元町の夕暮れ ~万年筆店店主のブログ~

Pen and message.店主吉宗史博の日常のこと。思ったことなど。

それぞれの遊びに

2015-03-31 | お店からのお知らせ

私たちのような店は、扱うものが何であれ自分が面白いと思う遊びを示して賛同して下さるお客様に集まってもらうことで成り立っています。

万年筆が仕事道具であったとしても、仕事の中での遊び心を最も提案したいと思っています。

私たちの時間は限られています。

食事をゆっくり摂って昼寝するほどの長い昼休みもないし、1か月まるまる続くバケーションもない。

日常の仕事の中で、ちょっとした空き時間で、夜のわずかな一人の時間の中でいかに遊ぶか、日常生活に溶け込ませることのできる遊びをいつも考えています。

デジタルカメラに惹かれて、ああだこうだ言い合うのも、それが自分の日常生活の中に溶け込ませることができるものだからで、そこに仕事と遊びの区別はなく、両方を跨いでいるものだ。

工房楔の永田さんに春のイベントが終わりました。

永田さんが世に示しているものも、日常の中に溶け込ませることのできる銘木の杢などの部分を味わう遊びで、それに多くの人が付き合ってくれている。

イベントに毎回来られる人もたくさんおられるし、遠くから家族旅行とスケジュールを合わせて抜けて来て下さる方もいて、そういう人たちは永田さんが提案する杢という遊びを一緒に楽しんでいるという感じで、中にはそれぞれ専門分野があって、ひとつの材を追究する方もおられるのは面白いと思うし、気持ちはすごくよく分かります。

毎回初めて来られた方もおられて、何か面白そうだから何か買おうという気持ちで来て下さるノリの良い人もいて、こちらもとても嬉しくなります。

次のイベントは9月26日(土)27日(日)を予定しています。

 


文集

2015-03-24 | お店からのお知らせ

お客様方からのご投稿を集めた文集「雑記から2」~一番愛用している万年筆~が完成し、販売も始めています。https://www.p-n-m.net/contents/products/OG0141.html

1回目ははじめての万年筆の思い出を書いたものを募集しましたが、今回のテーマは皆様を苦しめたようで何本も持っている万年筆の中で一番なんて決めることができないというお言葉をたくさん頂戴しましたが、その苦しみもストーリーになっていて、とても良いテーマだったと思っていますし、私自身も選択に迷いながらも1本を選び楽しみながら書くことができました。

お寄せいただいた文章を拝読しているうちに、それぞれの文章が紡ぎだす世界観に引き込まれて、その風景が見えてきたというのは、決して大げさな言い方ではなく、それぞれの方のお人柄が表れたものばかりだったと思っています。

ひとつひとつの文章に、自分が時間をかけて何度も頭の中で練りながら書いた文章のように愛着が湧いてきた感覚は、初めて経験しました。

体裁はシンプルなホッチキス留めの学校時代の文集のようですが、名文が揃ったいい本ができたと思って手応えを感じています。

文集は当店ホームページから、他のお買い物と一緒にご購入いただけます。
文集のみご購入の場合はメール(penandmessage@goo.jp)にてお申しつけ下さい。


カメラ遊びは続いていく

2015-03-22 | 実生活

一緒に写真を撮りに行く友人たちがいるから、趣味らしいものをあまり持たない私がカメラを趣味と言ってもいい一歩手前のような状態まで踏み込んでいるのかもしれません。

一人でただ撮り歩いているだけだったら、こうはならなかったと思います。

最近よく考えるのはデジタルカメラ自体は古くなっていくもので、レンズは資産と言えるものだということ。

きっと長く続いていくであろう自分のカメラ遊びのキャリアは始まったばかりの今だからこそ、先を見据えたモノ選びが大切だと思い始めました。

今はマイクロフォーサースという規格のカメラを使っていて、マウントアダプターを使うとどんなマウントのレンズもつけることができるという大変汎用性の高い規格で、そのおかげで古いレンズをつける楽しみを知ったような気がします。

しかし、マイクロフォーサースの欠点は画角が倍になってしまうことです。

50㎜のレンズをつけると100㎜相当にの画角になってしまい、使いにくいと思うし、撮り方自体が違ってくるような気がします。

いろいろレンズを替えて遊びたいと、古いレンズとカメラのコーディネートを楽しみたいと思っている私は、50㎜のレンズを50㎜で撮りたいと強く思うようになりました。

カメラに関しては最も信頼できる悪い友達の松本さんという人がいて、その人も盛んに誘ってくる。

ブログやホームページの写真も撮ることがあるので、ただの道楽ではなくて、立派な仕事の道具だと言えなくもない。

誰に言い訳しているのか分からないけれど、きっとけっして安いモノではないカメラを買うことを自分に言い訳しているのかもしれない。

友人たちと「大人の遠足2高松・丸亀編」に行ってきましたので、その写真の一部も載せておきます。


日曜日の鞄

2015-03-15 | 仕事について

私の休日は水曜日なので、水曜日の鞄ということになりますが、その鞄はどうしても日曜日の鞄と呼びたくなります

コロッとした愛嬌のある形とどう見ても仕事用には使えない寸法。でも大型の一眼レフカメラも収めてしまう容量を持つル・ボナーの鞄オブレを休日用に使おうと思っています。

当店のお客様も皆そうですが鞄は常に身に付けるものの中でも最重要事項で、おしゃれの中心だと思っている。

鞄はとても好きでいつもいろんな鞄をお店で見ているけれど、自分の雰囲気にピッタリ合う鞄というのはなかなか見つからないものだと思っていました。鞄単体で良かったり、こんなの持ってみたいと思っても、自分に似合っていなければ仕方ない。

