元町の夕暮れ ~万年筆店店主のブログ~

Pen and message.店主吉宗史博の日常のこと。思ったことなど。

松本さんの誕生日会

2009-08-30 | 仕事について
話が前後しますが、東京に出掛ける前日がル・ボナーの松本さんの誕生日で,お誕生日会を5人集まり開催しました。
加納町3丁目交差点と新神戸駅の間にあるイタリア料理店ドンナ・ロイヤで行うべく、谷本さんのアルファロメオに5人ぎゅうぎゅうで訪れました。
店のゴージャスな雰囲気などから他のお客様は年配の方が中心で、私たちのような若くも年配でもない、それぞれ妙な身なりをしている5人は明らかに浮いていました。
店の中央の大きなテーブル囲んで5人座り、メニューを選ぶまではその雰囲気を探るような感じでそれぞれ静かにしていましたが、気がつけばいつも我先に話をしたがる賑やかな集団になっていました。
このメンバーで集まるようになって1年以上が経つと思います。
それぞれ自分で仕事をしているだけあって、頑固者たちの集まりで、まとまりがつかないはずの私たちは、特に年長ぶってまとめるという風でもなく、私たちと同じようにはしゃいで楽しんでいる松本さんのもとに気が付けばまとまっていました。
私は店を始める前、幸運にも松本さんと出会うことができて、そのネットワークの中で様々な助けを受けることができました。
ル・ボナーさんを訪ねるようになったばかりの時にハミさんが話してくれましたが、松本さんたちがまだ若く、仕事や生活において人からの助けが必要だった時に助けてくれた人から、もし余裕ができたら自分に恩返しするのではなく、助けを必要としている人を助けてあげなさいと言われたそうですが、その教えは確実に守られて、松本さんは私たちに恩を着せるわけでもなくイタリア人に成りすまして助けてくれています。
たいていいつもの調子ではしゃいでいる松本さんですが、時々言いにくそうに真剣な、私たちのためを思ったこと言ってくれたりします。
やはり松本さんがいなければ私たちはまとまって集まることはなかったと思いますし、こうしてブログを書いていることもなかったかもしれません。
松本さんとの出会いを思うと、人の縁というのは本当に不思議なものだと、恩師の誕生日会の喜びようを思い出しながら思っています。

タワーからの眺め

2009-08-28 | 仕事について
東京にプライベートで行ったら絶対に上りたいと思っていた東京タワーに上りました。
家族3人での旅行のため、3人それぞれの行きたい場所を巡ることになった今回の旅行で、このタワーだけは3人が共通して行きたいと思っていた場所でした。
泊まっていた品川のホテルの部屋からも東京タワーを見ることができ、東京のどこからでも迷わず行くことができるのだということが分かりました。
観光客たちが次々と訪れ、タワーの中に吸い込まれていきましたので、私たちも急いで中に入りました。
高い方の展望室に行き、そこから見える東京や周辺の街の景色を思う存分見ました。
一昨年、飛行機で東北に行った時に空から見る関東平野の大きさと建ち並ぶ建物の密度の濃さに目が釘付けになりましたが、タワーの東や北に広がる人々の暮らしの風景もいつまでも見ていられると思いました。
広大な平野に建物が隙間なく建っていて、その遠くの突き当たりには山脈が控えていました。
ところどころに高層ビルがあり、それがそれぞれの街の中心となる場所なのだと思いました。
この平野の中に日本の人口の5分の1近くの人が住んでいると思うと、この都会のパワーに圧倒されそうになります。
東京タワーから見た景色は今でも私の脳裏に焼きついていて、寝る前の楽しみである地図を観ることが更に楽しくなりました。

聞香会の開催のお知らせ 9月13日(15時~)

2009-08-16 | 仕事について
森脇直樹さんを講師に迎えた、聞香会を9月13日(日)開催します。

先日、いつもよりもテンションの高い森脇さんから電話があり、聞香会を開催する準備ができたと連絡がありました。
テンションが高かった理由は、聞香会では新しい試みである組香をやってみようということでした。
組香とは数種類の香をそれぞれのテーマにより組み合わせてたき、香りによって主題を表現し、その趣向を味わうもので、例えば源氏物語の中からのテーマであれば、香りで源氏物語を読むという感じになる(香道 御家流 桂雪会ホームページより)もので、今までよりも様々な香りを楽しむことができるというのが、今回の趣向です。
聞香会には、万年筆、メモ帳(ちぎれるもの)をご持参いただき、香水の着用はご遠慮ください。
参加の予約などは必要ありませんので、お気軽にご参加いただきますようお願い申し上げます。

万年筆で描こう!

2009-08-14 | 仕事について
8月21日(金)19時からの次の神谷さんのワークショップは、「花を描こう」です。
テーブルに飾られた花を万年筆で描くわけですが、それぞれ自由に描いていただけたらと思います。
自由にと言っても、私は絵がとても下手なのでひたすら花に見えるように悪戦苦闘するだけですが、インクはきれいな色を使ってみたいと思っています。
いつも使っている黒っぽい暗い色ではなく、きれいな赤いインクを使おうと思っています。
ワークショップに参加される皆様も、使う万年筆、字幅などとともにインクの色も楽しんでいただけたらと思っています。
皆様がどんな万年筆に、どんな色を入れて来られるかも、先生共々楽しみにしています。

8月の予定

2009-08-11 | 仕事について
ご案内が遅くなり申し訳ありません。
お盆の期間も通常通り営業しておりますが、8月12日、19日の水曜日は定休日とさせていただいておりますので、ご注意ください。

