ひびレビ

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「地雷グリコ」を読んで

2024-05-27 07:12:46 | 本・音楽
 青崎有吾さんの小説「地雷グリコ」を読みました。

 射守矢真兎(いもりや・まと)は、友人・鉱田ちゃんから頼まれ、文化祭における屋上の使用権をかけた勝負に挑むことに。勝負の内容は、じゃんけんで勝った手に応じて階段を登っていく「グリコ」に「地雷」要素を加えた「地雷グリコ」。それを皮切りに様々な勝負に身を投じていくこととなります。

 いずれの勝負も「じゃんけん」「神経衰弱」「だるまさんが転んだ」など、誰もが一度は遊んだことがあるであろうゲームがルールの追加によって、緊張感漂う頭脳戦・心理戦が繰り広げられる勝負に様変わりしています。ルールや勝敗の経緯、状況などについては図解もされているため、理解の助けになります。
 「ルールの追加」とだけ聞くと、ゲームが難しくなってしまうのでは?と思われるかもしれませんが、必ずしもそうとは限りません。話の流れを理解した後は、ルールが提示された際に「自分だったらどうするか?」を考え、答え合わせをしながら楽しく読み進めることが出来ました。
 勝負として一番好きなのは「だるまさんがかぞえた」で、それ以外で印象に残ったのは「自由律じゃんけん」の冒頭で描写された真兎の考え方です。私自身、相手の行動の理由を知りたくなるので、どこか親近感を覚えました。勝負の面白さはもちろんのこと、それに挑む登場人物たちもまた魅力的でした。

 また、何となくではありますが「アニメ化したら面白そう」とも感じた作品ですね。とはいえ、例えば「地雷グリコ」で爆発の演出をやり過ぎてしまうと、日常の一幕の中で繰り広げられる真剣勝負の良さが薄れてしまいかねないので、そこら辺の塩梅が難しいな……と、存在しない映像作品への注文が出てきてしまうほどの魅力が溢れていました。1クール、いや2時間ぐらいの映画とかどうっすかね。

 そんなこんなで、思えば割と久々の読書だった気がしますが、とても楽しかったです。
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