元町の夕暮れ ~万年筆店店主のブログ~

Pen and message.店主吉宗史博の日常のこと。思ったことなど。

戦争はまだ身近に残っている

2006-01-31 | 万年筆
原爆被爆2世の健康診断に行ってきました。
日程、曜日が指定されていて、受診できる病院が限られていたにも関わらず、来ていたのは私ともう1人年配の女性だけでした。
あらかじめ郵送されて来た証明書を見せて、受診票に記入しました。
住所、名前、電話番号などの他に、被爆地が広島か長崎かを記入するようになっていて、原爆が実際の姿として、とてもリアルに感じられました。
私は子供の頃から、戦争や原爆をとても身近に起こったこととして育ってきました。
私が生まれるたった23年前まで続いていた、多くの人を不幸にしてしまった、大きな過ちはまだこれから数十年以上も、リアルに様々な形でちらつき続けるのだと思いました。

一区切り

2006-01-25 | 万年筆
先日人事異動で12年間いた店での最後の日を迎えました。
異動と言っても,同じ駅で降りるすぐ近くの店に勤務先が変わっただけですので、サラッと終わらせようと思っていました。
何事にも気負いすぎることが嫌いな、どちらかというと冷めた性格の私ですが、朝からいつもと違う少し引き締まった気持ちだったことは確かでした。
12年間いた店の時間はどんどん流れていきます。ふっと落ち着いたのは閉店30分前の7時半でした。
あと30分で閉店だと思うと、少し感傷的な気持ちになりました。
朝いつもするように、ウインドーのガラスを拭いて、万年筆試し書き用のコップと洗浄器の水を代え、ずっと使ってきた変わった形の香炉にお香を焚きました。
毎朝している儀式を最後にすることで、今までの12年間に一区切りつけました。
ペンの世界から去るわけではありませんが、多くの人からペンの聖地だと言われているこの特別な場所で、たくさんの人と心が通じ合ったシーンに立ち合うことができた今までの素晴らしい出来事に心から感謝しました。

ラミー

2006-01-18 | 実生活
昨年からのラミーの人気は衰えるところを知りません。
雑誌が特集記事を組んだり、ラミーだけの本が出たりとその人気に便乗しているのか、仕掛けているのか分かりませんが、ラミーを取り巻く状況もその勢いに拍車をかけています。
ラミーのデザインはこんなに人気が出るずっと以前から何も変わっていませんが、世の中がやっとラミーに追いついてきたのかもしれないと最近思うようになりました。
特に雑誌のページの作り方、色使いやレイアウトにラミーのデザインとの共通点を見ることが多くなりました。
シンプルなのはもちろんですが、本質だけを的確に伝え、そこに余計な感傷やこだわりを持たせないといったところでしょうか。
ラミーなら機能の邪魔をしない、デザインしすぎないデザインということになります。
本質を伝え、後は読者あるいは使い手のこだわりや好みにより自由に判断してもらう、そんな心地良さが最近のデザインの流れで、そこにピタリとラミーがはまったのかもしれません。

師匠と再会

2006-01-14 | 万年筆
万年筆を買ってもらうというのはお客様といろいろな話をすることができ、その方の考え方も聞かせていただけることもできますので、お話した方と共感し合えることがよくあります。
今から6,7年前に出会って、ご自宅にまでお邪魔するようになっていた方と先日数年振りに会いました。
その方は空間コーディネーターや書、絵画などアートと名の付くものなら何でも才能を発揮されている著名な方で、まだ若かった私はその変人振りに驚かされてばかりいました。
その方の容貌同様に風変わりでスタイルのある家で、日本的シンプルなデザインの考え方を話して聞かせてくれたのでした。
私が日本的なシンプルデザイン-侘び寂びのデザイン-がデザインの行き着く所だと発言するのは、この空間コーディネーターから教えられたことだったと、再会した時に思い出しました。

カランダッシュレマンのペンシル

2006-01-11 | 万年筆
ある方からのいただきもので、私の手元に1本のペンシルが来ました。
今まで仕事の中で、非常にたくさんのペンと接してきましたし、それぞれのペンの特徴は理解しているつもりでいましたが、その物の本当の良さはしばらくの間実際に使ってみて、初めて分かるのではないかと思います。
それはその物が良いか悪いかではなく、自分に合っているか、合っていないかなのだと思います。
それで、レマンのペンシルをしばらく使ってみていますが、これがなかなか優れものだということがすぐに分かりました。
ペンシルというと、どこかガタつく所のある曖昧で繊細なものだというイメージがありましたが、レマンはそんな所の全くない、堅牢で頼りになる感じがします。
今まで私の愛用のペンシルは、10年以上使っているロットリングの500円の製図用のものでしたが、やっとそれに代わるものが現れたと思っています。

ちょっといい物のある生活は、ちょっとよりもう少し楽しい

2006-01-10 | 万年筆
こんな名言を言ってしまう知人のハラダさんが今年からampleesという会社を興し、その活動のひとつとしてwebマガジンを隔週で発信していくそうです。
先日第1号が発行されました。取り上げているのはラミーサファリ。
とても分かりやすく、サファリが説明されていて、2号以降も大変楽しみなwebマガジンです。
よろしければ皆さんも読んでみて下さい。
http://fun.amplees.com/001/

お気に入りのグラス

2006-01-06 | 万年筆
数年前から使っていて、とても気に入っているグラスがあります。
岡山県の作家さんが作ったという手吹きのグラスは厚く、点々と気泡が入っていて、素朴なガラスという冷たさや硬さを感じさせる素材とは思えない温かみを感じます。
私はほとんどお酒を飲みませんが、たまに自分でジントニックや焼酎の果汁割りを作って飲むときに決まって使います。
私の場合、愛着を持って使うことのできる物というのは、素朴な温かみのあるこういうものであることが多いです。

思考モードのシフト

2006-01-05 | 万年筆
ビジネスについて考える時とアートについて考える時とは思考モードが違うことに最近気が付きました。
コンセプトやもっと具体的なビジネスの内容について考えている時に、音楽や絵、その他の芸術的なアウトプットが全く出てこないのです。
アートについて考えているときは、ビジネスについて考えることはできますが、思考がビジネスモードになってしまい、すぐにアートモードに戻ることができません。
きっとこれは頭の中の思考モードの切り替えを自由自在にできないからだと思いました。
この思考モードのシフトを器用にできるようにならなければ、いろいろなことを同時に考えることができないなと思いました。

年賀状に代えて

2006-01-01 | 万年筆
明けましておめでとうございます。
いつも私のブログを読んでいただいて、本当にありがとうございます。
子供の頃住んでいた地域では、除夜の鐘と同時にポストに年賀状がコトンと配達されるのが恒例になっていて、それを毎年楽しみにしていました。
そんな子供の頃の除夜の鐘と同時に配達される年賀状を再現してみたいと思い、このブログをアップします。
別に朝になってから読んでいただいても構いませんが、1月1日になったと同時に発信されたものだと思ってもらいたいだけですので。
このブログを書きながら皆さんがどんなふうに、どんな所で読まれているのか想いを馳せています。
里帰りした実家でいつもと違う夜を迎えながら、私の文章を読んでくださっているかもしれません。
冷たい夜の空気を伝わる除夜の鐘を聞きながら、新年を祝う船の汽笛を聞きながら、どんな気持ちで新年を迎えられたでしょうか。
2005年にきっといろんな思い出を残されたと思いますが、2006年も2005年以上に宝物のような思い出が持てる年にしたいですね。