元町の夕暮れ ~万年筆店店主のブログ~

Pen and message.店主吉宗史博の日常のこと。思ったことなど。

京都手書道具市(9/9~11)

2022-08-28 | 仕事について

都手書道具市が9/9(金)~11(日)開催され、当店も参加します。

条件が合えば関西でのイベントにはなるべく参加したいと思っています。

地元を盛り上げたいというローカリズムの心を私も持ち合わせているし、宿泊費をかけずにイベントに参加できることが採算を考えるととても有難い。


イベント中もなるべく店も営業したいと思っています。
9日当日車で荷物を運び込んで準備をして、京都を出れば16時から神戸でも営業できると目論んでいます。
イベントには日本中のいろんなお店が参加していて、お店の人たちと言葉を交わすのも楽しいし、たくさんのお客様が来られるので、本当に楽しい夢のような時間ですが、私は店番をしています。

神戸、京都の往復をレンタカーですることになり、それが少々不安ですが何とかなるだろう。
これくらい無理してでも関西のイベントに参加したいと思うのは、当店をもっと多くの人に知ってもらいたいと思うからです。

この近所ではわりと皆さん当店のことを知ってくれていると思いますが、元町を出ると当店のことを知っている方は少なく、まだまだ無名だということを思い知ることがあって、がっかりします。
気付いたら、文房具好き、万年筆好きの方が入れ替わっていて、新しくこの世界に足を踏み入れた方には知られていないと実感しています。
イベントは新しい文房具、万年筆を好きになった方に知ってもらうことができる貴重な機会でもありますので、また一からのつもりで知ってもらえるようにしていきたい。

今回の手書道具市で販売したいと言ったら、aunの江田明裕さんがガラスペンを間に合わせて作ってくれましたし、他の職人さんたちも協力してくれました。

このイベントは昨年から始まった新しいイベントで、いいものにしていきたいという主催者の熱意がここでも感じられて、私たちもその役に立ちたいと思います。

昨年は8月上旬の開催で、京都ということと、歴史ある建物ということもあって、ものすごく暑くて、汗を流しながら仕事をしていました。
それも語り草のようになっていて、今では笑い話ですが、今年は9月の開催で、少しは涼しくなっていると思います。

入場券が必要で、前売り制になっています。
皆様ぜひ、京都にも、そして神戸にも来て下さい。


救急車に乗る

2022-08-08 | 実生活

低血圧のせいかたまに立ち眩みのようなめまいがあります。いつもはしばらく座っていると回復して普通になりますが、日曜日はいつまでも目が回って、座っていられないほどでした。

90分以上そうしていて、埒が明かないので、森脇に救急車を呼んでもらいました。

お世話になったことのある人は分かると思いますが、救急隊員の方々がいるという安心感はすごくあって、車内で私の症状、身元の確認、家族への連絡などテキパキと処理していく。

普通なら目をつぶっていても分かりそうな地元の道ですが、どこをどう走っているのか分からないうちにあっという間に兵庫区の川崎病院に着いて、いろいろ検査をしてくれましたが、頭も血も良好とのことで、疲れが溜まっていたのでしょうねということになりました。

川崎病院には普段車で垂水区と明石市から出たことのない妻がナビを頼りに道に迷いながら迎えに来てくれて、しばらくして帰りました。

結局その日一日目が回っていたけれど、月曜日から嘘のように何ともなく元気に店で仕事をしています。

救急車まで呼んで大騒ぎして恥ずかしかったけれど、どこも悪いところがなくても、こんなにしんどいことがあるのだと自分の年齢を感じましたし、何の持病もない普段の健康の有難味が分かりました。これから摂生に努めないといけないと思いました。


象徴するもの

2022-08-02 | 実生活

今年9月で店を始めて15年になります。30年でも50年でも続かないと困るので、15年だからめでたいとか言うつもりはなく、ただの通過点だと思いたいけれど、過ぎ去った日の雰囲気を懐かしむような気持ちはあります。

プラチナ万年筆が代表的な万年筆のシリーズ3776センチュリー発売10周年を記念して、限定万年筆センチュリーディケイドを発売しました。
黒いボディに金の金具の、おじさんが好みそうな渋い万年筆です。
ペン先が特別で、今までのものよりも少し柔らかく、文字に強弱をつけて書きやすい。
こういう派手さはなく、渋い限定品に個人的に惹かれます。

3776センチュリーは、1万円台の14金ペン先の万年筆で、初めて万年筆を使うという方にもお勧めしやすいものでしたので、高校の同級生が万年筆を買いに来てくれた時にも買ってもらったこともありました。

3776センチュリー発売の時、当店は創業4周年を過ぎた時で、まだ出来立ての店と言ってもいい存在でした。
その頃の気持ちを思い出すと、むしろ今よりも楽天的な明るい気持ちでいたことを懐かしく思い出します。

あの時は店に無限の可能性があると信じていて、いろいろな夢を持っていた。今はあの時には考えつかなかったこともやれていて、店として成長しているはずなのにあの時のような気持ちとは違う。

きっとあの時の自分よりも今の自分の方が成長して、知恵もついて、少しは物事が分かってきたのだと思います。だからあの頃にような楽天的な気持ちになれずいろんなことを気に掛けるようになってきた。それはもしかしたら良いことなのかもしれないけれど、どっちが幸せなのだろうか。

あれからもう10年経ったと思うと、歳月の過ぎる速さに呆然としてしまいます。

センチュリーディケイドが指す2011年から2022年の歳月を私も懐かしく思う。
でも、もし時間を戻すことができたとしても、同じ幸運がまた自分に訪れるとは限らないので戻りたいとは思わないけれど、せめて若かった時のことをたまに万年筆を手に取って思い出せたらいいと思い、センチュリーディケイドを手に入れました。

センチュリーディケイドにはシリアルナンバーが入っていて、当店の創業年と同じ2007があっというものがあったので、それを使うようになりました