一期一会 ~万年筆店店主のブログ~

哲学、想いを発信している、Pen and message.店主吉宗史博のブログです。

ヨーロッパの風景

2010-07-29 | 仕事の考え
分度器ドットコムの谷本さんがヨーロッパ旅行に持って行った鞄を久しぶりに開けてみると、数枚のユーロ紙幣とともにイタリアの匂いがしたと言っていました。
そして、旅行でのあるワンシーンが懐かしい記憶としてよく思い出されるそうです。
それは、ベルリンに着いて2日目の夕食をしたベトナム料理店での光景です。
その日、私たちはいくつもの蚤の市をはしごし、お店を何軒も回わりました。
前日と違ってとても暑い日で、その日最後の店としてクタクタになって、やっと探してたどり着いた店は閉店した後でした。
疲れきっていた私たちは、中心地まで戻る気力も残ってなく、閉店していた文房具店の隣にあったベトナム料理店で早い夕食とすることとしました。
通りに面した店先の席に陣取って、皆タバコに火を点けました。
まだまだ陽が高かったですが、涼しい風が吹き始めていました。
旧東ベルリンにあたる寂しげなその場所は地元の人しか通らない静かな所でした。
そのベトナム料理店も、その日私たち以外にお客が来るのか分からないような侘しい感じの店でした。
賑やかで、常に新しく生まれ変わっている街ベルリンにあって、忘れられているかのような下町で私たちは前日よりも遥かにリラックスしてその場所を自分たちの場所のように感じました。
仲良く方を抱き合うドイツ人のゲイカップル、自転車二人乗りの恋人たち、ベトナム移民の女性のはにかんだ笑顔。
たしかに私もその風景は懐かしく思い出すシーンのひとつです。
私たちはこれからも6月のヨーロッパ旅行の様々なシーンを思い出しながら、生きて行くのだと思いました。
もしこれから私たちの人生が変わることがあるとすれば、ベルリンのあのベトナム料理店の店先からだったのだと思い返すのかもしれません。
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ピッコロ

2010-07-29 | 仕事の考え
ヨーロッパ旅行中、松本さんが自分のために特別に作ったライムグリーンのパパスの鞄に、パープルのピッコロを入れて使っていました。
松本さんは、製品になったものや、試作したものをそうやって個人的に使ってみることで、仕様を変更して、より良い製品にしていきます。
顧客と接することのないデザイナーが机上だけでデザインする大きな企業では、ル・ボナーの製品作りは絶対に真似できないと思っています。
ル・ボナーの強みはこういう細やかな物作りと有名ブランドも使う革を大胆に買い付けてくることのできるネットワークを持っているところです。
でも、それ以前に私たちは松本さんの人柄に惹かれて、その元に集まってしますのですが・・・。
休みの日など、1枚のクレジットカード、お札、携帯電話、メモ帳、1本の万年筆があれば充分ですが、鞄では大きすぎますし、ジャケットなどを着る時は鞄をたすき掛けで持ちたくありませんので、ピッコロのような小さな物入れがあればとても便利です。
ずっと探していた休日用の鞄としてこのピッコロを使いたいと思いました。

写真左より シュランケンカーフ(ブラック、パープル)33,600円 クリスペルカーフ(ブラック/ブルーステッチ、ブラック/レッドステッチ)42,000円
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途方に暮れることなく

2010-07-28 | 仕事の考え
上司の指示で仕事をして、それらをこなして仕事が出来ると思われていた人が、何でも好きに思いっきりしていいよと言われた途端に何をしていいのか途方に暮れてしまうことは、よくあることです。
それもそのはずで、私たちは学校で出された問題を解くことばかりを訓練してきていますので、学校での成績が良かった人ほど、出題されないことに戸惑うのかもしれません。(学校での成績が良くなかった劣等性のひがみです)
でも仕事が高度になってくると、何もない所から自分たちがするべき仕事を作り出していく必要が出てきます。
それは決まった答えもありませんので、決断したり、行動を起こしたりすることが不安になりますが、正解は誰にも分からないし、勇気を出してまず行動を起こすことが勝利(すぐに勝敗が分からないことが多いですが)への第1歩なのだと思います。
自営業の我々は、常に思いっきり、好きなようにしていい状況ですが、何をしていいのか途方に暮れそうになります。
そんな時は、自分がどうしたいのか考えることにしています。それでも足りなければ、お客様にどう見られたたいのかを考えます。
正解のあることなら、学校での成績が良かった人や頭のいい人に敵いませんが、私たちが活動している世界は答えのない、正解のない世界です。
途方に暮れず、思いっきり自分たちがしたいことを仕事でするべきなのだと、いつも自分に言っています。
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ヨーロッパ退屈日記(伊丹十三 新潮文庫)

