元町の夕暮れ ~万年筆店店主のブログ~

Pen and message.店主吉宗史博の日常のこと。思ったことなど。

眉山からの眺め

2015-04-26 | 実生活

妻と息子が徳島でしか取ることができなかった、あるロックグループのコンサートに行くというので、水曜日に小旅行を兼ねて徳島に行きました。

日帰りしようと思えばできなくもなかったけれど、夜遅くなるのと、それも一興かと思い徳島に泊まり、翌日早く徳島を出て、通常通り出勤しました。

徳島へ行く途中立ち寄った伊弉諾神社はちょうど春例祭でだんじりがたくさん出て、神殿内では神事が執り行われていましたし、鳴門の渦の道では高所恐怖症を克服できたような気がします。

どちらも非常に楽しみましたが、二人のメインイベントはコンサートに行くことで、私は二人がコンサートに行ってから徳島の街が一望できる眉山に上がって夜景を撮ることが楽しみでした。

最近、どこかに出掛けると写真を撮るという楽しみもついてくるようになって、どこかに行くことが決まった時、いつも考えるのはどのレンズを持って行こうかということです。

今回は途中観光地も寄るし、夜景も撮るので、28㎜から70㎜のズームレンズを付けっ放しにしていました。

徳島は何本もの川が町中を流れ、中州の集まりのような地形。中州と中州を橋でつないで1つの町として成り立てている感じで、それが徳島を独特の風景のある街にしています。

遠くの山裾に沿って流れる名も知らぬ川。本州でもあまり見ないような大きな吉野川。川は目の前にある景色だけでなく、その川の先にあるもの、上流にあるものを想像させてくれる。

街中をゆっくり歩く時間がなく、車で流した程度だけど、この街の、眉山に上がるロープウェイ周辺の昔ながらの観光地のような雰囲気が好きだと思いました。

私たちが子供の頃、こういう感じの場所が楽しい場所で、子供心にその雰囲気を楽しんでいました。

 

徳島にはちょうど10年前に来たことがありました。

この街で万年筆専門店"アローインターナショナル"を営む小村さんを知人が紹介してくれることになり、夫婦でお店を訪ねました。

小村さんのお店のディープさ、そして元事務機器販売会社専務として仕事に明け暮れる日々を経験したというお話から万年筆店をすることのハードルの高さのようなものに、何となく気が遠くなったことを覚えています。

知らない間に時が流れ、小村さんも亡くなってしまったけれど、ポッポ街の入り口に立ってみると、当時の焦りに似た気持ちとともに、その時のことが懐かしく思い出されます。

 


高い所に上る

2015-04-21 | 実生活


H田さんから借りたフォクトレンダー50mmF1.5で早く撮ってみたかった。

子供の頃から高い所が怖くて、それは今も全く変わっていません。

でも高い所は好きで、上ることができる塔があればなるべく上まで上って、山頂に登れば麓に見える景色や遠景をそこから見える景色をいつまでも眺めていたいと思う。

高い所が怖くなったのは、子供の頃の体験によるものだと思います。

まだ幼稚園に行く前で、2、3歳の頃のことだと思いますが、大自然の山間部を走る汽車(たぶん小海線だと思いますが)の窓枠でミニカーで遊んでいて、鉄橋の上でそれを窓から落としてしまった。

それがゆっくり汽車から下を流れる川に落ちていくのを今も覚えていて、その時のことがいつまでも心に残っているので、高い所、特に下に水が流れているとか、地に足が着いていないと思われる所が怖いと思うようになった。

山や塔などただ単に高い所は平気で、高い眺めの良い所に住みたいとよく思います。

もう10年以上前になるけれど、以前住んでいた団地は小高い丘の上に建っていた5階の部屋だったので、明石海峡が見渡せて、眺めがとても気に入っていましたが、それをゆっくりと見ていた記憶がない。

旅先でもタワーと名の付くものがあれば上がります。

プラハの街では、上がれそうな塔を朝の散歩で遠くに見つけて、個人行動の時に路面電車を乗り継いでたどり着き上った。

そんな大好きな高い所からの眺めを写真になるべく収めておきたいと思い、このブログで上げていきたいと思いました。

高い所が好きだと言うと、小馬鹿にされそうだけど、好きなものに忠実になることは一番難しいと思っている自分らしく生きることへの第1歩だと思っています。

仕事前に行くには少しきついかと思いましたが、ビーナスブリッジまで上がってきました。

 

諏訪山の中腹に諏訪山神社があります


アルファの1週間

2015-04-19 | 実生活

ソニーのフルサイズミラーレスデジタルカメラα7Ⅱが手元に来て1週間が経ちます。

アルファと言われてとっさに思いつくのは、いまだにアルファ・ロメオで全く私にとってそのカメラが馴染んでいないけれど、撮らなくても毎日出勤、帰宅時には持ち歩いています。

鞄に入らないので、そのまま肩から提げて歩いているけれど、電車の中でカメラを提げて、万年筆で書きものをしている私に気付く人がいたとしたら、妙に思うのかもしれません。

この1週間休日はあったけれど用事があり、まだα7Ⅱを持ってどこかに出掛けていないのでほとんど何も撮っていなくて、家や店の中で設定の確認のために試し撮りした程度です。

