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本好きholyの覚え書き的日常のあれこれ

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19年目のholyのブログをそのまま残します。 同じ時は二度とやって来ない。これからも毎日を「一期一会」の心で過ごします♪

原田マハ 著 『太陽の棘』

2014-06-23 | 本の紹介
今日は沖縄の「慰霊の日」、沖縄県糸満市の平和祈念公園で沖縄全戦没者追悼式が開かれたとニュースが伝えていました。
場所は糸満市摩文仁、ここへ行ったことがありますが、平和祈念資料館の資料や戦死者全員の名前を彫った「平和の礎」など、
沖縄戦最大の激戦地であり終焉地という事実が辛かったです。
「慰霊の日」とは1945年6月23日に沖縄戦の組織的戦闘が終結したことにちなんで、琉球政府及び沖縄県が定めた記念日だそうで、
沖縄では休日となっています。

第二次世界大戦終戦後の沖縄、首里城の北に「ニシムイ・アート・ヴィレッジ」が存在しました。
その史実をもとに書かれた作品を読みました。

原田マハ 著 『太陽の棘(とげ)』

のちに沖縄画壇を代表することになる画家たちが、肖像画や風景画などを(主に米軍に)売って生計を立てながら、
独自の創作活動をしていたところです。
その若手画家たちと、戦後間もない沖縄に送り込まれた青年米軍医師エドとの友情が描かれています。
表紙のカバーの絵は実在する、日本人画家が描いた主人公軍医の肖像画、裏表紙の絵は画家自身の自画像が使われています。
作品中では主人公の軍医はエド・ウィルソン、日本人画家はタイラ・セイキチとなっていますが、
実際のお名前は軍医スタンレー・スタインバーグ氏と、画家の玉那覇正吉氏です。

簡単に「友情が築かれた」わけではありません。
日本人、特に沖縄の方にとっては、家族・親戚・友人を殺害した心底憎いアメリカ軍であるし、
米軍人にとっても民間人を殺してしまったというトラウマから抜け出せません。
主人公エドと画家タイラを結びつけたものは美術、アートでした。
芸術は言葉や国境、人種を越えて、人を結びつける力を持っているのですね。

敗戦後の沖縄にこのような美術家集団があったことを知りませんでした。
作品中にも描かれていますが、ゴーギャンやルオーを彷彿とさせるその画風はとても力強く個性的で、
他の「ニシムイ・コレクション」を見たいとさえ思いました。
歴史を勉強したつもりになっていますが、まだまだ知らないことがいっぱいあります。

この作品はかなり良かったので、直木賞候補作品に選ばれるのではと思っていましたが、残念ながら違いました。
先週末に発表された第151回直木賞候補作は次の6作品でした。

・伊吹有喜 『ミッドナイト・バス』 (文藝春秋)
・黒川博行 『破門』 (KADOKAWA)
・千早茜 『男ともだち』 (文藝春秋)
・貫井徳郎 『私に似た人』 (朝日新聞出版)
・柚木麻子 『本屋さんのダイアナ』 (新潮社)
・米澤穂信 『満願』 (新潮社)

芥川賞候補作品は次の5作品です。

・戌井昭人 『どろにやいと』 (『群像』1月号)
・小林エリカ 『マダム・キュリーと朝食を』 (『すばる』4月号)
・柴崎友香 『春の庭』 (『文學界』6月号)
・羽田圭介 『メタモルフォシス』 (『新潮』3月号)
・横山悠太 『吾輩ハ猫ニナル』 (『群像』6月号)

選考会、そして各受賞作品の発表は7月17日です。
出来ればそれまでに、直木賞候補作品は読み終えたいと、今、頑張って読んでいるところです。