元町の夕暮れ ~万年筆店店主のブログ~

Pen and message.店主吉宗史博の日常のこと。思ったことなど。

お盆休み中の営業

2012-07-31 | 仕事について

私たちには生活のリズムというか、日課のようなものがあって、そのパターンを繰り返す日常に愛着を感じます。

毎朝同じ時間に起きて、同じ時間に家を出て、仕事をして、同じくらいの時間に家に帰り、同じ時間に寝る。

それだけ書くととても退屈でワンパターンな毎日に感じられるけれど、それを崩さないといけなくなった時に日常への愛着を感じることがあります。

そのパターンを繰り返していた時はあまり感じないけれど、子供の成長や仕事のやり方の変化などの要因で少しずつ日常のパターンが変化して、何年も経つと全く違う生活パターンに変わっています。

日常の生活のパターンと同じように、休みの日の過ごし方にもパターンがあって、その時に住んでいる場所や経済的な状況、子供の年齢などによって、それは変化していきます。

今がいつも一番良いと思っているので、以前の繰り返していた生活のパターンに戻りたいとは思わないけれど、例えば休みの過ごし方などはたまに思い出として懐かしく思うことがあります。

お金があまりなくても家族3人近所のサティばかり行っていたけれど、それなりに静かに楽しく暮していた。

その時の不満や違うものへの憧れの気持ちは今考えると下らなく、後悔しているけれど。

 

日常のパターンに愛着を持っているのは外に仕事に出かける我々男性だけでなく、家事をこなしている主婦の方にも言えることです。

その日、あるいは日中にしなければいけないことを段取り良く片付けたら、午後の自由時間があって、本を読んだり、少し出掛けたり、趣味にあてたり、毎日の生活の中にとけこんだ楽しみの時間がある。

どこかに出掛けるような休日ならいいかもしれないけれど、お盆休みなど車で出掛けるとどこに行っても大渋滞で大変な思いだけして帰ってくるだけなので、家で過ごすお盆休みを考えている人もいるかもしれません。

長い人で9連休のお盆休み。まさかずっと家にいると・・・。それ以上は言えないけれど。

当店は8月5日(日)から8日(水)まで夏季休業ですが、お盆休み期間中8月15日(水)を除き営業しています。

 


ペリカンクラシックM200デモンストレーターとダイアリーカバー

2012-07-29 | 仕事について

ペリカンの万年筆があれば万年筆を使う人は困らないのではないかと思うことがあります。

安心して使うことができる信頼性と、様々なターゲット、用途に合う種類の豊富さ。

ペリカンの吸入機構は、その歴史もあり、生産本数も多いので、非常に信頼性の高いもので、小さなボディのM200でもカートリッジの倍くらいのインクを吸入することができます。

1万文字以上の文字をEFで書くことができるのは、驚きですね。

そう思わせてくれる万年筆メーカーは、他にもほんの数社ありますが、でもそれほど多くはないはずです。

毎回微妙に仕様を変えて、ペリカンM200クラシックデモンストレーターが発売されました。(https://www.p-n-m.net/contents/products/FP0311.html)

サファリの限定カラーとともに毎回買ってしまう方も多いかもしれません。

ステンレススチールに金張りのペン先ですが、調整してみて柔らかく仕上がっていることが分かりました。

暑い夏に涼やかな透明軸の万年筆。季節のお道具という趣です。

 

ダイアリーは季節外れですが、私たちはシーズンの途中であってもダイアリーを替えたくなることがあります。

それはもしかしたら、シーズンの途中だからこそ替えたくなるのかもしれません。

1月から半年以上使ってきたダイアリーで、良いと思うところも不満に思うこともあったかもしれませんが、替えたいと思う気持ちが芽生えてしまう。

そんな私たちの気持ちを知らないお店からはシーズンオフだからと言ってダイアリーが姿を消してしまいます。

でも年末だったはずのダイアリー商戦は年々早くなっていて、今では9月には来年のダイアリーが売られ始めます。

当店、分度器ドットコム、大和出版印刷共同企画オリジナルダイアリー2013年版も月下旬発売を予定しています。

それに先立って、ダイアリーカバーが入荷しました。(https://www.p-n-m.net/contents/products/category2-2.html)

ル・ボナーさんの在庫分でしたが、途中でダイアリーを替えたいと思った人もおられると思いましたので、なるべくカバーを揃えたいと思いました。

今年のダイアリーもまだ販売中なので、すぐにでも使い始めることができます。


茶道と万年筆のダンディズム

2012-07-24 | 仕事について

5年前に茶道と万年筆がどう繋がるか、上手く説明できませんでしたが、万年筆の店をするのに茶道はどうしても必要なことに思えて教室に通い出しました。

茶道とは一碗のお茶をお客様に美味しく飲んでいただくために全てが向かっている。

お点前の段取りの良さも、季節やお茶会のテーマに合わせて選ばれるお花や掛軸、お道具なども全てがひとつの目的に向いています。

亭主はそれらに自分の美学を追究して、個々のこだわりについて敢えて声高にアピールしないけれど、その趣向に気付き、共感してくれた人にはそれについて語ります。

客は優しい心を持って亭主の趣向を感じようと努力する。

これらの心を私はダンディズムだと思っています。

 

