元町の夕暮れ ~万年筆店店主のブログ~

Pen and message.店主吉宗史博の日常のこと。思ったことなど。

Paper Napkin with Sketch of Fountain Pens (神谷利男著)

2010-09-29 | 仕事について
神谷利男さんの自費出版新刊「Paper Napkin with Sketch of Fountain Pens」の発売に合わせて、本に出てくる作品の原画の展示も行っています。
レストランやカフェにあるペーパーナプキンの閉じた面に万年筆の絵、開いたところに万年筆の絵の一部を使った別の絵が描かれています。
別の絵はその万年筆から神谷さんが連想した全く無関係ではないものが描かれていて、その連想も面白いと思いました。
神谷さんの文章も私はとても好きで、神谷さんの身の回りのことを書いたエッセイと万年筆の説明が匠に混ざり合ってとても魅力的な楽しめる文章になっています。
この本を読んで、私はデザインの世界に生きている神谷利男さんの生き様を思い返します。
毎日夜遅くまで働いて京都のご自宅に帰ることができない日も多く、週末も休息することなくご自分の興味のままにお店を巡ったり、時には仕事のために旅に出たり、ハードワークが祟って一昨年には入院されています。
私は、神谷さんのように全力疾走(誰よりも早く)で長い時間走ることができません(走ったことがない)ので、本当にすごいと思いますし、神谷さんをいつも思い出して自分がいかに怠けていて、楽をしているかを思い知ります。
神谷さんとは、ずっと以前、前の会社の時から面識はありました。
親交が深まったのは、当店が開店した年末頃でした。
万年筆を使う人を増やしたいとする私の想いに共感して下さっていて、月1回当店で万年筆画のワークショップを開催して下さっていて、それは万年筆を使う理由を提案したいという神谷さん流のやり方の表れです。
https://www.p-n-m.net/contents/products/ZZ0093.html

毎月定例のFridayWorkshop“万年筆で描いて、色を塗ろう”を10月15日(金)19時から21時に開催します。 10月のテーマは模写です。いつもの道具、エンピツ、ネリ消し、顔料インクの入った万年筆、水彩絵の具、12号くらいの筆、B5くらいのスケッチブックと画集などをおもちください。筆に関して、前回皆の筆が細すぎると神谷さんからご指摘がありました。 12号の太筆をご用意しましたので、もしご入用でしたら当店にお申し付けください。 1本945円でご用意しております。

分度器ドットコムi n 西宮阪急(9月29日~10月5日)

2010-09-28 | 仕事について
分度器ドットコムが西宮阪急2階エスカレーター横でイベントを開催します。
ネットショップや店舗を開けたままのイベント開催ですので、本当に大変だと思います。
しかし、分度器ドッコムの夙川の店は、あまり人通りの多い場所ではありませんし、分度器ドットコム自体、ステーショナリーショップというには、あまりにもマニアックな存在なので、百貨店という今までと違うお客様方がいる場所で営業してみるのもよい告知になりますし、面白いと思います。
私は休みの日、西宮阪急が入っている西宮ガーデンズによく行きますが、その場所にマブ達の店が出るというのが、何か不思議な感じがします。
皆さまもぜひ遊びに行ってみてください。

工房楔イベント記

2010-09-28 | 仕事について
当店のオープン記念日のイベントとして、9月25日,26日に工房楔の永田さんを招いて直販会を開催しました。
毎年開催していて、例年4日間の日程で開催していましたが、今年は2日だけの開催です。
昨年、名神高速の大渋滞につかまって、永田さんよりも先にお客様が来られていたという苦い経験からか、今年は前日の夕方に来られました。
楔のイベントの時は、当店の半分近くのスペースをイベントに当てるため、レイアウトが大きく変わり、什器の大移動が必要です。
永田さんと什器を持ち上げて、汗をかきながら作業しました。

