年内最後の営業日を迎えています。
忙しくても、そうでなくても今日一日の営業時間を終えて、年始営業日時(1月6日11時から)案内の手書きのポスターをドアに貼って、静かに店を出るということを毎年していて、しばらくは個人の家庭での生活に戻っていく。
店の仕事から離れている時、例えば旅行中にいつもだったらこの時間は何をしているだろうと思って、少し胸に迫るものを感じることがあります。
それをはじめ旅情だと思っていましたが、実は自分がひたすら守っている日常への愛しさだということに最近気付きました。
店という仕事場がある日常に心底愛着があって、それをいつまでも続けていきたいと思っている。
若い頃、自分の仕事の意味とは、などといろいろ複雑なことを考えていたけれど、それはお客様に幸せや喜びを提供するものだと、シンプルに思うようになりました。
喜びを提供する仕事というものの中で、私は万年筆で書くという喜びを提供することを担当していて、書くことが楽しいと思っている人が私の楽しみにたくさん共感してくれればそれでいいし、少なければ淘汰されていく。
万年筆で書く喜びは、自分がいつも感じている一番おもしろいことで、当店は小規模な個人商店なので店主である私が面白いと思っているこのことを共感してもらうことを目的として、大きな規模の会社ならより多くの人が幸せだと感じることを考えたり、リサーチしてそれを実現する。そういうことが根本にあって、他は結果であったり、付随することであったりする。
私は共感者を増やすことが仕事で、今万年筆で書くということに喜びを感じている人に共感してもらうことばかり考えていました。
でも今書くことに喜びを見出していない人、書く習慣のない人にもそれを伝えて、自分の提案することで幸せになってくれる人を増やす努力をしていかなければいけないと思い、それを来年の抱負としたいと思います。
今年一年も、大変お世話になりました。
来年もよろしくお願いいたします。
よいお年をお迎えください。