元町の夕暮れ ~万年筆店店主のブログ~

Pen and message.店主吉宗史博の日常のこと。思ったことなど。

司馬遼太郎記念館

2023-02-04 | 実生活

休日を月2回週休2日にして、今まで行こうと思っていて行っていなかったところにも行ってみたいと思っています。
先日は東大阪市にある司馬遼太郎記念館に行ってきました。

大阪や奈良には行くけれど東大阪には行くことはなかったので、初めて降りる駅で降りて、知らない街を歩くことができて、それほど遠くではないけれど小旅行を楽しんできました。

東野圭吾もそれなりに読んでいるけれど、司馬遼太郎は最もたくさんの作品を読んだ作家です。
時代小説ですが、藤沢周平のような繊細な心を描いたり、風景を細かく描写するのではなく、ザックリで大味なところが私の好みに合っているといつも思います。

これはきっと好みの問題なのだと思いますが、あまり繊細過ぎるものはどうしても合いません。私も大雑把な関西人なのだと思う。

東大阪はわりとコテコテの下町のイメージを持っていましたが、司馬遼太郎記念館は落ち着いた住宅街の中にありました。

元々司馬遼太郎の自宅で、記念館の横には自宅もそのまま残されていました。

1階の角にある書斎だけが外から見ることができるようになっています。司馬遼太郎が楽しくも苦しい仕事の大半をこの書斎でしていたのかと思うと、思い入れを持って見続けずにはいられない。しばらくその場に立ち続けて見ていました。
半ば寝そべるようにして椅子に座って楽な姿勢で執筆していたという椅子と机、本の詰まった本棚。

自宅の横に建てられた安藤建築の資料館に書斎に遺されていたモノが展示されていて、万年筆や文房具も見ることができます。

これは私の勝手な想像ですが、司馬遼太郎はあまりモノを置いておく人ではなかったのではないかと思います。
本になってしまえば、下書きや草稿ノートなども処分してしまったり、筆記具もこだわって愛用していたものはあまりなかったのではないか。

そんなこだわりのなさが小説からも、記念館の展示品からも伝わってきましたが、本当はどうか知りません。

駅の帰り道、何でもない大阪平野の中によくある町並みの中を歩きながら、生前司馬遼太郎は散歩に出かけて、この辺りも歩いたのではないかと想像しました。

真っ白い髪の司馬遼太郎はきっと目立ったと思います。
すれ違う人たちが「先生」と声を掛けたかどうか分からないけれど、町の人たちはすぐに彼に気付いただろう。

私たちが行ったのは本当に寒い日でしたが、記念館の中、庭中、近所中に菜の花がたくさん植えられて咲いていました。