イベント当日はゆったりとお客様を待つことができました。
11時の開店と同時にお客様方が来られました。
今年は永田さんがウォールナットのカフェテーブルとウォールナットと桜のスツールを持ち込んで、お客様が座って寛げる場所があり、そこで皆様歓談されて、ただ楔の商品を販売するだけのイベントとは違う、楽しい時間が過ぎていました。
今回のイベントの目玉は、楔の新製品芯ホルダーです。
永田さんが、分度器ドットコムの谷本さんの提案を受けて作り上げたもので、他の木工家にはない楔独特のものになっていると思います。
谷本さんが、今まで文具業界の人が顧みなかった芯ホルダーという筆記具に面白さを見つけて集めだしたことが分度器ドットコムの特長にもなっています。
それぞれの得意分野が混ざり合って何かを生み出せることが、この神戸の私たちのつながりがただの仲良しグループではないと自慢できるところです。
芯ホルダーは2mmのノック式です。
クリップもリングもない構造で、木の感触が楽しめるところが、永田さんらしいところだと思いますし、多くの人が楔に期待している物作りを具現化していると思いました。
パトリオットボールペンは永田さんの定番で、デザイン重視に見えながら、意外と書きやすい自然な握りやすさを持った実用的なボールペンです。
こんな自然の素材の実用的なペンで仕事をすることはなかなか気分の良いものだと、パトリオットボールペンのブライヤーを使い出して思いました。
私が楔作品の中で、最も均整が取れていて、とても美しい姿をしていると思っているのは、0.7mmのノック式のシャープペンシルです。
細めのボディで、完成された感じのある落ち着いたフォルムの派手さはないですが、なかなか渋い逸品だと思います。
クローズドエンド万年筆は、永田さんが試行錯誤の末、完成させた独特でありながら奇をてらったところのない長く使うことができるフォルムをしています。
柔らかい書き味の18金のペン先の存在もあって、この万年筆を万年筆の定番として定着させたいと私も思っています。

材質も、永田さんの代表的な花梨、黒柿の他にも様々な素材がありましたが、今回のイベント前から話題になっていたのは伊勢神宮内宮(地元のひとはナイクウと言います)の欅です。
ご神木ということで、何か縁起の良い感じがします。それを筆記具という仕事の時にいつも身近において置けるところもうけているのか、なかなかの評判です。

イベントはとても楽しいもので、お客様方にも楽しんでいただけるものになったと思っていますし、数多くある木材の解説を木工家から直接聞くことができるこのイベントはいつまでも続けたいと思いました。

後片付けを終え、夜遅くに二人で近くのラーメン屋さんで夕食をしながら、いろんな話をしました。
新しい素材、新しい物を常に提案しなければならないと自分に課している永田さんの苦しげで、悲壮感さえ漂う姿を見ました。
自分の知識、技術だけを頼りに、前に進み続けることは本当に大変です。
でもできることと理想との狭間、生活と夢との狭間でせめぎあい、バランスを取りながら続けていくところに、多くの人が魅力を感じているのだと思い、それは永田さんだけでなくル・ボナーさん、カンダさん、谷本さん、私も同じなのだと思いました。

来年は9月23日、24日、25日の3日間開催しようということで決まり、またそれぞれ1年間を歩き出しました。


3周年

2010-09-23 | 仕事について
万年筆の仕事に携わっているうちに、自分の人生が万年筆を使うことによって変わったことと同じようなことが多くの人にも起こればと思いました。
私はそれまで本当に何も分かっていない若者で、万年筆を使うようになって書くことが楽しくなり、本を読むようになり、他人への思いやりや細やかな心配り、人生の心構えや考え方などについて考えるようになりました。
万年筆を使うことは、書くことを楽しむことであり、大切に思うことであるということを伝えて、一人でも多くの人に万年筆を使っていただけるようにすることをライフワークにしようと思いましたし、それを公言していました。
ライフワークというのは文字通り生涯を賭けた仕事で、特に取柄のない自分が万年筆では世の中の役に立つことができると思った時、自分のやるべきことはこれしかないと思いました。
自分がもし器用な人間で、万年筆以外にも様々なできること、やりたいことがあればライフワークにするなどとは言えなかったかもしれませんが、幸い万年筆以外に自分にできることはありませんでした。
店をオープンさせて3年経ち、経験値も少しは上がりましたが、店をオープンさせたきっかけになった気持ちをあの頃より強く持つことができているか自問し続けています。

