工房楔のイベントがいよいよ次の週末になりました。
今回のイベントの目玉は、こしらえの種類の多さと、新型2mm芯ホルダー、そして永田さんが秘蔵していた黒柿だと思っています。
ぜひイベントにご来店いただきたいと思っています。
私の周りにそんな人はいないけれど、自分の仕事がどれだけすごいか、どれだけ難しいことをしたかと喧伝する口数の多い職人は大したことのない人だと思っている。
それは自分がペン先調整という、職人の真似事をしているからよく分かります。
自分の仕事には自信があるけれど、向上心を持っていて、もっと良くしたい、もっと美しくしたいと美意識を持って仕事をしている人は多くは語らないと思っています。
工房楔の永田さんは、自分が手に入れた木については多弁になって私たちを楽しませてくれるけれど、自分の仕事についてはあまり語りません。
銘木の中でも複雑な模様が美しく出る杢の部分は、硬さなどがほかの部分と違うため、加工が難しいけれど永田さんは何でもないことのように美しいラインを持たせて仕上げてきます。
それが私が永田さんを信じている理由のひとつです。
他の木工家の人が使わないような、様々な銘木も見て欲しいけれど、永田さんの技術力も見て欲しいといつも思っています。
例えばパトリオットボールペンの中央付近のふくらみを残しながら、両エンドを絶妙なバランスで先細りにしてシャープに仕上げるのは、微妙な違いで大きくその姿は変わってくると思っています。そんなところにも職人としての力量とともに、センスも感じることができる。
木工家はただ木を扱っていればいいわけではなく、良い素材の良い部分を見抜いて使わなければならない。そしてそれを美しく仕上げなければならない。
その違いが我々には分かりにくくても、それを追究する生き方が木工家なのだと永田さんを見ていて思うようになりました。