私の母校である岩手県立花巻北高は数年前に
花巻市と姉妹都市、アメリカのアーカンソー州ホットスプリング市にある
Arkansas School for Mathematics, Sciences and the Arts(ASMSA)
と姉妹校提携を結び、生徒の相互訪問を行なっている。
ASMSAはその名の通り、数理と芸術を学ぶ高校で
アメリカ国内ランキングでもトップクラスなのだそうだ。
ところで日本の高校でも理数科や芸術科を持つ高校はある。
しかしそれが一緒に存在する学校は珍しいのではなかろうか。
しかもどうやらASMSAはコース別ではなく、総合的に学ぶらしいのだ。
はじめに聞いたときには不思議に思ったのだが
最近「STEAM教育」というものを知って納得した。
「STEAM」とは「Sciences」「Technology」「Engineering」
そして「Mathematics」「Arts」の頭文字を取ったもの。
もともとは「STEM」だったそうだが、ここ数年で「Arts」が加わった。
テクノロジーの世界でイノベーターを育てるべく
アメリカやヨーロッパで強力に推進している考え方とのこと。
そういえばASMSAももともとは「数理学校」だったと聞いたが
今では「Arts」が含まれている。
「STEAM教育」に関しては今後日本でも進められると思うので
詳しい概要はここでは端折るが、
この花巻北高とASMSAとの交流により
初年度から双方の生徒たちに大きな変化が出てきたらしい。
アメリカとアジア、文化も、価値観も、生活環境も違う人たちとの交流は
それだけで多様性を体験し、学ぶことができる。
机にかじりつくだけが勉強じゃない。
異質なものとの触れ合いにより、他者への興味喚起となり、
なおかつ自分のアイデンティティを再確認することにもつながる。
これこそがSTEAMの原点ではなかろうか。
願わくば、一時的な交流にとどまることなく
将来ともにプロジェクトワークを通して新しい価値観を生み出す
イノベーションチームを構築してほしいと思うのだ。
それはきっと日本やアメリカ個別利益のみならず
国境や人種を超えたグローバリストの育成と
新たなテクノロジーを生み出す原動力になると思うから。