元町の夕暮れ ~万年筆店店主のブログ~

Pen and message.店主吉宗史博の日常のこと。思ったことなど。

敦煌(井上靖)

2022-01-23 | 実生活

女言葉も敬語もない話し言葉も好きだし、凍える強風、灼熱の砂漠などの厳しい自然の情景も目の前に浮かぶようにイメージできる。
何度でも読んで、この小説の中の世界に浸りたいと思います。

戦いに生きる男たちの生き様を描いた小説が好きでよく読みます。

そういう話の中で、男の友情について書かれているところは特に好きで印象に残る。
「敦煌」も男の友情を中心に描いた小説だと思う。

貪欲にもっと上に行くために、あるいは生き残るために戦う。昨日の味方は今日の敵ということもよくある生活だからこそ、一度結ばれた友情は強く、細く長く続く。

それぞれが孤立して戦う者だから普段は一人だし、忙しい毎日なので、ベタベタと週に何度も会うことはなく、たまにしか顔を合わさないけれど、相手の生き方に共感して、離れていてもいつも心のどこかにあって、どうしているかとふと考える。
そしてその存在が自分の仕事の張り合いにもなって、強くいることができる。

「敦煌」には女性も登場する。契った愛を仕方ない理由で貫けなかった自分を恥じて自ら命を絶つ女性への敬意と恋慕を主人公は持ち続けて、それも彼を強くする。

それぞれが孤独だけど、タフに生きて砂漠に埋もれていった人たちの話。

自分の好きな分野で生きて、立ちまわっている私たちもこのまま時間の中に埋もれていき、忘れ去られるのだろう。
でもそれでいいのではないか。自分には同じ時代に生きた尊敬できる友達がいたのだからと思える小説です。

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14周年

2021-09-24 | 仕事の考え


14年前の店内

 

昨日当店は14周年を迎えました。

14年前の9月23日も天気が良くて、オープン前はお客様が来て下さるか心配で、朝からソワソワしていた。

オープンと同時に当店の開店を祝うお客様が次々と来て下さって本当に有難かった。

その時の感謝の気持ちを今も持ち続けることができたから、当店は続いてくることができたのだと思います。

今日(9/24)から福岡で開催するツイスビージャパンさんとの共同出張販売「巡回筆店2021福岡」に臨む森脇も、来場されるお客様に対して本当に有難いと思ってくれたら、そしてこれからも謙虚にその気持ちを持ち続けてくれたら、まだまだ先の長い人生を万年筆/ステーショナリーの販売員として続けることができるのではないかと思っています。

14年は過ぎてしまえば本当にあっと言う間で、私自身は何も変わっていなくて、相変わらずその日の売上、月の売上で一喜一憂して落ち着かない。しかし、中学2年生だった息子が横浜で教師になって、結婚までしていると考えると、それだけの変化が起こり得る歳月で、この店もそれなりに変化してきたのかもしれません。

人との出会いは本当にたくさんあって、出会いの数に近いだけの別れもあって、その人の流れによって店は変化できたのだと思います。

それらは意図したものではなかったかもしれないけれど、この店が変化するきっかけになっていて、その変化があったから14年続いてこれたのだと言えます。

14年前のあの日、今の店の姿、14年後のことなど全くイメージできなかったし、それ以後もその日その日を生きることが精一杯で、14年後の姿を思い描くことが私にはできなかった。

でも未来というのは、一日一日の積み重ねで、その一日一日が正しいものであれば、正しい未来が訪れてくれるものなのかもしれないとも思える。

私たちは絵空事でしかない先のことを考えて疲れるよりも、一日一日を楽しみながら、今を生きる方がいいのではないかというのが、14年経った実感です。

私はこの店が一日一日を積み重ねてずっと続いていくと本気で思っています。これからもよろしくお願いいたします。

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京都手書道具市

2021-08-10 | 仕事の考え

イベントや出張販売の前は、緊張感やプレッシャーで、追い詰められたような日々を過ごしてきました。何回経験してもそれに慣れることはありません。
でも運営の方々の苦労を考えると、私たちはまだ気楽なものだったのだと思います。
なるべくご面倒をかけないようにしようと思いますが、私たちからの質問のメールなどにも丁寧に返してくれたり、当日もいろいろ配慮してくれました。荷物運びまで手伝ってくれて、運営の方々のこのイベントを安全に、成功させたいという気持ちが伝わってきて、意気に感じたこの数か月でした。

