
ネットショップがあったから当店は続いてくることができたと思っています。
客数の少ない地方で商売をする上で、ネットショップはなくてはならないものだと開業当初から思っていました。
今はステーショナリーや万年筆が華やかな存在になっていて、それほどでもないけれど、当店が開店した2007年頃は万年筆店を新しく開くというのは、無謀なことだと多くの人から心配されるようなことでした。
でもネットショップもすると言うと金融機関も安心してお金を貸してくれたような気がします。
ネットショップだと、多くの人が見てくれるからモノが売れやすいと思われがちですがそうでもありません。
当店にしかない、人気のあるものはすごい勢いで売れるけれど、どこにでもあるものは時間が掛かり、なかなか厳しい。
ネットショップの方が競合も多く、価格競争も激しいので、こういった極端な格差が出てしまうのだと思います。
万年筆はペン先調整をして書き味を良くしてお送りしているので、当たりはずれが結構ある万年筆を安心して買うことができるというメリットもあり、全く売れないわけではないけれど、定価販売のため売れ行きもゆっくりで我慢が必要です。
考えてみると、店を始めた時からこの我慢はいつも付きまとっていました。
値段を安くしたら売れるのではないかという我慢、他所で売れていると聞いたものを扱わない我慢など、意地になっているのではなく、直感的にそれらは店を維持するために必要な我慢だと思っていました。
それでもネット販売においても、常連さん、お得意様の存在はあって、メールのやり取りなどで温かい心の交流があることは店舗での販売と同じで、励まされることも多く、有難いことだと思っています。
革製品など、職人さんが作ってくれているものは、数に限りがあって、売り切れてしまったら次いつ入荷するか分かりませんので、ネットショップでは在庫数を設定していました。
筆記具はメーカー品なので、当店になくても取り寄せですぐにご用意することができましたので、在庫数は設定していませんでした。
しかし、コロナ禍になって、一部の輸入品の入荷が滞っていますので、なるべく当店で在庫を確保するようにして、当店にあるものは「在庫有り」の表記をして、メーカーから取り寄せるものは「お取り寄せ商品」として、すぐにお送りできるものと、メーカーから取り寄せしてご用意するものを分かるようにしました。
これによってお客様はご注文前にすぐに届くものか、待たなければいけない(メーカー取り寄せで1週間くらい目安)ものか分かり、お買い物しやすくなったと思います。
今まで流通に頼っていたけれど、それがアテにできなくなったということです。
小さい店にとって大変なことですが、モノがないと何も始まりませんので、これはと思うモノの在庫を持っています。
すごく地味なことですが、これもコロナ禍ならでは対応だと思っています。