元町の夕暮れ ~万年筆店店主のブログ~

Pen and message.店主吉宗史博の日常のこと。思ったことなど。

奈良明日香紀行

2006-05-30 | 万年筆
奈良県の明日香村に行ってきました。
明日香村は車で回るよりもレンタサイクルで回る方が気分も良いし、小回りが利いて便利です。
畑の間の道を自転車で走っていくと、小さな集落をいくつも通り抜けていきます。
太古の昔、力のある人たちが中央集権国家の中枢をここに築いた、日本の中心だったとは今は思えないくらいのどかな里山の風景がありました。
ここはもう1200年以上前から、歴史の表舞台から姿を消してしまい、寺院や名所は廃れていってしまったそうですが、そんな古の人たちと、今ここに住む人たちの暮らしに思いを馳せながら、明日香村を走り抜けました。

続けること

2006-05-23 | 万年筆
ホームページに寄稿しだした頃は、書くことを心から楽しんでいました。
遠くに住む人たちにも私がペンに関して感じていること、思っていること、知っていることを伝えたい、それを読んで楽しんでもらいたいという想いで、始めたことでした。
文章を書くことは子供の頃から好きでしたので、それは本当に楽しい作業でした。
もう5年前になります。
ずっと続けてきて、書くネタがないはずはなかったのでしょうが、書けずに締め切りに遅れそうになったこともありました。
そんなときに助けてくれたのが、ちょっとした立ち話の中でストーリーのヒントをくれた同僚だったり、お客様だったり、たくさんの方に助けていただいて、なんとかぎりぎりで書くことができたりしています。
一番難しいのは、商品が売れる文章を書くことではなく、続けていくことだと最近思うようになりましたし、それはまだまだ続けていかないと続けているとはいえないと思っています。

赤と黒

2006-05-16 | 万年筆
雑誌ラピタにスタンダールの「赤と黒」をモチーフとした万年筆が付録されていて、たくさんの方が手に入れられたようです。
その万年筆がスタンダールの名作を表現できているとは思いませんし、黒すぎる黒と赤すぎる赤の組み合わせは、下品なのかもしれませんが、万年筆を楽しむ提案をする記事の載った雑誌に万年筆が付いてくることは、万年筆を使う人を増やす助けにはなると思います。
このペンを少し使ってみて、もっと違うものを使ってみたいと思う人がたくさん出てくればいいなと思いました。

文章の持つ雰囲気

2006-05-16 | 実生活
文章に雰囲気があると感じたのは小学校5年生だったと思います。
それまで文字を追って内容を理解する読書をしていましたが、芥川龍之介や島崎藤村、夏目漱石などの文豪の作品を読むようになって、彼らの文章の雰囲気を楽しむようになりました。
それだけ、昔の作家は文章に個性があったということかもしれませんが、言葉の選び方、文体、句読点、文節のつなぎ方など、具体的にいうと様々なものが組み合わさって、その作家の文章の雰囲気を作るのでしょうか。
そんな雰囲気を理屈抜きに感じることができる読書がすごく楽しかったのを覚えています。
“スティロ”というペンに関する小雑誌をお一人で発行されて、私に送って下さるKさんという方がおられます。
ペンへの情熱がKさんにその雑誌を作らせるのでしょうか、けっして時間をたくさん作ることができるお仕事ではないのに、その内容の濃さ、正確さには感心します。
しかし、私がそのスティロを読んで一番楽しいのは、文章の持つ雰囲気です。
一人の男性の生き様がその文章に現れています。
Kさんの文章の独特の雰囲気は、内容が違っても“スティロ”を読むとその雰囲気を楽しむことができ、いつもそれを楽しんでいます。