会場の京都文化博物館別館は、京都の中心三条通り沿いにある古い銀行の建物を利用していて、京都らしい歴史を感じさせる最高のロケーション、最高の舞台だったと思います。

日本中からステーショナリーの名店が集まっていて、そこに加えていただけたことは590&Co.の谷本さんの口添えがあったからでしたが、とても光栄なことだと思いました。

今回もイベントという状況などを考えて、企画、品揃えして臨んでいますが、もし参加できるのであれば、来年はもっとこのイベントのお客様に合ったものを揃えてチャレンジしたいと思っています。

前日に神戸から父の運転する車で荷物を運び込んで準備しました。
福岡、札幌は距離があるので諦めますが、イベント用の大型什器をいつも使いたいと思っているので、なるべく車で搬入したい。
什器を使うことで限られたスペースの中で高さを出すことができます。高さを出すことで、ブースの見栄えが良くなると前職で学び、それをいまだに信じています。

前日の準備の帰りは、久しぶりに谷本さんの車に乗せてもらい、渋滞の中神戸に帰ってきました。
10年近く前は谷本さんの運転するアルファロメオに乗って、行先のないドライブをしたことも何度かあって、あの時から考えるとお互い忙しくなったのかもしれませんが、もしかしたら谷本さんはあの時も忙しかったのかもしれない。

今回、万年筆無料診断ということをイベント直前に思いついてやってみました。
直前の告知だったにも関わらず、何人かの方が診断を申し込んで下さり、お話や調整するきっかけになりました。

キャップレス20カラーズの三角研ぎも用意していて、購入された方も何人もおられたし、興味を持って下さった方もたくさんおられて手応えを感じました。

色数の多い、カンダミサコさんのペンシースは良いアイキャッチになっていて、女性のお客様が多かったこのイベントにピッタリのものでした。

智文堂のかなじともこさんが今回のイベントにと、作って持ったせてくれたバイブルサイズとM5サイズの「粧ひセットお芋カラー」は、かなじさんと当店の告知もあって、これを目指して来て下さるお客様が多く、1日目で完売してしまいましたので、急遽かなじさんに追加で作ってもらい、2日目京都に向かう途中のかなじさんの地元駅の改札前で受け取ってから会場入りしました。
陣中見舞いも持たせてくれて、かなじさんには感謝しています。

佐野酒店のスタンプやマステケース、マッチガチャも好評で、当店のブースの良いアクセントになっていました。

3人とも他店で買い物をしたり、他店の方々と親交を温めて、始まってしまえばお客様と一緒になって楽しんでいました。

会場が古い建物だったせいか、少し暑かったこともありますが、体力的にはかなりハードなイベントでした。
改めて私たち店の人間にとって一番必要なのはタフな体力だと思いました。

 

 

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調整士のひとりごと①

2021-06-12 | 仕事の考え

どんな時にペン先調整をお願いしたらいいですか?と聞かれることがあって、書きにくいと思ったら、調整をご依頼下さいと言います。

万年筆の書き味の良さというのは使う人の主観によるものだと思いますので、私がそのペン先をチェックした時に、これは引っ掛かるだろうと思っても、使っている人が書きやすいと思っていれば、私はそのペンに何もしない方がいいと思っています。

逆に私が良いと思っても、使っている人がこういうところを改善したいと言えば、話をよく聞いて、お好みに合わせようとします。

使う人の希望に、より近付くようにペン先をセッティングするのが調整士の仕事だと思っています。

そう言いながらもペン先を正しい状態にするとほとんどの人が書きやすいと思ってくれると信じていますので、まず正しい状態にセッティングするというのも私たちの仕事で、新品の万年筆を通販で買っていただいた場合は、ペン先を正しい状態にセッティングします。

正しい状態にセッティングする時に目指すのは、私が過去に感じた同じペンの最高の書き味で、いつも記憶にあるそれらの書き味を実現しようとしています。

それをしようと思うと、1本ずつ時間がかかりますが、それが当店で万年筆を買う価値で、他所のお店で買った万年筆よりも当店で買った万年筆の方がはるかに書き味が良いと思ってもらいたいから、朝から晩まで調整しています。

調整士は誰も思うことなのかもしれませんが、その万年筆を最高の書き味にしたいとは思いますが、そこに自分が調整した痕跡は残したくないと思いますが、それはなかなか難しいことで、そこまでの境地に達している調整士はいるのだろうか。

