元町の夕暮れ ~万年筆店店主のブログ~

Pen and message.店主吉宗史博の日常のこと。思ったことなど。

KBSドイツ紀行5(ハイデルベルク)

2024-05-27 | 仕事について

(KBSドイツ紀行1、4は公式ブログ「店主のペン語り」、2,3は当ブログに掲載)

2日間だけニュルンベルグを離れて、電車を乗り継いでハイデルベルクに行きました。
ハイデルベルクは松本さんがぜひ行ってみたいと言っていた町で、ホテル代を出すからという甘い言葉に乗っかってお供することにしました。

DBの電車に14年前に乗った時は谷本さんに任せっきりでしたが、今回は自分たちで電車に乗って行かないといけないので、ちゃんと下調べしていました。
2日目ミュンヘンにICE(新幹線)で行って予行練習をすることができましたので、わりと楽な気持ちで電車に乗り込むことができました。

行きはREという快速電車でシュテュッツガルトまで行き、ICEでハイデルベルグに入りました。
快速の旅も沿線の風景がゆっくり見られて、それぞれの街の雰囲気を感じることができて楽しめました。

ハイデルベルクの観光地区は駅から10分ほどバスに乗ったところにあります。
旅行ガイドを買って下調べしておいたのに情報が間違っていた上に、バスとトラムが同じ停留所から出て行くので混乱してしまいました。
わりと短気な松本さんが「もうオレが出すからタクシーで行こうよ」と言い出したのとほぼ同時に、地元に住む日本人の女性が「お困りですか?」と声を掛けてくれました。
松本さんは急に紳士っぽい態度に変わって面白かったけれど、教えられたバスに乗って教えられた停留所で降りたらすぐに旧市街の入り口の古橋アルトブリュッケがあり、そこだけでも感動的な風景でした。
今までドイツ人らしき人しか見ることがなかったけれど、ここには世界中から観光客が来ているようでした。

旧市街を突っ切ってケーブルカーに乗り、ハイデルベルク城に登って旧市街を見下ろしました。そこから見る景色もこの世のものとは思えないくらい美しかったけれど、今度は向かい側の山から旧市街とお城を見たくなりました。
ハイデルベルク大学を見て満足していた松本さんを引っ張って哲学者の道に向かいました。
途中私も疲れたけれど、松本さんに申し訳ないと思うくらいの山道を登って哲学者の道に辿り着きました。
大変な想いをして来ただけのことはあると思いました。この景色を見るために私たちはニュルンベルグから3時間以上かけて、ここに来たのだと思いました。
哲学者の道を下りきった所で売っていた冷えたレモネードの美味しかったこと!

ホテルの部屋は松本さんが取ってくれていました。レストランの最上階にあって、広いテラスもありましたし、部屋も2人ではもったいないくらい広かった。途中でイタリアンを食べに行って、美味しいけれどあまりの量の多さに食べきれなかったけれど、夕方の風で涼みながら暗くなる9時過ぎまでアイスクリーム屋さんの美味しいコーヒーを飲みながら、万年筆や旅の話をして優雅な時間を過ごしました。

次の日はとても親切できれいなラミーショップと大学グッズのショップで少し買い物をして、ニュルンベルグに帰りましたが、時間に余裕もあったし、ゆったりとしたいい旅をすることができたと思いました。
松本さん誘ってくれてありがとう。

 


KBSドイツ紀行3(ドイツの時間)

2024-05-20 | 仕事について

KBSドイツ紀行1は公式ブログ店主のペン語りで公開中。

 

昼間精力的にお店を巡ったり、会社訪問をしたり、ペンショーに行ったりしていた私たちは、だいたい夜7時頃夕食にしていました。
7時でも明るく、ドイツ人たちは夜はまだまだという感じで行動している時間です。

3人ともお酒は飲まないですが、はじめの2日間はビアホールのようなところでソーセージなどドイツらしいものを食べていました。
しかし、すぐに3人ともあっさりしたものが食べたくなって、ホテルの近くに見つけたベトナム料理店に3回も行きました。
日本であまりベトナム料理を食べる習慣がなかったけれど、やはり体に合っているような気がして、アジアの人間だなと思います。

