元町の夕暮れ ~万年筆店店主のブログ~

Pen and message.店主吉宗史博の日常のこと。思ったことなど。

冬枯れ入荷しました。

2008-02-29 | お店からのお知らせ
大変お待たせいたしました。
使っていただいている方から好評をいただいているオリジナルインク冬枯れが再入荷しました。
今回入荷分は、前回同様1,260円での販売になりますが、次回ロットから2,100円になってしまいます。

ちなみに値上げは供給元であるセーラーの事情によるものです。

夜行バスで長野へ

2008-02-29 | 万年筆
急に入院した伯母を見舞い長野県佐久市まで行きました。
水曜日中に帰ってきたかったので、大阪発の夜行バスに乗り、長野まで行きました。
前に夜行バスに乗ったのは20年以上前で、その時も東京で伯母に会いました。
御茶ノ水の駅近くのレストランでご馳走を食べさせてもらった記憶があります。
まだ若く、立川までのバスの時間中ずっと寝ていましたが、今回はさすがにこたえました。
わずかに伸ばせないひざが痛くなったり、エンジンの音が気になったりで、とても寝ることができず、8時間ほとんど寝ていませんでした。
早朝の長野は1℃で、雪がたくさん積もっていましたが、1時間ほど列車に揺られて着いた佐久市ははるかに寒く、街が凍りついていました。
伯母の家はもっと南の川上村にあって、そこは私の心の故郷ですが、この佐久市もわざわざ1時間かけてラーメンを食べに来たりした思い出のある場所です。
そんな懐かしい場所でしたが、伯母の入院先の病院にいることができる時間は1時間半くらいで、すぐに引き返さなければいけませんでした。
短い時間でしたが、お互い再会を喜び合い、とても暖かい時間を過ごすことができました。
帰りの特急などの時間もあり、ゆっくり長野見物などはできませんでしたが、善光寺だけお参りに行ってきました。
参道を歩きながら、五平餅、味噌の焼きおにぎりなど長野らしい田舎の味を食べました。
帰りの電車の中で、締め切り間近の原稿書きに追われましたが、長野に来てよかったと思いました。

ル・ボナーのペンケース

2008-02-26 | 仕事について
使っていて楽しいと思えるペンケースに出会ったのは初めてで、今まで長く使えるということをペンケースに感じたことがありませんでした。ル・ボナーのペンケースはさすが鞄職人の作だけあり、長く使えるだけの頑丈さと質感の良さ、ペンを保護して取り出すという実用性を十分に兼ね備えたものだと使い出して、3ヶ月ほど経ちますが感じています。使っているうちに革もこすれて光沢を持ち、これから更に使い込むとどんな表情になっていくのか楽しみです。私はペリカンM800、ファーバーカステル伯爵、アウロラオプティマを入れていますが、149やM1000も入ります。当店によく来てくださるお客様はすでにお持ちの方が多く皆様楽しんで使ってくださっています、まだお持ちでない方はぜひ使ってみてください。 https://www.p-n-m.net/contents/products/category5.html

石垣島から届いた昭和

2008-02-25 | お店からのお知らせ
先週関東在住であるにも関わらず、当店のことを気にしてたびたび立ち寄ってくださるK氏から電話が入りました。
旅行で行った石垣島にある本屋さん兼文房具屋さんに古い万年筆があるとのこと。
私がぜひ欲しいと言いましたので、Kさんが当店の名前を出して、店主の方に交渉してくれました。
再度Kさんから電話が入り、持っていても仕方ないので快く譲ることを了解してくれたとのこと。
お礼を言うつもりで電話をしてみると、会ったこともない私のことを怪しむわけでもなく、気さくにいろんなお話をしてくださり、Kさんにペンだけ渡しておくから、お金はペンを受け取ってからでいい言われました。
知らない人間を疑ってかかるのではなく、信じる気持ちから入る。その大らかさというか、心の広さに感心しました。
今日、Kさんがそのペンを持ってきてくださいました。
今の万年筆では考えられない様々な柄や色のバリエーションがあり、色使いも柔らかで、キャップに時代を感じさせる柄が入っています。
だいたい昭和40年代前半から50年代中ごろのものでしょうか、細字のどれも小さいけれど金ペンでカリカリと気持ちよく書くことができます。
私たちの母親が使っていたのはこんな万年筆だったのだろうかと思わせる懐かしい感じがしました。
昭和のガラスケースに、石垣島から届いた昭和のペン。とてもマッチしています。
価格は2000円から4000円までで、昔の値段で出ています。

