元町の夕暮れ ~万年筆店店主のブログ~

Pen and message.店主吉宗史博の日常のこと。思ったことなど。

来年のダイアリー

2008-11-26 | 仕事について
今の時期、来年のダイアリーについて思いを巡らせる人が多いと思います。
手帳好きな人は文房具屋さんに何度も足を運んで、手帳を立ち読みされていると思います。
自分の手帳の使い方を考えて、本当はどんなものが向いていて、今の手帳にどんな不満があるのかなど、それについて考えたり、調べたりするのは結構楽しい作業だということが、今年は分かりました。
携帯性と記入量のバランスが自分に合っているということで、クォバディスのエグゼクティブを毎年使っていて、他のものを使うことがありませんでした。
しかし、今年はある事情から違う手帳にしたいと思い、いろいろ考えることがありました。
かなり以前からのお客様のNさんと話していて、その会話の中で「吉宗さん、忘れますよね。」と諦めたかのように一言。
確かに私はよほど大切なことは、胸ポケットに入れてある最も優れていると思っているメモ帳に書くようにしていますが、夜風呂に入るとその日一日のことは全て水ならぬ、お湯に流してしまうほどのひどい健忘症(性格に言うと、物事は覚えているけれど、気持ちを忘れてしまうという方が近いと思います)で、最近は特にひどくなっています。
それは私自身も自覚していることでしたし、他のお客様からも指摘されることがありました。
しかし、面と向かってはっきりと言われたことはありませんでしたので、このNさんの一言は私には軽い衝撃を与えました。
何かあるごとに細かく書いて覚えておかなければならないと思いました。
すぐにダイアリーを違うものにしようと思い、ダイアリーについて考えるようになりました。
日々の記入欄の大きい、1日1ページのものを使うことは決めていましたが、調べてみると結構な種類があることが分かりました。
罫線の種類、大きさ、内容など考えていた時期、ル・ボナーさんでブッテーロの文庫本カバーを見て、これを使いたいと思いました。
文庫本サイズに限定するとかなり絞られてきますが、私の知らない間に文庫本サイズの1日ページのダイアリーがかなり増えていることが分かりました。
検討した結果、一番多くの人に使われている、ほぼ日手帳という普通の選択になりましたが、これはお客様のOさんが余分に買ったからと言って、1冊プレゼントしてくださりました。
ほぼ日手帳の中身を見てみると(ロフトさんでさんざん立ち読みしていましたが)、ビジネス手帳としても大変優れていることが分かりましたし、万年筆のインクで書いても裏写りしない、かさばらない薄い紙が使われていて、なかなかの書き味の良さも持っています。
この手帳なら、書く楽しみもあり、使い続けることができると思っています。

本日発売のLマガジン

2008-11-25 | 仕事について
11月22日のオープンの前日お邪魔したときに教えてもらっていましたが、本日発売のLマガジン12月号の文房具店特集「文房具と人」で分度器ドットコムの谷本さんが紹介されています。
京阪神にあるおしゃれな文具店を取り上げた特集で、魅力的なお店ばかり紹介されている中、分度器さんも輝いていました。
谷本さんの写真も出ていて、おもしろい内容だと思います。

分度器ドットコム正方形方眼ノート

2008-11-24 | 仕事について

使うと減っていく、ミシン目でページを切り離すことができるノートやメモ帳がとても好きです。
そういったメモ帳を書いて、ダイアリーなどに記入したり、パソコンで清書したりして、終わったら切り離して捨てる。使うとどんどん薄くなって軽くなる。
分度器ドットコムのノートに切り取り用のミシン目がついていることを最近気付きました。
最初に谷本さんから見せてもらった時に、それはクォバディスエグゼクティブと同じサイズの可愛らしいノートとしか思っていませんでしたが、表紙には分度器ドットコムらしい遊び心があり、中に切り取り線が入っていました。
これでレポート用紙のように使えると思いましたが、そのノートはそれだけではありませんでした。
締め切りに追われていた日々、店と自宅の往復の電車内で、立ったままで書いていることが多く、その時ノートは使いにくく、メモ帳では小さすぎました。
最初、この正方形ノートをヨコ開きで使っていましたが、このノートの縦横の長さが一緒だということが急に気になり、メモ帳のように縦開きで使ってみました。
意外にも、立ったままの姿勢でも書きやすいことが分かりました。
メモ帳の代わりにもなり、ノートにもなる、そして使うほどに薄くなっていく。
とても便利なノートだと思います。

https://www.p-n-m.net/contents/products/PG0072.html


分度器ドットコム西宮夙川店オープン

2008-11-23 | 仕事について
分度器ドットコムの実店舗が本日13時オープンします。
アンティーク家具を什器にしたセンスの良い内装のお店で、谷本さんのコレクションだった古い文房具の看板など商品以外にも見て楽しめる要素もたくさんあります。
たくさんある商品の中から日本に入っていないものや、廃版になってしまったものを探し出す楽しみのある店でもあります。
場所は阪急夙川駅の出口(南側だけ)を出て、左(東)方向に進んで、横断歩道を渡り、すぐ左に曲がって、線路沿いに右に曲がってすぐのところにあります。
隣が新聞屋さんになっています。
阪急夙川駅は特急も停まり、三宮から10分程度で着きます。
駅前には他にお店などがあり、永田さんが言うにはデートに最適な街だそうです。
お買い上げ特典もありますので、ぜひ遊びに行ってみてください。