だいたい9時頃解散してそれぞれのホテルの部屋に引き上げていきますが、次の日も7時にホテルの食堂で朝食のために集まることになっているので、寝る時間を考えるとそれほど時間があるわけではありません。
翌日もハードはスケジュールがあるので、私の場合11時に寝て5時に起きていました。シャワーを浴びたり、荷物を整理したりする以外の時間は、その日のことを手帳に書いたり、仕入れたものをレシートと照合して手帳に書いたりしていましたが、時間はあっという間に過ぎてしまいました。

ホテルの部屋は半年以上前から予約していて、私と松本さんは日本語のホテル紹介サイトから予約していましたが、谷本さんは直接英語でやり取りして予約していました。直接予約したから安かったと少し自慢げな、満足気な顔をしていましたが、直前になって谷本さんの部屋だけトイレとシャワーが共同だということが分かりました。外国でのトイレ、シャワー共同はかなり恐怖で、本人もビビッていましたが、快適に過ごせていたようでした。

レストランなどは外のテラス席から埋まっていきます。
テラス席がいっぱいでも店内はわりと空いていることが多く、中の方がいいのではと思いますが、5月のドイツの日陰は気持ち良く、テラス席に座りたがるのもよく分かりました。
冷房のついていない店も多く、中が暑いということもあるし、外の席なら喫煙してもいいということもあるのでしょう。
ドイツはタバコに大らかなところで、たばこ吸いながら歩く人を老若男女限らず見掛けました。

休日はもちろん、平日でもランチの時間になるとどこからかたくさんの人たちが出て、レストランのテラス席でおしゃべりをしながらランチを楽しんでいました。
ドイツに着いた2日目は祝日で小売店は休むことが法律で決められているためお店回りはできず、ミュンヘンに行ってみました。
観光名所に行きたかったわけではなかったので、BMW博物館に行ってみました。
皆他に行くところがないのか、BMW博物館にはたくさんの人が来ていて、大変な賑わいでした。松本さんはアルファロメオを愛車としていて有名だし、誰もBMWには乗っていないけれど、3人それぞれBMWの世界観を楽しんでいました。

BMW博物館のすぐ横がオリンピック公園でした。
ただ池と芝生があるだけの広い公園だけど、キッチンカーが何台も出ていて、たくさん置かれた椅子とテーブルはいっぱいで、皆それぞれの休日を明るい陽の下で楽しんでいて、そういう光景を見るとこちらも幸せな気分になります。

オリンピック公園にはタワーが建っていて、ミュンヘンに行くと決まった時から、私は密かに登りたいと思っていました。高所恐怖症なのに、タワーがあると登りたくなる癖があって、訪れた街のタワーには登ることにしています。
興味ないーという松本さんを引っ張ってタワーに登りました。
ミュンヘンの街も見えるし、さきほどのBMW博物館も足元に見えます。
神戸にいると信じられないけれど、山のない見渡す限り平地が続く景色はとてもスケールが大きく、腰が引けながらしばらくミュンヘンとその周辺の景色を楽しみました。

ミュンヘンではステーショナリーは何も得るものはなかったけれど、ドイツの人たちの休日を垣間見ました。家族や友人と家とは違う場所でゆっくり食事をしたり、のんびり散歩したりしていた。
お店が開いていないので、休日に買い物にいいくことはない。街にいくことはなく、こうやって郊外でのんびり過ごすことがいい季節のドイツの過ごし方なのでしょう。

 

 


KBSドイツ紀行2(乗り物編)

2024-05-19 | 仕事について

KBSドイツ紀行1は公式ブログ店主のペン語りにて公開中。

 


ヴュルツブルクのトラム

ル・ボナーの松本さんと590&Co.の谷本さんと、関空からシンガポール、フランクフルト経由でニュルンベルグに行きました。

トランジット待ちを合わせると30時間近くの道程で、気が遠くなりそうでした。
狭いエコノミークラスのシートのせいか、行きの飛行機で背中が痛くなってしまいました。何か負荷がかかるとどこか痛くなる齢になっていると思うと嫌になります。