でもこのカメラを買ったと聞いて、いろんな人が興味を持って店に来てくれました。

H田さんはα7を解説したムック本と、フォクトレンダーノクトン50mmF1.5を持ってきて、貸してくれています。

作りの良さと仕上げの、上質なレンズで、写りが良いことは間違いありません。

まだ腕が伴っていなくて、レンズの性能を引き出せず、その描写について語るには遠く及ばないけれど、その質感、操作のフィーリング、造形などは万年筆と同じ感性で見ることができます。

デジタルカメラ本体はどうしても時の流れとともに古くなり消費されていってしまうものだけど、レンズはそうではなく使い続けられるもので、レンズと万年筆との共通性を感じています。

残念ながら、写りなどは二の次で、フルサイズのデジタルカメラソニーα7Ⅱによって、このままレンズを揃えてもいいという安心感のようなものを今は感じています。


フルサイズに憧れてしまった

2015-04-14 | 仕事について

とうとう買ってしまった。
雑誌やカタログを飽きずに見て、暇があればお店を見て回り、わざわざ梅田のソニーストアまで現物を触りに行った楽しい時間が終わるのが寂しいかと思ったけれど、手に入れてみるともっと楽しかった。

昨年夏頃、思い立ってオリンパスOM-Dを買って、付かず離れず静かにカメラと遊んでいたけれど、友人たちとの大人の遠足と称する遠征撮影に行ったり、家族と出掛けた時も一人写真を撮りまくっているうちに、これはもしかして自分にとっての趣味になるのかもしれないと、密かに確信していた。

特に大人の遠足は、仲間たちのカメラが羨ましくなりました。

新しいカメラを買う前に腕を上げろという声がいろんなところから聞こえてきそうですが、これからも続いていくカメラ遊びを考えると、オリンパスOM-Dのマイクロフォーサースの規格のレンズを集めていくよりも、フルサイズの規格を念頭においたレンズを集めていく方が自分の場合は良いと、長い目で見て考えました。

そう考えるとフルサイズのカメラが欲しく仕方なくなった。

考えすぎるほど考えて、ル・ボナーの松本さんの強烈過ぎる甘い誘惑もあって、ソニーα7Ⅱという松本さんが持っているカメラの弟分のようなカメラを買いました。

次カメラを買うなら、お客様でもあるカメラのナニワ元町店のM田さんから買いたいと思っていましたので、今まで使っていたカメラやレンズを持って行き下取りしてもらいながら、購入しました。

買った日は嬉しくて、カメラを横に置いて、チラチラ見ながら仕事をしていました。

まだ分不相応で、カメラを持つと顔がニヤけて、緊張感から手が汗ばむ感覚は、初めてイル・クワドリフォリオの久内さんにオーダーした靴が出来上がって履いた時や、オールデンのコードバンを履いた時に似ています。

カメラを手に入れた翌日、底の張り替えに出していたイル・クワドリフォリオの靴が出来上がってきて盆と正月が一緒に来たようです。

今回の張り替えは特に待ち望んでいて、今までのスマートなレザーソール(それでも無骨なダブルソールにしていましたが)から、ゴツめの印象のコマンドソールに変えてもらうようにお願いしていたからです。

自分のライフスタイルや好みから、分厚いコマンドソールの方が履きやすくて、仕様頻度が上がると思う。
もともと無骨な感じでアッパーを作っていただいていたのでコマンドソールとも合っていて、とても気に入っています。

カメラと靴、好きなものが増えていくというのは、楽しいけれどいろいろと大変ですね。


姫路

2015-04-12 | 実生活

定休日の水曜日、寒い日が続いていましたが、午後から晴れると予報されていましたので、姫路に出掛けてきました。

改築したばかりの姫路城はすごい人出だと聞いていましたので、加古川で早めの昼食を摂った後、書写山円教寺に行きました。

2号線を夢前川まで走り、川沿いに北上するルートで見る姫路の街は明らかに神戸とは違う風情があり、この姫路の地方都市の風情が私が学生の頃から好きでよく訪れていました。

息子が1歳半くらいの時に、亡くなる直前の義理の母と妻の4人で行ったきりで、それは19年ほど前になるので、ロープウェイくらいしか覚えていませんでした。

帰ってきて写真で確認しましたが、当時大型の馬車がありましたが、それがバスに変わっていました。

普通の住宅地に見えるところにロープウェイ乗り場があり、山に上がると姫路の街や瀬戸内海の島々、明石大橋などが見渡せる。

歴史的なものに興味がなくても、本堂の迫力は明らかに中世以前に建てられたもののものだと分かるし、山中に点在しているいくつかの建物は何となく大らかな、開放的な仏教のあり方を示しているような気がしました。

写真を撮りながら、それらを見て回るのに1時間40分ほどかかりましたが、家族3人で楽しく散歩できたと思いました。

帰り道、お客様のFさんの花屋さんの前を通って、姫路城の方に向かいましたが、今しか見ることができない桜の花の背後の真っ白い姫路城を見ようと、世界中から人が来ていました。

確かにすごい人手でしたが、皆幸せそうな、観光地独特の雰囲気があって、そんな光景を見ていると明るい気分になります。

姫路の街はすぐ近くに、わざとらしくなく各時代の歴史が感じられる街だと思っています。
自宅から1時間もかからずに行くことができるけれど、遠くに、違う地方に来た気分が味わえました。