元町の夕暮れ ~万年筆店店主のブログ~

Pen and message.店主吉宗史博の日常のこと。思ったことなど。

手帳

2019-03-28 | 仕事について

 

当店は万年筆店ですが、時には万年筆と木製品の店になることもあり、330()31()木工家工房楔の永田さんが当店に来られてイベントを開催いたします。

 

普段は手帳にも力を入れている、万年筆と手帳の店だと思っています。

なるべくいろいろなものを揃えたいと思っていますが、品数で勝負しないということはいつも思っています。

たくさんの中から選んでいただけるようにすることは、当店のようなスペースと資金に制約のある店がすることではなく、小さな店が生きる本能と言ってもいいかもしれません。

他所の店で、例えばシステム手帳のリフィルを大量に揃えているのを見た時に、その楽しさや、売れているのを見たりするとウチも揃えたいと思いますが、我慢しないといけません。

他所の店を見に行くのも良し悪しだし、生きる本能には我慢がつきまといます。

品数は揃えることができないですが、なるべく他所にないものを揃えたいと思っています。

当店のような店で扱っているものの良さは、工房楔の永田さんの作品やカンダミサコさんの革製品にも言える、大量生産品では使うことのできない良い素材を使っていることと、手の込んだ技術の要る製法で作られているということです。そして大量に売ることを前提としていないので、思い切った企画ができるというところだと思います。

あったら面白いけれど、たくさん売れるような気がしないものは多くの会社の場合没企画になってしまうけれど、当店ではそれを商品化することができる。

かなじともこさんがデザインしている筆文葉リフィルはバイブルサイズのシステム手帳のリフィルで、たくさんの手帳を使い続けてきた経験からデザインされたオリジナルの罫線が特長です。

どれも他では目にすることのできないような罫線ばかりですが、自分なりの使い方を見出すことができる、懐の深いいいデザインだと思います。

ユニークな罫線を前にして、自分ならどう使いこなしてやろうと、パズルに挑むような気持ちに私はなります。

カンダミサコさんのシステム手帳は薄型に作られていて、これはスマホのある今の時代のシステム手帳の使われ方に合っているものだと思っています。

リング径が細いので収納できる紙の枚数が少なく、常に整理しながら使う必要があります。

使い切ったリフィルを外して、別に保存するための大容量のマルセシステムバインダーはそのためにあって、持ち運びももちろんできるけれど、本棚に立てておくためのものです。

収納枚数が少なく、予備の紙も別にして携帯する必要がありますので、リフィル入れをブッテーロ革で作ってもらいました。

密かによく売れているヘソクリ入れのサイズを大きくして、バイブルサイズのリフィルを入れることができるようにしています。内側のバックスキンも平らにしてありますので、紙が引っかかりにくくなっていますが、ビニールのパックのまま2パックは余裕を持って入れることができす。

カンダミサコシステム手帳、筆文葉リフィル、マルセシステムバインダー、リフィル入れ。システム手帳を楽しく使うためのものですが、今後もこういったものも増やしていきたいと思っています。

 


名前

2019-03-25 | 実生活

 

お客様が和歌山へ行った時に見つけて土産に買ってきて下さった。

旅先でこれを見て私のことを思い出し、驚かせてやろうと思われたお気持ちに感謝しました。

このお酒は見なかったけれど、和歌山には名君と言われた徳川吉宗にまつわるものがたくさんあって、吉宗公は和歌山の誇りなのだと思っていました。

ちなみに妻はゆかりといいますので、吉宗ゆかりの~という看板を和歌山でたくさん目にして可笑しかった。

名君はそれが名前で、私たちは苗字なので、縁もゆかりもないですが、関係があるのかとよく聞かれます。

ウチの過去帳は、大阪の空襲で焼けてしまって残っていないので、先祖が何をしていた人かは分かりません。

ただ、祖父の実家は西成区で地主をしていて、戦後の農地改革で土地を失ったと聞いています。

息子は皆から名前についいって言われることは全く気にならず、コミュニケーションのきっかけになるから良かったと言っているけれど、私は大変心が狭く、子供の頃自分の名前が嫌で仕方なかった。佐藤とか鈴木のようなスタンダードな名前になりたいと思っていました。

学校時代、4月の始業式などで先生が出席をとる時に必ず名前に関して一言言われました。

新しいクラスの硬い雰囲気を和ませたいと思うのは分かるけれど、その役割に私は適していなくて、「七代将軍やな」と間違った問いかけをする先生がいても何も応えず黙っていました。

今ではあんなにコンプレックスだった自分の名前にも慣れて、何とも思わなくなったし、変わった名前で得することもあることが分かりました。

つまらないコンプレックスを持ち続けていたものだと思っています。


自分を救う仕事

2019-03-23 | 仕事について

(写真と本文は関係ありません)

 

勤勉とか実直ということは、どちらかというと得意なことだけど、我々の仕事において何かを生み出すものではないと思っています。

それは女性から やさしそうな人と言われるくらい意味のないことなのかもしれません。よく言われるけれど。

若い頃、真面目に上司や先輩の言う通りしていたら、仕事は完了して、それが報われると思っていました。

しかし、仕事を自分で考えて、見つけ出し、作り出すことができなければ、店においては人材とは言えず、代わりはいくらでもいることに気付きました。

今の状況を把握して、周りの環境を知って、次にどのような手を打つかを考える。それを既成概念に凝り固まった上司や先輩を説得して実行することで、自分の仕事になる。

そういう仕事ができる人が自分で自分を救うことができる人で、きっとどこででも生きていける仕事の仕方なのだと思います。

今の時代は私の若い頃よりも、そういうものだという既成概念が壊れて、ルールがなくなっていて、真面目である意味がさらになくなっているとように思います。

頭は良くないけれど、体だけは丈夫で休まず学校に行って皆勤賞をとって、それを誇りに思ったけれど、あまり価値のあることではなく、休まず学校に行ってどうしたかということが、本当は大事だったのだと今気付きます。