でもやっていないように見えて、最高の書き味をもたらす調整というものがあれば、それは間違いなく最高の部類に入るペン先調整のあり方に思えます。

そこまでにはまだまだ腕も人格も未熟だけど、なるべく上質な調整をしたいとは思っています。

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万年筆の構え

2021-06-10 | 仕事の考え

万年筆とはこうやって書くものだと気負ったり、押し付けたりすることは好きではなく、自分の書きやすいように書くべきだと言いたい。

なぜなら万年筆は筆記具という表現の道具なので、それをどういう書き方で書くかということよりも、それで何を書くかということの方が重要だと思っているからです。

そう思うようになったのは、万年筆を仕事の道具にしているヘビーユザーの人たちのいろんな書き方を見てきたからなのかもしれません。

そういう人たちは尻軸にキャップをつけなくてはいけないとか、筆記角度は何度で書かなくてはいけないとか、ペンの後ろを持たなくてはいけないなどとは思っていなくて、自分が書きやすいそれぞれのスタイルを持っています。

しかし、私も万年筆の持ち方で悩んだ経験があり、書きやすいように持ったらいいと言ってもラチがあきませんので、万年筆の持ち方、書き方について述べさせていただきます。

私の経験では、重量が軽めのアウロラオプティマのような万年筆で持ち方に悩むことはあまりありませんでしたが、ペリカンM800のようなバランスが良いと絶賛される、重量のある万年筆の持ち方に悩む人は多いかもしれません。

バランスが良い、長時間の筆記でも疲れないと思えるには、このM800のどこを握って、どのように書けば感じられるのだろうと、この万年筆を使い始めたばかりの時は私も思いました。

万年筆を使い慣れた達人たちがしているように、ペンの後ろの方を持って書いてみても、思ったように書けず、文字にならない。
その持ち方に慣れるようにしたらいいのかもしれないけれど、私には空しい努力に思えた。

私の場合は、キャップを付けずに、書きやすいと思える首軸辺りを握って書いているうちに、キャップを付けたらもっと書きやすいように手が慣れていて、キャップをつけて同じところを握って書いていて、M800はやはりバランスが良くて書きやすいペンなのだと実感できています。

結局、この重さに慣れて、重さに任せて力を抜いて書けるようになると、どこを握って書いても楽に書けるのだと思います。

ただ、ペン先のひねりだけは、真っ直ぐでないと、良い書き味は得られません。

ペン先の向きが真っ直ぐというのは、ペン先の切り割りを中心とした左右のペンポイントが同時に紙に当たることです。

ペン先をひねって書くと、左右のペンポイントのどちらかが先に紙に当たり、書き出しが出なかったり、引っ掛かりを感じたりします。

それらを気にしないのであれば、ひねって書いてもいいし、ひねって書く方がペンをコントロールしやすい人もいるかもしれません。

逆に、真っ直ぐ書いているのに書き出しが出なかったり、引っ掛かりが強い万年筆は異常があるという言い方もできます。

万年筆の持ち方について調整士の見解も様々で、ペンの後ろを持って、筆記角度は50度以下で、ペン先は真っ直ぐ紙に当てるようにと啓蒙している人もいます。それぞれの考え方が表れるところでもあります。

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ネットショップについて

2021-06-06 | お店からのお知らせ

ネットショップがあったから当店は続いてくることができたと思っています。

客数の少ない地方で商売をする上で、ネットショップはなくてはならないものだと開業当初から思っていました。

今はステーショナリーや万年筆が華やかな存在になっていて、それほどでもないけれど、当店が開店した2007年頃は万年筆店を新しく開くというのは、無謀なことだと多くの人から心配されるようなことでした。

でもネットショップもすると言うと金融機関も安心してお金を貸してくれたような気がします。

ネットショップだと、多くの人が見てくれるからモノが売れやすいと思われがちですがそうでもありません。

当店にしかない、人気のあるものはすごい勢いで売れるけれど、どこにでもあるものは時間が掛かり、なかなか厳しい。

ネットショップの方が競合も多く、価格競争も激しいので、こういった極端な格差が出てしまうのだと思います。

万年筆はペン先調整をして書き味を良くしてお送りしているので、当たりはずれが結構ある万年筆を安心して買うことができるというメリットもあり、全く売れないわけではないけれど、定価販売のため売れ行きもゆっくりで我慢が必要です。

考えてみると、店を始めた時からこの我慢はいつも付きまとっていました。

値段を安くしたら売れるのではないかという我慢、他所で売れていると聞いたものを扱わない我慢など、意地になっているのではなく、直感的にそれらは店を維持するために必要な我慢だと思っていました。