ノート

2008-02-21 | 仕事について
ブログは私の毎日の作業のひとつで、そのブログはノートに書いた雑記を整えたものです。
商品のアイデア、企画の草案など何でも、その時気に入って使っているノートに書いています。
なるべく使い切ってから次のノートに移るようにしていますが、本当にいろんなものを使ってきました。
私がノートに求めることは柔らかい紙質かということが第一になり、ペンの滑りよりもペンの当たりの柔らかさが気になります。
紙に関してはいろんな好みがあると思いますので、万年筆に合うノートということで、ひとつのものに決め付けてしまうのは私の本意ではなく、いろんな価値観があっていいと思うのは万年筆と同じです。
罫線は方眼の方がいろんな用途に使うことができて便利ですが、後から読んで見やすいのは横罫なのかもしれません。
ページが開きやすいということは非常に重要な問題ですので、それはホッチキス留めや糊留めより、糸綴じの方が良いようです。
インクと同じように、使い出した時は気に入って使うのですが、すぐに他のもの気になって、それらに乗り換えてしまうことが多いのも、多くの人のノート事情だと思います。
限定生産の大和出版印刷の万年筆ノートは価格から考えるとそう簡単に乗り換えることができず使い続けることができるノートだと思います。
その大和出版印刷のノートがまた少し入荷してきました。
柔らかい紙質、職人により製本されたページの開きやすさ、見た目の邪魔にならない控えめな罫線の色など、書いて、見返すことに気を配って作られたノートです。

父の退職

2008-02-19 | 万年筆
高校で日本史の教師をしていた父が3月で退職することになりました。
9月の定年を前にさぞかし無念な想いをしているかと思いましたが、意外とサバサバしていて、これからゆっくりできると喜んでいます。
考えてみれば、40数年間同じ大阪の私立高校で教え、そのうち垂水に引っ越してからの28年間は毎朝6時半に家を出て、早くても9時以降に家に帰ってくるという生活を週6日続けていましたので、休みたいと思うのも齢を考えると当然だと思います。
40年以上同じ職場で働き続けるということがどんなに大変なことで、我慢しなければいけないこともたくさんあっただろうということは、会社勤めが15年もたなかった私だからこそよく分かります。
今は本当にお疲れ様でしたと心から思っています。
私が子供の頃の父の記憶は休日はいつも何か本を読んでいたことです。
狭い団地の部屋の片隅で寝転がって厚い歴史の学術書を読んでいて、私たち兄妹はそこをまたぐようにして遊んでいました。
そんな日曜日の風景が私にとっての一家団欒で、とても懐かしく思えます。
それほど、歴史を愛し、それを教えることを40年も続けたこと。それがその仕事をやり遂げたことだと言えるのだと思いました。
せめて25年後、私は何かの仕事をやり遂げているのだろうか。