ひとりごと

2008-11-19 | 仕事について
ニューヨークシティマラソンから帰って来られたAさんから、走っている自分の写真をweb上で見たり、買ったりすることができると教えてもらいました。
今では他のマラソンでもそのようなサービスがあるということでしたが、どうすればお客さんが喜ぶかを熟知して、それをビジネスにしていることに感心しました。
私たち販売、接客など店を経営する者はお客様がどのようなことを求めているかを日々販売活動の中で察知して、それを店のサービスに反映させていくのが仕事だということをAさんの楽しそうに走っている画像を見ながら改めて思いました。
販売の仕事を始めたばかりの頃はお客さんの楽しみについて考える余裕もなく、先輩や上司の意向が気になっていました。
口ではお客様のためと合言葉のように言っていましたが、それを心から分かっていなかったと思います。
私がお客様のためにと、心から思えるようになったのは、一人一人のお客様とコミュニケーションをとり、その人たちを心から理解したいと思ってからでした。
今日、久し振りに北兵庫の町から来てくださったNさんは、来年1月に工場からあるお店に転職するということで、初めて経験する接客について考えを深めておられるようでしたが、お客様の顔と名前を覚えること、そしてお客様に興味を持つことを販売員の必須条件としてすでに理解されていました。
私が何年もかかって理解したことをNさんは始める前から理解していて敬意を感じました。
販売という仕事はお客様の心理を操る心理学ではなく、お客様の心を感じる感受性だということを少しでも多くのお店の経営者やスタッフが理解したら、元気なお店がもっと増えるかもしれないと思いました。

迷宮

2008-11-18 | 追加カテゴリー
昨日書き込みをしていた、商品の出荷ができないとFAXを送って来ていたところにホームページ上の扱いについて相談しようと電話しました。
「少々お待ち下さい」から1分ほど。
「席をはずしているようで・・」と言う返事。

予測はしていたけれど、やっぱりがっかりしましたが、伝えたいことがあったのでこちらからもFAXを送ることにしました。

「何か事情があったのではないかと推測しています。当方は初めてのケースではありませんが、ご迷惑をお掛けしているのではないかと心配しています。
またいつか、商品の出荷が可能になりましたら、ぜひご連絡下さい。
今までどおり、取引は別にしてもお付き合い下さい。」(HP内容は伏せます)

という旨、送りました。迷惑を掛けているのだろうな、と思っていましたが、相手にすれば「何で急に在庫がないの!?」って責められると思っているに違いないので、その辺りは誤解されたくないと思ったのです。

そして翌日。

連絡の取れなかったその相手の方からメールが来ていました。

やはり、推測どおりの事情があって、やむなくFAXしたのだということ。
更に、万年筆のマーケットを盛り上げたい気持ちはあるということも言われていました。やはり、巻き込まれたくはないものですよね。

でも、少しだけ、良かったと思いました。
人とのつながりまで、絶たれてしまうのは何よりも辛いことです。


でも次々と問題が起こります。更に取り扱い商品が減りそうです。
どうやら、インターネットの掲示板に私たちが悪口を書き込みをしていると思っているようです。ここ最近急に攻撃が激しくなったので聞いてみると、そんなことも理由のひとつにあったようです。


・・・信頼関係がないということは、どんなことも疑われてしまうんですね。
(それがあれば、こんなことにはなってないという話ですが)

ブログでもあまり気持ちのいい話ではないのでこの辺りで。

あ、お店では元気ですから気にせず遊びに来て下さいね。


ル・ボナーペンケースと大和出版印刷製本ノート

2008-11-16 | お店からのお知らせ
今発売中の雑誌DIMEの付録している、別冊の誌上ショッピングの中で、ル・ボナーさんのしぼりペンケースと大和出版印刷さんの製本ノートが出品されています。
非常にたくさんの逸品が載った本ですが、神戸発の2つのステーショナリーは全く見劣りしていませんでしたので、とても誇らしく思いました。
大和出版印刷さんのノートは、昨年発売して生産終了してしまったバガス紙の次に大和出版印刷が万年筆用に薦めるAプランという紙を使用しています。
バガスの滑りの良さ、筆圧が下がるインクの伸びは快感に思えるほどのものでしたが、このAプランも万年筆との相性が抜群の紙です。
選りすぐりの紙を大和出版印刷と親交のある製本所の優れた製本技術で、本のようなノートに仕上げるというやり方も堂に入ってきましたし、おそらくたくさんのお客様からも知られるものとなってきたと思います。
今まで万年筆に合う紙製品を色々試してきて、知っているつもりでしたが、大和出版印刷が印刷の世界から引っ張ってくる紙は、今まで文房具の世界では出会ったことのなかったものがよくあります。
大和出版印刷の多田さんたちがそれらの紙を持ってきて、私たちの意見を聞いてくれますが、そこで好きなこと言い合って話し合う中にお互い気付かせられることがよくあります。
最初から金銭的なメリットを得ようとする業務提携ではなく、心から相手の成功を手伝いたいと思える協力関係が築けた仲間たちが作ったものは、自分の店の商品のように大切に思えます。