裾野を広げるって何だろう

2006-05-13 | 万年筆
スポーツや文化的なこと何でもそうだと思いますが、裾野の人口が広がっていないとそれは衰退していってしまいます。
万年筆も同じことが言えて、万年筆文化をリードする人たちがいて、それに憧れて追いかける非常にたくさんの方々がいるというピラミッド型があてはまります。
そのピラミッドの底辺が広ければ広いほど、その文化は将来発展する可能性を持っていることになりますが、万年筆はどうでしょうか?
ピラミッドの底辺の人たちの数は十分にいるんでしょうか?
私には、そのピラミッドの底辺を大きくしなければいけない使命があると、自分ではあまり気にしていませんでしたが、何人かの人から言われました。
自分にそんなことができるのか、どうすれば裾野がもっと広がるのか、今は裾野を広げる役にたっていないのか、分からないことばかりですが万年筆が衰退しないように努力しなければならないと思っています。

仕事

2006-05-12 | 万年筆
仕事は、もちろん生きていくためにお金を得る手段のひとつですが、
たいていの人がそれだけだと思っているわけではないでしょう。
自分がその場所に生きた証、と言えばいいのでしょうか。有形無形に関係なくそれを残すことができたらいいですね。
大きな目標を立てて、大きな事を成し遂げなくても、自分のした仕事を一人の人でもいいと認めてくれたら、そして誰かが頼りにしてくれたら、そんなに幸せなことはないと思っています。

波長が合う人たち

2006-05-07 | 万年筆
仕事で交流のあるメーカーや取引先の人たちの中で、何人か気心が知れた人がいます。
そういう人たちは、最初に言葉を交わした時に直感で波長が合うと分かります。
どの方にも共通して言えることは、仕事に対してすごく前向きであるということ、上司や自分の会社に不満を持っているというところかもしれません。
今日もそんな中の一人のOさんと夕食を共にしました。(Oさんはガブガブビールを飲んでいましたが)
Oさんは高校のときかなり活躍したラガーマンで、ラグビーの話で盛り上がりました。
何事にも熱い情熱を持っているOさんはいかにもラグビーが似合っていますが、クールに見える私は野球をしていたことさえ信じられないと言われます。
個人プレーの集合体の野球しか取り得のなかった私は、ラグビーという男臭く、ロマン溢れるスポーツを横目にしながら、無関心を決め込んできました。
そんな二人の波長が合うというのも面白いことですが、二人とも少しでも仕事において前進していきたいといつも言い合っています。

懐かしい町 “恵文社を訪ねる”

2006-05-02 | 万年筆
高野の交差点でバスを降りて、北大路通りから北へ歩いていくと京都らしい気取りの全く感じられない下町に出ます。
見たことのある風景で、来てみて気付きましたが今から20年近く前に妹が京都の芸大に行っていたときに下宿していたのがこの町でした。
当時は近くに豚舎まであって、悪臭がしていましたがその臭いはなくなっていました。
でもボロアパートも公園もコンビニもそのままあり、予期せぬ懐かしい想いにとらわれました。
あの頃は時間だけはあり、妹の下宿を別荘代わりに使い、河原町の方にに出掛けたり、この辺りを歩きまわったりしていました。
その頃から本だけは好きで、本屋さんがあれば入っていましたので、当時恵文社があれば気付いていたはずでしたが、やはり初めて行くお店でした。
少し暗めの店内には、静かな表の商店街とは裏腹にたくさんのお客さんいました。
学生のような若い人たちが大半でしたが、この店の品揃えを見て、他ではあまり置いていないような本がたくさんあり、普通の本屋さんの分類ではなく、分かりやすい趣味趣向別の独特の分類をしていましたので、芸術系の学生さんたちが集まってくるのだと想像できました。
お金があれば、和のデザイン、民芸関係、茶の湯関係の本を全て欲しいと思いました。
店の奥には雑貨コーナーがあり、あまり他では手に入らない恵文社セレクトのステーショナリー雑貨がたくさんありました。
時間があまりなく、30分くらいで恵文社を出ましたが、時間があれば1時間、2時間は平気で居ることができるだろうなと思いました。