ペンギン・ハイウェイ/石田祐康監督
アニメ。原作は森見登美彦。そういえば、他にも森見作品アニメは見たな。絵的に興味を抱かせる作家なのだろうか。いちおうSFだし、アニメーターの興味を引く作家なのかもしれない。
小学四年生の研究好きの変わった少年は、女の人の胸に異常に興味を抱きながら生活している。そういう中、街中にペンギンが現れる。当然このような不思議な現象についても、少年は研究を進めていくのだったが、これが胸の大きなお姉さんや、街を巻き込んでの大きな事件へと展開していくのだった。
まあ、確かに文学的ファンタジーである。時折原作の文章であるだろうナレーションも入る。ユーモアの中に、文学的な香りが漂う作風になっている。ペンギンは不思議であるとともに、最初はちょっと変くらいの出来事として捉えられている。ちっとも科学的ではない研究に見えるが、段々とそれらしく世界が変貌していき、文学的に研究が進んで、世界が大きく変貌するということになっていく。最終的には個人の問題のようなことになるのだが、実際それでいいのだろうか。
まあ、なんだか分かるような分からないような話なのである。少年たちの世界と大人たちの世界との対峙があるが、成長してこれらが解決に至るようにも見えない。最終的に悲しいお話になるのだが、それは大人への脱皮ということになるんだろうか。考え方は面白いのだろうけれど、もう少し研究の方は進めて欲しいような印象も受けた。まあ、それで分かりえる話なのではないのだろうけれど。
確かにこういう作品は、アニメだからできるというのはある。しかし万人に向けて理解される作品ではなさそうで、そういうのはオタク的なのかもしれない。