元町の夕暮れ ~万年筆店店主のブログ~

Pen and message.店主吉宗史博の日常のこと。思ったことなど。

神戸ペンショー

2019-10-28 | お店からのお知らせ

 

昨年の神戸ペンショーの当店ブース

 

11/23(土)24(日)北野工房のまちで開催されます神戸ペンショーに今年も参加します。

当店の店舗も通常通り営業します。私は留守番、スタッフKとMが神戸ペンショーに出ています。

神戸ペンショーでは隣のブースがツイスビーさんで、ツイスビーの万年筆をお買い上げいただくと、無料でペン先調整させていただきます。お持ち込みの万年筆のペン先調整も承ります。

スタッフM(森脇 直樹)は、神戸ペンショーが調整士デビューということになります。入社すぐからペン先調整の訓練はしてきて、それなりの本数をこなしてきていますので、あとは経験だけが彼に足りないものだと思っています。彼の調整に関して、当店として保証しますので安心してお任せいただきたいと思います。

今年は、一部の人の間では大変有名になっている鉛筆類専門店590&Co(こくえんあんどこー)さんも参加されます。絶対面白い店だと思います。

当店のブースでは、システム手帳リフィル筆文葉、そら文葉のデザイナーかなじともこさんが期間中いて、ご自身の商品のPR、販売をいたします。イベント限定商品もございます。

当店は台南ペンショーで気に入って、扱い始めることになった台湾の万年筆ブランドPenluxの国内先行販売を行います。抑えたカラー、持ちやすい本格万年筆サイズの軸、書き味の良いペン先の万年筆で大変気に入っています。

毎月何らかのイベントに参加していた当店のツアーも今年はこの神戸ペンショーで最後になります。

外に出て行くのは楽しいけれど、じっくり腰を据えて店の仕事に取り組むことも必要です。自分の目が外にばかり向いていた。また神戸でじっくりやっていきたいと思っています。

神戸ペンショーは万年筆愛好家団体Y.Y.Penクラブさんと古巣ナガサワ文具センターさんが主催しています。同じ神戸で開催されている万年筆のお祭りに参加することができて嬉しいし、そこに当店があることが自然に感じられます。

ナガサワ文具センターで働いていた時は、まさか自分が外部の人間として関わるようになるとは思ってもみなかった。

ナガサワ文具センターで得た知識や経験があったから今ここで店をしているのだと思うと、卒業した学校と同じようにその有り難みをじわじわと感じます。

 


台湾風景

2019-10-25 | 仕事について

自分で言うのも何だけれど、結構感傷的に物事を思うことが好きな方だと思う。

ふと見かけた風景から、そこで暮らす人々について思った時に胸が痛くなるような感情がよく湧いてくる。

先週末4日ほど台湾に行っていた。

遊びではなくちゃんとした仕事で行ったので、気楽な気分ではなく、それなりのプレッシャーを感じていた。

仕事で旅に出る時、何らかの成果を持って帰らなければいけないというプレッシャーがあって、のんびりしていられないし、食べ歩くわけにもいかなかった。

そんな合間でも見た景色に心はいつも動かされていた。

台北101という88階以上が展望室になっている高いビルに上がった。

地上380mから台北の街を見下ろす。

台北は表通りは近代的なビルが建ち並ぶ大都会のイメージが強いけれど、一つ路地を入ると古い、とても古い建物が密集していて、101から見ると古い地域が大部分を占めていることがよく分かる。

一部のエグゼクティブが新しいビルで仕事して、ほとんどの庶民は古く、低い建物の中で日々の暮らしを必死で、でも前向きに維持しようともがいていると勝手に想像するとこの風景が忘れられなくなる。

101では多くの人は記念撮影に忙しく、その前の景色を見て考え込む様子もない。こんな景色を見て、心が乱されるようなことは皆はないのだろうか。

台南に向かう高鐵(新幹線)の車窓からも新しい街と古すぎるくらい古い街のコントラストが強烈な景色をいくつも、街があるごとに見た。

格差という言葉が台湾にいる間中何度も頭から離れなかった。

富める者と庶民。新しい場所と置き去りにされた場所。

そのコントラストが強い台湾の景色に心を大きく揺さぶられ続けていました。

台湾は格差を気にせずにダイナミックに発展してきたのだろう。

それに対して日本は格差を良しとはしなかったので、そのスピードは遅かったのかもしれない。けれど、それが日本で、日本人特有のバランス感覚なのかもしれないと、台湾の景色を見て初めて日本についてそんなふうに思った。

