万年筆が好きな人、使ってみたいと思っている人が集う当店において、カルティエのペンが必要なのかという疑問を持たれる方もたくさんおられるかもしれませんが、万年筆にこだわりの強くない人への特別なプレゼントや、良い万年筆は使ってみたいけれど、泥臭いペンの世界に抵抗があるという人にはいいと思います。
正規取扱店として認定されていますので、カルティエの意向を尊重して、インターネット通販は行うことができませんが、デザイン的に洗練された、スマートな考えに基づくペンをマニアックなペンの世界独特のペン先調整によって、書きやすいさらにスマートなものにしてお客様にお渡しできることに、当店で扱う価値があると思っています。
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雑記から11月号完成

2008-10-27 | 仕事の考え
ご来店いただいたお客様やインターネット通販をご利用いただきましたお客様にお渡ししております雑記からの11月号が完成いたしました。
初めてご来店いただいたお客様との話のきっかけになればという気持ちで昨年の11月号から始めましたが、早いもので2周目に入りました。
毎月月末になると、過去に書いたノートを読み返して原稿に使えそうなものを物色して、なければ大慌てで新しく書くという生活パターンになっています。
雑記からのように、締め切りに追われるものに関して考えると、月日はあっという間に過ぎていきます。
同じような感覚を持っているものに、先日のホームページのリニューアルでできた新コーナー「ペン語り」も同様に締め切りに追われていますが、こちらのコーナーはまだ3回目の投稿ですので、感じがまだつかめていないというところでしょうか。
全て自分で始めたことなので、誰にも文句を言うことができませんが、これが一生続くと思うと、少しゾッとします。
家に帰って、書きたいことや感じたことがあれば大和出版印刷の製本ノートに書き込むのが、日課というか楽しみになっていて、それをブログや雑記から、ペン語りにしています。
自分のささやかな楽しみを仕事とさせていただいているので、それは本当に幸せなことなのだとも思っています。
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神戸の夜

2008-10-23 | 仕事の考え

学生の頃から元町には毎週遊びに来ていました。
ビルの2,3階などにある何軒かの中古レコード屋さんが目当てで、この頃バイト代のほとんどがレコード代とガソリン代に消えていました。
一人で来ることもありましたが、たいてい仲間たち数人と小さな軽自動車に乗って、元町に来ていて、レコード屋さんを全て回って、お腹が空いた時私たちはいつも1丁目の通りから少しだけ外れた王将に入りました。
値段が安いのと、王将の中でもこの元町の王将が一番おいしいと私たちは信じていましたし、当時の私たちにとって王将はご馳走でした。
当時あった2階の座敷で、ご飯と餃子だけ注文して、1時間以上はいたように記憶しています。
そんな学生食堂のように使っていた王将に先日永田さんが岐阜から来ましたので、大和出版印刷の川崎さん、多田さんを交えて行きました。
今回、なぜ王将に行くことになったかというと、前回の最高級肉のKOKUBUで自分の行きつけの王将自慢をし合ったからでした。
王将はチェーン店ですが、店によってセットの内容が違ったり、味が違ったりするため、それぞれの人で好きな王将があるようです。
楔の永田さんと川崎さんは同じ大学の同級生だったので、共通の話題も多く思い出話に花を咲かしていました。
どこの店に行っても、お酒を飲みながらゆっくり語り合いながら、食事をするということがあまりなく、運ばれてきた皿を全員で一気に空ける王将のスタイルでも何も変わりませんでした。
7人という多人数ながら、5,800円という低価格に驚きました。
王将の後、いつものバランザックに行きました。

永田さんは今回も新しく作ったものをいくつか持ってきてくれました。
お客様からの要望で作った、V 字溝の3本用のペントレーとコーヒーの木のパトリオットペンです。
ペントレーは場所をとらず使いやすい短寸https://www.p-n-m.net/contents/products/KS0027.html
と万年筆などを安心して置くことができる長寸https://www.p-n-m.net/contents/products/KS0026.htmlがあります。
造形に変に凝ることなく、実用性だけを考えた永田さんらしい、材の良さを引き出したものだと思っています。
コーヒーの木は、とてもきれいな真っ白な木で、柔らかなスベスベした手触りが特長です。永田さんがコーヒーアカデミーの先生の要望に応えたものです。
最近、永田さんの作品を扱い出した分度器ドットコムの谷本さんと商品の取り合いをしながら、永田さんが持ち込んだ作品を補充しました。

