元町の夕暮れ ~万年筆店店主のブログ~

Pen and message.店主吉宗史博の日常のこと。思ったことなど。

本を読む顔

2007-01-28 | 万年筆
雑誌か何かの記事だったと思いますが、高倉健さんがある監督に本を読むように言われたそうです。
本を読むと男の顔に深みが出る、本を読まない男の顔には深みがない、とのことでした。
本を読むだけで顔が本当に変わるのか分かりませんが、私も小学生の頃、母親に同じようなことを言われたのを思い出しました。
母はいつも私に本を読むように言っていて、私がおもちゃを欲しがっても、あっさり無視しましたが、本を欲しがったときはすぐに買ってくれました。
学校の宿題を放っておいて遊びに行くと、ガミガミ言われましたが、宿題をせずに本を読んでいても何も言いませんでした。
母が言うには、本を読まないと顔がボーッとしてくる、読んでいるときは引き締まっているとのことでした。
そんな本当か嘘か分からない話を小学生の子供に本気で信じさせた母も、とうの昔に他界していますが、そんな母の言葉を思い出しました。

武士道

2007-01-09 | 万年筆
この本の岩波文庫版を以前読んだことがありますが、言葉使いの違いから漠然とした内容しか分かりませんでした。理解できるまでもう一度読み返す根気もなく、そのままになってしまっていましたが、書店の目立つところにこの本が陳列されていて、行くたびに目に留まっていましたので、また読んでみました。
今度は現代語訳されたとても読みやすいもので、内容の理解も早く、楽しい読書ができました。
最近の社会での問題をこの本の精神が全て解決するとは思いませんが、古き良き日本を律していた武士道の精神、規範が忘れ去られ、宗教のない国において道徳とするものが欠落してしまっているの確かなのではないかと思います。
自分の弱い心と闘って、強いものに逆らい、自分より弱いものを守る気持ちを持ち続けていくことが、社会全体にあるいじめの問題を解決するただひとつの方法だと思いましたし、パフォーマンスではない真心による目立たない行いを重ねる慎み深さと信念が美徳だと改めて感じました。
私達の感情の奥底に残っている精神だと思いました。

ある茶碗との出会い

2007-01-03 | 万年筆
大晦日にあるお客様のお宅にお邪魔して、焼き物のコレクションを見せていただきました。以前からこういった伝統工芸には興味があり、特に陶芸は各地の風土がその作品に大きく反映されるということでとてもおもしろいと思っていました。
そのお宅は以前も訪ねたことがあり、その時は万年筆談義に花を咲かせましたが、そこらじゅうに焼き物がゴロゴロあり、その方面にもかなりの知識をお持ちだと知りました。
ボーナスをほとんどつぎ込んだというコレクションは膨大なものでしたが、その中からその方が特に気に入っておられる2つの茶碗といくつかの茶入れを見せていただきました。
どれも個性があり素晴らしいものでしたが、その中の青磁の茶碗の上品で緊張感のある形に感動しました。
韓国の人間国宝朴世の茶碗でした。
とても上品で静かな佇まいの形で、いつまで見ていても見飽きそうにありませんでした。
その茶碗にいったいいくらくらいの金額的な価値があるのかは知りませんが、とても良いものを見せていただくことができました。
(茶碗の写真がありませんので、その方の家の庭にあった実の落ちた柿木の写真を載せておきます。)

あけましておめでとうございます

2007-01-01 | 万年筆
あけましておめでとうございます。
年が変わったからといって何も変わるわけではないのかもしれませんが、気持ちの中でリセットすることができて、気持ちを切り替えることができるのは、とてもいいことだと思います。
特に旧年があまり良い年ではなかったという人には、年が変わるのはとても期待の大きいことでしょう。
私も2007年には大いに期待しています。ただ期待していたのでは何も変わりませんので、努力しなければなりませんが、大きな夢を見すぎず、自分の身の丈を考えて、少しずつ着実に前に進んでいきたいと思っています。