元町の夕暮れ ~万年筆店店主のブログ~

Pen and message.店主吉宗史博の日常のこと。思ったことなど。

今日のオリーブ

2020-04-28 | 実生活

オリーブグリーンのものに最近惹かれる話を少し前からしています。
手紙や手帳などに日常的に使える好みの緑色のインクを追究したいと思っています。

今回のオリーブグリーンは、オリジナルインクCigarです。

書いたばかりの時はグリーンですが、時間が経って乾くといい感じの茶色味のあるオリーブになります。

お客様へのお手紙などは当然で、手帳でさえも、まだブルーブラックやブルーから抜け出せずにいます。
こういう色を手紙にも自然に使えるようになりたいと思います。

 

何の組織にも属さず、自分の想いだけで店を始めました。
始めてみて、それを心細く感じることもありましたが、何にも干渉されない自由さもあって、私にはその自由さの方が有難かった。

そんな店なので自分たちは社会の仕組みのようなものから外れたところにある存在だと思っていました。

しかし、今の状況になってから、この社会での役割というものを常に考えるようになりました。

今の日本の状況は、コロナウイルスに感染する人を一人でも減らさないといけません。それは首相や知事、医療従事者の方々のためではなく、私たちが命を落とさないためであり、家族を亡くさないためです。

感染しないためには外に出て人と接触しないようにするしかない。そして人を外に出さないためには、私たち店は開けてはいけない。
それが社会的な責任だと思っています。

ウイルスとの攻防は最終局面に来ていて、経営が厳しいとかを言っている次元の問題ではなくなっているような気がする。

他所に開店している店はあるのかもしれないし、開けたらお客様がたくさん来て売り上げが上がるのかもしれません。
しかし、今は人を集めている場合ではないし、お客様が勝手に来るという言い訳も店には許されない。お客様を誘導するのも店の責任だから。

国や県から要請があったとか、保証が出るという問題ではなくて、この社会で商売している以上社会的な責任があって、それは人に言われなくても自分で感じて行動するものなのだと、今回のことで知ることができた。

営業的なことは後から考えたらいい。後で何とかしたらいい。どこもしんどいにきまっている。
今は人が家に居るためにはどうしたらいいか、どう役に立てるかを店は考えるべきなのだと思う。すごく難しいことだけど。


今日のAntou

2020-04-26 | 実生活

Antou(アントウ)のボールペンは、替芯の固定を口金で挟むような方法をとっているので、替芯のサイズや形状に制約されずに使うことができます。ボールペンは、純正品以外の芯を使った時に、先のチップの口径がメーカーによって違うために、チップと口金に隙間ができて、書くときカチカチと音が鳴ったり、振動が手に伝わったりして気になります。
しかし、Antouは口金で芯を固定する方法のために、どの替芯をいれてもカチカチ音がしないことも強みのひとつです。

パイロットハイテックCは、細字ゲルインクボールペンの流行を作ったハシリとも言える超定番品で、米粒に文字を書くというデモンストレーションなどが有名なペンです。
そのハイテックCの0.4や0.5の太目のものの書き味がとても良いとずっと思っていました。
インク出も良いし、倒し気味で書いても書き味がカサカサしません。フリクションボールペンのチップの形が最近変更になって、インク出が良くなったのもハイテックCのようなニードル形状のチップの方がインク出において有利だと分かったからだと聞いたことがあります。

ただ、ハイテックCは替芯の固定方法が独特で、他のものと互換性がありませんでした。ボディも良いものを使いたいといつも思っていましたので、自然と使わなくなってしまいました。

しかし、AntouのボールペンではハイテックCを使えることが分かりました。芯をそのまま差し込んで使うこともできますが、チップ付け根のハネのような部分をカッターで切り落とすとより長めに先を出すことができます。ずっと使いたいと思っていたハイテックCをまた使えるようになりました。

私はAntouの適度に武骨で、シンプルなデザインも気に入っているけれど、このボールペンの良いところは替芯をいろいろ探す楽しい時間をくれるというところだと思っています。

ちなみに、Antouのボールペンにはブラック、ガンメタ、シルバーの3色があります。売れ筋はガンメタらしいですが、私は他の持ち物とのコーディネートもあってブラックがいいと思いました。素材はアルミなので自然なのはシルバーなのかもしれませんが、好みが分かれるところで、売れ筋に左右されず、お好みに合うものを選びたいとものです。


