一期一会 ~万年筆店店主のブログ~

哲学、想いを発信している、Pen and message.店主吉宗史博のブログです。

賑やかな公館の坂道

2008-04-29 | 仕事の考え
昨日、神戸からブラジルに移民船が出て100年ということで、関連のイベントが神戸のあちこちで開催されていました。
日本での暮らしに行き詰まりを感じて、遠く異国の地に夢を見て心機一転を賭けた人たちのその後の苦労は察するにも余りあるものだと思います。
神戸祭りのパレードでサンバが踊られるのも全くの無関係ではなく、このようなブラジルとの行き来があったことに関係があるのかもしれません。
その100年の式典に参加するために、近所の公館に皇太子殿下が来られるということで、公館前の坂道はお迎えする人たちでとても賑やかでした。
前日の夜から、一帯は多くの警察官が警戒にあたり物々しい雰囲気でしたし、沿道の信号1機1機に制服警官1人が配備されていました。
皇太子殿下が乗った車が到着するまでに、先導する何台もの車、お付の方の乗るバスなど、いかにこのイベントにたくさんの人が携わっているかを感じました。
坂道に行ってみると、近所のオフィスの人たちや住人たちが出てきていて、皇室という日本国民共通の話題で気軽に楽しく会話を交わすことができ、お祭り騒ぎで楽しい時間を過ごしました。
おかげで開店時間に遅れてしまい、お客様を待たせてしましました。初めて来られた物理の先生、申し訳ありませんでした。
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コンウェイスチュアート取り扱いします。

2008-04-28 | お店からのお知らせ
コンウェイスチュアートは1905年に創業し、数々の歴史に名を残すモデルを作ってきました。コンウェイスチュアートの顧客には独特で影響力のあるダンディな美学を持つチャーチル首相もいて、その名を冠したモデルは現在のコンウェイスチュアートの代表的なモデルにもなっています。
万年筆ブランドとしてその地位を確立したコンウェイスチュアートでしたが、多くの人がボールペンを使うようになってしまい、1975年に廃業せざるを得なくなります。
かなり安価なモデルも作っていたりしていて、ボールペンとの違う価値やそのブランドの価値をを訴求することができなかったのかもしれません。
そんなコンウェイスチュアートは1998年、ペンコレクタードン・イェンデルの熱意によって、全国に離散してしまった職人や製品の資料を集め、高級万年筆メーカーとして復活しました。
小さな傷も飲み込んでしまう生きた素材カゼインを採用したティファニーを代表モデルとしたコンウェイスチュアートが業界にショックを与えたことを今でも覚えています。
経営が軌道に乗り、モデルラインナップやカラーバリエーションもかなり豊富になっています。
とてもカラフルなボディカラーは流行のファッションにマッチするといったものではなく、別の次元の優雅な遊び心を個々のモデルに感じますし、他の万年筆メーカーとは違う、趣味性の強いこだわりが感じられるブランドです。
そんなコンウェイスチュアートの中でも最も大きな堂々としたボディ、ペン先を持つチャーチルをベースとした500本限定のスタインウェイとのコラボレーションモデルが入荷しました。
スタインウェイはとても有名な高級ピアノメーカーですが、18金無垢の金具を効果的に配し、漆黒のボディをまるで美しいピアノのように仕上げています。
ペン芯が以前の記憶と比べて、かなりしっかりしたものに変更されていて、信頼性を感じることのできる書き味に仕上がっていることも特筆すべきことなのかもしれません。
またひとつユニークで存在感のあるペンが増えましたので、ご紹介しました。
(チャーチルスタインウェイ126,000円)
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雑記から5月号完成

2008-04-27 | 仕事の考え
A4の紙1枚の質素な形態にこだわっている、当店とお客様からのメッセージ、雑記からの5月号が完成しました。
ご来店いただいた方、インターネットなど通販でお買物していただいた方にお渡ししていて、私の聞く範囲ではなかなか好評です。
ご来店いただいた方、ぜひご一読ください。
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ゴールデンウィークの営業

2008-04-23 | 仕事の考え
3月、4月と自営業の役得から臨時休業を連発したため、ゴールデンウィーク中の営業についてのお問い合わせをたくさんいただいていますが、当分の間(5月、6月は)定休日以外は通常通り営業しております。
本当は年中無休で少しでも長い時間営業すれば売上げも上がっていいのかもしれませんが、週1日の休みで、短い営業時間(11時から19時)で続けていくつもりです。申し訳ありませんが、我がままにお付き合いください。
実は私自身も年中無休で24時間営業にしたいと本気で思っていますが、店を閉めている時間に店のことを考えたり、物を書いたり、本を読んだり、違う場所を見る時間も必要で、それも店の役に立つと思っています。
いくら気持ちが前向きで、仕事に早った気持ちでいてもそのまま走り続けることはなかなか難しいと思います。
長く同じスピードで走るためにも、心と頭と体に充電することを忘れてはいけないと思っています。
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懐かしい人たち