分度器ドットコムリアル店舗

2008-11-15 | 仕事について

分度器ドットコムの谷本さんはネットショップだけでなく実店舗を持ちたいと以前から思われていたようですが、やっと気に入る場所を見つけられたようです。http://news.bundoki.com/?eid=4
11月23日をオープン予定とされていますが、もしかしたら変更があるかもしれないということで、追って告知されるそうです。
谷本さんは、日本国内の他の店では手に入らないようなステーショナリーのストックをたくさん持っていたり、センスの素晴らしいオリジナル商品も作っています。
谷本さんとある方の紹介で出会ったのは、今から1年半ほど前ですが、一緒に東京に行ったり、ことあるごとに電話で連絡を取り合ったり、松本さん、永田さんも交えて夕食とバランザック会合をしたりする仲間で、知るほどにそのセンスの良さに感心してしまいます。
魅力的なお店を作られるのは間違いありませんので、私もとても楽しみにしています。
阪急電車夙川駅から徒歩1分という非常に便利な所ですので、ぜひ休日や会社帰りなどに遊びに行ってください。


柘製作所万年筆

2008-11-12 | 仕事について

この万年筆にこの店で再会できるとは思いませんでしたが、縁あって扱うようになりました。
浅草の柘製作所の本社を訪ねて見学した後、駒形どじょうでご馳走になったのが4年ほど前だったと思います。
そこで目にした柘製作所のオリジナル万年筆のシリーズは形こそセーラーと同じでしたが、素材の良さ、細部へのこだわりなどにおいて、全く違うものに感じられました。
それはその時に見学させていただいた、材料保管室やスケールの大きな柘社長を始めとする経営に携わる人たちの自信に満ちたお話からも感じられました。
当時柘製作所は直販でしか、万年筆を販売していなかったため、当時の私はそれを扱うことができませんでしたが、やっとその機会を得ることができました。
万年筆のボディの素材は天然の素材であって欲しいという願いは、多くの人が持っておられると思います。
各万年筆メーカーも木など、天然の素材については常に意識しているようで、限定万年筆など天然素材のものが採用されることが多いようです。
日本のメーカーも海外のメーカー以上に木軸などを意識していて、定番品の中にも天然木のものがいくつか見受けられます。
そんな日本のメーカーの多くに良質な素材を供給していたのが、柘製作所です。
各社この柘製作所なしで天然木の万年筆を作ることはできなかったのではないかと思えるほど、柘製作所の負った役割は大きかったと思います。
柘製作所は世界有数のパイプメーカーであり、喫煙具の輸入元でもあります。
特に良質なブライヤーを使用したハンドメイドパイプには定評があり、パイプ王国デンマークでも一目置かれ存在です。
パイプ作りのノウハウを万年筆作りにも生かした柘製作所の万年筆のシリーズが入荷しました。
https://www.p-n-m.net/contents/products/category1-7-5.html


文章を書き起こすためのノート

2008-11-11 | お店からのお知らせ

1000字以上のある程度の文字数の文章を書く時にこのノートを使うようにしています。
このノートのことは、初版のバイキングフールス紙を使っていたものの時から知っていて、その紙の良さは分かりましたが、当時の私にはその罫線の妙が分かりませんでした。
昨年店を始めた時に、万年筆クラブの中谷会長にお願いして仕入れさせていただいて、販売するようになってから再び使うようになりましたが、とても使いやすい文章を書き起こす人のためのノートだと思いました。
紙質は以前のバイキングフールス紙ではなくなっていて、違うフールス紙になっていましたが、バイキングフールス紙の鋭いと思えるほどの滑りの良さよりも、新しい紙の柔らかいペン当たりと程よいにじみの方が好みで、万年筆で書いてとても気持ち良い紙だと思いました。
しかし、このノートで最も優れているのは、その罫線のレイアウトです。
少し黄色っぽい紙に薄いブルーで印刷された罫線は8mm罫で、中字の万年筆でピッタリと納まる太さです。
そして、ページの横と上下の罫線の外に、大きめの余白があり、これが大変便利でした。
文章を書き起こす時、テーマが決まって、頭の中で何を書くか決まった時一気に書き続けることもあると思いますが、そんな時には書きもれがあったりするものです。
後から読んだ時に、その書きもれを書き足したり、詳細な説明を加えたり、記述を変えたい時など、文章の質を上げたい時に役に立つことが分かりました。
こんなふうに使うことができるノートはあまりないと思います。
様々な文章の締め切りが迫り、アタフタしながらこのノートについてご紹介しました。https://www.p-n-m.net/contents/products/PG0003.html