茶道に使われる道具も、お茶室のそれらのしつらえと同じ美学を持っていて、シンプルで使い込んだ味の出る素材感のあるものが好まれることが多く、希少な素材を使い、優れた技術で作られたものに関わらず、時にはボロなのかと思ってしまうものもある。

万年筆を使っていると、最初は書くことが楽しく仕事が楽しくなり、それを喜んでいましたが、万年筆と紙やインクの組み合わせ、あるいはペンケースや手帳との組み合わせにこだわりたくなり、それは鞄や靴、服装にまで及んでいく。

そして、その美学を追究していく。

万年筆を使う心にも茶道のダンディズムに通じるものがあって、私はそうやって茶道と万年筆を結びつけたのだと気付いたのは最近のことです。

茶道も、万年筆も法則を無視したものやオリジナルでないものに飛びつかず、落ち着きのある法則の中で自己の美学を追究する。これもダンディズムという生き方に共通するものなのではないかと、勝手な解釈ですが、そう思っています。


初めての万年筆原稿募集延長

2012-07-21 | 仕事について

7月6日の私の呼び掛けに応じて、投稿して下さった方が予想以上に多く、とても感謝しています。

これらを毎月発行のチラシ「雑記から」に少しずつ掲載するのではなく、ひとつにまとめた形にしないともったいないと思いました。

ご投稿いただきましたものを冊子「初めての万年筆」としてまとめて、9月22日(土)から配布いたします。

ちなみに翌日9月23日(日)は当店の開店記念日であり、万年筆の日でもあります。

公表を延長しましたので、「初めての万年筆」の原稿募集を期間を延長いたします。

急いで締め切りに間に合わせてくださった方ごめんなさい。

ご投稿いただける方、8月31日(金)までに当店にご持参いただくか、郵便、メール(penandmessage@goo.jp)またはファックス(078-360-1933)にてお送りください。

文字数は400字前後とさせていただきます。

さらに多数のご投稿お待ちしております。

 


下書き用原稿用紙

2012-07-17 | 仕事について

WRITING LAB.のブログ「旅の扉」(http://writinglab.jp/)更新しました。

WRITING LAB.オリジナル商品、サマーオイルメモノートは上質な素材をシンプルに仕立てて、とても使いやすいメモ帳に仕上がっています。

A4サイズ4分の1、穴間隔8cmというミスコピーをメモにしやすい紙の仕様にこだわっていて、替紙も大和出版印刷さんのヤレ紙をご提供いただいています。

惜し気もなくどんどん書いては捨てるを繰り返すことができるのが、このメモ帳の特徴ですが、私のわがままで原稿用紙罫を作ってみました。(https://www.p-n-m.net/contents/products/WL0009.html)

ブログやホームページの文章を作る時にメモノートを使います。

ノートなどに書き残さず、メモに書いてパソコンに清書したら下書きなので捨てていく。メモ書きも手帳などに転記したら捨てていく。

作業が完了していないものは、メモノートに残ったままになるので、清書しないとなくならない。

書いたものが上に残っていると、邪魔なので何とかなくそうと努力します。

書いて、このメモ帳からなくなって、やっと仕事が完成したことになります。

ノートはいつまでも心地よく保存できてしまうので、書いた文章がそのまま眠ってしまうことが多いですが、私の場合それはあまり良いことではありません。

そんな自分を甘やかさないための助けにもなるメモノートの原稿用紙罫で、より書きたいと思う気持ちが盛り上がると思っています。


イル・クアドリフォリオペンケース“SOLO”