台湾から帰ってきてまだ数日しか経っていないけれど、とても時間が経ったように思うし、こうやっていつもの生活に戻っていると、夢だったのではないかとさえ思えます。

それだけ一人で歩き回った台湾の旅は、その時には夢中で、何か成果を持って帰らないといけないというプレッシャーもあって、楽しいという自覚すらなかったけれど、忘れられない時間になったと思う。


雨天決行

2019-10-13 | 仕事について

 

昨日は、店を開けるか臨時休業にするか迷いました。

テレビの台風報道は、台風のコースから大きく外れている近畿地方にも大きな影響を及ぼすと繰り返し言われていたし、列車も運休する可能性を匂わせていた。

休みにした方がいいのかと家を出たけれど、駅に着いて通常通り営業した方がいいと思い直した。

台風のコースから大きく離れているので、多少風雨は強くなるけれど、そうひどくはならないし、昼過ぎでおさまるのではないか。そして、JRが止まったとしても地下鉄や私鉄があるから、皆帰れなくなることはないのではないか。

これだけ台風について報道されていると、仕事でもない限り皆外に出ない。お客様は少ないとは思っていたけれど、お客様が少ないからという理由で休みにできない。やりたい仕事はある。

それに何かあった時にすぐに臨時休業にする店だと思われたくない。

台風のコースになった関東地方の方、被害を受けた方は本当に気の毒だと思うけれど、何事もなく皆無事だったからこうやって言えるのかもしれない。

日本の気候は変わってきていると言われる中で、その天気を読んで自分で判断することが必要になっている。

テレビの報道に踊らされていたら、しょっちゅう店を閉めなくてはいけなくなり、仕事にならない。

商売が悪いのを天気のせいにするなと若い時から教えられてきた。

雨が強くて来店されるお客様が少なければ、通販で買ってもらえるようにしたらいいし、またお客様が来られた時のための準備をしたらいい。

神戸は天候がそれほど極端ではなく、まだ過ごしやすいところだとは思うけれど、1年に何回も休むか開けるかを判断しないといけなくなるとは思わなかった。

いろんなことが移り変わっていて、経験は役に立たなくなっている。適応して、その中で生きていくしかないのだと自然からも教えられます。


東京インターナショナルペンショーが終わって

2019-10-11 | 実生活

浅草で開催された東京インターナショナルペンショーに参加していた。

イベント事、他店との関わりがないと多くの人に思われている当店としては異例のことだと思われているかもしれません。

しかし、ないように見えて、他店とのやり取りが当店にも少なからずあって、東京インターナショナルペンショーへの参加もそんな今までの繋がりから実現したものでした。

人付き合いが悪い私と他店とを結びつけたのは、名古屋の万年筆店ペンランドカフェの前のオーナー高木雅且さんでした。

強引な高木さんのおかげで当店は孤立することなく、何かあれば声を掛けてもらえている。

今は万年筆の世界から完全に身を引いておられて、ご自分で見つけた人の役に立つ活動をしておられる。すごい人だと思う。

東京インターナショナルペンショーは東京という場所、その規模の大きさ、注目度から、来年も参加したいと思っているけれど、このイベントでもっと来場される方の心をつかめるようにしたいと思っている。

当店は万年筆店というよりもステーショナリーセレクトショップなので、陳列商品がどうしても多くなります。

他のお店はもっと的を絞った商品構成にしているのでスッキリと分かりやすい。

その辺りを何とかしたいと思いましたし、当店でしか買えない商品の開発も強化しないといけないと改めて思いました。

課題は残ったけれど、東京インターナショナルペンショーはお祭りで、お祭り騒ぎは好きではないけれど、こういうお祭りなら参加してもいいと思っている。

来年は11月7日、8日に浜松町で開催されるようですが、きっと当店はその中にいるだろう。

ペンショーの後片付けをして、スタッフや手伝いに来てくれた関東にお住まいのお客様、工房楔の永田さんと夜の浅草を歩きながら、今年のペンショーが終わったことと、せっかく馴染みはじめたこの街に来年は来ないと思うと少し寂しい気持ちになりました。