姫路

2008-02-18 | 万年筆
国道312号と372号の交差点のすぐ西にある、主婦の口コミ情報で知ったレストラン、アルバータ北倉庫で妻とランチをするために姫路に行きました。
その後少しだけ、御幸通り商店街を歩きました。
さすが姫路で一番賑やかな場所だけあって、商店街はたくさんの人で活気がありました。
特に目的もなくブラブラ歩いて、気になった店に入ったりしていました。
三宮センター街や元町商店街とは違った雰囲気のある御幸通り商店街などの姫路の街が好きで、1年のうち何度かは来ています。
街があり、文化財があり、人の暮らしがあり、それらがちょうどいい大きさでまとまっていて、しかもこの街らしい雰囲気を持っています。
この日は行けませんでしたが、手柄山の頂上から見た姫路の街の景色が好きで、時間を忘れて見てしまいます。
最近姫路に住む人たちと知り合う機会が多く、もともと思い入れのある街ですがとても身近に感じています。

全快しました。

2008-02-17 | 仕事について
久し振りに熱など出すと健康の有難さがよく分かります。
皆様ご心配おかけして本当に申し訳ありませんでした。
昨日近所の医院で診てもらって、ただの風邪だと分かり、点滴を打ってもらいました。そのお蔭できれいに治ったのだと思っていましたが、Oさんに聞くとどうやら治るタイミングだったようでした。
これからはもっと健康管理に気を遣いたいと思います。

前の職場からよくお話をさせていただいていた、小学校で先生をしておられるMさんがインターネットで私を見つけ出してくれて、M800を買いに来店してくれたのが前回。
二度目の来店で採点用に赤インクを入れる万年筆を買いに来てくれました。
最初ペリカーノとかそういったイメージのものを考えておられたようでしたが、その書き味の良さと、吸入機構が見える透明万年筆というところが気に入られて、M205デモンストレーターを使うことになりました。
小学校での採点というのは、丸付けや点数書きだけでなく、100点をとった子には花丸をつけたり、それぞれの答案にコメントを書いたりと非常にハードな作業ですので、M205を選択されたのは正解だったと思いました。
そのMさんが調整と、どういう由来のペンか知りたいということで、1本の万年筆を出されました。
本など調べてみたけれど分からなかったようでした。
木目の美しいブライヤーにピカピカのラッカーがきれいにかかっていて、キャップリングはブライヤーに唐草が象嵌風にあしらわれている、セーラー創業80周年万年筆でした。
今でも欲しいと思って探している人がたくさんいる80周年を箱に入れたまま忘れていたとのことでした。
久し振りに見たセーラーの名作は小細工がなく、とてもオーソドックスな形の、格調高いペンでした。
美しいペンを見ながら、Mさんのユニークな経歴などを知って、とても落ち着いた楽しい時間を過ごしました。

神戸元町サラ金ビルの夜

2008-02-13 | 万年筆
ある出版社の方々と夕食を共にすることになり、知っているお店が休みで悩んだ挙句思いついたのは、私も行ったことがあって勝手が分かっていた近くのちゃんこ鍋の店神の山でした。
当店から元町駅を挟んだ南側のとても古いサラ金ビルの地下にあります。
神の山は力士だった神の山関が30年前に始めた店で、神戸では知っている人も結構おられると思います。
座敷に4人で座ると、具が入って下品なくらい豪快に盛り上がった鍋が運ばれてきて、神の山さんが同じ部屋だった有名力士たちのエピソードを交えながら、鍋を作ってくれます。
来られるお客様全員にこんなことをしていると大変だと思いますが、これがこの店にエンターテイメントの一部なのでしょう。神の山さんのトークは淀みなく進んでいきましたし、おいしくお腹いっぱい食べることができました。
鍋をつつきながら、聞き上手な方々のお蔭で私がいつになく多くしゃべってしまいました。
店を始めたときのこと、今の状況、万年筆についてなど、とても素直に多くを話すことができたのはこの場におられる人たちが私のこと、この店のことを理解してくれているという安心感があったからかもしれません。
とても楽しい時間があっという間に過ぎていきました。
立場は違うけれど、万年筆をもっと多くの人に使ってもらいたいという同じを目的を持った人たちと出会うことができ、心強く思いました。
大切な仲間がまた増えたと思っています。