好きな色

2020-04-24 | 実生活


齢をとって好きな色ができました。緑色ですが、緑色と言っても様々な緑がありますが、オリーブグリーンに惹かれます。
好きな色があるというのはなかなか楽しいもので、その色をしているだけで買いたくなってしまいます。それが買う理由になる。

インクの色でもオリーブグリーンに近いものをいろいろ使ってみたいと思っています。
ヤーチンスタイルのジュエリーインクのマラカイトは、かなりオリーブグリーンに近く、原稿の下書きなどに使っています。
顔料インクでにじみ、裏抜けが少ないので紙を選ばないし、優しい色目だということもあり、顔料インク独特の紙表面にベッタリと乗るような感じもありません。
インクとしては高いとよく言われますが、凝りに凝ったボトル、こだわり抜いて作った色など無駄に高いわけではない。
オリーブグリーンを引き立てる色にも興味が行きます。金属ならマットブラック、革ならこげ茶など、モノを選ぶ時に選びやすくなるけれど、好きな色はその周りの色にも波及して買う理由になります。


好きな色のコーディネートを考えることは、ものすごく楽しいことですが、今の状況は楽しいことばかりでもなくて、当店も当然売上が落ち込んでいます。

店を守るために、ウイルス禍が去った後に今まで通り立ち続けるために、コロナ関連の補助金を調べたり、お金に関することばかり気が付けば考えている。
店主としてこれらのことを考えて、打てる手は全て打つのは当然だけど、ある程度考えたら、その方向のことよりも、次の世界のことを考えた方がいいのではないかと思い始めました。

お金のことを考えることが前向きではないと言っているのではなく、窮地に陥っている時にすがる藁を探す気持ちが前向きではない心のあり方だと思い始めました。

きっと皆苦しんでいて、それでも立ち続けて前向きに考えることができた人だけが、新しい世界でも商売を続けることができるのだと思っています。

今のウイルス禍をやり過ごした世界は、きっと新しい、今までと違うものになっていて、その新しい価値観にどう適応していくかを考えないといけない。
私たちは、新しい価値観とはどういうものかということと、その中でどう生きていくかということの2つの答えのないことをきっと考えないといけないけれど、そういうことを考えるのは嫌いではない。

私は天邪鬼なので、皆が一気に流れる方向には行きたくないと思ってしまう。自分で考えて、自分が最初に始めたと思えることでないとやりたくないと思ってしまうので、そういうやり方をしたい。

経験とか、勉強とかとは違う、嗅覚のようなものに頼って、切り拓いていく状況なのかもしれないけれど、特に日本が今の状況を乗り越えることができたらと思います。


Antouのボールペン

2020-04-20 | 実生活

惚れっぽい性格で、一度行けばその場所のことが好きになって、ずっと気になります。
台湾も昨年10月に行ってからずっと気になっています。また行ける日がくればいいけれど。

台北の近代的な街の景色もすごいと思うけれど、やはり台北の裏通りや台南の古い建物が並ぶアジアっぽい街の風景が八角の香りとともに心の深いところに入り込んでいます。

Antouというのは台湾中部の彰化市にある土地の名前で、ローカルな地名から名付けられています。
このボールペンを製作したのは、欧米のブランドの仕事もしているダイキャスメタル社という会社です。
町工場が軒を連ねるAntou地区の中では成功している会社で、地元を盛り上げてAntouの土地を世界的に有名にしたいという夢を持って、このステーショナリーブランドの名前にしたそうです。

そういった地元に誇りを持って、活性化したいという気持ちに共感します。
北長狭通は飲食店が多いけれど、その筋では有名な実力あるお店が点在します。神戸の片隅のこの街に私も誇りを持っていて、いつまでもここで万年筆店を続けたいと思う。
そして、この地域にお客様が来られる役に少しでも立てるようにしたいと思っています。

Antouのマルチアダプタブルペンは、独自の機構を持ち、使う替芯に形やサイズの制約がなく、好きな書き味の芯を使うことができます。
台湾のデザインは抑えが利いていて、洗練されているものが多い。このペンのそんなところも気に入っています。
ゴツゴツした質感を残して、素材感が感じられるところも好きな人は多いと思います。

私も使い始めています。今はゲルインクの芯をいろいろ入れ替えてみましたが、店の営業を再開したら油性ボールペンの芯を入れて、お客様の前で使うペンにしたいと思っています。


ペン先調整

2020-04-18 | 実生活

当店はペン先調整をすることができるから続いてくることができたのだと思っています。
もし普通に仕入れたペンを販売しているだけだったら、とっくになくなっていたと思います。

