元町の夕暮れ ~万年筆店店主のブログ~

Pen and message.店主吉宗史博の日常のこと。思ったことなど。

万年筆で美しい文字を書こう今後

2010-11-30 | 仕事について

Fridayworkshop“万年筆で美しい文字を書こう”の講師をして下さっている堀谷龍玄先生と打ち合わせをしました。
当初、回を追うごとに楷書、行書、草書と難易度を高めていくという予定にしていましたが、私の希望もありまず楷書をきっちりと修得しようということになりました。
半年間(4月まで)は、楷書を徹底的に練習して、その後行書などの応用に入っていくというカリキュラムになります。
次回12月3日(金)は、年賀状を美しく書くということで、宛名、差出人名などを美しく書くための講座になっています。
前回参加された方は、提出していただいたご住所、お名前のお手本を堀谷先生が書いて下さっていますのでお渡しいたします。
次回からご参加される方も、別カリキュラムでご指導いただきますので、ぜひご参加ください。

参加ご希望される方は、電話(078-360-1933)かメール(penandmessage@goo.jp)までご連絡ください。


恵まれていると思う

2010-11-23 | 仕事について

先日、ル・ボナーの松本さん、お客様のFさんご夫妻、大和出版印刷の多田さんと近く洋食店ゲンジ、西村コーヒーで夕食会をした時に改めて感じましたが、独立して自分の仕事を始めた人の中で、私ほど恵まれている者はいないと思います。
自分で万年筆の店をしたいという想いだけあった時に、たまたま古山画伯に紹介された松本さんと出会うことができて、困った時に相談したりして、気が付けば今の場所にいた。
松本さんとの出会いなしには、今の自分は存在しないし、Pen and  message.という店も存在しなかったと思うと人との出会いや全てのことにおいて非常に恵まれていたと思っています。
夕食会の時にFさんが松本さんは何も奪わない、見返りを求めない人と言いましたが、確かにそうで、松本さんと最初に出会ったことなしに店を始めて3年続けることができているということはなかったと思います。
松本さんのその姿勢は今の私の一緒に仕事をして下さる皆さんとの付き合い方に大いに影響を与えています。
良い気持ちが良い気持ちを生み、それが少しずつ大きくなっていく。
そんなふうに、今の仲間たちが集まってきたのだと思うと、それはとても尊いことなのだと改めて感じています。
それは自分が協力したいと感じる人とだけ一緒に仕事をしているからできることで、とても贅沢な恵まれていることだと思っています。
でも、自分と波長の合う人、尊敬できる人とだけ仕事をするという姿勢は、私たち個人事業ではとても大切なことで、それはもしかしたらお金のことを先に考えると後回しにされることなのかもしれませんが、まず一緒に仕事をしたい人と仕事をする。
そして結果は後から付いてくる。
そんなふうに考えることができるようになって、とても軽い気分になりましたし、悪い方向には向かないのだろうと思っています。


西へドライブ

2010-11-14 | 仕事について

非常に近い県民会館でワーグナーの神戸大会があり、賑やかな土曜日でした。
週末はいつもこんなに混んでいるのですか?と驚かれる初めて当店を訪れるお客様には、いつもは空いていますよと変な言い訳をする日ですが、ワーグナーの会場での活気が当店にも伝わってくる嬉しい1日です。
会場でたくさんの万年筆を見た後も、当店をこうやって訪れて下さる皆様のお気持ちがとても嬉しく思っています。

営業時間が終わった後、土曜日の定例になりつつある分度器ドットコムの谷本氏と夕食へ出かけました。
グルメなお客様Oさんのお勧めの店のひとつ加納町の洋食味加味へ行きました。
味加味は、非常にジャンルを超えたたくさんのメニューがあって、いろいろ食べてみたいと思うのですが、どうしても一番ボリュームがありそうなビフカツをオーダーしてしまいます。
今回は、ビフカツを食べながら、谷本さんが細かくオーダーしたものがあって、一緒にそれらも味見してみました。
土曜日の夜、神戸の飲食街は以前よりもお客様の行き来が少なくなっていると肌で感じていますが、街外れにありながら味加味の店内はお客様でいっぱいで、多くの人たちに味の良さが認知されているようです。
出会った頃の谷本さんはあまり多くを話さない口数の少ない人でした。
出会って間もない頃、一緒に加藤製作所を訪ねたことがありましたが、二人とも黙って隣あって電車の座席に座っていたりしていましたが、今ではいろいろ考えていることを話してくれるようになって、お互いの仕事のことを大いに話しながら食事をしました。

味加味を出た後、アルファロメオで例のごとく西へコーヒーが飲める店を探してドライブに出ました。
私は車を運転すると、父親譲りの前に前に行こうとする典型的な関西系せっかち運転ですが、谷本さんはゆったりと気持ちよく流すように運転します。
須磨、垂水、明石と来て、明石城を北上して伊川谷に辿り着きました。
ファミリーレストランの場所で思いつくのが、伊川谷しかありませんでしたので、谷本さんに道案内しながら本当にどこにでもある店に入りました。