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新しいお客様方との出会い

2008-10-19 | 仕事の考え
同じ元町に住む、元町駅東口北で「カレーパルフェ」を営むご主人が、記者の方に当店のことを紹介してくださり、10月18日の神戸新聞朝刊の「寄り道」というコーナーで当店が紹介されました。
京阪神にあるマイナーでユニークなお店を紹介するコーナーで、過去の記事を見せていただきましたが、どの店も個人経営で小さいながらもユニークなメニューを提供している飲食店が目立ちました。
30分くらいの短い取材の後、ニュースとの兼ね合いもあるので、いつ掲載できるか分からないと言われましたが、こんなに早く載るとは思いませんでした。
その日は朝から当店の場所を確認する電話が何本もかかってきましたが、今まで来てくださっているお客様方よりも上の年齢の方が多いように思われました。
来られたお客様に新聞に載っていたと教えていただいてやっと事情が飲み込めました。
記事は簡潔にスマートに当店のことを伝えていて、とても良い内容でした。
暮らしの手帖、新聞などは年配の人の目につくことが多いし、インターネットで情報収集をする習慣のない人にも当店のことを知ってもらえる機会になると思いました。
それらの記事を読んで来られる年配のお客様方の全員が万年筆を持っていて、それを以前からもう一度使いたいと思っておられた方ばかりでした。
どこかで万年筆を使えるようにしてもらいたいと思いながらも、人の多い週末しか開催されない万年筆クリニックには行けませんし、万年筆クリニックの慌しい雰囲気やスピードが年配の人たちに気後れさせてしまうようでした。
以前は万年筆クリニックを仕切る立場にいましたので、今更ながら反省させられます。
しかし、この店なら、年配の方にもゆっくり座って落ち着いて調整を待つことができますし、試し書きをすることもできます。
座って対面でお話するといろんなお話をうかがうことができます。
私が生まれた長野県諏訪市出身の男性とは、同郷として共通の話題で盛り上がり、私よりも20年も早く、私の自宅の近所に住む女性とは非常にローカルな情報を交換しました。
でも、本当にありがたいと思ったのは、どの方も来て本当によかった、こんなに嬉しいのは久しぶりだと言ってくださった、そんな言葉でした。
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加藤製作所

2008-10-17 | お店からのお知らせ
加藤さんが日本国内での販売に専念することになり、当時株式会社酒井の営業をしていた関西万年筆業界の生き字引Yさんに加藤さんを紹介されてから、8年くらい経つかもしれません。
訪れた加藤製作所の強烈な印象は今も覚えています。
セーラーの工場で万年筆作りを見たことはありましたので、万年筆は広い工場で分業して行い、特別なものは別室があり、そこで静かに作られるものだと思っていました。
しかし、加藤製作所では加藤さんと奥様が轆轤を回し、1本ずつ手でセルロイドを削り、金具を取り付け、ペン先をはめ込んでいました。
工場の中の事務所で、エジプト時代のこと、ビスコンティのこと、他の筆記具メーカーのことなどを気さくに話してくれる加藤さんに対面して、若かった私は世界をまたいで活躍した万年筆職人さんという表面的な部分しか感じることができませんでした。
それから大変お世話になり、困ったことがあった時、加藤さんの口利きで職人の方の力を借りることが何度かあり、その人望と幅広いネットワークを知りました。
自分の力を信じて、一匹狼で60年以上も万年筆の業界で生き続けてきた、タフな反骨精神の持ち主で、声を掛けると力を貸してくれる仲間がたくさんいる加藤さんの本当の偉大さが少し分かってきた気がしています。
加藤製作所の万年筆を扱いだしました。
全て14金ペン先のモデルで15,750円から21,000円という価格帯になっています。
セルロイドという今では人の手が必要なため高価になってしまった素材を安価に提供してくれる加藤さんの姿勢は何も変わっていません。
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気分転換

2008-10-16 | 万年筆
日々の生活に不満やストレスがあるわけではありませんが、自分の中にある田舎への憧れを抑えることができず、暇を見つけては郊外へドライブに出掛けます。
特に理由もなく、その時の気分次第ですが、今日の目的地は北条と決めていました。
第2神明、加古川バイパスで加古川まで行き、そこから加古川の堤防を走ります。
堤防の上のガードレールのない道は、それほど道幅も広くないのでスピードを出すとスリルがありますが、加古川の大きな河川敷と川沿いの住宅地の雰囲気がとても好きです。
淀川沿いの街高槻で育ったので、加古川東岸の風景はとても懐かしい気分になります。
池尻橋を渡り、県道79号線を北上します。
途中権現ダムなどがあり、ドライブや遊びに来ている人や車を目にしますが、しばらく走ると車は非常に少なくなります。
点在している民家と畑、遠くに見える低い山々の播磨の田園風景を見ることができます。
ここに住む人たちはどんな仕事で生計を立て、休日はどんなふうに過ごしているのかなどと考えながら、車を流すのが好きで、これだけが楽しみで車に乗っていますので、洗う時間がなく車はいつもどろどろです。
小野市粟生から加西市北条町まで走る1両だけの北条鉄道の線路をまたぎ、左に曲がってしばらく走ると街が開け、北条の町に出ます。
町自体は非常に小さく、端から端まで車ですぐに行くことができますが、北条町駅の周辺に市街地が広がっています。
駅近くにはとても大きなイオンが建設中で、前の道はとてもきれいに、道幅も広く整備されていて、新しい北条のイメージ作りに努力されています。
このショッピングセンターが町の中心になり、集客の目玉になっていくのでしょうが、これで地元が活性化していくのかどうか分かりません。
イオンの近くに最近閉店してしまったジャスコがあり、それはあまり古い建物には見えませんでしたがゴーストタウンのようになっていました。
すぐに分かりませんでしたが、旧街道があり、古い商店が軒を連ねていましたが、ほとんどの店のシャッターが閉まっていました。
旧市街と呼んでいるようですが、この地域の復興も目論んでいるようで、10月18日からのイベントの告知がされていました。
生野銀山、和田山、日本海に抜ける街道の宿場町として栄えた北条でしたが、旧市街にはその雰囲気しか名残はありませんでした。
建設中の大規模なショッピングセンターと整備された道、ショッピングセンター新設により移転を余儀なくされた大規模なスーパーマーケット、そのスーパーマーケットの出店で閉店を余儀なくされた旧市街の商店。
北条にはすでに3段階目の商業形態の変化による波が押し寄せていました。
勝手に北条の町を憂いて、暗い気分で車を走らせ始めましたが、帰りはまた違う田舎道を走り、景色を楽しみながら帰ってきました。
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机禅文庫

