元町の夕暮れ ~万年筆店店主のブログ~

Pen and message.店主吉宗史博の日常のこと。思ったことなど。

親子

2018-03-25 | 実生活


須磨区白川台

 

息子が横浜に行ってから、引き出しが少し開いていたり、水道の蛇口から水がポタポタと落ちていたり、スリッパが揃っていなかったりすることが多くなったと、妻に言われた。

私はわざとしているわけではないし、妻は絶対にそういうことはしないので、私の仕業だろうと思うけれど、今までできていたのに急にそういうことができなくなるはずもなく、不本意だと思いました。

それは息子が行ってから起こり出したということを考えると、今まで私が無意識に閉めていなかった引き出しや扉、揃えていなかったスリッパなどを息子が直していたのだと気付きました。

そういえば旅先の旅館で風呂に行った時、私はスリッパを脱いでそのまま浴場に入るけれど、息子は脱いだスリッパを振り返って揃えて入る。

浴場を出る時、私は無意識に揃えてあるスリッパを履いて出て来て、息子は黙って私がそのまま脱いだスリッパを履いて出てくる。

それを後から息子に指摘されて初めて気付いたということもあった。

親子というのは不思議なものだと思います。

親子だからといって絶対に似るわけでもないということを自分たちでも思うし、他の親子を見ても思います。

親子だからこそ真逆の性格になったりするのは、親を反面教師としているからなのかもしれない。

親が子に、こうなって欲しいと希望を託して圧力をかけるほど、子供はそこから逃れようとすることも自分の経験で知っている。ちゃんと期待に応える子供もいるのかもしれないけれど。

私の父は歴史の教師で、私も他はまるでダメだったけれど歴史だけは好きだった。

そして中学から歴史が好きだった息子も4月から歴史の教師として神奈川の高校で働き始める。

好きなことを仕事にするべきだという考えや行動は私と同じで、それも不思議な感じがします。


サバイバル

2018-03-20 | 仕事について

今の時代は、店などの小売りにおいては、今までの常識や経験の通用しない時代になっている。

それはネットショップで小規模の店舗が大量に参入したり、一般の人たちがオークションヤフリーマーケットサイトなどで自由にものを売ることができることも一因だと思っています。
またイベントなどに、お客様方が自由に出店していることも象徴的なことだと思っている。

それらの状況は、メーカー→問屋→店→消費者という今まで普通にあったモノの流れの仕組みの中に存在していた統制システムを混乱させ、機能不全にするのに十分な販売力と影響力があります。

今まで業界にあった秩序やルールは消滅するのではないかと思います。

常識の存在しないこの状況はまさにサバイバルで、そんな中で私たち店はどうあるべきだろうか。

一番良くないのは、既に時代遅れになっている業界の秩序を取り戻そうとして、店はメーカーに、メーカーは店に圧力をかけるようなやり方だと思っています。

時代はとっくに変わっていて、お客様方の買い物の仕方も多様化しているのに、今までのやり方を今の時代に当てはめようとしても無理がある。

当店は、この業界の仕組みに組み込まれていない新参者なので、このサバイバル戦の攻め手側なのかもしれないけれど、敵味方もない。本当のライバルの多くは目に見えないということが今の時代の特長なのかもしれません。

この時代を生き残っていくには、私たちは商売、サービスのプロでないといけないという普通の結論になるけれど、そう思っている。

たくさんの、万年筆やステーショナリーを販売する人がいる中で、いかにプロの万年筆販売店らしくあるか。

それを追究していくことが、この先続いていくために必要なことだと今は思っているけれど、その考えに固執せず、考えをすぐに変えるつもりも持っています。


都会と地方

2018-03-11 | 実生活


一昨日の垂水区

 

あれから7年も経つと思うと、申し訳ないけれどのうのうと生きてきてしまった私にはその時間の流れはとても早く感じられる。しかし、被災して生活を立て直さなければならなかった人には時間の経過が遅く感じられる長い7年間だったと思います。

津波に流されて亡くなった方は、さぞ怖くて冷たい想いをしたと思うし、帰らぬ家族を待つ人はどうやって前を向けばいいのだろう。

人災と言われている原発事故で自分の町に住めなくなって今までの生活を送れなくなっている人はさぞ無念な想いをしているだろうと思う。都会で大量に消費する電力に対してのリスクをなぜ地方の人が負わないといけないのだろう。