2010-07-28 | 仕事の考え
著者の物や服装、行動などに対する美学や考え方を記したものが、エッセイと言われるものの中でも特に好きで、なるべく読みたいと思っています。
この本は、ヨーロッパ旅行の荷物の中に入れていましたが、手をつけずに持ち帰ってしまったうちの1冊でした。
読み始めた時、ザックバランに語りかけるような独特に文体に戸惑いましたが、慣れてくると親しみさえ感じるもので、それが心地よくなってきました。
著者は、当時としては英語が堪能な俳優として、海外の映画の仕事に多く携わっていて、海外生活の経験から、日本の欧米の借り物文化の無様さ、流行を追い求めるポリシーのなさを斬りまくります。
この文章が書かれて、40年以上の歳月が流れていますが、今の日本も当時とそれほど変わっていなく、洗練とは程遠い状況なのが悲しい(伊丹流では侘しい)ところです。
つまらない流行を追わず、スタンダードを心掛けろと言う著者のファッション論、ライター、ドライビンググローブ、鞄、靴、車などの話もとても面白く、何度でも読み返したくなります。
人が、自分の好きなものについて語る姿はそれを聞く人を心地良くさせ、その世界に引き込まれます。
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ル・ボナーのディプロマトート

2010-07-27 | 仕事の考え
分度器ドットコムの谷本さんがル・ボナーさんに働きかけてハミさんがデザインした縦型のA4サイズトートバックです。
ル・ボナーさんらしくシンプルで、でも内部までこだわった上質な鞄に仕上がっています。
ル・ボナーさんの上質な革を使った、しっかりした作りの鞄を使いたいと思っていましたが、仕事の日でもスーツを着ない私たちのような仕事の者には使うことができるものがなく、恨めしい思いをしていました。
それは谷本さんも同じだったようで、カジュアルな服装で仕事する者が持つことができて、A4サイズのファイルが入る鞄を作って欲しいと伝えたそうです。
底マチのサイズを見てみると弁当箱も入りましたので、私も使うことができそうです。
46,200円です。ただし数が少なく、早いもの勝ちです。
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ペリカンM205 DUO

2010-07-23 | 仕事の考え
用途を提案している万年筆というのは、非常に珍しいと思います。
万年筆は文字を書く道具ですので、字幅による用途の使い分けはあっても、それ以上に踏み込んだ用途の提案をあまり聞いたことがありませんでした。
このM205 DUOは耐水性のある蛍光イエロー(黄緑?)のインクが付属されていることと、BBという字幅でラインマーカーとして使うことを提案している万年筆です。
蛍光ラインマーカーは、ドイツのスタビロという超スタンダードもありますし、日本製でも名作と言われるものがありますが、それらの消費的で深みのない外装が嫌だと思っている人も多いようです。
10年程前、モンブランからマイスターシュテュックのドキュメントマーカーという超高級蛍光ペンも発売されましたが、あまり売れずに(おそらく)廃番になってしまいました。
万年筆を愛用している人が気分良く使うことができるラインマーカーを求めていることとか、万年筆でアンダーラインを引いている人が多くいるということ、読書の時にラインマーカーについて試行錯誤している人が多いということをペリカンは理解していたようです。
ただ字幅が広いというだけでなく、ラインマーカーとしての要件を充分に満たしているインクの存在も魅力的です。
このM205 DUOが本気で企画されたラインマーカーであることは、パッケージの完成度からもうかがい知ることができます。
とても面白い良い企画の商品だと思っています。
(ワンショットエディション ボトルインク付き ステンレスペン先 13650円)
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“万年筆で書こう”WorkShop” 

2010-07-18 | 仕事の考え
FridayWorkshop“万年筆で描いて、色を塗ろう”第1回目を7月16日に開催しました。
皆さん本当に楽しそうでしたし、私も絵を描くことがこんなに楽しいものかと今さらながらに知りましたが、これも講師を勤めて下さっている神谷利男さんや生徒役の陽気で真面目な皆様がおられたからだと、感謝しています。

私はドラえもんや鉄腕アトムなど、誰が描いてもそれほど技量の差が出ない絵でも、全く別な何かになってしまうほど、絵が下手で、今まで絵を描くことを楽しいと思ったことがありませんでした。
絵の上手な人にコツを聞いてみても、見たままを描いたらいいんだとしか教えられず、見たまま描けたら、ドラえもんが怖い熊になったり、アトムが裸に半ズボンを穿いたオバチャンみたいになるはずがなく、自分にとって絵を描くことは恥を晒すことだと思っていました。
昨年、神谷利男さんのたくさんのイラストをまじえて描かれた日記ノートを見せていただいて、絵はたくさんの文字よりも伝える力があって、自分のためにぜひ絵を描くようになりたいと思いました。
神谷さんのご理解があって、非常にご多忙なスケジュールの中、昨年万年筆画ワークショップの講師をしていただきました。
万年筆だけで、絵を描き、12月には卒業制作などを展示したり、打ち上げをしたりしました。
今年はステップアップして、水彩絵具での色づけにチャレンジしていますが、これは非常に楽しいと、一番下手な私が太鼓判を押します。
色の混色がなかなか決まらず、絵具を無駄に消費する方が多いですが、自分なりに一番近いと思う色を作って、思い切って塗る楽しさは絵から遠ざかっている私のような人に知ってもらいたいと思いました。
神谷さんのアドバイスは、本当に的確で、その通り描くと見違えるように絵が変わります。
学校の美術の時間とあまりにも違っていて、学生の時もこんなに楽しく絵を描くことができていたら、怖い熊を描くこともなかったと思いました。
万年筆画教室は、毎月第3金曜日に開催しています。
途中きからのご参加も大歓迎です。
鉛筆と顔料インクの入った万年筆、スケッチブック(F2相当)、水彩絵具、絵筆などをお持ち下さい。
不明な点がございましたら、ぜひお問い合わせください。電話078-360-1933です。
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スティピュラ ヴェド ヌーダ ブルー