それでもネット販売においても、常連さん、お得意様の存在はあって、メールのやり取りなどで温かい心の交流があることは店舗での販売と同じで、励まされることも多く、有難いことだと思っています。

革製品など、職人さんが作ってくれているものは、数に限りがあって、売り切れてしまったら次いつ入荷するか分かりませんので、ネットショップでは在庫数を設定していました。

筆記具はメーカー品なので、当店になくても取り寄せですぐにご用意することができましたので、在庫数は設定していませんでした。

しかし、コロナ禍になって、一部の輸入品の入荷が滞っていますので、なるべく当店で在庫を確保するようにして、当店にあるものは「在庫有り」の表記をして、メーカーから取り寄せるものは「お取り寄せ商品」として、すぐにお送りできるものと、メーカーから取り寄せしてご用意するものを分かるようにしました。

これによってお客様はご注文前にすぐに届くものか、待たなければいけない(メーカー取り寄せで1週間くらい目安)ものか分かり、お買い物しやすくなったと思います。

今まで流通に頼っていたけれど、それがアテにできなくなったということです。

小さい店にとって大変なことですが、モノがないと何も始まりませんので、これはと思うモノの在庫を持っています。

すごく地味なことですが、これもコロナ禍ならでは対応だと思っています。

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自分流のコーディネート

2021-05-31 | 万年筆

決まったブランドに凝ったり、誰かの服装をお手本にしたりということはなくなったけれど、自分が持っているものを好きに組み合わせて着ることを考えることが好きで、毎日のささやかな楽しみになっています。

ファッションの専門家が見たらメチャクチャなのかもしれないけれど、好きなものを自分の好きなように着ようと思うようになってから、服装を考えることがさらに楽しくなった。

服装と言っても、真夏以外は革靴を履いて、ジーパンにジャケットが自分がしたいと思っている服装なので、毎日あまり変わり映えはしないのだけど。

でも、どのブランドのジャケットとか、どこのジーパンだとか銘柄に捉われなくなって、自分流の選び方ができるようになったのは、齢をとって様々な情報が気にならなくなったからなのだと思います。

服は私の着方だとインクが飛んだり、擦り切れたりして数年で着られなくなってしまって、その悲しみは金額に比例する。しかし、靴はしっかりしたものを買えば直しながら、長く履き続けることができるので、なるべく良いものを履きたいと思います。

それに靴さえちゃんとしたものを履いていれば、服が安物でも割とそれなりに見えるような気がします。

靴と同じように、万年筆はステーショナリー、持ち物の中心だと思います。万年筆や筆記具はしっかりした、長く使える良いものを選んだ方がいいということは、万年筆がまだ仕事道具だった時代に、池波正太郎さんも語っていたけれど、私たちの中ではそれは今も変わっておらず、こだわりどころである万年筆だけは良いものを選ぶべきで、それに合わせてペンケースや手帳をコーディネートできるように選べたら、なお楽しいのではないか。

服装と同様に、その組み合わせはこうでないとダメだというものはなく、自分の好きなように組み合わせることが楽しいのだと思います。

私自身そういうことが好きなので、当然ご提案はするけれど、自由に、ご自分の好きなように楽しんでいただきたいといつも思っています。

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オプティマ365

2021-05-25 | 万年筆

 

イタリアトリノの万年筆メーカーアウロラが、キャップリングに懐かしさを覚える旧型オプティマをベースに、ペン先を18金に、ボディを限定カラーにした限定365本のオプティマ365というシリーズを発売しています。

1年を通じて手元に置いて、日常で使って欲しいという願いを込めたアウロラの限定万年筆シリーズは、ボディカラーを変えて3年ほど継続して発売されていますが、なかなか渋い逸品揃いだと思って見ています。

昨年は閏年で、どうするかと思っていたらさりげなくアウロラ366という名前、限定本数366本で発売されました。
昨年発売されたオプティマ366ジャーラのみ366本で、今年発売されたリッラからまた365本に戻っています。