それほどペン先調整ができるというのは、万年筆を販売する上でアドバンテージになります。
この世の中で生きる力として自分にペン先を調整が与えられていることに感謝しています。
ペン先調整を身に付けたいと上司にしつこく掛け合ったり、役職を越えて直訴したりして、それを了承して研修に行かせてくれた前職の会社にも感謝しています。
万年筆を販売する以上、会社にも、自分のスキルとしてもペン先調整が必要だと思っていました。

それができるようになる前から、自分にはできるような気がしていましたし、ペン先調整という作業が好きでした。好きなのは今も変わっていなくて、毎日楽しいと思いながら調整しています。

私が目指しているのは、ただ100%普通書ける(それも尊いことだけど)万年筆ではなく、極上の書き味の万年筆です。
ペンポイントを磨き過ぎたり、手を入れすぎることは、私は嫌いだけど、その万年筆を使う人がそのペンを使ううちに最上の書き味になっていくようにしたい。自分の思い通りにムニュッとインクが出てくれて、滑らかに書ける万年筆。それはきっとどこに持って行っても、誰に見せても恥ずかしくないもので、その万年筆の美しさをさらに引き立てる、価値を高めるペン先の調整をしたい。

以前の自分にペン先調整をお申し付け下さったお客様には申し訳ないけれど、齢をとるごとに、良いペン先調整ができるようになりたいと思っています。
実際に10年前と今とでは、その違いは雲泥の差です。
でももっと上手い人を知っている。その境地にたどり着けるように、楽しみながら腕を上げたい。


オリジナルインク

2020-04-14 | 実生活

30代半ばの時に茶道の考え方に触れて、日本的な美意識について考えていました。茶道や日本の工芸に関する本を探して読んだりして、そのモノの美しさに対する考え方を日本人として感性で理解できていると思っていました。
インターネットのおかげで、情報は距離に関係なく手に入れられるようになって、世界は狭くなっていくと思っていました。
そういう世界だからこそ、日本の感性が感じられるモノ作りでないと世界で通用しないと考えていて、オリジナルインクも日本的美意識を感じられるもの、日本人が直感的に美しいと思える簡素の美 墨絵の世界の中の色をインクで表現したいと思って冬枯れインクを作りました。
グレーほど薄くなく、ブラックほど濃くない、書いた後紙にスーツと沈んでいく濃度。ページいっぱいに書いてもうるさくならないインクとして私も気に入って使っています。
インクブームが来るまでのオリジナルインクに対して、ロットが多く在庫負担になるわりに、売上の足しになりにくいと思っていましたが、店のこだわりや世界観を表現するものとして必要なものだと思っていました。
インクブームが、主にアジア圏からのお客様を中心としたインバウンド需要とともに突然訪れて、日本中のお店がその波に飲まれました。
当店もその恩恵を受けていましたし、毎日にように来られる言葉が通じないお客様に対してスリルを感じながら応対することが楽しかった。
その時、国境は感じられなくなり、世界は狭く感じられたけれど、これは今だけのことだと少し冷めた目で見てもいました。
以前にイメージした世界になっているのに、冷めた目で見ていた自分が可笑しいですが、いずれ終わると思っていたインクブームが懐かしく感じられます。
きっとあんなことは二度と起こらないだろうと思います。
私たちステーショナリーの店、業界の人間はインクに次ぐ一手を考えないといけなかったけれど、それと同時にコロナウイルスで全く変わってしまった世界の中でどう生き抜くか考えないといけなくなった。
自分たちのこだわり、世界観を表現するために作っているオリジナルインクに、過ぎ去ってしまった懐かしい日々の思い出が付け加えられたことで、オリジナルインクはますます大切なものになったけれど。

 


自分の書く文字

2020-04-12 | 実生活


私が最も美しい文字が書けると思っているアウロラ88クラシック<F>

 

名前を出しても怒られないだろうと思います。狂言師の安東伸元先生からいただく手紙は満寿屋の原稿用紙の桝を無視して書くような書き方をされていて、こんなふうに自分も書きたいと思ったことがあります。
原稿用紙の桝に縛られず、そこを縦断したりする続け字は迫力があり、説得力があり、筋の通った生き方をしている、心の強い人の文字だと憧れました。

