元町の夕暮れ ~万年筆店店主のブログ~

Pen and message.店主吉宗史博の日常のこと。思ったことなど。

グイード・リスポーリのカード~イタリアの光と影~

2017-08-27 | 実生活

今年になってからイタリアに目が向いていました。

その時々でいろんな土地に興味を持ちますが、イタリアについて知りたいと思っていました。

イタリアについて書かれた本を読み、イタリアの風景の写真を見て、イタリアのペンについて考える。

万年筆だけを見ていると華やかな部分しか見えてこず、明るい性質で、優れた美的感覚を持った国民性というふうに思うけれど、イタリア人も日本人と同様にジメジメした部分は持っている。

賄賂が行政サービスの潤滑油と言われるメチャクチャな行政、自分たちの生活を脅かすと思っている移民への差別、行政までも牛耳るマフィアの存在など日本同様多くの問題を抱えた国で、もしかしたら、私たちが憧れるほど、住みやすい国ではないのかもしれません。

イタリアは、安定していて、国民のために仕事をしてくれる政治が存在してこなかったため、国民の多く

は国を全く信じていない。

脱税や年金の詐取が多く行われ、税収不足から強引な課税を行い国民の心が離れていくという悪循環。

様々な脅威があって、呑気には暮らすことのできないイタリアにおいて、信じることができるのは自分の力しかない。

誰よりも美しいもの、良いものを作り出さないと、足を引っ張るものから逃れい生きていけないと、自分の力で生きていくと覚悟を決めた人は考えていて、それが製品に表れているのではないかと思うようになりました。

パッサールの岩田さん、阿曾さんとのご縁で、日本で最初にイタリアのグラフィックデザイナー グイード・リスポーリのカードを販売する店になれたことを誇りに思っている。

グイード、リスポーリに関して、今後もご案内を続けていきたいと思っています。

非常に当店らしい10周年を飾る企画のひとつだと思っています。

 

 


雑感

2017-08-21 | 実生活


庭に毎年お盆に百合が咲きます。母の想いかなとロマンのあることを思って、百合を見ると墓参りに行かないとと思います。

朝晩少しは風が爽やかに感じるようになりました。

今夏は本当に蒸し暑いように感じました。それとも自分が暑さに弱くなっているのだろうか。

今年当店は、それほどたくさんの企画をしているわけではないけれど、例年していなかったことをしています。

それは10周年の年だからといった気負った気持ちから盛り上げようとしているわけではなく、そうしたいからしているという感情的な理由からです。

考えることは好きで、ただ考えることはよくしているけれど、当店の今後についてじっと考えることがあります。

そういう時に放っておくと思考は、どうすれば店が続いていくことに繋がるかということばかりを考えている。

長年かけてそういうふうに考える癖がついてしまった。

しかし、それだけを考えるのはただ死ぬために生きているような、安泰に一生を終えるために生きているようなものだと思うようになりました。

もちろん続いていくことは大前提で必要なことだけど、それだけではない。

やっていることは万年筆店だけど、それで自分が何を表現できるかということを考えるようになりました。

自分ができること、自分の手元にあるものでどんなものを表現するかが、仕事ではないかと思っています。

表現するからには人を感動させたいし、共感してもらいたい。そして何よりも他の誰もしていない自分らしい表現をしたいという想いが強くなりました。

またこれからも変わっていくかもしれないけれど、今私が考えることは、自分がどうしたいかということです。

49才の年の今頃になって、この世に生まれて好きなことをさせてもらっているのだから、自分なりの作品を作りたいと思っています。


言葉でつくせないこと

2017-08-14 | 実生活

口下手で、心の中でモヤモヤしてもなかなか言葉に言い表すことができないことがよくあります。

それをボキャブラリーが乏しいと言うのかもしれないけれど。

スタッフには辛いかもしれないけれど、仕事の内容だけでなく普段の立ち居振る舞いなどおかしいと思ったら、躾のつもりで言おうと思っている。

私ができているわけではないけれど、私以上にお客様から支持される人間になってもらいたいと思っているので、変な癖は直しておきたい。

お客様や人への反応、態度、言葉などおかしいと思ってもどうおかしいのか言葉で上手く表現できないことがよくあって、私の言い分としては「おかしいと感じるからおかしい」としか言いようがないけれど、これを言われても素直に「はい」とは言いにくい。

しかし彼は人柄が良いので(これは我々の仕事において何よりの武器だと思う)私の気持ちを汲んでくれて、「はい」と言うだろうけれど、それが不憫な気はします。

言葉に言い表すことができないと言えば、これは私の勝手な意見で真面目に聞かれても困るし、偏った考えでまた変なことを言っていると笑ってくれたらいいけれど、最近大流行していて、電車の中にも広告が出ているある漢字ドリルについてモヤモヤしている。

