何にでもあることだと思いますが、店には流れのようなものがあるとよく実感します。
何をしても客足が自分の店に向かず、そのうち売れるような気がしなくなる。そういう日が続くと売るという感覚を忘れそうになってくる。
お客様が店に向いてくれる流れ、何をしても面白いように物が売れるような状態の日もまた続くこともあります。
それらを天気とか、カレンダーの日取りに理由を見つけようとする人が多いけれど、その店に吹き込む風向きだと思っています。
そういう流れを店で仕事をするようになって今まで何度も感じてきましたし、この店をするようになって、より切実にそれを感じてきました。
その流れはツキという言葉に言い換えることができるけれど、そういう風に言うと自分の仕事が博打のように感じられてしまいます。
もちろんやるべきことをやって、撒くべき種を撒くからこそ流れに乗ることができるのは、言うまでもないけれど。
店に神棚を作ったり、入り口に盛り塩をしたりするのもそういったことを信じているからで、もちろん神頼みで仕事をしているわけではなく、そういうどうしようもない形勢というのはあるのだと経験的に知っているのです。
でもツキがある時も、なくて余計なことを考えず、手を動かした方はいい時も、笑顔と明るい気持ちだけは忘れてはいけないと、教訓として持っています。
ツキとは違う流れに時代の流れがあって、それは流行という表面的なものではない流れです。
少しずつ流れるようなものではなく、堰きとめられていた流れが一気にながれるように、ある日突然世の中の仕組みが変わってしまう。
そういった変化は言葉では言い表しにくく、肌で感じるもので、気付かずに変わっていることもあります。
敏感な人はもっとたくさんあると思いますが、私が感じた大きな流れは2回あって、誰もが感じたリーマンショックの時と2000年頃のある日(日付を覚えていません)。
2000年の変化は私の言葉では言い表すことができないものでしたが、肌で感じるものでした。
世の中が変わるとき、鋭敏に察知できるように肌感覚を磨いておかないと変わったことに気付かないという怖さがあります。
もちろん変わらない部分を持つことは大切だけど、誰にも抗うことができない変化というものはあるものだと思います。