自分でも何度もやってみたことがありますが、上手くいかない、恥ずかしいものになってしまいます。

安東先生の原稿用紙の「桝飛ばし」について、大和座狂言事務所のK女史とよく言い合いますが、生き方から変えないと私たちには何年かかってもできないのではないかという結論になります。
私は無理かもしれないけれど、信念を貫く生き方をしているK女史なら、書けるようになるような気がするけれど。

原稿用紙の桝を飛ばした自由な感じのする続け字は書けないので、せめてドッシリとした文字を書きたいと思いました。
こういうことを言い出すこと自体、自分はドッシリと腰の落ち着いた人間ではないと言っているようなものなのかもしれないけれど、丁寧にゆっくり書けば、まだドッシリとした文字なら書けるような気がします。

ドッシリとした文字と言うと、開高健さんがモンブラン149の太字で、文字の些細な形を気にせず書くような丸い文字を連想する人も多いと思いますが、毎月堀谷龍玄先生にペン習字のご指導をしていただいているし、書道教室にも通っていたので、少し文字の形を気にしながらドッシリした文字を書きたいと思いました。

ノートにシャープペンシルで下書きをする時はいい加減ですが、特に手紙などは気を付けるようにしています。

ドッシリとした文字と言うと太字の万年筆で書くイメージを持たれる方が多いかもしれませんが、字幅はあまり関係がないような気がします。大きい文字を書くのなら太字でもいいですが、私は細字でもドッシリした文字になると思っています。

こんな時世なので、文字の形を気にしながら、新聞や小説の書き写しなどしてみて、自分の書く文字のスタイルを確立する練習ももっとしたいと思っています。

 


制約を越えるもの

2020-04-10 | 仕事について

万年筆はクラシック音楽の楽器に似ていると思います。ロック、ポップスでキーボードが使われるのが当たり前だけど、クラシックではきっと使われない。クラシックの世界では、電子的に音を出すことは許されないのだと思うけれど、そうあってほしい。それも安心感だと思います。

万年筆に最新のテクノロジーを取り入れて、例えば自動的にきれいな文字が書ける万年筆が発明されたとしても誰も喜ばない。
金ペン先の柔らかいタッチ、染料インクの紙への沁み込み、インクを吸入する所作に私たちは安心感を覚えます。

万年筆の抑えないといけない制約の中での改良なら、それを使う人は大歓迎するかもしれないけれど、そこから外れたものはなかなか受け入れられない。

今まで数々の新製品が発売されて消えていったけれど、その辺りに分かれ道があったのかもしれないと思いました。

具体的になかなか挙げられないけれど、踏み越えてしまってからでないと分からない制約が万年筆にはあって、私などはそんな制約、歯止めがあることに何となく安心感を持っています。

その制約も時代とともに、多少変化するものなのかもしれません。

例えば、1966年にラミー2000が発売された時、ラミー2000は全く売れなかったそうです。

きっとラミーはその時、越えてはいけない制約を越えたのだと思います。
そして、ラミー2000は時代が下るとともに受け入れ出して、制約が追いついた。

しかし、ラミーは1980年また制約を越えるという暴挙を犯します。サファリの発売でした。

サファリは、当時の万年筆の業界においてはあまりにも実験的な万年筆でした。きっと発売当時は理解されなかったと思いますが、日本では2000年頃にはサファリのブームが到来して、2004年には限定品まで発売されるようになりました。

ラミーが発売した実験的な万年筆が、ずっと後になって世の中に受け入れられることを思うと、ラミーが万年筆の越えてはいけない制約を越えることは勇気ある行動に思える。

今万年筆の業界も停滞していると思います。また制約を越える勇気ある商品が必要なのかもしれません。


工房楔イベント中止とお送りでのペン先調整、委託販売お預かり

2020-04-07 | お店からのお知らせ

今はコロナウイルスのさらなる拡散を何よりも優先して阻止しなければいけないので、兵庫県が緊急事態宣言の対象となったからには、当店も真剣に受け止めていて、何らかの対応をしないといけないと思いました。

それ以前にも、世の中の状況はどんどん悪くなっていると肌で感じています。3月のはじめの頃は今が一番悪くて4月になると収まっているだろうと思っていましたが、甘かった。

5月2日(土)3日(日)に予定しておりました工房楔イベントは中止とさせていただきます。
イベントでお披露目予定でした新作は、当店ホームページで後日公開いたします。
楽しみにしておられたお客様も多く、申し訳ないですが、何卒よろしくお願いいたします。

 