結局今自分に一番合っていると思った鞄がル・ボナーのものでした。

冬と春秋、夏で、鞄の好みは変わります。

冬はコートを着て、ボタンも閉めているので、ストラップのついた鞄をたすき掛けできる。

容量があって、両手が空く、一番楽な鞄パパスショルダーを使います。
電車の中で書きものや本を読んだりするので、なるべく両手は空けておきたい。

先日の高松・丸亀の大人の遠足でもパパスショルダーを下げて行きました。

でも春や秋のジャケットを着るような季節は、服にシワがつくのでたすき掛けしにくく、肩から下げる鞄が欲しと思っていました。

そしてできれば、冬、夏のたすき掛けにも対応できれば尚いいと。

オブレの松本さんの説明でカメラも充分に入るというのがあって、それにもやられてしまいました。
お客様のH田さんのネイビーのオブレからもカメラが出てきたし・・・。

オブレさえあれば、私は1年中の休日、鞄に悩まなくて済む。ぜひこれを使いたい、この中にカメラを入れて出歩きたいと思いました。


このたび当店でもル・ボナーさんの鞄を扱うようになりました。
在庫はほとんどしていませんが、その都度ご用意させていただきます。
ぜひ、お申しつけ下さい。

 

 

 


良い大人

2015-03-08 | 実生活

良い大人になりたいと思っています。

「いい大人」はただ齢を無駄に食っただけの、他人から皮肉っぽく言われる言い方だけど、若い人のお手本となるような良い大人を目指している。

元々、男の子が憧れるような、女性がどうしようもなく惹かれるような不良性は持ち合わせていないし、積極的に周りを引っ張っていくようなリーダー気質も持っていなく、若い頃から青二才ぽく見られて、なぜかそれは今も変わっていないけれど、私なりの良い大人の示し方があるはずだと思います。

先に生まれた人間として私にできることは、良い大人でいて、あんなふうになってもいいかもしれないと若い人に思ってもらえるような存在でいることしかないのかもしれない。

今までほとんどのお客様が年上の方で、その交流からいろんなことを直接的、間接的に教えてもらってきて、それは私の人生においてとても大切なものになってきたけれど、最近自分よりも年下のお客様が増えてきて逆の立場になりつつあることを思い知らされています。

もちろん年下の人から教わることも多く、教え、教えられることに年齢の上下は関係ないけれど、人生を46年間生きてきた私を、先を歩く人間のサンプルとして見る人もいると思うと、良い大人でいたいと思うのです

他にもそんなふうに思う近況がありました。

地元誌の神戸新聞やサンケイ新聞に当店が紹介されて、既知の私の顔は知っているけれど何をしているか知らなかったような人が私の仕事に興味を持ってくれたりして、店に来てくれるようになりました。

息子のバイト先の先輩のお父様が来られたり、息子の彼女のお母様が当店に行きたいと言ってくれたりして、息子の交友関係も仕事とは無関係ではなくなっている。

今更大慌てで良い大人になろうとしているようにも思われるかもしれないし、実際そうなのかもしれないけれど、若い人から見てああなりたいという大人になって、我が道を行く背中を見せ続けることが私の良い大人の示し方なのかもしれないと思っています。


ペン習字

2015-03-01 | お店からのお知らせ

当店では毎月第1金曜日19時から21時まで「万年筆で美しい文字を書こう」というペン習字教室を開催しています。

毎回、先生が作って来て下さるお手本を臨書して、添削してもらいます。

直していただいた文字に気を付けて書いていくうちに癖が少しずつ取れていく。
集中して書いていると2時間はあっという間に過ぎていきます。

間に気軽なおしゃべりがあったりして、このペン習字の時間の温かい雰囲気はとても好きで、これは先生の気さくなお人柄によるものです。

この教室の講師をボランティアで引き受けて下さっている堀谷龍玄先生が書道を本格的に始めたのは40歳を過ぎてからでした。

子供の頃に習字は習いに行っていたけれど、部活や受験で中学に上がった時には行けなくなっていました。

また書道をやりたいという想いは持ち続けておられたようで、遅くから始めたにも関わらず昇段試験に次々と合格して、10年もかからずに師範になりました。

字を書くのはとても好きで、筆や万年筆で書いていると時間が経つのを忘れていることがよくあると、先生は言われます。

それだけ夢中になれることに出会った先生はとても幸せだと思いますし、いつも好奇心を失わないフレッシュな気持ちでいることと、気持ちの強さがあったからだと勝手に思っています。

あまりご自分の意見を声高に押し通す人ではなく、どちらかというと物静かで周りの人の意見をよく聞いてくれる人だけれど、先生が書かれる文字からその想いの強さのようなものが感じられて、そんな堀谷先生を見ていると私たちもいつからでも、やりたいと思ったことは始めることができるのだと思うのです。

ペン習字教室はとても温かで良い雰囲気だけど、そろそろ新しい生徒さんにも来てもらいたいと堀谷先生と話ました。

私たちは気付いたら行書などを書いていて、気軽に習いに来ようと思って下さった方から見ると敷居が高く感じるのかもしれないと思いました。

それに私たちの日常はいつも行書を書いているのではなく、楷書を書く機会の方が多いので、楷書の練習もまたした方がいいと思いました。

次のお稽古(3月6日)から、しばらくの間楷書を練習することにして、先生がお手本を作っ来て下さいました。

楷書は基本ですが、お手本に忠実に書かないといけない難しさがあります。どうしても自分の癖が出てしまうので、根気強くお手本を書き写すように練習する。
そんな日常生活では得難い時間を当店の「万年筆で美しい文字を書こう」教室で過ごしていただきたいと、新しいクラスメートを求めています。