私のような薄っぺらい人間に被災された方々にかける言葉は見つからず、その心中を想像して、理不尽なことに怒りを覚えることしかできない。

 

息子の引っ越しで横浜に行ってきた。

東京は行くことがありますが、横浜で降りることはほとんどなく、その辺り大阪までは来るけれど、神戸まで行くことがないとよく言われることによく似ている。

息子がマンションを借りた南区も、ブルーラインという地下鉄も初めてでここはどんな街なのかと2日間探りながらいましたが、横浜はとても大きな街だということしか分からなかった。

横浜駅周辺は密度の高い都会で、行き交う人も非常に多かったし、息子のマンションの周辺は人の姿をあまり見かけませんでしたが、高い建物ばかりが立ち並んでいました。
元々は1戸建てや商店が建っていたけれど、それらが老朽化して、どんどん取り壊されて新しい建物に建て替わっていっているようでした。

こんな都会の片隅に神戸から行かなければいけない理由とは何だろうと思う。

もちろん神奈川県の教員採用試験に受かったから横浜に来たのだけど、息子は兵庫県に残りたいと思っていた。
地元に残りたいと思っている若者が、仕事の口がなく、仕方なく首都圏に出て行く。典型的な日本の構図が我が家でも描かれるとは思ってもみなかった。

横浜はたしかに神戸から近く、垂水からだと3時間くらいで行けてしまう。

交通網の発達は地方を活性化させるという側面もあるのかもしれないけれど、それ以上に地方からの人口の流出を招いているのかもしれません。でもそれはどうしようもない世の中の流れなのかもしれない。

移動時間が短くなって、狭い日本がより狭くなって、各地域の独立性はとっくに失われていて、それは江戸時代にとっくに終わっていたのかもしれません。

それぞれの地域が東京と同じような役割をすることはナンセンスで、首都圏は仕事をする場所、地方はたまに帰る場所、遊びに行くところになっているような気がします。

地方を首都圏の従属的な立場として考えることは、神戸という地方を元気にしたいと思っている私にとって、とても悲しいことだけど、世の中の流れはそうなっている。

息子が横浜に住むという話から、思わぬ方向に話が向いてしまったけれど、人一人が新たに生活を始めるのに、こんなにも必要なものがあるのかと改めに思いました。

考えてみたら3人で住んでいると、3人で生活用品を共用しているけれど、一人だからそれが少なくて済むわけではなく、同じ数だけのものがいるから当然なのかもしれない。

横浜で新しい生活を始めた息子とマンションで別れてきたけれど、私たち夫婦も二人だけの新生活を軌道に乗せないといけないと思っている。


店主不在のお知らせ

2018-03-03 | お店からのお知らせ

58mmF1.2のノクトニッコールを使わせてもらった。とても私に使いこなせるものでないことが分かったけれど、欲しい。

 

3月8日(木)、当店は営業しておりますが、私は不在にしております。
当日ペン先調整はできず、お預かりして、後日お返しすることになります。お気をつけ下さい。

 

店の営業日、営業時間中は基本的に店にいます。
それが当たり前にことのようにずっと思ってやってきました。

しかし、森脇が入った今、相変わらず私が店から離れられないのは、自分に能力がないからだとやっと気付きました。

能力があれば、とっくに自分がいなくても店が回るようにしていたのではないかと思う。

そんなふうに思うと情けないけれど、仕方ない。少しずつそういうふうにしていきたい。

最終的には私がいなくてもPen and message.が、何の支障もなく営業しているようにしたい。

目標に少しでも近付ける方法は、強引だけど私がいない日を無理やり作るというものでした。
昨年から始めた出張販売はその役にも立っていて、私にも店を守る二人にもチャレンジになっています。

店は通常営業していますが、出張販売で私が不在の日が数日ありますので、ご案内させていただきます。

・4月26日(木)27日(金) KA-KU奈良店様で調整応援をしています。

・5月31日(木)~6月3日(日) 6月1日(金)2日(土)札幌ギャルリノワール/ブランにて出張販売のため

・7月13日(木)~16日(日) 7月14日(金)15日(土)福岡ギャラリートミナガにて工房楔との共同イベントのため

・8月30日(木)~2日(日) 8月30日(木)31日(金)9月1日(土)東京代官山ギャラリー懐美館にて出張販売のため

ご不便お掛けしますが、何卒、よろしくお願いいたします。