元町の夕暮れ ~万年筆店店主のブログ~

Pen and message.店主吉宗史博の日常のこと。思ったことなど。

関西人の反骨~神戸ペンショーに参加して~

2020-11-29 | 実生活

関西人は少なからず、中央への反骨心のようなものを持っているのではないかと思います。

その表現の仕方は県民性などにより様々だけど、神戸人は無関心によってそれを表現する。

自分たちの街に愛着を持っていて、規模は小さいながらも仕事も生活もこの街の中で楽しくやっていられる。
神戸で暮らしていこうと思えば、暮らし続けることができる、適度に都会だけどスローな雰囲気が漂う街。

自分がそうだけど、神戸人は神戸が地方都市だとは思っていなくて、この街こそが世界の中心だと思っている。

神戸ペンショーに参加して、その場所に居合わせて、その和やかな雰囲気を感じながら、中央への反骨という言葉がずっと頭の中から離れなかった。

神戸ペンショーは、万年筆愛好家の集まり y.y ペンクラブが万年筆を生業とする全国のお店を集めて開催した、いわばノンプロの集団がこの道のプロを従えて開催したペンショーで、神戸らしい気骨を私は感じていました。

人を集めるための大々的な告知や商売上手と言われるような戦略をとらず、真っ向からのストレート勝負のような正攻法での開催で、それが始まって6回目の神戸ペンショーの伝統なのだと思いました。

私の偏見かもしれないけれど、神戸の人間は、商売上手だと言われることを嫌います。戦略を立ててそれを遂行したとして、それを商売上手だと言われた時点で、自分の浅知恵に後悔してしまう。
小賢しい戦略のようなものを嫌い、正面から力でぶつかる勝負を好みますがそんな神戸らしさのあるペンショーだったと思います。

もちろん例年以上に、人が密集しすぎないよう努力されていて、開催の主眼を安全に一人一人のお客様が楽しめるようにということに向けられていたように思い、私たちは仕事がしやすかった。

当店もいつもストレート真っ向勝負の神戸人の気骨のある店でありたいと思う。
今回の神戸ペンショーでも、運営の方々と同じ思想で仕事をさせてもらったと思っています。


ご来店いただいたお客様方、運営、サポートして下さった皆様に感謝しています。

 


若い頃の経験

2020-11-26 | 仕事について

会社にいた時、入社2年目から5年間、店頭という場所の担当を任されていました。

店頭というのは、店の外側にワゴンを並べて、季節に合った商品、万年筆、手帳、クリスマスカード、年賀状から新製品のPRイベント、ポケットベル、携帯電話などあらゆるものを扱う場所でした。

他の人はエアコンの効いた店内で快適を仕事しているのに、自分は夏は汗だくで、冬は寒さに凍えながら仕事をしていた。特に冬は毎朝仕事に行くのが憂鬱で、毎日家に帰るのが楽しみでした。

そんな経験が自分の仕事のはじまりの時にあったので、今の快適な店の中で仕事をしていられることがとても幸せに感じます。

店頭には、店内とは別に独立したレジがあって、売上など成果がはっきりと出ます。

自分で企画して、商品を選ぶ自由もかなりあったし、アルバイトさんのシフトも組めた。
今思えば協調性のない自分には最適な場所だった思い、当時の上司の人を見る目の確かさに驚く。

そこで自分は手帳が好きなのだと気付くことができたし、携帯電話の接客は今の万年筆の接客に生きているし、年2回ほどしていた万年筆クリニックでは、自分もいずれこの仕事がしたいという目標ができた。

ペンショーなどの長机に商品を並べて販売する時、いかに高さを出して、売場に変化をつけて見栄えよくするというようなことを店頭で覚えました。

若い時に苦労して身に付けたことは生涯忘れないと思えるのは、この店頭での経験が自分の根底にあり続けているからで、そういうものは何かの拍子に思い出せて役に立ったりします。

前の会社には販売が天職のような、店の仕事の才能のある人たちもいましたが、私はそういうタイプではなかった。
店頭での5年間でやっと、販売の仕事を覚えることができたと振り返って思います。

今は様々なことを店の人間の立場で考えることができるけれど、それには店頭での経験が私には必要だったのかもしれない。

当時は、辛さも感じていたけれど、自分にはなくてはならない期間だったと思えます。

 


今年初めて兵庫県から出る

2020-11-02 | 実生活

いつもゴールデンウィーク明けに休暇を取っていましたが、休んでも行くところがない状況でしたので、今年の夏休みはなしにするかもしれないと思っています。

今年になってから、自粛というつもりはなかったけれど、気が付いたら兵庫県から1歩も外に出ていないかった。
多くの人がきっと同じように思っていると感じるけれど、もういい加減いいやろうという思いに突き動かされるように、旅行の予約をしました。

9月過ぎてから一気に人が動き始めたことを感じていました。
日本人は国に従順で、国に言われたから家にじっとしていたわけではなく、自分たちで様子を見て、今動き始めたのだと思います。
Go Toはたまたまタイミングが合ったからだ。

たしかに専門家の言う通り、家でじっとしていたら風邪もひかないだろう。
でも全てを止めている間に、誰かに日本の全てを持って行かれるような焦りも感じ、私たちは動き始めたのだ。

箱根に行ってきました。
関西から箱根に行くのは、何か変な感じがするけれど、関西の温泉地とは違う規模の大きさを、近隣の施設が一体となった観光地箱根に感じました。

一番の目的は、何度もスイッチバックする登山電車やロープウェーに乗ってみたかったということだけど。

それほど色々周ったわけでもないのに、2泊3日しましたのでゆっくりすることができて、いい気分転換をすることができた。


どこに行っても、時計を見て、いつもならこの時間は何をしているとか、仕事の時間を考えてしまいます。
でも店から離れて、自分の店や仕事について考えることは必要なことだと思うと、休暇が仕事にとっても有意義なことだと思える。

平日が休みなので、今までの休みも東京以外では人が多いと思うことはありませんでした。
きっと箱根も空いているだろうと思っていましたが、その人の多さにショックを受けました。

ショックを受けたのは、人が多くて何でも並ばないといけないというようなことではなく、関西の観光地とあまりにも人出に違いがあったからです。それともGoToの恩恵で関西の観光地にも今まで以上の人が来ているのだろうか。

私たちの若い頃のバブル期には、どんな田舎の観光地にも人が来ていて、どこもにぎわっていました。
でも長くそんな光景は見ていない。

でもたくさんの人が来ている観光地を見るのは、皆が幸せそうに見えて、嬉しくなります。

そう言うと、妻は面白がって何様の立場?と笑うけれど、別に神様でもなんでもなくて、一市民として心からそう思っていて、その幸せそうな風景と自分たちの仕事が直結していると思うから、嬉しくなるのだと思います。