子供たちが楽しく漢字を覚えることができると評判で、親御さんも大喜びでさせているらしいですが、漢字以上に身に付けないといけないたしなみのようなものはないのか、これは大人が子供に媚びているのではないかと思っている。

 

励ます言葉も難しく、私はあまりいい言葉を持っていない。

例えば災害に遭った人に対して、どう言っていいのか分からない。頑張れとか元気を出してなんて私には言えないけれど、それを言葉にしている人は私のつまらない迷いを乗り越えた人だからすごいと思う。だからといって黙っていていいはずはないけれど。

このあたりのことはたまに本を読んでいると、言い表していることがあるので、そういう言葉に出会った時はとても嬉しくなるし、私のモヤモヤを事も無げに言い表してくれる人もいてすごいと思います。

 


モノを書く

2017-08-08 | 実生活

いつも別に大したことは書いていないけれど、読んで下さっている方もおられるようで、「ブログ読んでいます」とか「ホームページ楽しみにしています」などと言われて気を良くして書いている。

何を書こうかとネタがない時は苦しいけれど、書くことは好きなので苦になりません。

何か思ったり、考えたりすることがあって、それを頭の中でじっくり考えてからノートに書くと上手くいくという自分なりのスタイルはできてきました。

これは高橋源一郎氏も「一億三千万人のための小説教室」でも言っておられるので、文章というのはそういうものなのかもしれません。

ブログを火曜日と日曜日に更新しようと思っているし、ホームページは毎週金曜日の更新なので、ストックがないと不安だと思い、前もって書いておいたことがありますが、パソコンで清書する時に楽しくない。

やはり文章を綴る楽しみは、その時の旬の気持ちを夢中になって紙に書いていくことなのだと思いますので、必要な時に食材を冷蔵庫から取り出すように、締め切り直前に頭の中のことを書く方がいいように思います。

このブログで11年半、ホームページの文章を書き始めてもうすぐ9年。会社にいた頃を入れると15年ほど定期的に書き続けているけれど、自分が仕事で扱っているペンやステーショナリーについての文を書くことが、仕事と生活の中心にあり続けてきました。

内容は置いておいていつも書くことを楽しんでこれたことは、本当に恵まれたことだと思います。

だから続けていられるのだと思うけれど、年を追うごとに真剣味が増してきて、締め切りが明けるとホッとするような、解放されるような気持ちが強くなってきた。

文章を売るプロのライターではないけれど、書いたものを読んで商品を買って下さる方もおられるので、そういう意味ではプロなのかもしれないと思うようになってきた。

何か書くということはずっと変わっていないけれど、何に書くかというのは、その時の気分次第でいろいろ変わっている。

このノートでないと書けないというものが決まっているといいけれど、いまだにいろいろ試してしばらく使ってみるけれど、しばらくするとまた変わっている。

万年筆店店主として、原稿用紙にかっこよく書けたらそれはプロっぽいのではないか

という憧れはいつも持っているけれど、原稿用紙にカッコよく書くのは本当に難しく、いまだにノートや手帳にに小さな字で原稿を書いている。


レディボーデン

2017-08-06 | 実生活

息子が「父の日に何が欲しい?」と聞くので、バケツ型のレディボーデンのアイスクリームが食べたいと言いました。

子供の頃、レディボーデンのアイスクリームはすごいごちそうで、あれを家族4人で分けて食べたことがありました。

これを一人で全部食べたいと思いました。

なぜか突然レディボーデンのアイスクリームのことを思い出した。

レディボーデンの、欧米の豊かな生活をイメージさせる映像(かすかな記憶)と、メロディにのせて歌われるブランド名のコマーシャル。

チューチューとか、王将アイスとか30円くらいでアイスを買っていた子供には、あまりにも世界観の違う、憧れのアイスクリームでした。

今でも売られているのか知らなかったけれど、突然食べたいと思いました。

息子はレディボーデンを知らなかったし、父の日までにレディボーデンは見つからなかったけれど、後になって妻がどこからか見つけて来た。

バケツがイメージよりもかなり小さいような気がするけれど、今も売られていて健在なのに感動しました。

製造、発売元のロッテのホームページのレディボーデンスペシャルサイトを見ると、シニア世代に訴求するアイスクリームとなっていた⁉

それから我が家ではレディボーデンが冷蔵庫に常備されて、夕食後のデザートとしてスーパー猛暑のオアシスのような存在になっています。

現在コンビニで買える高級アイスクリームの定番はハーゲンダッツですが、レディボーデンはハーゲンダッツよりも濃厚な味わいで、それだけは子供の頃の記憶のままでした。

子供の頃、レディボーデンのアイスクリームがあるような豊かな欧米の暮らしに憧れを持っていた。いい齢の大人になって、万年筆に同じようなものを見ているような気がします。