2012-07-15 | 仕事について

国道2号線の神戸駅を少し過ぎた辺りで浜手に反れると、急に風景が変わります。

街並みが昭和になったような、異空間に見える。

このまま真っ直ぐ行くとイル・クアドリフォリオさんの工房に着きますが、2回目の訪問でもこの景色の変化に不安になります。

でも神戸はどこもこんな感じなのかもしれません。

震災後の新しい街並みと、それ以前の街並みが隣り合わせにあるし、表通り、裏通りの違いも極端なので。

元町からだと15分くらいで和田岬のイル・クアドリフォリオの工房に着きます。

イル・クアドリフォリオの久内(きゅうない)淳史さんはとても話し上手で、接待が上手い。

夕食に訪れる店に行く途中、和田岬周辺について説明しながら飽きさせない。

カフェで働いていた経験、イタリアでの修行などが、久内さんに社交性をもたらしたのかもしれません。

久内さんに作っていただいているシガー型ペンケースSOLOは、修正を重ねて精度を出した木型に革を巻きつけて固める絞り技法で作り、パティーヌ技法で色付けしています。

店で在庫を持って、お客様にすぐに買っていただきたいと思いますが、手間も時間もかかるのでオーダーをこなすのが今のところやっとの状態です。

イル・クアドリフォリオで革小物の製作を担当している奥様の夕夏さん連日夜遅くまで作って下さっているので、近いうちに店にストックができる予定です。

昨年末から、WRITING LAB.として久内さんたちと意見を交換しながら少しずつ仕様をかためていって気が付けば半年もかかってしまったSOLOは、個人的にも大変気に入っている、思い入れのあるものです。

このペンケースに美しく入る万年筆をいつも探しています。

SOLOは山科のRIVER MAIL(http://www.river-mail.com/)にもあって、当店と若干の仕様の違いがりますので、お好みでお選びいただけます。

9月15日(土)、16日(日)に予定しているイベントや、サマーオイルメモノートのスペシャル革仕様などの話をしながら、和田岬の夜は瞬く間に更けていきます。


学生気分からの卒業

2012-07-10 | 仕事について

WRITING LAB.のブログ「旅の扉」更新しました。http://writinglab.jp/

 

大学生の頃、ブルースのレコードにはまっていて、相当な枚数があったけれど、就職、結婚など環境の変化があってしばらく聞いていませんでしたが、それに代わる情熱を傾けるべきものが他にありませんでした。

子供が生まれたばかりで、それはそれはかわいかったけれど、私自身の楽しみは会社帰りにコンビニに寄って、車雑誌を立ち読みすることくらいでした。

古い万年筆を使うようになって生活が変わり始めました。

家でテレビや雑誌を見ていた時間は本を読むか何か書いているようになりました。

万年筆とそれがある生活に情熱を傾けることができると思い、レコードを売って始めて万年筆を買いました。

万年筆のお手本と言われている、ペリカンM800を使い始めました。

やっと学生から仕事をして生きていく人間として気持ちを切り替えることができたと思いました。


初めての万年筆とラジオの深夜放送

2012-07-09 | 仕事について

母親がモンブランの149を使っていましたが、手にとって書いてみたいと思わなかった。

なぜ万年筆を使ってみたいと思ったのか分からないけれど、おそらくその場のノリだと思いますが、家族で高槻に出た時に買ってもらいました。

小学校卒業と同時に神戸に引っ越してしまい、高槻の友達数人と中学、高校の6年間くらいは手紙のやり取りをしていて、いつもこのプレピーを使っていました。

学校の勉強などでも使えばよかったのに、主にシャープペンシルを使っていて、手紙だけを万年筆で書いていた。

当時深夜放送のラジオを聞きながら勉強するのが、中学生の一般的なスタイルで、買ってもらったラジカセにテープをセットして好きな曲が流れたらすぐに録れるようにしていました。

当時の曲が耳に入ると、その時の気持ちとともに初めての万年筆のことを思い出します。


神谷利男さん「万年室展」スタート

2012-07-07 | 仕事について

神谷利男さんの「万年室展」本日より始まりました。本日は夕方くらいまで神谷さんもおられます。原画や4コマまんが、ペーパーナプキンなど、盛りだくさんです。

今回は購入していただける作品もありますので、ぜひ期間中にご来店下さい。

〇7月7日(土)~7月22日(日) 
名著「My Favorite Fountain Pens」「Paper Napkin Sketch with Fountain Pens」の原画や、ブログ「万年筆で書く描くしかじか」(http://blogs.yahoo.co.jp/kamitanidesign)の作品を展示しています


原稿募集

2012-07-06 | 仕事について

自分でブログを書いてばかりいますので、皆様の文章が読みたいといつも思っていました。

お客様の中にはブログをされている方もおられて、その想いに触れる機会はありますが、大多数の方の想いは知ることができません。

お寄せいただきました原稿は、当店でお渡ししております「雑記から」などで公表していきたいと思っていますが、堅苦しく考えずに書いていただけたらと思っています。


今回募集いたします原稿は下記の通り規定させていただきます。

○テーマ「初めての万年筆」 初めて使った万年筆のことや、万年筆を使うようになったきっかけなど

○文字数 400字前後

○形式 手書き、メール送付ともに可

○筆記具 下書きあるいは原稿で万年筆を使う

○募集期間 7月20日(金)まで 

文章を書くまとまった時間がなかなか取れない、集中して書ける場所がないという方、当店で原稿を書かれるというのはいかがでしょうか?何か書かれているなと思ったらたら、話しかけないようにしていますので。

多数のご投稿お待ちしております。