谷本さんと一緒に仕事をしてくれている人たちの話をしました。
私たちの店は、文房具や万年筆を主な商品として扱っていて、そのように認知されていますが、特長になっているのは、松本さん、永田さん、カンダさん、大和出版印刷さんをはじめとする人たちとの関係や、そこから生まれる独自の商品だと思っています。
メーカー商品以外に、力のある職人さんたちの作品を扱えていることや、アイデアを出し合って次々と違ったものを生み出せる関係に感謝しています。
お互い自分の店の目先の得だけを見るのではなく、相手がいかにさらに成功できるかということをいつも考えていられることは、本当に恵まれていて、良い人たちに囲まれていると思えます。
相手が良くなると、その結果自分が良くなることができる。
自分の利益だけを主張しても、その関係は長くつづかないし、それは成功しないように思います。
でもそう相手のことを思いやりながら仕事できるのも、人間的に合う、好きだと思える人たちだからで、そのように思える人たちと出会えていることがとても幸せなのだと思います。
店や会社は利益をあげて採算をとらないと続いていくことができませんが、その前に一緒に仕事をしていく人たちとのそのような関係が、続いていくにおいてとても大切なことだと話し合いました。

結局また家の前まで、谷本さんに送っていただいて楽をしてしまいました。
阪神高速神戸線の京橋と摩耶の間が工事で通行止めになっているので、西宮に帰る谷本さんは時間がかかるだろうなと心配しながら別れました。
谷本さんとのこういう話は、仕事をさらに楽しくする、何かし続けたいと思わせる力になります。


万年筆で美しい文字を書こう

2010-11-07 | 仕事について

一昨日ペン習字教室「万年筆で美しい文字を書こう」の第1回目を開催しました。
楽しく、美しい文字を書けるようになろうというのが、今回の講座の目的とするところでしたが、本当にそのような講座になったことは、堀谷龍玄先生のお人柄と参加者の皆様の前向きな気持ちがあったからだと思い、感動に近い感覚を覚えました。
万年筆を使っているからには、美しい文字を書きたいと思っていましたが、願うだけで通信教育や講座を受講するなどの行動を起こしてきませんでしたので、今回の講座は私自身が一番強く願っていたものかもしれません。
美しい文字を書きたいという思いを持っておられる方は多いようで、店にある椅子とテーブルでは間に合わず、長テーブルを借りたり、当マンションに足場を組んで工事している工事事務所からパイプ椅子を借りてきたりしました。

先生のお手本を見ながら、丁寧に自分なりに美しい文字書いてみると、日々いかに雑に文字をかいていたかを思い知りました。
雑に急いで書いた文字も、丁寧にゆったりと書いた文字も、例えば手紙で相手に届いて残るのは同じです。
気が急いて書いても時間的にもそれほど変わらない、どうせ書くなら残っても恥ずかしくない文字を書きたいと思いました。
線1本1本に気をつけながら文字を書くという気持ち、これが文字を美しくするのかなと思います。
黒インクを入れた細字の万年筆ということで先生が決めてくださいましたが、黒インクが一番文字を美しく見せてくれることも分かりました。
自分の持っている万年筆をいろいろ試したり、人から借りて書いてみたりしましたが、渾身の集中力で丁寧に文字を書くというある種極限の状況で万年筆の性能も見極めることが出来、美しい文字が書きやすい万年筆とそうでないものがあることも分かりました。
これに関しては、今後いろいろ試して解説できる機会を作りたいと思っています。
万年筆を使うことで期待していることのひとつは美しい文字を書きたいということだと思い出した、今回の「万年筆をで美しい文字を書こう」講座で、万年筆にはこんな楽しみもあるのかと私などは遅ればせながら思いました。
次回は12月3日(金)19時から21時「万年筆で美しく年賀状を書こう」です。


洗練 ル・ボナー折財布

2010-11-02 | 仕事について

日本的な物の美しさを求めると、薄く削ぎ落とした、軽いものに行き着きます。
私はそれを茶道の道具や知識のあるお客様などから教えられました。
本当に美しい物は、シャープで、手に取る前にイメージした重さよりも軽い、極限まで削ぎ落とされたものであることが多いと思っています。
素材感のあるざっくりした、厚い、重いものも私はそこから豪快さや、丈夫さを感じとることができて好きですが、美しさや洗練を追及すると残心シリーズのような答えに行き当たるのだと思っていて、これらが最も都会的で洗練された第1番に上げられるべき物の美しさや価値なのだと思います。
ル・ボナーの残心シリーズは、この日本的な物の美のあり方を表現したものですが、ル・ボナー松本さんの中にこのような日本的な物の美の理想があったことに驚きました。
今までのル・ボナーの製品の数々は、日本的からかけ離れたヨーロッパ、特にイタリアの革製品を意識したものだと思っていました。
ブッテーロなどの素材感のある革を贅沢に使い、長年使い込むことでその物が完成する。
そんな製品作りをル・ボナーさんから感じていましたので、残心シリーズはル・ボナーさんが新しい境地へと辿り着こうとしている意欲作、問題作だと捉えられると思っています。

その残心シリーズの中の中核を占める製品、折財布が入荷してきました。
極限まで薄く、軽く仕上げられたこの財布は職人仕事以上に、その前の構想や設計など松本さんの頭脳やセンスによって作り上げられたものだと思います。
大きい長財布は既に使っていて、それはカードや現金、領収書などを充分保管携帯することができるけれど、例えば休みの日にちょっと出掛けるという時にその大きな財布があるために鞄を持たなければならないと思っている人も多いと思います。
そんな休日、ポケットに無理なく入る残心の折財布なら鞄を持たなくても出掛けることができるのではないかと、物の美以外にも実用的な理由が残心折財布からイメージすることができます。

黒桟革11,000円、クリスペルカーフ10,000円、シュランケンカーフ8,500円、ブッテーロ(近日入荷予定)8,500円