2010-07-16 | 仕事の考え
同じフィレンツェの万年筆メーカーですが、ヴィスコンティはアメリカを強く意識した物作りをしていて、スティピュラはイタリアらしくありたいと常に考えて物作りをしていると、私は感じていました。
それはフィレンツェという街を訪れて、さらに強く感じました。
歴史的な建造物が立ち並ぶ観光地区の中で、ちらほら見受けられるアルチザン(伝統職人)の店。スティピュラのペンはそんな小さな、工房兼ショップのようなところで売られるのが一番似合うような気がしました。
小さいけれど、ブランドが立ち並ぶ一角にブティックを構えているビスコンティと非常に対照的な存在がスティピュラです。

同じ透明の万年筆を作っても、ドイツ、イタリアではこんなにも違うのかと思うほどセンスの違いが出て、面白いと思います。
透明であることにも実用性や深刻な理由を見出すドイツの製品に対して、イタリアの努力はそれはいかに楽しいもの、美しいものにするかに注がれます。
ヴェドヌーダブルー、おそらく実用性からではなく面白いからという理由で容量の大きなインクタンクを備えた万年筆の特長を生かして、さらに美しく設えた万年筆です。
(日本限定200本、ペン先Fのみ、21000円)
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7月の予定と夏休み臨時休業8月2日(月)~5日(木)のお知らせ 

2010-07-16 | 仕事の考え
7月16日(金)は延長営業日で、19時から21時まで、神谷利男さんを講師に招いた“FridayWorkshop 万年筆で描いて、色を塗ろう”を開催します。
参加費無料、予約不要ですが、万年筆(色付けをするため水に流れない顔料インクなら尚可)、スケッチブック(F2サイズ、B5サイズ程度)、水彩絵の具(自由)をご持参ください。
不明な点は当店(078-360-1933)にお問い合わせください。
ご参加お待ちしております。

7月31日(土)15時~17時 聞香会
若き香道師森脇直樹さんを講師に招いて、本格的な沈香の香りを楽しんでいただきます。カジュアルな雰囲気の中で良質な香を聞くことができるので、好評です。
参加無料、予約の必要はありません。万年筆とメモ帳をご持参ください。

8月2日(月)~8月5日(木) 誠に勝手ながら夏休みのため臨時休業いたします。
先日、ヨーロッパ旅行で長期不在にしたにも関わらず、申し訳ありません。恒例の夏休みとさせていただきます。期間中、インターネットショップの出荷は通常通りさせていただきます(万年筆の出荷は休業期間終了後)。

よろしくお願いいたします。
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何とかなる

2010-07-16 | 仕事の考え
以前からの知人が、近くに来たからと、閉店後に訪れました。
「吉宗さん独立してよかったですか?」と聞かれて、即答で「よかったですよ」と答えました。
今では独立して、仕事している以外のライフスタイルなど考えることができませんし、独立という言葉も聞いて照れ臭いほど、今の仕事のやり方が自然になっているような気がします。
最後で唯一のチャンスだと思って、あの時決断していなければまだ会社員として組織の中にいるのだと思うと今では不思議な感じがします。
でも、この先どんなに苦労したとしても、独立したことだけは一生後悔することはないと断言できます。
近く会社を辞める決断をしたその人は独立開業の先輩として私のことを思い出して、訪ねてきてくれたのですが、自分をより活かすことができるステージを自分で作ろうとしていることに、前述した想いもあり大賛成でした。
独立開業に関するビジネス書、中小企業診断士の先生による事前相談など、気休めにはなりますが、何の役にも立たないことは後になって分かりましたが、私にとって正解のない独立開業という道が向いていたと、その人と話していて改めて思いました。

百点満点を取らなくてもいい、60点くらいでも継続することが出来るというのは、独立する決意をした人にいつも言うことですが、言い換えれば何とかなるということですね。
20年前にアメリカへの旅行で思ったことで、先日の旅行でも思ったことでしたが、私は時にはぶち当たって行く突撃の気持ちを持ち続けて生きていきたいと思いました。
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