カワセミ側溝から(旧続・中岳龍頭望)

好きな言葉は「のこのこ」。好きなラジオ中継「相撲」。ちょっと苦手「煮た南瓜」。影響受けやすいけど、すぐ忘れます。

設定は荒唐無稽だが、馬鹿にできない   ブラックパンサー

2019-12-15 | 映画

ブラックパンサー/ライアン・クーグラー監督

 マーベル作品なので架空の話なのだが、アフリカの秘境にある超近代科学の進んだワガンダという国があって、そこの王家争いなどがある。世界を変えてしまうほどの力のある鉱石があって、それを守るために若き国王は、ブラックパンサーとしても戦うことになる。
 監督が有能らしく、過去作品で数々の賞を取っており、今作も娯楽作品ながらアカデミックな評価の高い作品。興行的にも大成功したようだ(あのタイタニックより興行成績は上だったらしい)。しかしながら僕は、そのように盛り上がっていた記憶はほとんどない。いったいどういうわけだろう。
 王家の後継選びには、血の継承が元になって、他の民族部族を統率しているということらしい。一度若き国王が滞りなく決まるが、後に叔父にあたる人の息子が現れ、決闘により王位を奪われてしまう。そのいわば従弟が生まれたいきさつに納得のいかないものを抱えていた若き国王が、悩んでいたために負けてしまうということかもしれない。過去の王家の伝統そのものを否定して復活してこそ、新たな時代が生まれるということなのかもしれない。基本的にアクション映画なのだが、そういう設定に当たって、単純な悪と正義の戦いを超えたような物語になっている。
 このような娯楽作の物語の複雑化は、何と言ってもバットマン・シリーズからではないかと考えられる。そういう意味ではクリストファー・ノーランは偉大であると思うのだが、要するに子供にねだられて親も一緒に映画館に行くわけだが、しかしやはり子供だましの内容だと、親は寝るより仕方ない。ところがこのような物語になると、いつの間にか引き込まれるだけでなく、何度かリピートして観たくなるということになるのではないか。そうして社会現象化して大ヒットするという図式が、今の映画の産業しての戦略になっているのではなかろうか。ものすごくお金のかかる大作になっていて、意地でも売らなければならない宿命にもあるのだろうけれど…。
 というわけで、妙な感慨のある筋書きのある物語になっている。ああ、それと、黒人ばかりというところも、大衆娯楽作なのに、新しいのかもしれないですね。
コメント
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