2008-10-13 | 仕事の考え
古書業のTさんは、独立して今のお仕事を始める前は不動産業や内装のお仕事をされていて、まだ当店の物件が決まらないうちから助けてもらっていました。
豪雨の中、一緒に物件を見てくれたり、相談に乗ってくれて精神的な支えにもなってくれました。
工事業者などに対する何の知識も強かさももっていなかったので、良心的な会社と出会う必要がありましたが、Tさんのコネクションにより実現し予定通り店を開けることができました。
そんなTさんと店の運営でも協力し合っているのが机禅文庫です。
私はこの店を思考を刺激する空間にしたかったので、様々な本を扱いたいと思っていて、Tさんとの協力関係はそれを実現するのに不可欠でした。
Tさん自身も非常にアクセス数の多い万年筆関係のホームページを運営されていて、万年筆の知識も豊富です。
机禅文庫によって、趣味としての万年筆の楽しみを味わっていただくとともに、お仕事のインスピレーションを呼び起こすきっかけになればと思っています。

机禅文庫の蔵書リストhttp://huruhon.marutodo.com/kizen/
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ホームページリニューアルしています

2008-10-13 | 仕事の考え
オープンして1年が過ぎ、当店もサービス内容の充実を目指して様々な部分に手を入れて、改良していきたいと思っています。
数年おきに大規模なものを実施するのではなく、小さな改良を継続的にしていくべきだと思っていますが、それをするための大きなリニューアルをホームページに行いました。
昨年ドタバタの中で作ったホームページを大和出版印刷の多田さんとディスカッションを重ね、全面的に変更しています。
店の雰囲気を反映したもの、デザイン的により統一性のあるもの、皆さんが見て楽しめるものを目指したもので、これから充実させていきたいと思っていますので、よろしくお願いいたします。
一部不完全な部分(カート画面)もありますが、今週中には適切なものになりますので、ご了承いただきたいと思います。
http://www.p-n-m.net/
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恵まれている人とそうでない人と

2008-10-09 | 万年筆
朝から西宮市の夙川、苦楽園辺りの小奇麗な街を散歩して、ドライブしました。
商店のシャッターが軒並み閉まっていることはなく、こだわりの強い感じの店ばかりありました。
裕福そうな大きな家が多く、街並みは美しく、すれ違う人たちはそれぞれのライフスタイルを楽しんでいるようでしたし、外車もたくさん走っています。
阪神間は山の手と平地では、かなり雰囲気が違っています。
私のような庶民の家に生まれた者には縁のない世界で、憧れを抱くほど身の程知らずでもありません。
反対の立場にいる人間のひがみから、富の集中という言葉が頭の中でグルグルと回っていました。
1年で1万社以上の会社が倒産していることに危機感を感じ、残業代をカットされても長時間働かないといけない人がいることなどとは無縁な生活を送る人もいるということを感じながら、帰ってきました。

夕方からは妻と息子に誘われて、テレビドラマガリレオの映画版、「容疑者Xの献身」を見に行きました。
かっこいい福山雅治が活躍するミーハーな映画だと、少し馬鹿にして観始めましたが、少し違っていました。
若い女の子のお客さんもたくさんいて、ガリレオのかっこよさを観に来た人には少し辛かったのではないかと思いました。
大学時代に天才と言われた高校の数学教師は、単調で不本意な生活の中で、隣に引っ越してきた感じの良い母子に暖かい気持ちを抱きます。
好きな数学の研究に没頭し、その頭脳に磨きを掛けながらも、それを発揮する場のない天才の閉塞感は始めから終わりまでスクリーンに重くのしかかり、この映画の雰囲気を支配します。
同じく天才と言われた主人公の湯川は大学に残り、地位も名誉も手に入れていて、片や底辺高校の数学教師として不遇にも埋もれている。
地図を開き、映画の舞台になった場所を見ると、そんな男の孤独がより一層強く感じられました。
映画を観た後で、あまりに重苦しい気持ちになりました。
それは内容が悪かったのではなく、ストーリーが重く、ゲスト的な堤真一の存在感があまりにも強かったからだと思います。
そして何よりも、単調で不本意な生活を送り、その能力と仕事が報われない人が大部分だという現実を思わずにはいられなかったからだと思います。
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