お客様にご来店を促すようなことは言いにくく、ご来店いただかなくても変わらないサービスがご提供できますので、ご利用いただきたいと思います。

ペン先調整に関して、万年筆をお送りいただいて、調整後お送り返すということもしております。不調のある万年筆のペン先調整でしたら、お送りでのやり取りでも問題なくできると思っています。

お送りでのペン先調整のやり取りの流れです。
1.(お客様)メール(pen@p-n-m.net)に調整を依頼したいペンの種類、不調の内容などをご連絡下さい。
2.当店より金額、期間をご連絡いたします。
3.(お客様)万年筆をインクを入れたままでお送りいただく。字幅変更の方で希望の太さのお手本がございましたら、メモ書きを同封して下さい。
4.万年筆が届きましたら、お支払方法のご案内をいたします。
5.(お客様)クレジットか銀行振り込みでお代金のお支払をしてください。
6.お支払いが確認できましたら、ペン先調整し、出来上がり次第万年筆をお送りします。
※筆記中の画像をお送りいただきましたら、書き方に合わせた調整もさせていただきますので、お申し付け下さい。
新規のご購入の場合も同じです。書き方に合わせた調整も個別に承ります。


委託販売で万年筆をお預けいただく場合もお送りでも承ります。
流れは以下の通りになります。
1.委託販売をご依頼したい万年筆の種類などをメール(pen@p-n-m.net)していただく。
2.当店から回答がありましたら、万年筆をインクを洗浄してお送りいただく。
3.到着しましたら、販売金額、期間などをご連絡いたします。
4.販売して、販売期間終了後お代金をまとめてお振込みいたします。(振り込み手数料はお客様のご負担になります)
※破損のあるもの、実用上問題のあるもの、盗品などはお預かりできませんので、ご了承下さい。
委託販売に関して、ホームページにて ご説明しておりますので、ご覧ください。

ウイルスを避けながら、お客様方には楽しみをご提供したいと思っております。
どうぞ、よろしくお願いいたします。

 


好きなインク

2020-04-06 | 実生活


ローラーアンドクライナーのインク。同じドイツのペリカンとの相性は特に良いと思っています。


万年筆のボトルインクの話。ペリカンロイヤルブルーが品切れしています。
ドイツは企業活動までは停止していませんが、コロナウイルスの影響があるのかもしれません。

ペリカンのロイヤルブルーは万年筆のインクの定番中の定番で、当店も試筆用のインクとして使っています。
ロイヤルブルーは普通のブルーのインクよりも少し赤味がかっていて、紫色に近い色で高貴なブルーとされています。

ロイヤルブルーはペリカン以外からも発売されています。
モンブランのロイヤルブルーはまた少し違う色なので、その色にあまり厳格な規定はないのかもしれません。

ペリカンが品切れしているからではないですが、私は今はローラーアンドクライナーのロイヤルブルーを集中的に愛用している。
そのインクにハマると全ての万年筆に同じインクを入れたくなるので、いつも集中的に使うことになります。

ローラーアンドクライナーのロイヤルブルーはペリカンやモンブランと比べると少しだけ粘度が高いように思いますが、私が使っているペリカンやウォール・エバーシャープ、ファーバー・カステルとも相性が良く、書き味の良さにも貢献しているように思います。
万年筆を愛用している人なら知っていることなのかもしれませんが、インクによって万年筆の書き味は違ってきます。私は肝心な色よりも、書き味でインクを選ぶところがあります。

ローラーアンドクライナーは、万年筆用のインクだけでなく、付けペン用のカリグラフィインクも発売しているドイツのインク専業メーカーです。

グーグルアースでその場所をたどってみたら、ライプツィヒ郊外の田舎に工場があり、そんなところも想像力が掻き立てられ気に入っている。
ニュルンベルグ郊外の田舎を電車乗って降りたいと思った駅で降りたり、ブラブラとで歩いたことがあって、その時の思い出と重なるからかもしれません。

ドイツのモノ作りの企業はたいてい田舎にあって、その土地を誇りに思っているように見受けられます。
私も神戸の片隅で店をしていることを誇りを持っているし、この街の活性化することに万年筆やステーショナリーが貢献できたらと思っています。

今はそれぞれ自分たちの街から出ることを自重するべき時だけど、今の騒動が過ぎたら、神戸が日本中からだけでなく、世界中から人が来る街になって、訪れた人が良い街だと思ってもらえたらと思っています。

以前はどこか良いところがあればどこにでも行きたい、神戸の街とともに沈んでいくのは嫌だと思っていたけれど、今回のウイルスの騒動のせいかどうか分からないけれど、心境が変わってきました。