実は飛行機の三列シートの両端を私と谷本さんで事前予約しておいて、間に松本さんに座っていただくようにしていましたが、松本さんはその席を取らずにビジネスクラスを取ってしまいましたので、往復とも空いたままで、私たちは1.5人分の席をそれぞれ確保したのでした。
それでも狭いエコノミーの長時間フライトはきつく、ドイツに行けると思うから我慢できたようなものでした。

谷本さんはそんな飛行機の中でも、「すずめの戸締り」を観て涙したり、機内食のメニューを好きなカレーに変更したりして楽しんでいる様子でした。

 


ドイツ国内線

クタクタになった朝ニュルンベルグに着いてすぐに動き始めました。
3人とも丸一日風呂に入っていない無精ひげのひどい顔で(松本さんと谷本さんはヒゲを生やしていますが)、谷本さんがチェックしていたニュルンベルグ近郊の文具店を巡りました。

ニュルンベルグの公共交通機関乗り放題切符を買って、地下鉄、バス、近郊電車などあらゆる乗り物に乗りました。

中にはその店のためにその街に行ったのに思っていたような店ではなかったり、昼休みだったりしたところもいくつかあって、無駄足だったところもありましたが、初めて訪れる街の風景を見て、この街に住む人の暮らしを想うだけでも私は楽しかった。これが旅というものだと思いました。

ニュルンベルグ近郊にも当然下町も山の手町もあって、どちらの街を見ても感慨深いものがありますが、文具的には下町の方が古いお店があって、見つけものがあるような感じでした。

今回バスに比較的多く乗りましたが、地元のバスに乗ると買い物の主婦や学校帰りの子供たち、恋人たちが乗っている様子が分かり、その街の人の日常が感じられます。
日本にいても知らない町でバスに乗ることはあまりなかったですが、地元のバスに乗る楽しみを見つけたような気がしました。
14年前にドイツに来た時はこんなにバスに乗らなかった。
考えてみると当時はスマホがなく、今のようにグーグルマップで簡単に路線を見つけることができなかった。

長距離列車にも乗りました。
2日目がドイツの祝日でお店の休業日だったため、ミュンヘンに観光に行くことにしてICE(新幹線)に乗りました。
新幹線だけあって、車両も新しいのかとても快適な旅で、1時間があっという間でした。

私と松本さんは3日後の日曜日からハイデルベルグへの長時間の列車の旅を控えていたので、前もって乗ることができてドイツの電車の作法が分かってよかった。
そのハイデルベルグ行きでは、日本で指定席を取っていましたが、取れた指定席がREという日本の快速電車しかありませんでした。
今なら指定を取らずにICEに乗って、空いた席を探すし、早く来た電車に乗ってでも行けそうな気がしますが、その時は心細かったので。
でもREも停まる駅は多いけれど、途中の街の様子や乗り降りする人の様子をうかがうことができました。
ハイデルベルグの帰り、カールスルーエから乗ったIC(特急列車)では私は結構寝てしまったけれど。

 


快適なICEでの松本さん

ミュンヘンで乗った近郊電車でオリンピック公園に向かっている時にちょっとした事件がありました。
券売機の使い方がよく分かっていなくて、普通の切符をグループ切符だと思って1枚しか買わず電車に乗りました。
目的地の1つ前の駅で突然車内の検札官が来ました。切符を見せろと言っていると谷本さんが言うので、ポケットから切符を出したら、あとの二人は?という検札官の様子で全てを察知しました。
これ1枚で3人も行けるはずがないじゃないという感じでまくし立てられ、日本語で悪態をつきながら罰金を払うことになりました。

そういうこともあったけれど、慣れた頃にあっという間に帰る日が来てしまいました。
次行ったら、勝手もいろいろ分かっていて、もっとスムーズに旅ができるような気がします。