元町の夕暮れ ~万年筆店店主のブログ~

Pen and message.店主吉宗史博の日常のこと。思ったことなど。

できたばかりのお店

2019-02-24 | 実生活

 

KA-KU大阪店という、昨年10月にオープンしたばかりのお店の販売応援に行ってきました。

繁華街難波の中心、南海、近鉄、地下鉄の駅がすぐ近くの商業ビルなんばスカイオの中という、ものすごい立地にお店はあります。
建物の外はたくさんの人が行き来しているけれど、なんばスカイオのビルの中はできたばかりということもあって、ゆっくりとした感じでした。
なんばスカイオの方、KA-KU大阪店のオーナーは、今後この建物に、この店にどうやって人を引き込もうかいろいろ考えていると思います。

それでもさすが難波のど真ん中にあるだけあって、お客様の来店は当店とは比べものにならないくらい多い。

ショッピングビルを隈なく見て回っている人、何か贈り物を探しに来られる方、ペンを求めている方が次々と来られます。

私の役割はご購入の万年筆のペン先調整と、お持込の万年筆のペン先調整をするということですが、そういう用事がひっきりなしにあるわけでもないので、お店の中を見て回ったり、お客様にお声掛けすることもありました。

スタッフの人たちは、皆しっかりしていて、それぞれが特技のある能力の高い人たちで、人材に恵まれていました。

スタッフの人たちが万年筆を販売しやすくするために私がいるのだけれど、売り場に立っている人たちに自分の仕事を楽しんでもらいたいと思っていて、万年筆を販売することの楽しさを伝えたいとも思っていました。

私が万年筆の仕事をしているのは、万年筆が好きだからということもありますが、それよりも万年筆を販売することが好きだからです。
それをずっとやっていたいと思ってこの店を始めました。

自分と同じようにこの仕事に就いている人にはこのを仕事を楽しいと思ってもらいたい。この仕事の楽しいところ、楽しみ方を知ってもらいたいといつも思っていて、それを伝えたいといつも思っています。

 

 

お店が危機を迎えるタイミングはたくさんあるけれど、できたばかりの頃が最初に迎える難しい時期だと思います。

開店前に練ったコンセプトは、実際とズレていることもあって、実際の客層やニーズと擦り合わせて、より現実的な続いていける店にしないといけない。

当店は開店3か月にあるお客様と出会って、その方の影響力のおかげで、紹介や口コミのお客様に来ていただけて、一番難しい時期を乗り越えることができました。

KA-KU大阪店も一番難しい時期をどうやって現実と擦り合わせ続いていく店になるのか楽しみです。


元町駅西口

2019-02-12 | 実生活

当店近くにある元町歩道橋は鉄道写真のメッカで、珍しい列車が通る日には一眼レフを構えた鉄道ファンが大勢います。

神戸駅から元町駅の長いゆったりしたカーブと歩道橋の高さのおかげで列車の全編成を撮ることができるからなのだと思います。

華やかな鯉川筋に面した東口に対して、同じ駅とは思えない昭和が満ちている西口が当店の最寄りの鉄道の入り口ということになります。

JR元町駅西口には、モトコーと呼ばれる昭和の遺構とも言える高架下商店街の入り口がある。

元町駅と三宮駅の間の高架下商店街は清潔な雰囲気で、明るく、きれいなお店ばかりですが、モトコーは初めて歩く人は怖いと思われるのではないかと思うほど、暗く、退廃的な感じのお店が多い。もうなくなったけれど脱法ハーブの店もこのモトコーの入り口近くにあった。

元町駅西口に山手(北側)から入ろうとすると、路面から一度階段を1フロアー分降りる。そしてまたホームまで階段を上がらなければならなくて、路面からまっすぐホームに行くことができたら楽なのにとお客様方からもよく言われるし、私も毎日利用していて思います。

私たちは健康のために階段の上り下りはいいのかもしれないけれど、ホームにはエレベーターはあるけれど、外の階段にはないので足の不自由な人、車いすの方などが県庁に行く場合は地下鉄を利用する外ないのかもしれません。

私も出張の行き帰り、ペン先調整を積んだ重いカートを引いている時は、この階段がとても恨めしく思います。

私は毎日通っているので日常の風景になっているけれど、訪れた人はこの元町駅の風景を面白がって下さるかもしれません。

 


3/9(土)10(日) ハンドメイドの時計ラマシオンのイベント

2019-02-09 | お店からのお知らせ

 