アウロラがオプティマ365でイメージした、以前の制約のない私たちの生活が日常と言うなら、その日常は戻ってくるのだろうか。

多少その形は変わっても、今の状態は変だと思うので、いつか戻るのだとは思うけれど。

後から振り返れば、それぞれの人が感じているその時代の雰囲気のようなものがあって、それを感じると大抵懐かしいような気持になります。

その時手に入れた万年筆を手に取ったり、使ったりすると、その時代のことや考えていたこと、心の様子を思い出して、懐かしい気持ちになる。

昨年と今年で終わるのか、来年も続くのか分からないけれど、今の時代のこともなるべく覚えておけるように形にしておきたい。

そして早く振り返って、あの時はあの時で懐かしいなと思いたい。それが未来に向くということなのかもしれない。

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二人の門出を祝う

2021-05-04 | 実生活

前日までの雨交じりの天気が嘘のように、清々しい日になりました。

本当は昨年の同日に挙げる予定でしたが延期し、今年もあまり変わらない状況でしたが、気を付けて結婚式を決行するというのが二人の決断でした。

籍は昨年入れていて、二人の暮らしは始まっていましたが、遠い横浜での暮らしを見ることもなく、私たち神戸にいる両家の両親は何となく現実味のない子供の結婚だった。

式を執り行われて、二人が結婚したという実感をやっと持つことができました。

それぞれの両親、私の父、相手方の弟さんのコンパクトな式でしたが、気を張ることのない、温かな、いい時間になって、二人らしい式になったと思いました。

私は新郎の親なので気楽なものでしたが、大切なお嬢様が相手の名字になるご両親の想いは強いものがあったのだろうと思いました。

会食のような小さな披露宴では、それぞれが好きなことを言い合ったり、全員が順番に自己紹介したりして、羽目を外し過ぎず、堅苦しくもなく楽しい時間でした。

終わってから父が、「ご苦労様。親の責任果たしたね」と言ってくれて、そうなのかもしれない私は息子が社会人になった時点で責任を果たしたと思っていました。でも妻は子供はいつまでも子供で、心配のタネなのだと思います。

 

 

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播磨灘物語

2021-04-25 | 仕事の考え

播磨は気候も温かで、地形もなだらかな丘が連続していて、厳しいところがない、人が住むのにとても快適なところだと思っています。
そういう環境のせいか、戦国時代にも郡ごとに存在した小豪族がお互い姻戚関係を結びながら、微妙なバランスをとって平和を保っていました。
都に近いところにありながら、播磨の国がそうやって成り立っていました。

現代で言うと、他の土地は大資本による統合が進んでいるのに、播磨だけには小商店が多数存在して、それぞれが顧客のための仕事をして成り立っているということになるのかもしれません。

播磨灘物語(司馬遼太郎著)の主人公黒田勘兵衛の働きは、それらの小豪族の家老でありながら中央や時世に興味を持っていて、織田信長による天下統一を予感して、播磨の国に織田信長を招き入れて、小豪族たちを小田の傘下に入れたということになります。

当店も播磨の国の郡や町ごとに存在していた小豪族と同じようなものなのかもしれない。そして小田の傘下に入ることに抵抗していたと思います。
しかし、ただ古い慣習にしがみついているだけの存在なら、滅びても仕方ないのかもしれません。

戦国時代の小説を読んでいると、どうしてもそこに自分を当てはめて考えてしまいます。

それぞれの小さなお店や会社が大名までいかない小中の豪族で、大名が大資本のお店になります。
小豪族でも、その才覚で大名に下剋上していけるのは戦国時代と変わらない。

戦国時代も時代が進むと、グループ化が進み、集団のようなものができてきます。
そうすることで、より大きな力になることができるし、大きな資本から守られてるような気がする。

私は天邪鬼な方で、大きなグループに属するよりも、なるべくなら孤立して生きていきたいと思ってしまいます。
集まりに属して、同志と言える人たちと知り合って話すのもいいですが、商売においては皆ライバルになりますので、利益を共有することは難しい、無理のあることなのかもしれないと思い始めました。

ライバルは同業者だけでなく、モノを売るお店全てだと思っています。
ゴルフショップ、釣り道具屋さんなどあらゆる趣味的な要素があるお店はライバルなので、当店の場合ル・ボナーさんや590&Coさんのような特別な繋がりがないと共存は難しいのかもしれません。

当店のような小さな店は、大きな流れの外にいると思っています。
何か業績に影響が出るとしたら、世の中で起きていることや経済ではなく、自分たち自身に依るところが大きいと思っています。
グループや集まりに属していても、それは同じなのではないか。
自分たちに良いネタがないとどんなに大きなグループに属していても、埋もれてしまうし、いいネタを生み出し続けることができるのであれば、孤立してもやっていけるのではないか。

私のような天邪鬼は、昔の戦国時代は生き残ることができないのかもしれません。

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