2008-04-23 | 万年筆
趣味の文具箱vol.10に私の写真つきで店の紹介をしていただいたおかげで、私のことを知って下さっていた方々がよく来てくれるようになりました。
店をオープンさせた時、身近な方々にしか連絡することができませんでしたので、ほとんどの方は私が店を始めたことを知らなかったようです。
久しぶりに以前から知るお客様と再会するのはとても嬉しいですし、ありがたいと思っています。
そんな中お客様だけでなく、以前一緒に仕事をしたことのあるメーカーの方々も来て下さるようになりました。
皆さん10年以上前から知っている人たちばかりなので、お互いいい齢になって、相手は偉くなっていて、その流れた年月を思って感慨深くなってしまったりします。
以前は仕事のことや社会のことなど何も分からず、とても失礼な言動もあったはずなのに、わざわざ忙しい中電車に乗って、店を探して来てくれたことに心から感謝しています。
人と人とのつながりは本当にすばらしいと思いましたし、齢をとってよい雰囲気になったその人たちを見るととても励まされ、若い時にお互い偉くなって責任のある大きな仕事を一緒にしたいと言い合っていたことを思い出しました。
今私がここにいるのは私一人の努力や力ではなく、今まで仕事を手伝って盛り立ててくれたこういった人たちとのつながりのおかげだったと改めて思いました。
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代え難い人たち

2008-04-21 | 仕事の考え
その時、たまたま店に居合わせた人同士が話をしたり、お互いのペンを書かせてもらったりしている光景をよく目にします。
私がお客様の応対で忙しくしていても、ここで出会ったお客様同士で話をして、購入するペンが決まっているということもよくあります。
その時々で居合わせるメンバーは違いますが、ペンマニアのアイドルYさん曰く、ペン1本、カタログ1枚でも話ができる代え難い人たちです。
初めて来られたお客様でも会話に入りやすい優しい雰囲気、マニアックすぎない実際に使っている人の話、ペンの話題だけではない間口の広さなどを皆さん持ち合わせていて、とても素晴らしい人たちが集まっています。
接点はこの店だけですが、知らない人同士でも自然に話ができてしまう店の雰囲気はお客様たちが作り出したもので、それは店が意図的に作ろうとしてもできるものではなく、他の店にはあまりない、かけがえのないものです。
自分のこだわりや理想、什器と商品だけでは、店は出来上がらないということをやりながらにしてお客様から教えてもらうことができて、とてもラッキーだったと思っています。
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木工房楔(せつ)のボールペン

2008-04-19 | お店からのお知らせ
以前からル・ボナーの松本さんを通じて交流を持っていた木工房楔の永田篤史さんの作によるボールペンが入荷しました。
3月30日の飲み会では、永田さんの木へのマニアックなこだわりに半ば呆れながらも、自分が信じる良いと思えるものを作りたいという気持ちが理解できましたので、素材への強いこだわりを持った作品を当店のお客様に紹介したいと思いました。
すでに永田さんの木軸のカッターナイフは人気商品になっていて、入荷したらすぐになくなってしまいます。
今回のパトリオットペンと呼ぶボールペンは私も使っていて、お客様に見せたり、使ってもらったりして、熱望する声が高まってきましたので、導入することにしました。
素材感むき出しで、無骨な印象のボールペンですが、木は滑らかに磨き込まれ、手で包み込みたくなる卵のような、いつまでも触っていたくなるような感触が特長です。
木の材質により価格がまちまちですが、5,250円から7,350円のものを揃えました。
木マイスター永田さんのボールペンは、コストを削って安く作ることばかりに努力してきた筆記具(特に輸入品)の世界と対極にあるものだと思っています。
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IKEAを見る