体が丈夫だということは、仕事においてもアドバンテージではあったし、親には感謝しているけれど。

誤解がないようにしないといけないのは、仕事を無断欠勤したり、不良行為を勧めているわけではなく、そういうことをしないことは仕事をしている上で当たり前のことだし、与えられた今の仕事をこなすことは今の給料の元になっているということは忘れてはいけない。

しかし、自分の未来を作ったり、自分を救ったりできるのは、自分で考えて作り出した仕事を自分で実行して、結果を残すことだと思っています。


春の匂い

2019-03-21 | 実生活

水曜日、天気が良かったので近くの総合運動公園に妻と菜の花を撮りに行きました。

昨年も同じ場所で菜の花を見ているので、代わり映えしない写真を撮って帰ってきましたが、気持ちいい季節の陽気を感じながら外を歩くことが楽しい。肌に当たる風の心地良さ、春の空気の匂いなどが嬉しかった。

春の始まりの独特な匂い。
花の匂いと土の匂いが混じったような匂いを芽吹きの匂いだと子供の頃母から教えてもらったけれど、ウチのすぐ近くに大きな緑地公園があって、緑だけはたくさんありますので町中芽吹きの匂いがしています。

引っ越してきたばかりの時初めてこの匂いを嗅いだ妻が「臭っ!」と言った。

妻が育った明石は海の近くだし、そこそこの町中なので春でもこの匂いはしないのかもしれませんが、この匂いを臭いと思う人もいるのだ。

たしかにいい匂いと臭い匂いの中間の微妙な匂いかもしれないけれど。

総合運動公園でも同じ匂いがしていて、それと菜の花の匂いが混じっていました。

菜の花の匂いを嗅ぐと小学校の花壇を思い出して嬉しいけれど、これも臭いと思う人もいるのかもしれません。

でも私は春の訪れが嬉しく、この匂いが本当に臭い匂いだったとしても、心が明るくなる匂いであることには違いないと思っている。


普段を楽しくしてくれるもの

2019-03-08 | 実生活

休みの日はたいていどこかのお店を見に行っている。店を見たりするのが夫婦共通の趣味のようなものだし、買い物は楽しい。

どこかの街に行っても、観光はあまりせず、その街にあるお店を調べて訪ねています。

大阪、京都になると何度も訪れているので、その街でのお気に入りの店があり、行く店はだいたい決まっています。

何か目的があるわけではなく、その店の雰囲気、空気感のようなものを確かめに行っているのかもしれません。それらの店は自分たちのような夫婦が行っても場違いな感じはしないし、決まって行く喫茶店も自分たちの居場所のように思えます。

当店もそれらのお店のように独特の空気感のある、行く価値のある店でありたいと思う。

決っていく店での買い物は、目的のものがあることもあるけれど、普段の日をもっと楽しむためのものを探しに行っていることが多い。

ペンやステーショナリーは、普段を楽しくしてくれる一番に挙げられるものだと思っています。

日常生活や仕事でも使うことができて、そこに趣味性を持ち込めるもの。

当店は万年筆店だけど、日常を楽しくするためのものが見つかる店でありたいと思っています。

日常を楽しくするためのものなら、万年筆やステーショナリー以外でも扱っていてもおかしくないと思う。

時計もそのひとつだと思っています。

明日3月9日(土)10日(日)、ハンドメイドの創作時計作家ラマシオンの吉村恒保さんのイベントを開催いたします。

なるべく多くの方にラマシオンの時計を見に来てもらいたいと思っています。

毎日が楽しくなる時計がたくさん店に並びます。


3月のイベント

2019-03-04 | お店からのお知らせ

催し物の少ない当店ですが、有難いことに3月には作家さんたちの協力によりイベントを毎週のように開催できることになりました。

今回初となります時計作家ラマシオンの吉村恒保さんのイベントを3月9日(土)10日(日)に開催いたします。

吉村さんが作りためた時計を多数持ち込んでいただき、販売いたします。

機械式の腕時計ばかりに目が行きますが、吉村さんは女性ものやクオーツムーオブメントを使用したものなど、様々な時計を製作されています。

今回当店が吉村さんの時計の取り扱いを始めたことで、当店をイメージした写真の木の懐中/置き時計を製作してくれました。

持ち歩く時は足の部分が外れますので、ポケットに入れておくことができます。デスクに戻ってポケットから出した時にちゃんと戻す場所があるのがいいと思いました。

このパープルハートの時計は17000円(税別)になります。

当店はやはり木のイメージが強いのだと初めて知りました。

そのイメージを強くしてくれた工房楔の永田篤史さんのイベントは3月30日(土)31日(日)に開催いたします。

3月は他にもイベントがあり、3月17日(日)13時~15時 システム手帳リフィル筆文葉のデザイナー智文堂のかなじともこさんが在店し、筆文葉リフィルについて語り合う会を開催いたします。

かなじともこさんによる筆文葉リフィルの使用例などを見ながら、システム手帳リフィルについての楽しいお話を聴くことができる会です。

 

[Pen and message.3月開催イベント]

ラマシオンハンドメイド時計イベント 3月9日(土)10日(日) 吉村氏在店は12時~19時

筆文葉イベント 3月17(日) 13時~15時

工房楔イベント 3月30日(土)31日(日) 11時~19時(31日は17時まで)

[3月のワークショップ]

KWC(Kobe Writing Club) 3月7日(木) 18時30分~20時30分

聞香会 3月24日(日) 15時~17時