3月9日(土)10日(日)、時計作家ラマシオンの吉村恒保さんの展示即売のイベントを当店で開催いたします。

吉村さんは御影でショップ兼工房を構える時計作家で、1点1点ハンドメイドした作品を作り出しています。

創作時計の世界では知られた存在で、数々の百貨店などでの企画をプロデュースするなど時計作家の枠に収まらない活動をされておられます。

このたび縁あってお会いさせていただき、当店からの要望でラマシオンの時計を扱うことになりました。

ラマシオンの時計はリーズナブルなものから、かなり作り込まれたものまで様々な価格帯のものがあります。
クォーツがセイコー製、機械式がシチズンMiyota製のムーブメントを使い、ケース(外装)、文字盤、リューズまでハンドメイドで1点ずつ製作しています。

当店が時計を扱うことに違和感を感じる方もおられるかもしれませんが、ラマシオンの時計を扱うのも、ウォール・エバーシャープの万年筆を扱うのもその心は全く同じで、一目見てこれが欲しいと思った店主の道楽心からです。

時計の世界はきっと奥が深いのだと思います。
名ブランド、名時計も多く存在しますが、ひとつひとつ作られて、2つと同じものがない吉村さんの時計もひとつの在り方だと思っています。

あまりたくさんの時計を所有したくない人、時計のコレクションがたくさんあって、誰も持っていないものを求めている人。その両方の方にお勧めできるものだと思っています。

同じ神戸に拠点を構える吉村さんの作品を、すでに当店で販売していますが、3月9日(土)10日(日)のイベントではもっとたくさんの品揃えし、時計だけでなく、アクセサリーも販売いたします。


ぜひ見に来ていただきたいと思っています。


試筆紙

2019-02-05 | 仕事について

 

万年筆売り場の試し書き用の紙は筆記具メーカーから提供されるもので、どんな書きにくいペンでも書きやすくしてしまうものが多いと思っていました。

その紙で試し書きしたお客様は、これは書きやすいペンだと思って買って帰って、実際にいつもの環境で使ってみるとかなり違うことに戸惑われるのではないかと思います。

当店での試し書きではそういうことは起こって欲しくないと思って、10年ほど前から試筆紙を大和出版印刷さんに作ってもらっています。

にじみ、裏抜けがなく、書き味が自然なもの。万年筆の書き味を誇張してはいけないし、わざわざガサガサと引っかかる紙を使う必要もない。

メモ用紙のように毎日消耗していくものなので、高級な紙ではなく安い紙の中から選ばなくてはならないという制約はありましたが、価格の安い印刷用の上質紙の中から万年筆のインクで書いてもにじみ、裏抜けの少ない書き味が自然な紙を選びました。

しかし、印刷用の紙は印刷の仕上がりは変わらないけれど、万年筆のインクに対してにじむものが個体差として混じることがあることが分かりました。

大和出版印刷の川崎さんに店で試筆している紙に急ににじむものが混じることを伝えたら、調査し、解明してくれた上で、万年筆のインクでの筆記性能において当店が望む要件を満たして、個体差の発生しないものを提案してくれました。

結局筆記用紙、万年筆のインクでも筆記テストしたノートにも使われる紙を試筆紙の紙として採用し、入れ替えています。

書き味、にじみにくさ、裏抜けしにくさは変わらないですが、品質が安定していて、安心して使うことができます。

試筆紙は店頭の試し書き用の紙ですが、オリジナル商品としても人気があり、出張販売などでもよく売れる売れ筋商品でもあります。

万年筆の使い勝手は紙によって大きく変わります。

万年筆が良くても、紙がにじんだり、引っ掛かりのあるものでは使いにくくなります。

書き味は万年筆によるものですが、にじみ、裏抜けはインクと紙の相性という側面もあります。

高級な紙だったら、当然書き味が良くて、インクの収まりの良いものがあるのだと思いますが、毎日消耗するものに例えばコットンペーパーのような紙は使えない。

なるべく万年筆を使うためには惜しげもなく使える紙でないといけない。

試筆紙を皆様大きめのメモ帳として、愛用していただけているようですが、手書きしたものをインスタグラムにあげている方の投稿に試筆紙が使われているのを目にすることも多くとても嬉しく、誇らしく思います。

これからも作り続けたい万年筆店らしいオリジナル商品のひとつです。