2008-04-18 | 万年筆
新規オープン間もない、IKEA神戸ポートアイランド店を訪ねました。
新しくできた大型店を見に行くとき、お客としての目以上に地元商店主として見てしまいますが、IKEAの良い悪いを判断できるほど専門的な知識を持ち合わせていませんし、その答えはまだ出ていないと思います。
しかし、考えさせられたこともありましたので、記しておきます。
開店時間前に着いたにも関わらず、すでにたくさんの人が入口前に並んでいました。他府県ナンバーの車も多く、かなり広範囲の人々の集客をしていることが分かりました。
この店を初めて見たはずなのに、初めて来た気がしませんでした。
見たことがあると思ったのは、国内大手チェーンのインテリアショップや家電量販店の店内のレイアウトの仕方や販売の仕方、陳列方法などが同じだったからでしたが、おそらく1IKAがオリジナルで、神戸のそれらの店はIKEAの出店で大打撃を受けるだろうと思いました。
思想がなく、その商売の仕方を表面だけを真似た店は、本家が来たときに打撃を被ってしまいます。
やはり店というのはしっかりとした思想のあるブランディングが必要で、それによって顧客を囲い込むことができると思っています。
思想というのは、儲けを出したいという以前のどんな社会的な役割を担っていくかということです。
ブランディングがしっかりしていれば、その店はオリジナルであり、競争のない別格の勝利をおさめることができるでしょう。
ブランディングは使い古されたことばですが、言い換えるとロゴマークやオリジナル商品だけでなく、その会社が顧客に提供するサービスなど全ての辻褄が全て合っていて、この会社はどういう会社だとはっきり分かるようにイメージ付けすることです。
思想のあるブランディングを持っている会社と、表面だけ真似ている思想のない会社とは専門家でなくても、見る人が見れば分かります。
必ずオリジナルであること、それが誰にも脅かされない店の条件だと思います・
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思考のためのペン2

2008-04-16 | 仕事の考え

私の思考の時間に合うペンとして、キャップが勘合式であること、ペン先が硬めであること、適度な太さがあること、素材感があることなどの条件を挙げていましたが、プラチナ3776ブライヤーの中字を選び、使い出しました。

フィーリングはだいたいどんなものか分かっていると思っていましたが、ちょっと試すのと自分のものとして使うのとでは大きな違いで、このペンのことがかなり分かりました。

書き味についてはやはり硬めで最初少しガサガサという感じがしましたが、少し調整するとそれはかなり抑えられ、書いているという手応えのある、紙の目が伝わる感じになりました。それはセーラーやペリカンなどの書いているという感触さえ感じないほどの滑りの良いペンと対照的なものです。

インクの量は思っていた通り多くはありませんが、長文を書いてもインクの濃さが変わらないところに、このペンの安定感を感じました。

少し面食らったのがボディのバランスで、意外と重心が後ろにあり、首軸を握って書くと余計な力が入ってしまいます。首軸とボディの継ぎ目あたりを握って書くのが一番バランス良く書けるようです。

ブライヤーという素材は木目の美しさと耐久性が認められて、思考のための道具パイプに使われている素材で、長年使ったブライヤーの色艶の変化はその歴史が証明しています。塗装は薄く漆が施されているだけですので、木の手触りを楽しむことができます。

柔らかい書き味も、使っている人が人に語ることのできるストーリーもこの万年筆にはありませんが、自分の時間を楽しむための個人的なペンがプラチナ3776ブライヤーなのかもしれません。長く使えそうなとても良いペンだと思っています。https://www.p-n-m.net/contents/products/FP0021.html

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思考のためのペン

2008-04-15 | 仕事の考え
夜、家族が寝てしまってからが私の思考の時間です。
コーヒーを飲み、たばこを吸いながら、その日一日の反省をし、明日を思い描き、考えていることをノートに書き記す。
そんな静かな時間が好きで、とても大切にしています。
そんな時間を共に過ごすのに相応しいペンをいくつかの条件をつけて探していました。
少し書いてはペンを置くということを繰り返すため、パッチンと閉まる勘合式のキャップ。
様々な角度で書くことになるため、ペン先は硬めで安定していること。
時には長文も書くので、適度な太目の軸であること。
なるべく素材感のあるものの方が好みであるといった条件です。
以上の条件を満たしているものとして、シェーファーレガシー、ラミー2000、パイロットキャップレス漆、プラチナブライヤー、ウォーターマンカレンなどがあります。
万年筆は一応専門で、それなりの知識があるつもりですが、自分のペン選びになるとなかなか迷って決められません。
どのペンのフィーリングも分かっているので、試し書きはしませんでしたが、どのペンを自分が使いたいのかゆっくりと考えていました。
私が思考のためのペンを探し出したのには理由がありました。
当店の登場回数では1,2を争う甲府行きで同行してくださったKさんが20代の頃ある百貨店経験した話でした。
大阪の百貨店でブラブラと万年筆を見ていた時に年配の女性の販売員の方に万年筆を勧められました。
その時その販売員の方は「何かを変えたい時、少し無理をして万年筆を買うといいですよ。」と言ったそうです。
特に根拠のある言葉ではないと思いますが、なぜかその言葉が私の気になりました。
10数年前のお客様に言った言葉が今も生きていて、こうやって私を動かしているということが素晴らしいと思いました。
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