8月24日(月)、25日(火)は臨時休業とさせていただいております。2回目の夏休みをいただきます。

神谷利男さんを講師に迎える「第3回FridayWorkshop 万年筆で描こう」を8月21日(金)の延長営業日に19時から21時まで開催いたします。
万年筆で絵を描くのに最適な、新発売の大和出版印刷リスシオ無地ノート(704円)で楽しんでいただけたらと思います。


さ迷う飛行機

2009-08-09 | 仕事について
24年前の日航機墜落事故を追った、群馬県の新聞記者を描いた映画「クライマーズ・ハイ」を観ました。
母の実家が長野、埼玉、群馬3県の県境近くの長野県川上村にありました。深く険しい山岳地帯の入り口にあるような村でしたが、夏休みの間私はよくそこに小遣い稼ぎのためにハードな畑仕事を手伝いました。
あの夏も私は川上村にいました。
とても天気の良い日で、畑仕事を終えて山から降りてきた私たちは、庭で和やかに話していました。
ほとんど音がしていなかったのか、低いエンジンの音がしていたのか覚えていませんが、村の上を飛行機がゆっくりと飛んでいました。
とても低い所を飛んでいましたので、その飛行機がとても大きく見えました。
フラフラと山の間をさ迷うように飛んでいたので、私たちにもその飛行機が落ちることが分かりました。
その地を知る人ならイメージできると思いますが、その飛行機は絶対に人の住んでいないような、その山の中に落ちなければならなかったのだと思います。
最後の力を振り絞り、操舵の利かない機体を飛ばして、巻き添えの人を出さないような場所を探して、飛行機は山をさ迷い、県境の山深いその場所に落ちました。
飛行機が山の向こうに消えて、アルバイトのお兄さんが運転する軽トラの荷台に乗って、私たちは飛行機を追いかけましたが、どこに落ちたか分かりませんでした。
夕暮れで暗くなってきた山の向こうの東の空が真っ赤に染まっていました。
自衛隊の飛行機がすぐに飛んで来て、落ちたところを確認しているようでしたが、ニュースでは飛行機は消息不明のままで、どこに落ちたかは伝えていませんでした。
山の向こうで500人以上の人が亡くなって、もしかしたら今も苦しんでいる人がいると思うと、布団に入っても寝付けませんでした。
次の日、山の向こうから白い煙が立ち昇っていて、たくさんの自衛隊員と消防団員が山を登って行きました。
123便に乗っていた人たちは自分たちの命がそこで終わるとは思いもよらなかったでしょうし、遺される家族を想うととても無念だったと思います。
目に見えて近付いてくる死への恐怖と闘って、遺書を遺していた人もいたそうです。
最近のことでも記憶がボンヤリとしてしまうことがありますが、24年前のあの夏のことは今でもはっきりと覚えています。

藤江屋分大

2009-08-07 | 仕事について

明石駅で列車を降りると、ホームから北側に明石城の櫓が堀のすぐ向うに見え、元城下町の地方都市だという雰囲気を盛り上げています。
明石城の敷地内は整備され、公園や図書館などがあり、周辺の町に住む私たちにとっての憩いの場になっています。
明石城の東側、人丸前には天文科学館、人丸神社など私の明石で最も好きな場所があります。
明石駅から南へ歩いて、国道2号線を渡ると有名な魚の棚があり、その南には明石から姫路まで続く浜国(国道250号線)があります。
浜国沿いに藤江屋分大さんのとても雰囲気のある本店があります。
創業2年弱の当店にとって、200年近い歴史を持つ分大さんに憧れを感じます。
店にとって、長く続けることはどんなことよりも大変なことで、価値のあることだからです。
分大さんの代表メニュー明石最中を食べましたが、パリパリの皮からはみだしそうなくらいに詰め込まれたあんは独特のきめ細かい食感で、あっさりとしていて、とても美味しく、私の最中のイメージを変えてくれました。
他にも名作和菓子をたくさん揃える分大さんのホームページがこのほど完成し、当店ホームページと相互リンクを結びました。
http://www.p-n-m.net/contents/link.html


山陰日本海紀行2

2009-08-03 | 仕事について
寝る前に布団の中で、地図を見ながら知らない土地をイメージしたり、行ったことのある土地や、通ったことのある道や風景を思い出すのが楽しみで、そうしていると1時間などあっという間に過ぎてしまいます。
若い頃たまたま通りがかった道が印象深くて、いつまでも心に残っていて、また行ってみたいと思い出す場所というのは誰にでもあるのかもしれません。
そんないつまでも思い出せる場所に出会うために旅に出ているような気がします。

中国自動車道佐用インターチェンジから鳥取までの道はのどかな、日差しの明るい播磨の地形、気候から少しずつ自然の強い力を感じる山陰に分け入っていく感じがありました。
播磨の田舎道は、のどかな山里の暮しをイメージできる、それほど高くない山に囲まれた広めの谷にある集落を繋ぐように分水点まで続いていきます。
鳥取に入ると山は険しくなり、谷は深くなって、のどかな風景とは程遠い自然の強さを感じるのです。
それは山岳地帯を抜けて川幅が広くなった平地に出ても同じで、自然の地形の中に人の暮らしがあるような感じを抱きました。
私が住む瀬戸内海沿岸とこの日本海沿岸では自然の厳しさが違うことを実感しました。
鳥取から真横に走る日本海沿いの国道9号線の夏なのになぜか寒々とした風景は、途中車を停めて眺めていた白兎海岸でも感じられました。
強風に吹かれながら、この地の気候に強く影響を与える、見えるはずのないはるか向こうに横たわる大陸の姿をイメージしていると本当に見えるような気がします。
それほどこの日本海沿岸は大陸の影響を受けた気候、風土なのだと思います。