でも、当店はお店として続いていくかどうかを見極める最初のハードルである3年をお客様方を始めとする周りの人たちに助けられて、迎えることができました。
今までの感謝の気持ちを申し上げるとともに、自分の原点を忘れてはいけないと気落ちを引き締め直しています。

リスシオ1オリジナルダイアリー2011完成しました

2010-09-20 | 仕事について

昨年から発売しております、リスシオ1オリジナルダイアリーが完成しました。
現在、オリジナルダイアリーカバーもル・ボナーの松本さんが製作してくださっていますので、そちらも楽しみにしていてください。
それに伴い、他リスシオの紙製品も価格改定して、よりお使いいただきやすいものになっております。
このような、店独自の紙製品を作って下さる大和出版印刷さんのような会社が、近しいところにいてくれることに、当店はとても恵まれていると思っています。
普通紙製品のオリジナルは、ロットが大変大きく、簡単に作ることができないからです。
これからも、引き続きリスシオ1の紙製品のバリーションの拡大を大和出版印刷、ル・ボナー、分度器ドットコム4社で進めていきたいと思っています。
https://www.p-n-m.net/contents/products/category2-3.html


神谷利男新作出版記念展示のご案内(9月18日から10月17日)

2010-09-18 | 仕事について
当店で万年筆画のワークショップを開講して下さっている神谷利男さんの著書新作「Paper Napkin with Sketch of Fountain Pens(万年筆でペーパーナプキンスケッチ)」の出版を記念して、神谷利男さんの作品展示会を9月18日(土)から10月17日(日)まで行います。
神谷さんの前作「My Favorite Fountain Pens」は、神谷さんの個人的な想いであるにも関わらず、共感することや教えられることがたくさんありました。
こんな万年筆の本を読みたかったというもので、それを当店で取り扱えたことを光栄に思っていました。
新作のアイデアも見せていただきましたが、前作とは全く違う、面白いアイデアの詰まった万年筆の本になっています。
展示期間中の週末(土曜日か日曜日)、神谷さんもなるべく当店に顔を出されるということですので、ぜひ新しい本と作品展示を見に来ていただきたいと思います。

展示開催の前日、9月17日(金)19時~21時には、FridayWorkshop“万年筆で絵を描こうを開催します。http://blogs.yahoo.co.jp/kamitanidesign/7620591.htmlぜひご参加ください。

古書 書斎に関する本入荷とダイアリーのご案内

2010-09-15 | 仕事について
涼しくなってくると、昼間は外に出かけたいと思う反面、夜書斎での時間などに思いが向くのは私だけではないと思います。
人の書斎や机がどんなふうになっているかということは、すごく興味深いものです。
自分もこんな書斎や机空間など、クリエイティブな気持ちになれる仕事空間を持ちたいと空想できる本を古書店まると堂さんが集めて下さいました。
なかなか読み応えのある、名著揃いです。

昨年発売しました正方形ダイアリー今年も発売いたします。
もしかしたら発売されないのではないだろうかと思われていた方もおられたかもしれません。
現在、制作にかかっており10月中旬には、月間ダイアリー、週間ダイアリーともに発売いたします。
ダイアリー発売に伴い(タイミングは少し遅れるかもしれませんが)、ル・ボナー製ダイアリーカバーも発売します。
もうしばらくお待ちください。

ブラックアンドゴールド

2010-09-12 | 仕事について
最近、この色の組み合わせに魅力を感じるようになってしまいました。
以前なら考えられない好みの変化ですが・・・。
万年筆のカラーリングの中で、黒とゴールドが一番男っぽい感じがします。
でも最近の万年筆で、このカラーリングのものが減ってしまいましたね。
分度器ドットコムイベントで入荷した、バログラフエポカLuxe Goldボールペンとアウロラ88のコーディネート。