往年のスラッガー門田博光氏が、外野手は外野手用のグラブを練習から使っていないといざというときに上手く使いこなせないという内容のことを何かで語っておられました。
練習の時、内野手用の軽く小さなものを使っているようでは、いつまでたっても一流にはなれないといったところでしょうか。
中学生か高校生だった私はそれを神の言葉のような気分で読みました。
野球のグラブは各ポジションによって、大きさ、形などが微妙に違っています。
キャッチャーミット、ファーストミットが他のポジションと違っていることは分かりやすいですが全て違う。
セカンド、ショート用は球を捕って持ち替えずにすぐになげられるように、芯が浅く小さめのもの。
サードは球を深く捕ってもいい場合が多いので、少し深く大きなもの。
外野手は少しでも遠くの球が捕れるように、可笑しいくらい長い形のグラブ。
外野手の長めのグラブの効用はフライやライナーの届くか届かないかのわずかな違いを埋めてくれるもので、弱いフライなどグラブの先端に引っ掛けるように捕れるテクニックがあると守備範囲が広くなる。
晩年、指名打者ばかりだった門田氏でしたが、専門のバッティング以外にもこういった守備の職人芸にこだわっていたという事実は野球少年にはたまらない話だった。
野球のグラブは作り手が明確に用途を決めて使い手に提案しています。
万年筆にも用途はきっと存在するのでしょうが、あまりはっきりしたアナウンスがありません。
我々売り手がそれを分析して、門田氏のようにその効用を皆様にお伝えしなければいけないのですね。
あまりにも万年筆からかけ離れた話でしたが、プロの道具の話は心惹かれるものが多いですね。