風音土香

21世紀初頭、地球の片隅の
ありをりはべり いまそかり

欲望

2007-10-03 | 風屋日記
人類の文明は欲望が生み出したものだと思う。
もっと便利に、もっと楽に。
あんなものがあるといい、こんなものが欲しい。
その気持が新しい発見や発明を生み出した。

現代社会においても欲望がないと経済が成り立たない。
誰も何も買わなくなっちゃったらお金が回らないもんね。
食料だって生きていくための必要最小限のものだけじゃなく、
これが食べたい、あれが食べたいが中心だから。
人間から欲望を一切なくしたら
成り立つ産業なんてないんじゃないかと思うよ。

でもね、歴史上あるいは現代においても
世界各地の争いごともまた欲望が引き起こしている。
ミャンマー然り、アフガニスタン然り、スーダン然り。
理念や信念に置き換えられたりもしているけれど
北朝鮮やアメリカやロシアや、もちろん日本だって
基本的に自国の利を求めているからこそ軋轢を生んでいる。
そう考えると良くも悪くも「欲望」こそが人間そのもの。

ただとても気になるのは、
日本に限らずどの民族の倫理の上から見ても
「欲望」をあからさまにそして直截的に表現することは
はしたなく、醜いものであるとされてきた筈なのに
現代社会においてはそれが薄れてきつつあるように感じること。
メディアや発言や行動や様式に、徐々にそれは現れている。
プチナショ君達の論旨も「自利」がベースだし、
風俗産業はよりあからさまに、より過激になっている。
ネット上の発言も(匿名性に身を隠しながら)
平気でセキララに自分の欲望を表現していて目を被いたくなる。
1日に20本ぐらい携帯に来るスパムメールもそうだけどね。
そしてみんな自分に都合のいい権利ばかりを主張し、
各国も自国の利(というより権力者個人の利)を言い立てる。
場合によっては自分の利のために人まで殺す。
人間はいつの間にこんな風になってしまったのだろうか。

もちろん私は仙人でもないし、悟を開いたわけでもない。
私にだって様々な欲望はある。
長距離通勤はもう少し楽になって欲しいし、
余分なお金はいらないけど、せめて新しい車は欲しい。
東南アジアや中央アジア、中東などあちこちを旅してもみたい。
息子達の進学費用も、その分だけでいいからあるといいなぁ。
女性は素敵だと思うし、ちょっとした仕種にドキッともする。
でも、少なくとも、風俗に行くつもりはまったくない。
(ま、正直言って自分が客になるという興味もないけど)
おおっぴらに、直截的にそんな話をする人間にもなりたくない。
他人を陥れたり、傷つけたりしてまでお金が欲しいとは思わない。
もし隣家の人が「土地の境界線はもう10cmそっち側だろう」と
いきなり怒鳴り込んできたならば
争いごとをさけるために案外あっさり認めてしまいそう。
(幸い隣家にはとてもいい方がお住まいでよかった 笑)
贅沢な暮らしもまっぴらごめんだ。

欲望を隠す、あるいは押さえ付けることができないほど
人間は弱くなってしまったのだろうか。
便利な生活に慣れてしまい、
欲望はより深くより大きく溢れだしたのだろうか。
そんなことを知りたくて
出張時などに新橋駅前あたりで声をかけてくる女性から
(もちろん客になるつもりは毛頭ないまま)
いろいろな客たちと会った話を聞きたい「欲望」に時々かられる(笑)
コメント (7)
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