オリジナル商品は余程作る意味があって、その効果があると思われるものでないとなかなか形にしにくい。
今、大和出版印刷の川崎さんとともに進めているプロジェクトがあって、川崎さんの手配によって、そのオリジナル商品の店名ロゴの箔押しをしてくれる工場を訪ねて、作業に立ち会わせてもらいました。
今回のロゴの箔押しは、当店の世界観を表現する重要な部分だと思ってこだわっていましたので、川崎さんの計らいは嬉しかった。
神戸須川バインダリーさんは、製本の専門工場。事務室の本棚には今まで手掛けてきた革装丁した本の一部が飾られていました。
製本した本にタイトルなどを入れるために箔押しの技術を追究して、今では業界では有名な存在になったのかもません。
箔押しについて、須川真祐社長が説明して下さいました。
私たちが活版印刷で紙にめり込んだ文字の感じなどを良いように思いますが、それは箔押しで表現できることでした。
箔押しは、活版印刷のような失われつつある技術でも、昔懐かしいものでも何でもなく、今の技術です。
箔押しによって平面である紙の印刷物に立体感が生まれ、1つのモノとして生命が吹き込まれるような感じがしました。
丁寧に素人の私に説明してくれた須川社長が見せてくれた、過去の箔押しサンプルは、有名アパレルブランドのタグや、大ブランドのパッケージなどがありました。
世界中で知られているそれらの会社の仕事を魚崎浜にある家族経営のこの工場が、その腕を買われてしているのだと思うと、気分がよかった。箔押しでしかそれは表現することができなくて、神戸須川バインダリーさんでしかできない技術があって、皆それに期待してこの工場にたどり着くのだろう。
工場の中も案内していただいて、箔を重ねたり、1時間に2000枚の箔押しをすることのできる最新の箔押し機も動かして見せていただきましたが、従来のものでも1時間に1000枚の箔を押すことができる。
1分間に16枚だと考えるとそれもすごいことで、職人というのは本当にすごいと思います。
当店のオリジナル商品の箔もそうやって押されていましたし、ちょうどオリジナルダイアリーの製本もしているところでした。
今回工場にお邪魔させていただいたのは、商品の片隅に入れる店名ロゴについてこだわりがあったからで、それを実現するためには箔押ししかないと川崎さんが判断してくれて、実際の箔押しの色を見ながら決める必要があるということになりました。
商品にあまりはっきりと大きく店のロゴを入れたくない、薄っすらと小さく入っていればいいと考えて、それを川崎さんにお伝えしていました。
私の非常に感覚的な言い方だと実際に職人さんとやり取りしながらでないとラチが明かないと思ってくれたようでした。
いろいろ試して下さり、透明の箔をしていただくことになりました。
角度によってはキラッと光って,そこにロゴがあると分かる程度。とてもさりげなくて、言われたら分かる感じが気に入りました。
今まで箔押しのことを何も知りませんでした。もっと早く知っていればロゴの入れ方などいろいろこだわることができたのに勿体ない。
これからは箔押しを多用して、もっと面白いものを作っていきたいと思い、須川社長の飾らない温かい人柄に触れて、いい気分で魚崎浜の工場地帯を川崎さんの車で後にしました。