数年前境港からみた冠雪の大山の雄大な姿が忘れられなくて、鳥取地方を今回の行き先にしました。
あいにく天気が悪く大山の裾野しかみえませんでしたが、厳しい日本海に面した山陰の風土が想像力をかきたて、この土地の暮しをイメージすることができました。
途中の激しい雨もあって自宅から中国自動車道佐用ICまで1時間半もかかりましたが、山越えの国道を走るそこから鳥取までは、その半分の距離にも関わらず、2時間もかかり、高速道路が通っていない鳥取は近くて遠い場所だと感じました。
鳥取の町には10年ほど前に来て以来でした。
息子が砂丘を見たことがないので、まず鳥取砂丘に行きました。
砂丘の周辺の施設などは、全く変わっておらず、大きな土産物屋さんの裏に駐車場がある日本全国の観光地どこにでもある昭和的な風景で反射的に旅情を感じてしまいます。
3万年もの歳月をかけて自然が作った鳥取砂丘に地球創世のロマンを感じましたし、その砂の丘と海の景色は見飽きないものでした。
暑さを避けて、馬の背(砂丘の中心となる小高い所)に向かって歩き出した息子を呼び戻して、馬車に乗って砂丘の縁をゆっくり揺られました。
若い頃は夢中で砂の山を駆け上がったことを思うと情けないですが、旅は始まったばかり、ここで砂と汗まみれになりたくありませんでした。
それでも馬車はなかなか面白い経験でした。
砂丘を出て、市街地に向かいました。
鳥取駅から市役所まで結ぶ直線の商店街が鳥取の中心地になり、そこをブラブラと歩くことにしました。
鳥取で最も賑やかな商店街は、他の地方都市のようにシャッター街にはなってなく、どのお店も普通に営業していましたが、昼間なのに人通りはまばらでした。
どのお店も10年以上は明らかに改装はされてなく、その商売が楽ではないことが感じられます。
有名な万年筆店も訪ねてみました。
周りの他のお店とは違い、とてもきれいで新しい店構え、内装も間接照明を多用してムードがありました。
職人さんの作業もガラス越しに見ることができ、とても良い店だと思いました。
何かを買うつもりではなかったので、手を煩わせては悪いと思い、お店の方に話しかけませんでしたが、息子が買ったシャープペンシル1本でとても丁寧に応対していただき感激しました。
鳥取に来る前は、同業者という遠慮があって訪ねるつもりはありませんでしたが、とても良い店で、勉強になり、刺激を受けました。
訪れて本当に良かったと思いました。
あらかじめ調べておいたマニアックな蕎麦の店もそんな商店街の中で、地元の人たちが多く出入りしている店で、何らかの競争力のあるお店はどこにあっても強いのだと感じました。